アニメ!アニメ!では、主人公のスレッタ・マーキュリーを演じる市ノ瀬加那さんと、物語のメインキャラクターとなるミオリネ・レンブランを演じるLynnさんにインタビューを実施。新たなチャレンジが詰まった本作について話を聞いた。
[取材・文:須山茂 編集・撮影:吉野庫之介]
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「学園」を舞台に描かれる新たな“ガンダム”
――出演が決まった際の率直なお気持ちを教えてください。
市ノ瀬:まさか自分がこんなビックタイトルの主人公に決まるとは思っていませんでした。オーディションが終わり、その次の日くらいにマネージャーさんから電話が掛かってきたのですが、ちょうど寝ていて、寝ぼけながら電話に出たところ「ガンダム!決まりました!!」と言われたのですが、きっと夢だなと思い、もう一度寝て……。朝起きて携帯を見たらちゃんと通話履歴があって「本当に決まったんだ!」とそこで改めて実感を得ました(笑)。主人公に決まったからには覚悟を決めて、このプレッシャーも楽しみながら最後まで演じ切りたいと思っています。
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Lynn:オーディションのお話をいただいた時期、実はスランプ期を迎えていたんです。でも、この作品に出演したい気持ちが強くあったので、悔いを残さないように自分ができる最大限のお芝居で臨みました。合格の知らせを受け取ったのはちょうど私の誕生日で、人生で一番嬉しい誕生日プレゼントになりました(笑)。あとから嬉しい気持ちが押し寄せてくると同時に、ガンダムシリーズという歴史ある作品で、みなさんからの期待の大きさを感じながらも、それに応えられるようなお芝居をしなくてはと気合いが入りました。
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――これまでのガンダムシリーズにはどのような印象を持たれていましたか?
市ノ瀬:以前までは「男の子のもの」という印象が強かったのですが、実際に見てみると女性がモビルスーツに乗って戦う姿もカッコよく描かれていて。また、戦いの中での人間関係を掘り下げて見ていくと悲しい部分もあったり……。たとえば、『機動戦士ガンダム』でアムロ・レイとランバ・ラル大尉は敵同士だから戦わなければならなかったけれど、もしも立場が違っていたら……と考えたりもして。そんな“戦うことの意味”を考えさせられる作品だと思います。
Lynn:私は学生時代に『SEED』や『00(ダブルオー)』をリアルタイムで見ていたのですが、グッズや主題歌CDを買ったり、声優さんのイベントに行ったりするほど熱中していたんです。戦いの舞台が宇宙というのもある種の非現実感があって魅力的ですし、市ノ瀬さんの言うとおり“人間同士の戦い”がリアルに描かれているからこそ、非常に面白く、深い作品になっているのだと感じます。
――『機動戦士ガンダム 水星の魔女』はTVシリーズ初の女性主人公という点もさることながら、「学園」が舞台であることにも新鮮さを感じます。
市ノ瀬:歴代のシリーズ作品では序盤からすぐに戦争が始まるような緊迫感がありましたが、今作は「学園」が舞台ということもあり、キャラクターそれぞれが等身大の姿でいきいきしている感じがあったり、コミカルに見られるシーンもあります。
Lynn:これまでの作品と比較すると最初に受ける印象はだいぶ違いますよね。現状深刻な感じはないんですけど、だからこそ、これからどうなっていくのかわからない怖さもあって……(笑)。そういった意味ではガンダムシリーズに触れたことがないという方にも入りやすい作品になっているのではないかと思います。
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――タイトルにある“魔女”も物語を紐解くキーワードになっていそうですよね。
市ノ瀬:なぜ“魔女”と呼ばれているのか? それはスレッタのことなのか? ほかにもいるのか?……と気になることが多いですよね。また、今後スレッタがどのように行動していくのかも重要なポイントになっていくと思うので、注目して見ていただきたいですね。
Lynn:作中でも“魔女”というワードは何度も出てくるのですが、それについてはっきりと言及はされていなくて。それが正義なのか悪なのかは物語を最後まで見届けた末にわかるのかもしれないし、もしかすると、わからなくてもいいことなのかもしれない。それは私たちも一緒に探していきたいですね。
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――ご自身の役以外で気になるキャラクターやモビルスーツは?
市ノ瀬:どのキャラクターもすごく個性的なのですが、エランくん(エラン・ケレス)が気になります。彼の搭乗機であるガンダム・ファラクトもスタイリッシュでカッコいいので、アニメで動いている姿が早く見てみたいですし、今後どのように物語に絡んでいくのか楽しみにしています。
Lynn:私はシャディクさん(シャディク・ゼネリ)が今気になる存在です。いつも飄々としていて掴みどころがなく、謎の多いキャラクターなのですが、きっと今後それが明らかになっていくことにワクワクしています。彼のモビルスーツ、ミカエリスの騎士のような見た目もすごく好みですね。
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――最後に視聴者のみなさまへのメッセージをお願いします。
市ノ瀬:私が演じるスレッタ・マーキュリーは内向的な性格で、人との距離感がつかめずに空回りすることもあるのですが、そんな一面に親近感を覚えて、元気をもらえるような瞬間も多いんです。「学園」が舞台となっているからこそ、みなさんの身の回りにもあるような人間関係と照らし合わせながら見ることもできると思いますし、言いたいことを頑張って伝えてみようという勇気を彼女から受け取れるのではないかと思います。年齢・性別を問わず楽しめる作品となっていますので、これから『水星の魔女』をよろしくお願いします!
Lynn:ガンダムシリーズで描かれるような人間関係の複雑さやうまくいかない葛藤は私たちの日常生活の中にもあると思うのですが、それを解決して自立するためのヒントがこの作品に散りばめられているのではないかと思います。長年の『ガンダム』ファンのみなさまをはじめ、シリーズ初見の方にも満足していただけるような迫力ある戦闘シーンや新たなチャレンジがたくさん盛り込まれた『水星の魔女』をぜひお楽しみいただければと思います。
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