そんな『モンスト』アニメの映画『モンスターストライク THE MOVIE ルシファー 絶望の夜明け』が、2020年11月より全国で公開中。YouTubeにて配信されている映画予告動画のコメント欄、SNSなどの感想を見てみると、「ソシャゲの映画と思ってる人ほど見て欲しい」「映像のクオリティが高い」「英雄の歌最高」「ベルゼブブ様がかっこよ過ぎ」「カエサル大好きになった」など、好意的な反応が多数見受けられる。
見た人たちから、これほど評価をされる理由はどこにあるのだろうか。超!アニメディア編集部員が実際に劇場へ足を運び、その目で確かめてみた。
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そもそも『モンスト』アニメって?
『モンスト』アニメは前述の通り、YouTubeにて公開されているほか、これまで2つの映画も展開している作品。今回の映画に繋がるシリーズは、2018年6月に第0話が配信されている。物語は、地球の何処かで日々『モンスト』を楽しみ平凡な日常を送るオラゴンが、ある日、不思議な空間へ引き込まれてしまうところからスタート。その空間でオラゴンは、謎の怪人から『モンスト』の世界「ストライク・ワールド」が強大な敵によって半年後に滅ぼされる、と告げられる。
彼は「ストライク・ワールド」を救うため、共に戦う仲間=友達を集めることに。そうして出会ったのが、ルシファー、ノア、アーサー、ソロモン、パンドラをはじめとするヒーローたち。彼らの活躍と協力によって、「ストライク・ワールド」に一度は平和が訪れた。
しかし、その仲間のひとりであるルシファーが「ストライク・ワールド」の滅亡を願い、ソロモンやアーサーの国を襲撃。その行動に仲間たちは、絶望する。……あるひとりの存在を除いて。
世界が滅ぶ未来は変えられないのか。ルシファーはなぜ一度は心を許し合った仲間たちと相反することになったのか。本作では「ストライク・ワールド」の行く末とルシファーの真意が描かれる。
映画のストーリーは分かりやすく、スッと頭に入ってきたが、クライマックスに連れて明らかになる真実と、どんでん返しの展開には驚かされた。また、「仲間=友達」への想いが溢れるシーンには、何度も何度も胸が熱くなった。ゲームが元になっているアニメではあるが、原作を知らなくても純粋に楽しめると言って過言ではない物語になっている。
また、これまでシリーズを見たことがない人でも十分に楽しめる作品だが、筆者は映画を見る前、もしくは見た後にYouTubeにアップされているアニメ『モンスト』を見ることもオススメしたい。そうすれば、各キャラクターの成長や考え方の変化を感じられ、より物語に没入できるだろう。「ソシャゲの映画と思ってる人ほど見て欲しい」。まさに、SNSなどのコメント通りの内容であった。
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かつての仲間と対峙するルシファーの真意は……【画像クリックでフォトギャラリーへ】
キャラクターたちの魅力と芝居のチカラ
胸熱のストーリーをさらに昇華させているのが、キャラクターたちの個性と、各声優陣の芝居。民や仲間を守るためなら、どんな困難にも立ち向かうアーサーは、本作でもその真っ直ぐな性格を貫き通す。その性格故に、共に戦ったルシファーの裏切りがなお許せない彼女の悲しみと怒りの叫びは、心に響くものがあった。演じるのは水樹奈々。魂が揺さぶられる叫び声には、鳥肌が立った。
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不屈の心をもつ騎士王・アーサー
「ストライク・ワールド」を移動する手段として用いられる「方舟」を操るノアは、困った人を見過ごせない“いい奴”。窮地に陥っても焦らない、諦めない姿は、純粋にカッコいい。また、長年にわたりノアと行動を共にしているバーチャルAI・オペコ(CV=田所あずさ)とのやり取りと信頼関係には、思わずほっこりしてしまう。演じているのは、斉藤壮馬。機械の体になって80年経っているというキャラクター故の達観している部分、一方で仲間を助けるために熱くなる部分を芝居で見事に演じていた。
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方舟の救世主・ノア
好奇心旺盛で失敗も多いが、何事も持ち前の超ポジティブ思考で解決していくパンドラ。ルシファーをかばう発言をし、味方と意見が対立するオラゴンに、何だかんだ構ってあげているのが彼女。そのまっすぐな優しさは、対峙する相手にも伝わることになる。そんなパンドラの無邪気さは、演じる小倉唯の声によって十二分に視聴者へ伝わるものへと昇華されていた。
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希望の少女・パンドラ
王女でありながら気さくな性格で国民に愛されているソロモン。本作では、彼女の国が最初にルシファーの襲撃に遭ってしまう。国を守るため、救うため、授かった叡智と培った力で、強大な力を持つかつての仲間・ルシファーに立ち向かう姿は、王女として“立派”の一言。シリーズのなかで最も成長したといっても過言ではない振る舞いを随所で見せる。演じる内田真礼の芝居からは、「国を守る」という気丈さと、「ルシファーとの戦いを止めたい」という優しくも強いソロモンの想いが存分に伝わってきた。
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叡智の魔術王・ソロモン
本作の中心人物となるルシファーは、神をも凌ぐ存在と言われる程の高い戦闘能力を誇る大天使長。協調性に欠けると言われる彼女だが、実はかなりの仲間思い。その考えが故の行動と信じる想いの強さに、思わず目頭が熱くなった。演じるのは日笠陽子。“その芝居を見るだけでこの映画を見る価値があった”と思えるほどに、彼女の演技に引き込まれた。
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5つの力を極めた至高の天使・ルシファー
そんなルシファーを最初から最後まで「仲間」と信じ続けたのはオラゴン。オラゴンは元々世界を救うために仲間集めをしていた。もちろん、本作においても世界を救おうという考えは持っていただろう。にも関わらず、世界を滅ぼそうとするルシファーを最後まで「信じる」ことを止めなかったのは、ルシファーが「友達だから」。その行動と想いは、主題歌「英雄の歌」とも大いにリンクし、本作で伝えたいメッセージでもあると感じた。演じるのは福島潤。オラゴンの忙しない感情と、揺るがない信念のどちらも巧みに表現していた。
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最後まで仲間を信じるオラゴン
様々な登場人物の中でも、本作でアクセントとなっていたのは、ルシファーと行動を共にする面々。平川大輔が演じるベルゼブブ、藤原夏海が演じるスルガト、石川由依が演じるゼフォンらの活躍といちいちカッコいいセリフには胸が躍り、劇場でも思わず前のめりになってしまいそうだった。中でも個人的に最も推したいのが、高山みなみ演じるカエサル。もう、シンプルにカッコいい。ダークヒーローや、実はちょっといい奴が好きな筆者にとって、語彙力がなくなるほど、彼の存在と、終盤の言動には痺れた。
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傍若無人な少年・カエサル
芝居がアニメの面白さを昇華させる。本作を通じて、アニメの醍醐味ともいえるエッセンスを、改めて感じることができた。
鬱屈とした日々を吹き飛ばす爽快感
その他、バトルシーンの映像美、作品に寄り添ったオーイシマサヨシの主題歌が作中で流れるタイミングなど、注目ポイントが多数ある本作。「誰かにとっての友達ごっこが、時には世界を救うことだってある」「信念を貫くことで結果が訪れる」「誰だって英雄になれる」。奇をてらうではなく、真っ直ぐにメッセージを伝えてくれる作品故に、見終わった後には、爽快感を存分に味わえるだろう。
2020年は新型コロナウイルスの影響で、恐らく誰もが予想していなかった一年となった。まだまだ先が見えないなか、鬱屈としてしまう日もある。ひとつの映画やエンタメに触れたからと言って、すぐに何かが変わることはないだろう。それでも、少しは気持ちが晴れる、気持ちを切り替えるきっかけにはなる。それがエンタメのチカラだと、筆者は信じている。胸が熱くなり、爽快感を味わえる本作はきっと、誰かにとっての英雄や救いになり得る。その可能性を多いに秘めていると感じた。
『モンスターストライク THE MOVIE ルシファー 絶望の夜明け』作品概要
公開日:2020年11月6日(金)
監督:静野孔文
脚本:本田雅也
主題歌:オーイシマサヨシ『英雄の歌』
アニメーション制作:ANIMA Inc.、DYNAMO Pictures
配給:イオンエンターテイメント
協力:ローソンエンタテインメント
出演:日笠陽子、水樹奈々、内田真礼、小倉唯、斉藤壮馬、福島潤、峯田茉優、堀江由衣、高山みなみ
<あらすじ>
この悪夢に夜明けはあるのか。
オラゴンと5人のヒーローにより平和を取り戻した「ストライク・ワールド」。
しかし今、その世界は再び戦場と化していた。
駆けつけたオラゴンを襲ったのは...
ともに世界を救ったはずの仲間、ルシファーだった!
世界の滅亡をたくらむ彼女の行動に、世界は、仲間たちは、絶望することになる。
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