GRANRODEO、シングル「情熱は覚えている」と15周年トリビュートアルバム『RODEO FREAK』を語る。【インタビュー】 | 超!アニメディア

GRANRODEO、シングル「情熱は覚えている」と15周年トリビュートアルバム『RODEO FREAK』を語る。【インタビュー】

アニメ『バキ大擂台賽編』OPテーマ「情熱は覚えている」を担当するGRANRODEOのインタビューが、アニメディア8月号に掲載されている。超!アニメディアでは、本誌に掲載しきれなかったぶんを含めた特別版を公開。楽曲に込め …

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 アニメ『バキ大擂台賽編』OPテーマ「情熱は覚えている」を担当するGRANRODEOのインタビューが、アニメディア8月号に掲載されている。超!アニメディアでは、本誌に掲載しきれなかったぶんを含めた特別版を公開。楽曲に込められたギミックをe-ZUKAが解説してくれたほか、8月19日にCDリリースされる15周年トリビュートアルバム『RODEO FREAK』について、そして15周年を迎えた思いを聞いた。


 

サビで〈絶頂シャウト〉と歌っているのが肝

 ーー『バキ 大擂台賽編』のOPテーマ「情熱は覚えている」は、イントロやAメロに出てくるメロディはすごく耳に残ります。どういったイメージで制作しましたか?

e-ZUKA まず土着的なリズムを中心にして、そのうえでGRANRODEOっぽい良い意味でのバカバカしさ、つまり遊び心があったほうがいいんじゃないか、と。そんな風に考えて作っていく過程で、イントロのメロディが浮かびました。それをギターとユニゾンにしたら面白いんじゃないかと思って、Aメロをそういう風にして。

ーーエキゾチックと言うんでしょうか。

e-ZUKA エスニックと言うかね。物語の舞台が中国なので、その部分とも上手くマッチしたと思います。サビはすごく迷ったんですけど、結果的にシンプルなものになりました。

ーーKISHOWさんは、曲に関しての印象は?

KISHOW 前回の「BEASTFUL」に対する、カウンターみたいな感じかなって思います。シリアスでヘヴィだった「BEASTFUL」に対して今回は明るい方向で、「BEASTFUL」を経たからこその肩の力が抜けた感じがあって。

ーーパーカッションがいっぱい入っているのもポイントですね。

e-ZUKA 最近はソフト音源も進化していて、今回はタブラとか何種類か入れました。ドラムパターン的に言うと、叩いてくれたSHiNくんが「エイトビートとかの普通のパターンが、一度も出てこない」と言っていました。

ーーそこに♪フッフーというコーラスが重なって、独特の雰囲気を醸し出しています。

e-ZUKA 元ネタを言ってしまうと、Pitbullの「Bad Man」です。エアロスミスのジョー・ペリーが参加した曲で、あれはラップとリズムがメインだけど、ああいったロックンロール的な雰囲気が良いなと思って。

ーーギターソロも格好いいです。

e-ZUKA マイケル・シェンカー・グループの2枚目のアルバム『MSG』の1曲目に「Are You Ready to Rock」という曲があって、そこに出てくるソロの構成と雰囲気が同じなんです。メタル好きの人には、ギリギリわかるかもしれないけど。あと2番のBメロのバックで鳴っているギターは、クイーンの「フラッシュのテーマ」のギターの音です。「AmpliTube」という、いろんなギタリストの音を再現できるソフトアンプギターシュミレーターがあって、ブライアン・メイのパッチを買ったばかりだったから、それが使いたくて無理矢理入れた感じもありますけど(笑)。他にも2番のAメロ部分だけ8弦ギターも使っていて。

ーーここは8弦だって聴いてわかりますか?

e-ZUKA ほとんどわからないと思いますよ(笑)。

ーー名ギタリストのオマージュや新しいものも取り入れたり、さまざまなアイデアが詰まっていますね。

e-ZUKA 新しい曲を作るときは、何か新しいことを入れたいじゃないですか。8弦ギターは6thアルバム『カルマとラビリンス』(2014)のころにESPのEⅡというシリーズの8弦をもらったんだけど、一度もレコーディングで使ったことがなくて。それで今回使ってみようと思って。

ーー歌詞は、バキが復活するシーンとも重なります。どんなイメージで書きましたか?

KISHOW 板垣先生の熱量がハンパなものじゃないから、原作コミックも心の準備をして読まないと、あのエネルギーにやられちゃいますよね。あれだけの熱量をよくこんな長期に渡って維持できるなって感服します。今回の『バキ』は前シリーズで一回へこまされて立ち直るところから始まるので、リターンマッチと言うか。どれだけへこまされても立ち上がって戦うというところを感じて書きました。だから「情熱を覚えている」というタイトルも、身体はへこまされても自分のなかでたぎったあのときの情熱はまだ覚えている、と。でもやっぱりサビが肝ですね。サビで〈絶頂シャウト〉と超絶わかりやすい言葉を入れている時点で、そういう曲だってわかってもらえるんじゃないかと思います。

ーー歌に関してはどうでした?

KISHOW 相変わらずキーが高いですけど、今はこれくらいがスタンダードで。サビは本来ならファルセットで出す音なんですけど、あえて地声でがなるように出していて、それによって『バキ』の持つ激しさが表現できたと思います。細かいところではトリッキーなことをたくさんやっていて、たとえばメロディの展開が1番と2番で違っていたりとか。e-ZUKAさんってベタなことが好きなわりに、トリッキーなこともするし、長年の相棒ながら客観的に見ると面白いクリエーターだなって思いますね。

ーー歌にこもっていますよね。バキの力強さとか勢いとか。

e-ZUKA 実はアニメ版を先に録って、フルサイズを改めて録ったんですけど、アニメ版のテイクがあまりに良くて、フルサイズでは一部アニメ版のボーカルを使っているんです。やっぱりファーストインプレッションの良さを超えるのはなかなか難しくて。

KISHOW それは狙って出せるものじゃないから。

何が起きるかわらない時代。一回一回出し切る!

ーー15周年トリビュートアルバム『RODEO FREAK』では、前回の『バキ』OPテーマ「BEASTFUL」を超特急さんが歌っていて。

KISHOW 僕は、何語で歌っているのかわからないと感じるにような歌い方を、確信犯的にやっているんですけど、歌詞がしっかり聴き取れるよう丁寧に歌ってくれていて、面白かったです。

ーー超特急さんのカバーがまったく違う曲に聴こえたのは、歌詞をちゃんと聴こえるように歌っているからだったんですね(笑)。

KISHOW それはあると思う。僕もそう思ったから(笑)。実はYouTubeでブラジルの2人組が「情熱は覚えている」を耳コピして歌っていて、歌詞もほぼ合っていてけっこう上手いんです。僕が日本語っぽく歌ってないから、逆に耳コピしやすかったのかもしれないなって、その動画を見たとき妙に腑に落ちました(笑)。

ーー『RODEO FREAK』は、でんぱ組.incさんによるピコピコの「Can Do」で始まって。すごく楽しませていただきました。

KISHOW 僕もでんぱ組.incさんの「Can Do」はお気に入りです。

ーーe-ZUKAさんが、作編曲家目線で絶妙だと思ったカバーは?

e-ZUKA どれもすごく良かったんですけど、原曲を踏襲した上でいちばんすごいと思ったのはOxTの「変幻自在のマジカルスター」で、すごく完成度が高いと思います。すごく緻密で職人だなって感じがしたし、若さゆえの素晴らしさも感じて。たとえばAメロのメロディはメジャー7なのにギターはフラット7でくるから、「おお!?」って。やっぱり世代が違うと、感覚も違うんですね。ドラムもあれだけ速いから打ち込みかと思ったら生だし。

KISHOW ボーカル目線でもOxTですね。オーイシくんとは何度か一緒に歌わせてもらったことがあって、スタイルは違うけど上手いなとは思っていたんです。今回こういう形で歌を聴いて、「やっぱり上手い!」って思いました。

e-ZUKA あそこまで上手いとは、想像以上だったね。

KISHOW 「変幻自在のマジカルスター」は、シングルのときは声の調子が悪くて、アルバムに収録するときに歌い直していて、それが自分のなかでは正解の歌い方だと思っていたんです。でもオーイシくんはそれを超えてきて、「こういう歌い方もあったんだ!」と、目からうろこでした。

ーーボーカルで言うと、西川貴教さんの「偏愛の輪舞曲」もすごいですね。完全に西川さん節になっていて。

KISHOW もう別次元です(笑)。西川貴教という表現を突き詰めた到達点ですから。もともとすごく歌唱力のある人が、こちらのベクトルにパワーアップされちゃうと、もう太刀打ちできない。だから西川のアニキには、我々のいろんな曲をもっとカバーして欲しいですね。カラオケに行って「あれも歌って欲しい」みたいなファン心理をいちばん感じました。

ーーでも逆に言うと、これだけ多彩なアーティストがさまざまに編曲することができるe-ZUKAさんの曲の幅広さと普遍性、どのボーカリストとも全く違ったKISHOWさんの歌の唯一無二さを改めて感じました。

KISHOW そう思ってもらえたらうれしいです。やっぱりトリビュートって、お互いにウィンウィンであることが理想ですから。

ーー最後に15周年について、思うことはありますか?

KISHOW 大変な15周年になってしまったけど……だからこそ思うのは、15年続けるのは、ただごとじゃないことだなっていうこと。何かのきっかけで人気がなくなるかもしれなかったわけだし。マジメに熱量を持ってやってきて良かったと思うし、応援してきてくれたみんなの存在のありがたさを感じるばかりです。今後は20周年に向けて、今の自分たちが置かれている幸運な状況を大切にして、噛みしめながらやっていきたいです。

e-ZUKA GRANRODEOが始まったとき僕はすでにアラフォーだったから、体感速度的には若い方よりも速いので、15年はあっと言う間でした。でもアニソンをやっていたことで、新しくアニメが始まるたびにファンが増えてくれて、15年も経つと親子連れできてくれる方もいて。その点では、アニソンで良かったなと思います。今の時代ということでは、何があるかわからないわけだから、そのときにやれることをその都度すべて出し尽くしたいなって思います。曲を作るにしても何をするにしても、魂を込めて新しいことにもチャレンジして、一回一回すべて出し切るつもりでやっていこうって思います。

取材・文/榑林史章

プロフィール
GRANRODEO【グランロデオ】ボーカルのKISHOWとギタリストのe-ZUKAによるロックユニット。2005年にシングル「Go For It!」でデビュー。『黒子のバスケ』シリーズのテーマソングや、『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』エンディングテーマ「少年の果て」など数多くのアニメソングを担当している。

「情熱は覚えている」リリース情報
発売日:9月9日(水)
価格:
初回限定盤1,900円(税抜)
通常盤1,200円(税抜)
レーベル:バンダイナムコアーツ

《超!アニメディア編集部》
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