「大事にしたいものが集まった1枚になりました」駒形友梨がフルアルバム『stella』へ寄せる想い【インタビュー】 | 超!アニメディア

「大事にしたいものが集まった1枚になりました」駒形友梨がフルアルバム『stella』へ寄せる想い【インタビュー】

フルアルバム『stella』をリリースする駒形友梨にインタビュー。

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 アニメやゲームの主題歌、テーマソングなどを歌うアーティストに楽曲について語ってもらう雑誌「メガミマガジン」のインタビュー企画「Megami’sVoice」。2022年2月号には、フルアルバム『stella』をリリースする駒形友梨が登場。本稿では、本誌で紹介できなかった部分も含めたロングインタビューをお届けする。

――アーティストデビュー3年目で初めてのフルアルバムになりますね。
 
これまでリリースしてきたミニアルバムは6曲収録で、今回のアルバムの新曲も6曲だったので、レコーディングの量はあまり変わらなかったんです。でも、これまでに発表した曲と新曲を同じ1枚に入れるにあたり、並び順を考える必要があって、改めてこれまでの曲を聞き直しているうちに、3年間活動してきたからこそ作れるアルバムなんだと実感できて。がんばってきてよかったなという気持ちになりました。

――アルバムのテーマは、どんなふうに決めましたか?
 私は今年(2021年)で30歳になり、声優としてデビューしてもうすぐ10年になるということで、いままでの私とこれからの私の両方を表現したいなと思ったんです。そこで制作チームの皆さんとも話し合って、まず「過去と未来」というテーマを決めました。そのあとで、アルバムのイメージが浮かぶようなコンセプトがあると、まとまりがよくなるよというお話があり、「宇宙」もテーマに加えました。曲を星に見立てて、その1曲1曲を渡りながら旅をしてきた、というようなイメージです。

――アルバムタイトルの『stella』には「恒星」という意味がありますね。
「恒星」は自ら光を発する星のことなんです。光を発するような存在になって、聞いてくれる方に何かを届けたいという私の気持ちにピッタリだなと思い、私からこのワードを提案して採用してもらいました。

――収録曲については、どのように決めましたか?
 ミニアルバムのリード曲とシングルの表題曲「トマレのススメ」を入れることは決まっていました。既存曲は6曲入れることになったので、あと1曲を何にしようかとなったときに、シングルのカップリング曲である「はじめからきっと」がいいんじゃないかとスタッフの方から提案があったんです。ミニアルバムには収録されていない曲で見落とされがちなのですが、個人的にもお気に入りの曲なんですよ。もっと多くの方に聞いてもらえる機会ができるならうれしいなと思って、今回収録することになりました。

――新しく作る6曲については、どんな曲を入れたいと思いましたか?
 新曲は、まずライブで歌うことに重きを置きました。あとは、基本的に作家の方にお任せして、ロックやバラード、ポップスとさまざまなジャンルの曲が入ることになりました。私からは、アコースティックな曲を入れたいとお願いしたくらいですね。ちょっとだけギターが弾けるので、いつか自分でギターを演奏しながら歌えたらいいなという思いがあったんです。実際にできあがってみると、自分が作詞で3曲参加したこともあり、将来こんなふうにライブで歌いたいというような、未来を見据えた曲が多くなった印象です。

――新曲について、さらに詳しく教えてください。まずは、「キミと恋の予感」。
 
この曲は、私の大好きなバンド・Shiggy Jr.でギター&ボーカルを担当していた原田茂幸さんに曲をお願いしました。内容については全部お任せでしたが、ポップで明るく、とにかく楽しい曲になりました。Dメロでちょっとトリッキーな展開もしますし、私としてはあまり歌ったことがないタイプの曲だったのですが、すごく自分になじんで、レコーディングでも自由に歌えました。

――続いては、アルバムのリード曲である「コンパス」。この曲は、駒形さん自身が作詞を担当していますね。
 これまで作詞をしてきた曲が隠れた名曲みたいになることが多かったので、今回は等身大の自分の気持ちを盛り込みつつ、パワーのあるワードや英語も入れ込むという挑戦をしました。提出したときにスタッフの方に「いつになく勇ましいですね」と言ってもらえたのがすごく印象に残っています。いままで好きな気持ちだけでやってきたけれど、これからもその気持ちを持って歩んでいくんだという決意を歌った曲です。

――続いては、「happy weekend」。これは、ちょっとかわいい恋の歌という感じです。
 私の好きなイラストレーターの方が、アパートの一室のカップルをテーマにしたイラストをよく描いていて、そんな日常の何気ない空気感を描きたくて作詞をしていきました。この曲は「創だらけの詩」と同じくらいのタイミングで作詞をしていたんですね。「傷だらけの詩」で共作した熊谷和海さんから「普段は聞かないような言葉をサビに入れるといいよ」とアドバイスをしてもらい、「あっぷっぷ」や「じゃんけんぽん」などのワードをサビに入れ込みました。ただ、メロディが多くて書いても書いても言葉が足りなくて、ものすごく時間がかかった曲でもあります。作曲の高木誠司さんから、「本当にご本人が書かれたんですか? すごくいいですね」と言ってもらえて、がんばった甲斐がありました。

――続いては、「孤悲【こい】」。一転して重いバラードです。
 ずっとお世話になっている矢野達也さんの曲で、一度聞かせてもらって、絶対アルバムに入れたいとお願いしたんですが、とにかくレコーディングに時間がかかりました。ハモリやコーラスなど、録る量がとても多かったんですね。でも、そのぶん満足感が感じられる1曲になっていると思います。ほかの曲が明るいぶん、重く引っ張ってくれるような曲になりました。

――そして「創だらけの詩」。共作での作詞はどうでしたか?
 
この曲は、まず私が通しで書いて、それを熊谷さんが添削するような感じで制作が進んだんです。熊谷さんは、私の書いたものを残したり、ガラッと変えたりといろいろなパターンを提案してくださって、すごく勉強になりました。作詞のテーマは「作詞がしんどい」です(笑)。ゼロから何かを生み出すことの大変さを嘆きつつ、最終的にはあなたに歌って伝えたいんだという思いを歌った曲になりました。かなり私の心情を赤裸々に歌っていますが、きっと皆さんも何かを作りたくないとか資料ができないとか経験があると思うので、そんな気持ちに照らしながら聞いてもらえたらとも思います。
 この曲は、わりと切羽詰まった感じの歌なので、レコーディングで「楽しそうに聞こえるのでもう少し落としてください」などの指示がありました。そのなかでも「ロックは口を縦に開けて歌うんです」と言われたのが衝撃的で。口の開き方を変えると、歌声も大きく変わるんですね。それを知れたことで、新たな私に出会えた気がしました。

――そして、ラストを飾るのが「I wish」。
 発売が12月なので、クリスマスっぽい雰囲気の曲がほしかったんです。「〔core〕」というミニアルバムのなかにもクリスマスソングがあるんですが、それがすごくかわいくて明るい曲だったので、しっとりとした子守歌にもなるような曲がほしいなと思って。かわいさもあたたかさもある、ラストにふさわしい1曲になったと思います。

――新曲のなかで、一番制作が大変だったのは?
 レコーディングで時間がかかったのは「孤悲」ですが、「創だらけの詩」は、キーの高さで苦戦しました。もともとキーが高めの曲が多いんですが、そのなかでも1、2を争う高さだったんです。「創だらけの詩」に関しては、熊谷和海さんと共作での作詞ということもあって、いままで歌詞を書く際に使ったことがなかったワードを選んでみたという点でも、チャレンジ多めの曲になりました。

――ジャケット写真については、どんなこだわりがありますか?
 テーマが「宇宙」ということで、メイクにラメを使ってもらって、キラキラとした感じを出しました。緑のライトを当てたりもして、ちょっと宇宙っぽさが感じられるものになったかなと思っています。ジャケットについては、ピンクが私的には珍しい色だったんです。普段からピンクに触れることがあまりないので、ここまでピンク推しのジャケットはすごく新鮮でした。

――店舗限定盤には、それぞれ異なるボーカルオンリーバージョンも収録されますね。
 
最初の頃は恥ずかしかったんですが、もはや何も感じなくなってきました(笑)。ボーカルオンリーバージョンというのは、ほかではなかなかないこともあって、皆さんすごく喜んでくれるんです。間奏部分が無音になるのはいつもシュールだなと思いますが、細かいブレスなども気づいてもらえると思うので、ぜひ手に取ってもらいたいです。

――3月には、セカンドライブも決まりましたね。
 新型コロナウイルスの影響などもあって延期になっていたので、3年越しでライブができるということでいまからワクワクしています。ファーストのときは、緊張してしまってあんまり記憶がないんです。でも、ファーストからセカンドまでの間に、私もいろいろな機会でステージに立たせてもらい、ライブはその場で皆さんと楽しむものだと感じられるようにもなりました。自由に歌ったり動いたりしていいということもわかってきたので、皆さんと一緒に楽しめたらと思っています。

――このアルバムは、駒形さんにとってどんな1枚になりましたか?
 
これからまた先に進んでいくためのエネルギーや、大事にしたいものが集まった1枚になりました。とにかくパワフルな曲が詰まっているので、ぜひ皆さんにもそれを感じていただきたいです。私のことをご存じの方はもちろん、タイアップ曲以外をあまり聞いたことがない方にも手に取っていただきたい。タイアップ曲とはまた違った、新しい私の表現を感じていただけたらうれしいです。

取材・文/野下奈生(アイプランニング)

Profile
駒形友梨【こまがた・ゆり】8月25日生まれ。東京都出身。Apollo Bay所属。2018年にシングル「トマレのススメ」でアーティストデビュー。これまでにシングル1枚、ミニアルバム4枚をリリース。声優としての主な出演作は、『アイドルマスター ミリオンライブ!』シリーズ 高山紗代子役など。

Information
2022年3月19日(土)に東京・大手町三井ホールにて「Komagata Yuri 2nd Live(仮)」の開催が決定。14時半開演、19時開演の2回公演。チケットの詳細は、公式webサイトをチェック。

『stella』リリース情報
2018年にアーティストデビューをした駒形友梨のファーストアルバム。シングル「トマレのススメ」とカップリング曲「はじめからきっと」のほか、これまでにリリースしてきたミニアルバムのリード曲に加え、新曲を6曲収録。アニメイト、ゲーマーズ、とらのあなでは、新曲のインスト6曲と、各盤で異なる1曲のボーカルオンリーバージョンを収録した特典CD付きの限定盤を発売(限定盤は各4,730円)。

発売日:発売中
レーベル:ロッカンミュージック
価格:3,850円(税込)

《M.TOKU》
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