TVアニメ『魔入りました!入間くん』監督・森脇真琴が語る入間くんの癒しポイント「入間には敵意がないので、悪魔のみんなとも友だちになれるのでしょうね」【インタビュー】 | 超!アニメディア

TVアニメ『魔入りました!入間くん』監督・森脇真琴が語る入間くんの癒しポイント「入間には敵意がないので、悪魔のみんなとも友だちになれるのでしょうね」【インタビュー】

現在放送中のTVアニメ『魔入りました!入間くん』。これまで、多くの悪魔の心を癒してきた人間の少年・入間の物語も大詰めを迎えている。アニメディア3月号では、本作の監督を務めている森脇真琴にインタビューを実施。入間の癒しポ …

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 現在放送中のTVアニメ『魔入りました!入間くん』。これまで、多くの悪魔の心を癒してきた人間の少年・入間の物語も大詰めを迎えている。アニメディア3月号では、本作の監督を務めている森脇真琴にインタビューを実施。入間の癒しポイントについて聞いている。超!アニメディアでは、本誌に掲載できなかった分を含めた特別版を紹介。


——あらためて作品の魅力とこだわりのポイントを教えてください。

 魔界という舞台が楽しいですよね。「魔界だから当然だよね」ということで許してもらえることが多いと思います。こだわっているのは、ほかのアニメとは違う印象の映像作り。古いアニメのざらざら感というか、セルに絵を手書きしていた時代にはあった「筆がかすれたような線のタッチ」が理想です。デジタルで制作する現在では、すべてがきれいになってしまうので、きれいさをなるべく忘れられるように作っています。舞台である魔界は「人間界とは違う場所」だということを、観るだけでわかるようにしたいから。それはスタッフにも意識してもらっています。背景美術や色彩設計をはじめ、作品にぴったりのスタッフがついてくれて助かっています。

——本作がファンを癒やしているのはどんなところだと思われますか?

 入間の性格はもちろんですが、登場人物みんながおバカなことをやっているところじゃないですか。みんなで低レベルなことをワイワイやっているのを観ていると「深刻なことを考えなくてもいい」と思えて、リラックスして観ていられる。それは原作の世界の魅力であって、私はできるかぎり「原作のおもしろい部分をアニメで知らせたい」という気持ちです。アニメはアクションシーンやOP・EDにしても、想像以上のものになっている部分があって、幸せな組み合わせでできています。スタッフィング(スタッフ編制)をやってくれた人を称賛します。声優の方たちもみんなイメージ通りの声で演じてくれています。まぁ素晴らしいですよ。アフレコ現場も楽しいです(笑)。


——入間のキャラクターをどのようにとらえていますか?

 入間には一番癒やされます。1話のアイキャッチを作るとき、入間の絵だけでもよかったのですが、視聴者は初めて観るキャラクターなので、ひとりひとりにキャッチフレーズをつけたいと思ったんです。そこで、お願いされると決して断らない入間の絵には「いいよ」という、彼のセリフのキャッチフレーズを加えました。入間のすべてを受け入れてくれる感じに癒やされます。入間は幼いときから苦労をしてきたのですが、誰のことも恨まず、心折れたりもせず、傷ついて性格がひね曲がることもなく、目の前の困難を乗り切ることだけを考えて生きてきました。そういうところがすごくいいなぁと思います。入間には敵意がないので、悪魔のみんなとも友だちになれるのでしょうね。

——入間を演出するうえで心がけていることは?

 表情ですね。入間が戦いを展開する場面などで、入間の気持ちを攻撃的に解釈して、敵意剥き出しの表情で描いてくる作画スタッフもいます。そんなときは、なるべく表情を柔らかくしてもらうようにしています。たとえ誰かと戦わなくてはいけないときであっても、入間は「相手を倒して勝つ」という表情にはしていません。

——入間の癒やしのポイントは、敵意がないこと以外にはどんなことがありますか?

 やはり、お願いされると断れないところ。お掃除のおじさんに頼まれるとゴミを集めるなど、なんでも受け入れてしまうところ。なんでもしてくれますから、友だちとして欲しいですね。「やきそばパン買ってこい」とか(笑)。

 私はマンガやアニメを観ないほうなのですが、入間のような主人公は珍しいかなと思います。異世界へ行った主人公がチートな能力をガンガン発揮して注目を浴びて勝ち上がっていく物語もありますが、入間は違います。これまで苦労してきたからこそ、目立ちたくない。静かにおとなしくしているけれど、どんどん友達の輪が広がっていく。入間のような主人公はあまり記憶にないですね。

 私は、おじいちゃんのサリバンがどういう経緯で入間を孫にすることにしたのか、興味津々です。原作でもこれから描かれるのかな。1話ではオペラが「わざわざ人間の子を孫になど……、いったい何をお考えで?」と突っ込んでいます。そういうセリフがあるということは、いずれは明かされるのかなと期待はしているんですけど(笑)。ほかにも明らかにされていない謎がまだいっぱいあります。アメリが大好きな少女マンガ『初恋メモリー』は、アメリの父の持ち物だったのかなど、いつか明かされることを楽しみにしています。

——入間を取り巻くキャラクターは、彼にどのような癒やしを受けていると思いますか?

 アスモデウスは、入間に「さすがアスくん」なんて褒められるとすごくうれしそうな顔をしますよね。もうニッコニコで。それが彼のエネルギーになっているんだろうな。アスモデウスは、誰かに褒められるのは当たり前だったのかも。あまりにも優秀な人は、優秀なのが当たり前になってしまい、誰もあえて褒めなくなっていたのかもしれません。でも入間は、小さなことでも褒めてくれる。それがアスモデウスにとっては、癒やしというか、うれしいのでしょうね。

 クララは3話で、入間のほうから遊びに誘ってくれたことを喜んでいます。そのとき入間は「クララは色々やりすぎるけど……僕は遊ぶのヘタだから、きっとやりすぎくらいがちょうどいい」と言っていました。入間はこれまで遊んでいる余裕なんてなかったですからね。遊び過ぎと遊び下手。プラスとマイナスで、すごくいいコンビだなと思います。でも、3話では、入間はよくクララの遊びにつきあったなと思います。最後までクララと遊び通して、絶対疲れますよ。そこからも入間はいい子だなと思います。

 アメリは、入間に人間界の少女マンガ『初恋メモリー』を朗読してもらうことが一番の癒やし。入間に対しての恋愛感情は、アメリ自身は気づいていません。『初恋メモリー』の物語と自身をオーバーラップさせているだけ。思い込みの強い家系であるところが彼女のおもしろさですね。

 サブノックは、いい友だちだと思います。勝手に、入間を互いに高め合うよきライバルだと思っていて、すごくいい感じですよね。描いていておもしろいキャラクターです。アメリも表情がくるくる変わっておもしろいのですが、サブノックは描きやすいです。一途だから単純。なにかあったとき、どう反応するかだいたいわかるキャラクターですね。どのキャラクターも入間から癒やしを受けています。

——入間に一番癒やされているキャラクターは誰だと思われますか?

 もしかするとキリヲかもしれません。キリヲは入間の絶望する顔を見たがっていましたが、それは入間が彼にとって大きな魅力を感じる相手だからこそなのでしょう。愛情の裏返しじゃないかな。どうでもいいと思っている相手が絶望してもキリヲは興味ないでしょう。それなのに入間の絶望する顔が見たいというのは、それだけキリヲが入間を大好きなのだと思うんです。もしかしたら一番深く入間を気に入っているのかもしれません。そう思って観ているとすごくおもしろいです。他人にはちょっと想像できないような世界で愛している危うさがありますね。

——では、監督自身が癒やしを感じているキャラクターは誰ですか?

 カルエゴかな(笑)。カルエゴはいじられキャラで、いつもいじられては笑わせてくれるというか、癒やされますね。また、普段の怖い教師の姿と入間の使い魔の姿“もふエゴ”のギャップがかわいい。でも、入間自身が使い魔を召喚するのを自分に禁じているので、出番が少ないのが残念です。個人的希望では、もう少し“もふエゴ”を登場させて、もっと活躍してほしいですね(笑)。

——これまでのエピソードで監督が癒やされたエピソードは?

 5話の「飛行レース」で入間とサブノックが金剪(カナキリ)の長の背中に乗ってカルエゴやクラスのみんなのもとへ戻るシーンは、音楽がすごくよくて。本作は、音楽がすごくいいと思っているので、その音楽をたっぷり聴けて「よかった〜」という感じです(笑)。また、8話にはクララ一家のミニ・ミュージカルシーンがあるのですが、あの歌も「シングルカットしてもいいんじゃないの」というくらい。やっぱり音楽がいいですね。

——音楽に関して、監督はどのようなオーダーをされたのですか?

 抽象的にしか言えなかったのですが、やはり「魔界が舞台なので、現実世界とは違ったように聞こえるものがいいな。本作の音楽だとわかるような、番組の顔になるような音楽をお願いします」という無茶ぶりをしました(笑)。とくに気に入っているのは、1話の霧が晴れて初めてバビルスが見えてくるシーンにかかっていた曲。また、18話の入間が超必殺技「パンドルーラ」を繰り出すときの曲とか。それに、キリヲの音楽もいい感じです。ぜひ、耳がよろこぶ音楽でも癒やされてほしいですね。

——クライマックスは、どんなところに注目するとより癒してくれそうですか?

 じつは、本作のクライマックスは18話。スタッフの間では「実質最終回」と呼んでいました。20話以降は『魔入りました!入間くん』という作品の世界にふさわしく、のんびりした展開です。キリヲをめぐる大変な仕事を終わらせてホッと一息ついて、いつもの入間の世界が続くという感じ。見どころ、笑いどころがたくさんの楽しい話を用意しておりますので、最後まで楽しみにしてほしいです。

取材・文/草刈  勤

PROFILE
森脇真琴【もりわきまこと】
手がけた主な作品は『B-PROJECT〜絶頂*エモーション〜』監督、『プリパラ』シリーズ監督ほか。

『魔入りました!入間くん』放送情報
毎週土曜日夕方5時35分よりNHK Eテレで放送中

公式サイト
https://www.nhk.or.jp/anime/iruma/

(C)西修(秋田書店)/NHK・NEP

《超!アニメディア編集部》
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