スタジオジブリのアニメ映画を舞台化した『My Neighbour Totoro』(舞台『となりのトトロ』)が、2023年2月12日に授賞式が行われたイギリスの権威ある演劇賞「第23回WhatsOnStage Awards」において、最優秀演出賞など最多の5冠に輝いた。
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『となりのトトロ』は1988年に公開された、宮崎駿監督によるスタジオジブリのアニメ映画だ。病気の治療で病院にいる母親の近くに住むため、郊外へ引っ越してきたサツキとメイの姉妹が、森で出会った不思議ないきものトトロと交流する姿を描く。
舞台化は、映画で音楽を手掛けた作曲家の久石譲が提案し、宮崎監督が快諾したことで始まったもの。エグゼクティブ・プロデューサーを務める久石のもと、イギリスの名門演劇カンパニー、ロイヤル・シェイクスピア・カンパニー(RSC)と日本テレビが共同製作し、実現に至った。
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2022年10月8日から2023年1月21日まで、ロンドンのバービカン劇場で上演された本舞台は、久石の音楽、原作を尊重した世界観、そしてRSCならではの作劇力で観客の心をつかみ、13万3,000枚のチケットが完売。連日万雷の拍手とスタンディングオベーションが続き、「ガーディアン」紙をはじめ多くの劇評で五つ星を獲得するなど、高評価を得ていた。
このたび「第23回WhatsOnStage Awards」で最優秀演出賞を受賞したフェリム・マクダーモットは、授賞式で「原作の精神に導かれるように、皆で一丸となって作り上げたショーです。パンデミックで街に人がいない中、バービカン劇場で様々なトライを続けました。キャストは卓越したアンサンブルでこのショーを育み、お客様の気持ちが加わって完成しました。私はこの賞を、個人としてではなく、チームとして受け取りたいと思います」と喜びを語っている。
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『My Neighbour Totoro』が受賞したのはこのほか、舞台美術、照明デザイン、音楽監督、音響デザインの各賞で、ノミネートも最多の9部門だった。4月にはイギリス演劇界で最も注目される「ローレンス・オリヴィエ賞」も控えており、さらなる受賞にも期待が膨らむばかりだ。
◆Best Direction(最優秀演出賞)- Phelim McDermott(フェリム・マクダーモット)
◆Best Musical Direction/Supervision(最優秀音楽監督賞)- Bruce O‘Neil(ブルース・オーネリ) and Matt Smith(マット・スミス)
◆Best Set Design(最優秀舞台美術賞)- Tom Pye (トム・パイ)and Basil Twist(バジル・ツイスト)
◆Best Lighting Design(最優秀照明デザイン賞)- Jessica Hung Han Yun(ジェシカ・ハン・ハンユン)
◆Best Sound Design(最優秀音響デザイン賞)- Tony Gayle(トニー・ゲイル)
▼『My Neighbour Totoro』(舞台『となりのトトロ』)
エグゼクティブ・プロデューサー:久石譲
原作:宮崎駿「となりのトトロ」
音楽:久石譲
脚本:トム・モートン=スミス
演出:フェリム・マクダーモット
製作:ロイヤル・シェイクスピア・カンパニー/日本テレビ
美術:トム・パイ
衣装:中野希美江
照明:ジェシカ・ハン・ハンユン
ムーブメント:山中結莉
会場:ロンドン・バービカン劇場
日程:2022年10月8日(土)~2023年1月21日(日) ※全118回で133,000人を動員(完売)
舞台にはバジル・ツイストによって創られたパペットが登場。さらに誰もが知る久石譲の音楽をウィル・スチュアートが新たにオーケストレーションし、ライブ演奏の音響デザインをトニー・ゲイルが担当。
(C)Studio Ghibli