『ららマジ』ノベライズ版サントラ新曲群をいとうけいすけ氏が解説―フロウライン編の楽曲は如何にして作られたか【インタビュー】 3ページ目 | 超!アニメディア

『ららマジ』ノベライズ版サントラ新曲群をいとうけいすけ氏が解説―フロウライン編の楽曲は如何にして作られたか【インタビュー】

『ららマジ』小説版サントラに収録された新曲群を【ネタバレあり】で語っていただきました。小説未読の方はご注意を。

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『ららマジ』ノベライズ版サントラ新曲群をいとうけいすけ氏が解説―フロウライン編の楽曲は如何にして作られたか【インタビュー】
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◆イベント楽曲とアレンジ楽曲について


――それでは、イベントモチーフの新曲についても伺えればと思います。「春を告げる音」「浅野葉月の願いごと」「Christmas Carol」「ホニャららDREAM」「また明日」の5曲ですね。

いとうクラファン企画の初期の方に、原稿ではなく全体のプロットを頂いていました。その中に、「春を告げる音」などのイベントにも少し触れるかもしれないと書いてありまして。イメージ曲を付けるなら、という考え方で作られた曲ですね。私からアイディアをお出ししたシリーズですね。

――では、イベントの選定もいとうさんが?

いとうそうですね。私が衝撃を受けたイベントたちです。わかりますよね?

――わかります、わかります!

いとう『ららマジ』ではイベント用の曲を作るということはなかったので、もしそれをするならと考えながら作ってみました。

「春を告げる音」は、遠くから聞こえてくる優しげな音楽をイメージしているのですが、せっかくなら器楽部三年生の編成で作ってみようと考えてみたり。実際にやってみたのですが、サックスが入った瞬間にアダルトな感じが出てきて(笑)。ちょっとそれはやめて、ハープとグロッケンシュピール、さくらと結菜の組み合わせで静かめな曲を作ってみました。


――ちょうどそのふたりが中心になっているイベントでしたよね!「春を告げる音」は自分が一番好きなイベントだったので、入っていて嬉しかったです。しかも、さくら先輩と結菜先輩の組み合わせとは。ヤバいです!

いとうサックスは入れなくて正解だったかもしれませんね(笑)。次の「浅野葉月の願いごと」に関しては結構ストレートに作っています。ツンデレという言葉で説明できない、浅野葉月の壁の高さ。そして調律欲を煽るこのイベントには衝撃を受けたので。トランペットメインですが、ほとんど「浅野 葉月のテーマ」というイメージで作っています。これも気に入っていますね。

「Christmas Carol」も衝撃を受けましたよね?

――そうですね。クリスマスイベントでバッドエンドを突きつけてくるとは。

いとうスマホゲームの季節イベント、しかもクリスマスといえば女の子がサンタ服で、みんながハッピーになるような、普通はそういうイベントですよね。

ところが「Christmas Carol」では、久々に翼がメインになったと思ったら、まさかのバッドエンドという。ものすごく記憶に残るイベントでしたね。クリスマスをテーマに曲を作るときは、必ず幸せな曲を作ってきたのですが、今回はクリスマスのイメージで悲しい曲を作ってみました。切ないですね。

そして「ホニャららDREAM」。このイベントが実装された時、正直全然意味がわからなかったんですよ。突然主人公(チューナー)がいなくなって、別の主人公みたいなのが出てきて……。過去の話なのか、未来のことなのか、平行世界のことなのか、全くわからなくて。空にヒビが入るまで、ずっと白昼夢にいるような感覚だったんです。それがとても印象に残っていたので、夢の中にいるようなイメージで作っています。

――確かにわからないことだらけでしたよね。

いとう不思議な話でした。終わってみれば「なるほど」という感じだったのですが。

そして、「また明日」。これは話すのもつらいですね。このイベントが実装される前に、サービス終了のお話自体は聞いていたので、ついにこの日が来たかと。最後に「また明日」っていうのがまた切ないですよね。1日が終わるけれど、また明日がある。そういうイメージで作っています。自分を慰めるために。

まだまだ本当は印象に残っているイベントがあるので、またこういう機会があればいいなと思っています。


――蟹江さんとしては、いかがですか?イベントの楽曲まわりを聴いてみて。

蟹江単純に、イベントに専用曲を作っていただけたことが嬉しいです。イベントシナリオを小説にどう挿れていくかという話は最初からあって。でも、実際に執筆を始めていただいたら、メインシナリオだけで想定より更に文字数がとんでもないことになってしまいまして(笑)。なので、イベントシナリオをそのまま挿れるということは難しかったのですが、そのエッセンスというか、大事な部分が取り出されて小説に反映されています。いとうさんに選んでいただいたものもそういったイベント達です。それで、電子書籍版にもこれらの曲は収録させていただきました。

例えば「春を告げる音」であれば、Act.1の最後で流れていたり、「Christmas Carol」のきれいだけれど切ない音楽は、ひかり編の途中と雪菜編の最後で流れていますね。「また明日」が流れる場所は個人的にも気に入っていたりします。

もし、電子書籍版を読み返すことがあれば、これらのイベント専用曲がどこで使われていたのか探して見ていただくのも楽しいかもしれません。

いとうこの解説を読んだあとに「音楽付きで」小説を読み返してみると、おもしろい発見があるんじゃないかなと思います。

――私もそうですが、ネタバレ回避で読むまでDisc3の曲名を見ない、曲を聴かないという方もいるかも知れませんしね。

いとう曲名を付けるときに、弊社内でもネタバレにならないようにしようというのは話してましたね。

――では最後に、アレンジ曲について。「東奏の街(Piano ver.)」は小説の冒頭に一番最初の部分で流れていましたね。

いとう「東奏の街(Piano ver.)」に関しては、小説の導入部分が先行で公開された時に、それを読んだイメージで作った導入の曲ですね。実は「東奏の街・夕方」のフレーズも入っています。

――「寂しい解決(Strings ver.)」「綾瀬 凜のテーマ(Piano ver.)」についても伺えればと思います。

いとうこの2つは、私が『ららマジ』の曲を作るのに飢えていたころ、『ららマジ』の3周年のときですね。その時に記念で作った曲です。

これも本当はダメなことなんですけど「演奏しましょう、一緒に。」と同じくTwitterにあげていたものですが、せっかくなのでこちらも収録しましょうとご了承をいただきまして。Twitterのものは音質が落ちているので、CDに収録するにあたり、高音質なものにしています。

――ありがとうございます。これでDisc3収録楽曲ほぼ全てについて触れられたかと思います。

いとうひとつ心残りがあるとすれば「ノベライズプロジェクト達成記念イベント」に行けなかったことくらいですが、とにかく『ららマジ』の楽曲作りはひたすらに楽しかったです。続きもまたあると、信じています。

――ぜひ、次回もいとうさんに作っていただきたいです!

いとうでもちょっと怖いですよね(笑)。全員のテーマ曲を書いてみたい気持ちはありますが、もしこの『ららマジ』の物語が結末を迎えた時に、私は「魔法の音楽」というものを作らないといけないんですよね。

蟹江そうですね。すごく楽しみにしています(笑)。

いとう果たしてそれを作れるかどうか……。怖いですけど、『ららマジ』が続くことを祈っています!またこういう機会があるかもしれませんので、その時は全国のチューナーさんのお力添えをお願いいたします!私も微力ながら協力できればと思っていますので。

――ありがとうございました!

いとうさんも話していましたが、このインタビューを読んだ上で楽曲を聴いてみると、おもしろい発見があるかと思います。サントラを聴き返すのはもちろん、電子書籍版を持っている方は、ぜひ小説を読みながら楽曲を楽しんでみてください!

では最後に、今回の楽曲について、『ららマジ』のメインシナリオを担当する西村悠氏からもコメントを頂いてきましたので、ここに掲載いたします。

    『ららマジ』メインシナリオライター・西村悠氏

    『音楽』が中核にあるこの作品の、その本質を取り出したような曲の数々に、終始鳥肌が止まりませんでした。特にフロウラインメンバーのそれぞれのテーマは、聴いているうちに『これが、彼女たちの心に流れる「音楽」なのではないか、この音楽を取り戻すために、チューナーは頑張っていたんじゃないか』と思えるくらいに心が震えます。聴いているだけで少女達とその物語、そして私の場合は、それを必死で表そうとしていた執筆時の思い出まで蘇る、素敵な曲の数々を本当にありがとうございました!
《すえなが》
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