■仲間とは、本能的に自然に一緒にいると思える人

――ワニをはじめとする仲間たちは、すごく自然体ですよね。いたいときに一緒にいて、適度な距離感もある関係が素敵だなと感じました。皆さんは、作品を通して仲間というものはどんな存在だと考えましたか?
神木 同じ目的を持った人たち……というわけでもないよね。
木村 そうだね。一緒にいるから友達っていうのも違うもんね。
神木 うん。でも連絡をまったく取っていなくて、久しぶりに会ったのに変わらない人っているよね。
木村 いるいる。半年に一度くらいしか会わなくても、すぐざっくばらんとした雰囲気になる。
神木 ワニたちの関係性から見ると、この人たちとずっと一緒にいるんだろうなって、自然と本能的に思える人たちが仲間なのかな。何か定義を考えようとすると、違う気がするんですよ。だから、定義しなくていい、本能で一緒にいることが想像できる人が仲間って言えるのかも。
木村 神木くんはいるの? そういう人。
神木 いる。
中村 俺、いないなぁ。
神木 ……3人でお笑いでも組む?
中村 最初にあった間は、「……」とぜひ書いておいてください。
神木 (笑)。ワニを演じていても、本能で一緒にいる人が仲間だなって思ったんですよ。だってワニたちって何もないじゃないですか。楽しもうと思って集まったりすることもあるけど、毎回目的があるわけではない。意識せずとも一緒にいちゃうのが仲間なんだろうなぁ。

中村 僕は、自分が仲間内だったら確実にネズミポジションなんですよ。最初に台本を読んだときからそう思っていて、だから芝居でも何もしなかった。
神木 「あ、ネズミって自分じゃん」って?
中村 そうそう。ワニみたいに、中心でわちゃわちゃするわけではなく、といってモグラみたいに面倒を見るタイプでもない。何を考えているかわからないけど、乗るときは乗って、引くときは引くし、気遣ったり気遣わなかったりもする。まさに僕はネズミ。これからはぜひ、ネズミ先輩って呼んでください。
木村 僕は、彼らの関係がうらやましかったです。こういう関係の仲間って僕にはいないんですよ。

中村 この3人で一番仲間が多そうなのに?
木村 見掛け倒しです(笑)。面識がある人、知人、気さくに話せる人は大勢います。でも、何もないけど親友って言える人がいなくて。ワニたちって、住んでる家も近いじゃないですか。
中村 そうだね、小学校から一緒の設定だもんね。
木村 そうそう。日が暮れたら、あの公園に行けばみんないるかなって思えるような関係だと思うんですよ。でも僕は、学生時代の親友たちは住んでいるところもバラバラだし、かといって集まるところもないなと。
高校時代の仲間たちと劇団を作って今でも活動をしているけれど、彼らは仲間というよりは家族に近いんですよね。だから、本当に何もなくていい仲間がうらやましい。これから、そういう仲間を作っていきたいですね。
■日常の小さな幸せはたくさんある?

――本作は、日常のなかに、小さいけれど幸せがたくさんあるということも感じさせてくれる物語でもありました。皆さんが日常で感じる小さな幸せは?
神木 ゲームです。YouTuberの方が開いた大会で、生配信の画面に僕のアカウントが写って、上位を取れて名前を呼ばれたとき。「今呼ばれたぞ!」って。
中村 その大会は、誰でも参加できるの?
神木 参加できるけど、ある程度努力した人じゃないと勝てないかな。大会の様子をスマートフォンで流しながら「写ってる!」って思うのが楽しいんですよ。ランキングに乗ると順位と名前を呼んでもらえるので、それを仲間に教えて幸せを感じています。
木村 それは結構な幸せだよね。
中村 なんのゲーム?
神木 『マリオカート』。
中村 僕もゲームするけど、隆みたいなことはやったことないな……。僕の小さな幸せは21時に仕事が終わることです。早く終わったなって感じるんですよね。なので……。
木村 今日も!?(笑)。
神木 「携帯で時間を見る」って書いておいてください(笑)。
――ちなみに、21時に仕事が終わったあとのゴールデンスケジュールは?
中村 ゆっくり風呂に入るのが好きなので、21時終わりくらいにそう思えるのがゴールデンスケジュールの始まりかなぁ。夜遅くて次の日も早かったら、睡眠を優先しちゃうのでそれができないんですよね。
神木 「チラチラ携帯を見る」って書いておいてください(笑)。
中村 一同爆笑、拍手喝采、胴上げが始まる。
神木 始まらないから(笑)。
中村 お風呂ではマンガや台本読んだり、音楽やラジオをかけたりしながらぶくぶくしていますね。
神木 いいじゃないですか。
木村 僕の小さな幸せは、たくさんありますよ。エレベーターのボタンを押したらすぐにドアが開いたとき。おきれいな方にインスタグラムで「いいね」をもらったとき。乗り込んだ電車で隣におきれいな方がいらっしゃったとき。
神木 3分の2がおきれいな方関連だね。

木村 あと、手を汚さずにケバブが食べ終われたとき。
中村 ハンバーガーの一口目で、レタスがずるんって出なかったら幸せじゃない?
木村 幸せだね! でもこういう幸せって、自覚せずに過ぎてしまうことが多いので、“ラッキー”ってちゃんと思うようにしていますね。最近ならアルコールを手に吹き付けるマシンで、手をかざした瞬間にアルコールが出たときとか。
中村 いっぱいあるね!
木村 あるよ! あと、住んでいるマンションで、鍵をかざす前に人が来てドアが開いたときとか。
神木 人感知センサーで反応がなかったときは、自分が人間じゃないのかと思っちゃうけどね。
木村 それから、トイレットペーパー1回できれいにおしりを拭き終えたときは最高ですね!
中村 昴くんの幸せなときは、トイレットペーパーの話題を使ってください(笑)。

『100日間生きたワニ』
2021年7月9日全国公開
監督・脚本:上田慎一郎、ふくだみゆき
原作:きくちゆうき「100日後に死ぬワニ」
コンテ・アニメーションディレクト:湖川友謙
音楽:亀田誠治
主題歌:いきものがかり
アニメーション制作:TIA
声の出演:神木隆之介、中村倫也、木村昴
新木優子、ファーストサマーウイカ、清水くるみ、Kaito 、池谷のぶえ、杉田智和、梶裕貴
配給:東宝
2021年7月9日全国公開
監督・脚本:上田慎一郎、ふくだみゆき
原作:きくちゆうき「100日後に死ぬワニ」
コンテ・アニメーションディレクト:湖川友謙
音楽:亀田誠治
主題歌:いきものがかり
アニメーション制作:TIA
声の出演:神木隆之介、中村倫也、木村昴
新木優子、ファーストサマーウイカ、清水くるみ、Kaito 、池谷のぶえ、杉田智和、梶裕貴
配給:東宝
(C)2021「100日間生きたワニ」製作委員会