エンターテインメントのデジタル事業開発を行う株式会社10ANTZと、ゲームのイラスト・動画制作を行う株式会社キュービストは、漫画やアニメーションなどの「線画」に色を施す「着彩」への人工知能(AI)活用で業務提携することを発表した。
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10ANTZ社は「ひらめきとモノづくりで、世界中に新たな感動を」をVISIONに、「ファンとアーティストの“ありがとう”をつなぐ」をMISSIONに掲げ、2016年に国民的アイドルグループ 乃木坂46を起用した公式アプリゲーム「乃木恋」を開始し、950万ダウンロード突破。2018年には香港、台湾、マカオの3カ国で繁体字版の「乃木恋」を提供など、世界を市場に様々なアーティストゲームアプリを生み出してきた。
また、2021年には新型コロナウイルス感染拡大の影響でアーティストの対面式イベントに制限がかかる中、アーティストと1対1で会話ができるオンライントークアプリ「SHAKE」を開発・提供するなど、“エンタメDX(エンターテインメント×デジタルトランスフォーメーション)”推進企業でもある。エンタメDX推進の取り組みのひとつとして、顔認識、物体認識、写真のイラスト化などのAIモデルのエンタメコンテンツへの活用研究を進めている。
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一歩のキュービスト(QBIST)社は、東証1部上場のポールトゥウィン・ピットクルーホールディングス株式会社の全額出資子会社で、社名の由来は立体主義者を意味するCUBISTの造語「ひとつの事象を多方面から見ていく人でありたい」という意味がある。また、QBISTの「Q」はQuality(品質)とQuick(早い)という基本方針示し、これまで数多くのイラスト制作を手掛けてきた。
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この度の業務提携は、線画の着彩へのAI活用について10ANTZが確立している、影指定・色指定を行ったうえでの自動着彩や、パーツ・影要素ごとに分けた書き出しなどの主要技術と、キュービストが主要事業を通じて独自に蓄積・保有している線画・イラストのビックデータを掛け合わせていくことで高精度な着彩技術を実現するべく、合意に至ったもの。
AIによる着彩については韓国発のウェブトゥーンが一歩先を進んでいる市況のなか、10ANTZとキュービストは高品質の着彩を低コストで提供することにより、日本のデジタル漫画市場の底上げに寄与していくだけでなく、AI活用によって日本の漫画、アニメーション、ゲーム業界の担い手不足解消にも力を注ぐという。
漫画やアニメの着彩について、日本では職人芸となっているケースが多く、AI活用は極めて少ない事例にとどまる。AIを活用した高品質化、効率化には課題が残されており、10ANTZとキュービストは法人向け商品制作への実用に耐えるレベルのクオリティーを低価格で実現するべく、本取組を推進していく予定だ。二社はカラー化が進む漫画業界や、ゲームなどのコンテンツ制作における大幅なコストカットによって、日本のアニメ産業をさらに活性化したいと考えているという。
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