声優・青山吉能にとって2022年は今後を左右する一年に―「多少の無理をしても頑張る、それも楽しんでいる」という言葉に込められた決意【2ndデジタルシングルインタビュー】 | 超!アニメディア

声優・青山吉能にとって2022年は今後を左右する一年に―「多少の無理をしても頑張る、それも楽しんでいる」という言葉に込められた決意【2ndデジタルシングルインタビュー】

2ndデジタルシングル「あやめ色の夏に」をリリースする声優・青山吉能さんにインタビュー。

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 声優・青山吉能が2022年7月27日(水)に2ndデジタルシングル「あやめ色の夏に」をリリース。2022年3月に1stデジタルシングルを引っ提げてソロアーティストデビュー、同年5月には自身の誕生日を祝うバースデーライブを開催、そして7月に2ndデジタルシングルをリリースと、声優活動を行う傍ら、音楽活動にも全力で取り組んでいる。忙しい毎日を送っていることは想像に難くないが、それは他でもない、彼女自身が決めたことだという。

 今回は2ndデジタルシングルリリースを控えた青山さんにインタビュー。デビューからここまでの歩みを振り返ってもらいつつ、「常にモーターを回し続けないと」と語る彼女の覚悟についても迫った。


「あやめ色の夏に」ジャケット写真【画像クリックでフォトギャラリーへ】

今は苦しむ時間も楽しい

――2022年3月にデビューしてから、4カ月が経ちましたね。

 3月にデビューして、5月にバースデーライブがあって7月には新曲リリースと、コンスタントにソロでの音楽活動がありました。声優の仕事でも常に何かを作り続けていますが、それとはまた異なる「青山吉能」としてものを作る毎日が今は楽しいです。

――その活動期間を経て、自分のなかで考え方や感じ方が変わったなと思うことは?

 作詞について日頃から意識するようになりました。1stデジタルシングルで作詞にチャレンジしたとき、詞を作る楽しさと同時に難しさも痛感したんです。なので、これまで休みの日はひたすら寝ているだけでしたが、次に作詞するときのために、何か心を動かされることをやろうと意識するようになりました。ぐうたら過ごせなくなりましたね。常に宿題を抱えている感じです。

――ご自身の性格がそうさせているのかもしれない。

 ですね。私は天才でも何でもないので。何かしなきゃ、どうにかしなきゃと必死です。

――作詞する際、「急に降りてきたんです」とおっしゃられる方もいますが、そういうのがない。

 そう! 何も降りてこんのよ。

――だから日々努力しないといけないという気持ちがあるんですね。とはいえ、やっぱり活動が楽しいという気持ちも。

 もちろんです。応援してくれているみんなが私のやることなすことに驚いてくれたり、楽しんでくれたりするのを見ていると、嬉しくなります。みんなが楽しいと、私も楽しいんですよ。また、先ほど常に宿題を抱えている感覚とは言いましたが、沈んだ分だけ高く飛べると信じているので、今は苦しむ時間も楽しめています。

――なるほど。先ほどもお話されていましたが、音楽活動で言えば、バースデーライブの開催もありましたね。

 ソロアーティストとしてデビューすることを発表した2021年12月のワンマンイベントでも何曲か歌唱したのですが、そのときは1ステージだけだったんですよ。なので、1曲ごとに入魂しながら歌えたのですが、今回のバースデーライブは昼・夜の1日2ステージでやりたいとスタッフさんから提案がありまして。私は喉が強靭なわけでも、天才的に歌が上手なわけでもないので、正直戸惑いました。

――ライブの準備段階では、そういう気持ちを抱えていたんですね。

 はい。最初に「2ステージでやります」とスタッフさんに言われたとき、相当渋りました(笑)。効率が悪いタイプなので、他のアーティストさんが1の力でできることを3倍、5倍の時間と力をかけないとできないですし、ペース配分ができない常に全力人間なので、2ステージやり切る自信がなかったんです。「昼に120%を出し切って、夜には30%しか出せませんでした」だと、プロとして失格ですからね。そうならないよう、ライブに向けて毎日特訓していました。

――実際に2ステージのライブをやってみてどうでしたか?

 特訓に付き合ってくださったバンドメンバーさん、アドバイスをくださったスタッフさん、応援してくださったみなさんのおかげで、楽しくライブを終えることができました。アンコールであともう1曲を歌うことはできなかったくらい出し切って、何とか完走することもできました! ただ、あれが今の青山吉能ができる最大限のステージだったと思うと、やっぱりまだまだ成長しないといけないですね。100%どころじゃない、240%の力を出しましたが、それが自分の中で100点、240点を付けられる結果になったとは思っていません。反省点を活かして、今後につなげていきたいですね。

――ストイックですね……!

 そうじゃないと私はきっとダメなんですよ! 立ち止まると置いていかれてしまうと思うんです。今後は自分自身を鍛えるだけでなく、ソロアーティストとして活躍されている方々との交流を増やして、ペース配分のコツなどを教えてもらいたいですね! お友達が欲しい!

本当は存在しない夏の思い出を音楽で表現

――学びもあったバースデーライブを経て、7月には2ndデジタルシングル「あやめ色の夏に」がリリースされます。リリースが決まったときの率直な気持ちを教えてください。

 他の声優アーティストさんの場合、プロジェクトの偉い人が「この日に出しましょう、出しませんか?」と提案したり、アニメのタイアップなどに合わせて年間スケジュールを組まれたりすることが多いと思います。ただ、このプロジェクトは、もともと私が歌いたい、ライブをやりたいという気持ちから始まったものなので、私の意志に沿って活動内容が決まるんですよ。なので、リリースが決まったというよりも、私が夏にリリースすると決めたという感じなんです。

――リリースタイミングも青山さんが主体となって決めているんですね。

 もちろん、すべて私のわがままでやっているわけではありません。セールス面のことも考えないといけないですし、現実的に実現可能なのかというジャッジも必要です。それでも、私の1.5倍の勢いでプロデューサーが「青山さんがやりたいなら、そうしましょう」と後押ししてくださるんですよ。恵まれた環境にいるなと思っています。

――夏にリリースしたかった理由は?

 春に出したから次は夏かなって(笑)。

――季節ごとに1曲はリリースできたらいいなと思った。

 そうです、そうです! あとは、夏にライブをやるなら絶対にこれ!というような楽曲があれば強いな、ライブで盛り上がりそうだなと思ったのも理由のひとつですね。

――続けて楽曲について教えてください。今回はミディアムテンポのナンバーですが、これはご自身のリクエストでしたか?

 テンポなどは特にリクエストしていません。色々と候補の曲をいただいたなかから、ビビッときた曲を選びました。

――どのあたりがビビッときましたか?

 この曲のテンポや雰囲気から、ちょっと懐かしさを感じたんです。特にイントロは「なんか聞いたことがあるかも」と感じました。他にも素晴らしい候補曲がたくさんあったのですが、この曲のイントロを聞いた瞬間、「これだ!」ってビビッときたんですよ。

――歌詞についても教えてください。1stデジタルシングルではご自身で作詞されていましたが、今回は作曲を担当された永塚健登さんから詞も提供してもらっていますね。

 本当は今回も私が作詞するという話になっていたんです。描きたい世界観が明確にあったので、すぐに仕上がるだろうとも思っていました。しかし、現実は残酷。作詞をはじめてから2週間が経っても、Aメロすら書き上げられなくて。

――なんと!

 これはいよいよヤバいぞと思ったとき、ふと永塚さんのことが頭によぎったんです。実は永塚さんが最初にデモ音源を送ってくださったとき、メロディだけではなく歌詞もついていたんですよ。その時は女の子が決意をして歩いていくといったテーマだったのですが、それがすごく素敵で。あまりにも完成されていたので、「永塚さんなら私の世界を表現してくださるかも」と思ったんです。それでプロデューサーと相談して、永塚さんにお願いすることになりました。

――青山さんの描きたい世界観を永塚さんが表現してくださった。

 そうですね。私が思う夏の景色・匂い・音などをオーダーシートのような形で書き上げて、永塚さんにお渡ししました。そしたら、4時間後にはもう詞があがってきたんですよ! 私が2週間かけてもAメロすら書けなかったことを、たった4時間で完成させてしまう永塚さん。天才ですね。あがってきた詞はもちろん最高でした。

――実際に仕上がった詞にはどのような思いが込められていますか?

 テーマは「あの日の夏」。記憶のなかにある、みなさんの夏の思い出を曲にしたいなと思って作っていただきました。その夏の思い出は。自分自身が実際に体験していないことも含めたもの。あの、これ熱弁したいのですが、いいですか?

――よろしくお願いします。

 みなさんのなかに「存在しない夏の思い出」ってないですか? 例えば、縁側でスイカの種飛ばしをしたり、地元の夏祭りに参加したり。私のなかでは、その「存在しない夏の思い出」が、小中学生くらいのときに花火大会へ浴衣で行き、短パン姿の同級生の男の子と会うというイベントなんです。その男の子は私が制服から浴衣にクラスチェンジしているのを見て、「おっ、青山、浴衣なんだ」みたいに話しかけてくれて。第三者から見ると「おいおい、ここで恋の花火が上がっちゃうのかい!? どうなの、それはまだ線香花火なのかい!?」みたいな展開、どうですか! こんな経験を私はしていないけれど、夏の醍醐味だなと思っています。

――それは、ドラマやアニメ・映画などで疑似体験した「夏の思い出」かもしれないですね。

 そうかもしれないです! さきほど私がお話した夏の醍醐味は、今回の曲の2番Aメロから表現していただいています。「空には 舞う花束」は花火のこと、「ふたりで描く平行線」は、ふたりの物理的な距離が近づいたり離れたりする様子を表しています。「少しずつ伸びる影が 重なり合って夢に溶ける」は、影は重なるけどもふたりの距離はまだちょっと離れているというもどかしい様子を詞にしていただきました。

――確かに、私も実際にやったことはありませんが、自転車の後ろに女の子を乗せて田んぼ道を2人乗りした夏の思い出があります。自転車の2人乗りは禁止されていましたし、そもそも私は自転車通学でもなかったですが。

 (笑)。でも、読者の方の中にも、経験したことない夏の思い出を持っている人がいると思うんです。それを形に、音楽にしたかったんです。今回の曲は青山吉能、そしてみなさんのα世界線の物語を曲にしたという感じですね!

2022年は今後を左右する一年に

――レコーディングはどうでしたか? 1stデジタルシングルではかなりこだわって、再レコーディングしたとお話されていましたが……。

 あっ、前回と全く一緒です。再レコーディングしました。

――えぇ!?

 前回のレコーディングを踏まえていますし、ライブも経験しましたし、自分のなかで思い描いた世界観もしっかりあったので、スムーズにレコーディングできると思っていました。ただ、実際にレコーディングしてみると自分の思い描く世界がありすぎて、少しでも理想と外れるとやり直したくなっちゃって。プロデューサーからOKが出ても納得できず、「あんまり良くなかったと思うので、もう一回いいですか」とお願いしていました。

――明確な理想があり過ぎたんですね。

 そうなんです。これまでの人生では、「誰かがいいと言ってくれるなら大丈夫」と思って物事を進めることが多かったんです。ただ、自分でやりたいと言い出した音楽活動において、妥協することが許せなくて。私はこんなもんじゃない、もっとこの曲を100%引き出せる青山吉能がいるはずだと自分を信じて、何度も歌い直しました。

 結局は再レコーディングの日を設けることになるなど、スタッフさんには、ほんっとに迷惑をかけてしまいました。ただ、「いや、青山さんもう無理だよ」って言う人が一人もいなかったんです。みなさんの信頼に応えなければという気持ちがさらなる力となり、結果的に再レコーディングで100%以上を出すことができました。スケジュールはギリギリでしたが、妥協したと思う箇所がないと胸を張って言えます。

――本曲はMVも収録したとお聞きしました。こちらはどのような仕上がりですか?

 MVは私の「こうしたい」よりも、撮影監督の思うままに作っていただきました。楽曲に寄り添ったMVに仕上がっています。田園風景を白いワンピースを着て歩いているα世界線の青山吉能も登場します。浴衣を着ながら手持ち花火をするなど、私が思い描いている夏を満喫できたので、ぜひみなさんにも見て欲しいです!

――いよいよ2ndデジタルシングルがリリースとなりますが、今後はどういう曲を歌いたいですか?

 ……実は、2ndデジタルシングルは「あやめ色の夏に」ではない曲でリリースすることが、9割がた決定していたんですよ。

――えぇ!?

 曲も9.9割完成していたのに、私が「あの……『あやめ色の夏に』どうすか、いいですよね!?」とわがままを言って、覆してしまいまして。なので、今は9.9割仕上がっているあの曲を一刻も早くみなさんに聞いてもらいたいという気持ちでいっぱいです。

――その曲を聞ける機会があることを期待していい?

 期待していて欲しいですね。すごくいい曲なので、早く聞いてもらいたいです!

――楽しみです。青山さんはことしの5月で26歳になりましたが、どんな一年にしたいですか?

 2022年は音楽活動がスタートしたことに加えて、声優としても大一番を控えているなど、私の今後を左右する一年になると感じています。今は順調に活動の幅が広がったり、自分のやりたいことが叶ったりしていますが、このまま軌道に乗れるほど甘い世界ではありません。先ほどストイックと言ってくださいましたが、恐らく、100%以上を出し切ることをやめたら、私は軌道に乗れないんです。モーターが壊れるくらい回し続けることに意味があると思っているので、多少の無理は承知で頑張りたいと思っています。

――限界を超えた先に成長や明るい未来が待っていると信じて進む。

 はい。こういうことを言うと、私を応援してくださっている方々は優しいので、「よぴちゃん、大丈夫だよ、頑張りすぎなくていいんだよ」と言ってくれます。ただ、ひとつだけ言わせていただくと、「それが楽しくてやっているから、大丈夫」。無理して頑張ったことがすべて報われる世界ではありませんが、私は頑張れるときに頑張りたいんです。楽しんでやっているので、心配しないでくださいね。

――その情熱を保ち続けられるのって、なかなかできないことだと思います。

 いや、たまにありますよ。このレースから棄権したいって気持ちになること。諦めることは簡単ですし、それが美しいという瞬間もあると思います。でも、続けていないと見えてこない世界もある。どちらにも良さがあると思います。私がこう思えるのは、Wake Up, Girls!解散という経験があるからかな。ああいうスパッと終わる綺麗さと儚さもあれば、一方でi☆Risちゃんのような10年以上も続けてレジェンドと言われるような活動の仕方もある。

――どちらにも良さがあると分かっているうえで、青山さんはいま頑張ることを続ける選択をした。

 はい。取材を受けている今日もあと数時間後に締切のものがありますが、それは私が「今回は厳しいです」と言えば、なしにできる案件なんです。ただ、ここでやめたら来週、来年、10年後の私が、「2022年7月に一回お休みしているんだよね」という緩んだ気持ちになっちゃうと思うんです。それなら、ずっと続けた方が自信につながると思っていて。それに私は、私を知っている人すべてが、私に関わることによって幸せになって欲しいんです。それが私の幸せでもあります。だから、例え辛いことがあっても、それがみなさんを幸せにつながるかもしれないと思うと、やり続けられるんです。

――素敵な考え方ですね。

 あっ、これマジでいいこと言った。自分でもビックリしたわ。『情熱大陸』で流したいくらいいいこと言ったな。うん。こんな青山吉能の今後の活躍にもご期待ください。よろしくお願いします!

取材・執筆/M.TOKU

プロフィール
青山吉能(あおやま・よしの) 5月15日生まれ。熊本県出身。81プロデュース所属。主な出演作は『ぼっち・ざ・ろっく!』後藤ひとり役、『プラオレ!~PRIDE OF ORANGE~』小野真美役、『ウマ娘 プリティーダービー』ツルマルツヨシ役ほか

青山吉能2ndデジタルシングル「あやめ色の夏に」
配信日:2022年7月27日(水)
※文化放送「CultureZ」7 月度エンディングテーマ

《M.TOKU》
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