アニメ映画『ONE PIECE FILM RED』が、2022年8月6日(土)より全国で公開。コミックスの全世界累計発行部数が5億部を超える原作マンガ『ONE PIECE』の作者・尾田栄一郎氏が総合プロデューサーを務める本作は、物語のキーキャラクターであるシャンクス、そしてその娘のウタが登場することで話題となっている。
そんな本作について、ウタ役の名塚佳織さんにインタビュー。作品の見どころに加えて、本作のテーマとなる「歌」「家族」についてもお話を聞いた。
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いつもとは少し雰囲気の違うルフィもカッコいい
――本作への出演が決まったときはどのようなお気持ちでしたか?
もちろん嬉しかったのですが、それ以上に驚きが大きくて。「決まりました」という電話をいただいたとき、頭が真っ白になってしまって、そっけない返事をしてしまいました(笑)。じわじわと喜びと同時にプレッシャーも感じるようになったのは、しばらく経ってから。そして、今度は収録までにできる限りの準備をしなくてはいけないという気持ちでいっぱいになりましたね。
――それくらい、名塚さんにとって『ONE PIECE』の映画に出演できるというのは大きなことだった。
そうですね。学生の頃から原作を読んでいて、新刊が出るのを常に楽しみにしていたくらい好きな作品なので、感慨深かったです。以前にテレビシリーズに出演したこともありますが、今回は映画の主要キャラクターということもあって、より一層、特別なことだと感じています。
――そんな映画のシナリオを読んだときの感想を教えてください。
「あのシャンクスに娘が……!? しかもルフィと幼少期を一緒に過ごしている!?」という衝撃からはじまり、とにかく驚きの連続でした。その後、読み進めていくうちに「なるほど」と思うところがたくさんあり、ウタの魅力にどんどん引き込まれていきました。あと、ルフィはいつもカッコいいのですが、今回は気持ちの面のカッコよさが強く出ていると思いました。いつもとは少し雰囲気の違うルフィに惚れ直す方も多いのではないかと思います。
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――ウタを演じるうえで意識した点は。
ウタは声の芝居を私、そして歌唱パートはAdoさんが担当しています。なので、歌からセリフになるつなぎ目の部分がスムーズに流れるように意識しました。監督からも事前にそういうお話をいただいていましたし、私もそうあるべきだと思っていたので、念頭に置きながら丁寧に演じましたね。
――Adoさんの歌はアフレコ前に聞くことができた?
はい。楽曲はもちろんですが、Adoさんの歌声がパワフルで、一瞬にして引き込まれました。Adoさんの歌を聞くだけで、不思議とウタの表情が思い浮かんできたんです。劇中で流れるウタの曲は彼女の内面を歌っている部分も多いのですが、それをAdoさんが歌声で表現してくださっていたので、お芝居するうえで参考にさせていただきました。
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この映画が大切な人に感謝の気持ちを伝えるきっかけになれば嬉しい
――本作は「歌」がテーマのひとつになっています。名塚さんは、歌や音楽から影響を受けたことはありますか?
私、舞台の稽古や本番に行く道すがら、演じる役に合った音楽を聞くようにしているんです。
――音楽を聞くことで、演じる役のイメージづくりをしている?
そうですね。特に自分と性格や考え方がぜんぜん違う役を演じるときは、事前に気持ちを作っておかないと上手くいかないことが多くって。演じる役のテンションやイメージに向かわせるために音楽を聞く、ということはよくありますね。
――本作は「家族」もキーワードのひとつとなっています。名塚さんにとって、「家族」とはどのような存在ですか?
やっぱり、かけがえのない存在ですよね。長く一緒にいると、いてくれて当たり前と思いがちですが、こうやってふと振り返ってみると、色々な面で支えてもらっているし、家族がいなかったら自分はいなかっただろうとも思います。当たり前にそばにいて支えてくれたことに、感謝したいですね。
――お子さんが産まれてからは、家族への思いは変わりましたか?
変わりましたね。自分が親になってみて、子育ては大変だけども、子供に対しては何でもしてあげられるってことがよく分かりました。見返りなんて必要ないんです。いてくれるだけで幸せ。とにかく元気に大きくなってくれれば、それでいいんです。だからこそ、親に対する感謝の気持ちも以前より増しました。あとは子育てするにあたり自分の親や兄弟、親戚の方に助けていただくことが増えたのと同時に、つながりも濃くなった気がしています。
――『ONE PIECE』は世界中にファンがいる作品です。ここまで愛されるのにはどういう魅力があるからだと思いますか?
ひとつは絆。ルフィたちは仲間たちを全力で助けるんです。そういう思いやりを見ていると、心が温かくなります。また、「こういう人になりたい」と思えるキャラクターがたくさん登場するのも魅力のひとつですよね。みんなそれぞれにエネルギーを持っていて、素敵だなと思います。
――最後に、読者の皆様へメッセージをお願いします。
家族や仲間との絆を描いた今回の映画を見た方が、大切な人に思いを伝えたいっていう気持ちになってくれたらいいなと思っています。言葉にすることって、大切なんですよね。言葉にしないことによって、すれ違ってしまうこともあるんです。この映画が、自分が大切だと思っている方に感謝の気持ちや思いを伝えるきっかけになれば、嬉しいですね。
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プロフィール
名塚佳織【なづか・かおり】4月24日生まれ。東京都出身。フリーで活動。主な出演作は『交響詩篇エウレカセブン』エウレカ役、『僕のヒーローアカデミア』葉隠透役、Mt.レディ役、『聖剣伝説 Legend of Mana -The Teardrop Crystal-』真珠姫役ほか。
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『ONE PIECE FILM RED』作品概要
公開日:2022年8月6日(土)
原作・総合プロデューサー:尾田栄一郎(集英社「週刊少年ジャンプ」連載)
監督:谷口悟朗
脚本:黒岩勉
音楽:中田ヤスタカ
キャラクターデザイン・総作画監督:佐藤雅将
美術監督・美術設定:加藤浩
色彩設計:横山さよ子
CGディレクター:川崎健太郎
撮影監督:江間常高
製作担当:吉田智哉
≪キャスト≫
田中真弓 中井和哉 岡村明美 山口勝平 平田広明 大谷育江 山口由里子 矢尾一樹 チョー 宝亀克寿
名塚佳織 Ado 津田健次郎 池田秀一
山田裕貴 霜降り明星(粗品 せいや) 新津ちせ
主題歌:「新時代 (ウタ from ONE PIECE FILM RED)」Ado (ユニバーサル ミュージック)
劇中歌楽曲提供:中田ヤスタカ Mrs. GREEN APPLE Vaundy FAKE TYPE. 澤野弘之 折坂悠太 秦 基博
配給:東映
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(C)尾田栄一郎/2022「ワンピース」製作委員会