「時代を経ても変わらない、普遍的なものに」fhánaがニューシングルの表題曲へ込めた想い【「星をあつめて」リリースインタビュー後編】 | 超!アニメディア

「時代を経ても変わらない、普遍的なものに」fhánaがニューシングルの表題曲へ込めた想い【「星をあつめて」リリースインタビュー後編】

2013年のメジャーデビュー以来、14ものアニメ作品の主題歌を歌い、世界観に寄り添いながらも豊かな音楽性を提示し続けているfhána。2020年2月26日(水)に発売となる15枚目のシングル「星をあつめて」も、劇場版『 …

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 2013年のメジャーデビュー以来、14ものアニメ作品の主題歌を歌い、世界観に寄り添いながらも豊かな音楽性を提示し続けているfhána。2020年2月26日(水)に発売となる15枚目のシングル「星をあつめて」も、劇場版『SHIROBAKO』の主題歌となっている。超!アニメディアでは、本作のリリースに併せて、fhánaにインタビューを敢行。前後編に分けて、紹介していく。後編では、「星をあつめて」のレコーディング時のエピソードや、カップリング曲について、また、2020年の活動目標などについてお話をうかがった。

前編記事はこちら⇒https://cho-animedia.jp/music/158872/


まさに、『SHIROBAKO』状態(笑)

――2020年最初にリリースされる「星をあつめて」。皆さんはこの曲を最初に聴いたとき、どのような印象を受けましたか?

yuxuki waga(以下、yuxuki) デモを聴いた時点で、普遍的な良さを持つ曲にしたいと思いました。だから、例えばビートルズのような長く愛される曲のエッセンスを演奏でも取り入れられないかと思いながら、機材選びもしていったんです。そういう小さな積み重ねで質感を整えていく過程って、モノづくりのどんなことにも当てはまると感じましたし、『SHIROBAKO』っぽいなとも思いました。

kevin mitsunaga(以下、kevin) 曲を聞いたとき、グッドミュージックだと感じました。また、fhánaとしては劇場作品の主題歌を担当するのが初めてなので、映画館という空間がそもそも好きな自分としては、単純に映画館で流れることを想像すると嬉しくなりました。

towana レコーディングのとき、大好きな『SHIROBAKO』の劇場版の世界で自分の歌が流れると思ったら、すごく力んでしまって。困っちゃうくらいに緊張しちゃったんです。でも、曲自体はそういう雰囲気ではなく、むしろ作品を最後まで観た方々がホッとするような楽曲なので、緊張を抑えつつ、頑張りました。

佐藤純一(以下、佐藤) 今回は時代を経ても変わらない、普遍的なものにしたいという想いで曲を作りました。A・Bメロは明るい感じなのですが、サビの入りはマイナーコードで暗い感じになっています。この部分はシリアスな面も描かれている『SHIROBAKO』という作品ともリンクするものに仕上がったんじゃないかな。また、この曲は、アニソンに限らずJ-POPでもあまりないシャッフルのリズムになっていて、作っているときには『SHIROBAKO』という大きな作品の主題歌としてふさわしいものになるのか、不安もあったんです。ただ、アレンジをして、towanaの歌が乗ったことで、何とか突破できました。

――その他、レコーディングで印象に残っていることは?

佐藤 レコーディングにかけられる時間があまりなかったので、きつかったです(笑)。

kevin まさに、『SHIROBAKO』状態。プルっちゃうところでした(笑)。

一同 (笑)。

佐藤 当初は曲の発売日を劇場版の公開後、3月中にするという話もあったんですよ。でも、映画公開前に発売して、MVも何とか間に合わせて、映画の予告編にこの曲を絶対に流してほしい!と思ったので、頑張って作りました。

――納品まであと何週間……みたいに追い込まれていた。

佐藤 そうですね(笑)。僕はストリングスなどが好きなので、予算があるなら管弦の音を入れたいと思っているタイプなんです。今回の曲にも入れたのですが、ストリングスについては前日の夜、ブラスに関してはレコーディング当日の昼くらいにアレンジが出来上がりました。ギリギリまで譜面を作って、レコーディング開始ピッタリの時間にスタジオに到着、汗をかきながら録り始めました。何とか終えられてよかったです。

手ごたえがあった「Code “Genius” ?」をセルフカバー

――今回のシングルには、カップリングも2曲収録されています。その内のひとつが「Code “Genius” ?」のEnglish Ver.です。


佐藤 TVアニメ『ナカノヒトゲノム【実況中】』の挿入歌として作った曲を英語詞にしました。原曲の作曲が僕で、作詞はUNISON SQUARE GARDENの田淵(智也)さん、そして、亜咲花さんに歌っていただいたのですが、この曲が完成したとき、手ごたえがあったんですよ。だから、セルフカバーしたいと思って、今回カップリング曲として入れました。

――英語詞バージョンとしてセルフカバーしたのには、どのような意図が?

佐藤 同じく英語詞の「Relief」というfhánaのライブ定番曲があるんです。あの曲は日本でも海外でも何度も演奏しているのですが、演奏している僕たちも楽しいし、お客さんも盛り上がるんですよ。だから、同じように、エレクトロなリズムで、ライブでも盛り上がる曲を増やしたいと思っていたんですが、「Code “Genius” ?」はまさにうってつけだなと。この曲をfhánaのライブのセトリに入れたい!って思って、昨年末に行ったライブツアーでも英語詞バージョンを披露して好評だったので、音源化していったという感じですね。

――佐藤さんは以前に「towanaさんの声は英語の歌で映える」というお話をされていました。そういうのも関係しているのかなと思っていました。

佐藤 確かに、「Relief」もこの曲もtowanaの英語の発音はいいですよね。

towana ……。

kevin・yuxuki (笑)。

――歌っているご自身としては、英語詞バージョンを歌うのは?

towana まず、覚えるのが大変です……! 今回は英語詞を書いてくださった「アニサマ」の齋藤(光二)Pと、監修してくださったLynne(Hobday)さんに発音を細かく教えていただきながらレコーディングしました。大変ではありましたが、これからもライブなどで歌っていけたらいいなと思っています。

佐藤 齋藤Pって、メチャクチャ英語がペラペラなんですよ。しかも元々キーボード・プレイヤーでもあって、ミュージシャン気質でもあり、歌詞も書いていらっしゃる。そんな齋藤Pが田淵さんの書いた歌詞を英訳するのは面白いかもと思って、お願いしてみました。ご本人は「田淵さんの歌詞を英訳するのは難しそう」とおっしゃっていましたが、渾身の仕上がりだと思っています。

「世界を変える夢を見て」は必要な「別れ」の曲

――もうひとつのカップリング曲「世界を変える夢を見て」は、yuxukiさんが作曲を担当されています。

yuxuki 元々、形にしたいなという曲があって。それは、まだ出だししか作れていなかったものだったのですが、fhánaっぽい曲を作ろうかなとあたためていたものだったんです。そこから、今回のシングルが2月末に発売するということだったので、卒業をテーマにできたら面白いかなと思い、制作を本格的にスタートさせました。

――作詞は「星をあつめて」と同じく、林さん。

yuxuki 歌詞を見たときに、旅立ちや希望ということではなく、「別れ」の曲だなと感じました。でも、それは、新しいところに行くためには必要な「別れ」。これって、学生の方もそうだし、社会人の方々にも共感していただけるんじゃないかなと思っています。

――寂しさもあるけども、次に向けて頑張ろうというメッセージが込められていると感じました。

yuxuki そうですね! 今の環境も嫌いじゃないけども、でも、やりたいことがあるから次の場所へ行く、という歌になっています。地元を出て上京をするという感覚に近いかもしれません。この曲が、何かを踏み出そうとする人の後押しになればいいな。

――編曲はfhána名義ですが、制作はどのようにされましたか?

佐藤 最初にyuxukiくんがデモを作って、それに対してkevinが音を作って、さらに僕がピアノやシンセを作ってkevinの音も整理しつつミックスして、それをyuxukiくんに返して、という感じです。

kevin 僕たちって、スタジオで一緒に作ることもあるのですが、各々の家で音を付けてそれを合わせるってことのほうが多いんですよ。

yuxuki 俺の曲は特にそうなんですけども、ある一定の基準さえ満たしてくれれば自由にやってくれ、という感じなんです。レコーディングでも、ボーカルの方に基本お任せ。もちろん、何か気になることがあったら言いますけども、聞いて受け取った状態をそのままを出してもらって、レコーディングしていくというスタイルです。

――それなら、アレンジがきたときは「こうきたか!」と思うことが多い?

yuxuki そうですね。それが楽しくもあります。

――本曲を最初に聴いたときはどのような印象でしたか?

kevin めっちゃいい曲だと思いました。あとは、「矛盾を抱え僕ら走るよ 焦燥と肯定の果て」という歌詞が刺さります。学生の頃……いや、今でもそうかな。日々、矛盾を抱えまくりなんですよ。でも、結局、自分で自分を肯定してあげて、何かを選択している。だから、すごく歌詞に共感できました。矛盾を抱えていない人なんて、いないですからね。常に矛盾を抱えている。……あれ、俺だけ? でも、「心に抱いた迷いは時に地図にもなる」ので。大丈夫かなって。

yuxuki お前は何なんだ、誰なんだよ(笑)。

kevin (笑)。

佐藤 人間の心や感情って矛盾しているから、心の声に従うだけだったら絶対に迷子になりますよね。どんどん沼に沈んで行っちゃう。人間の世界も元々整ったものではいないですし、矛盾の塊なのかもしれないです。

――壮大な話になりましたが、towanaさんはどういう気持ちでこの曲を歌われましたか?

towana この曲は「焦燥」という言葉もそうですけども、「何かを捨てなきゃいけない」など、ドキッとするようなワードがちりばめられているんです。でも、前向きな歌だし、曲調も爽やかで解放感があるので、明るく歌うということを意識しました。

――レコーディングはいかがでしたか?

towana 結構、早く録り終えたかも。

yuxuki そうですね。基本、上手なので、いつも早く終わります。

――本日は色々とお話いただきありがとうございました。最後に、皆さんは2020年をどういう年にしたいか、教えてください。

kevin 2019年に英語をマスターするぞ! と意気込んでいたわりに、全然できるようになっていないので、今年こそは! と思っています。fhánaはありがたいことに、海外でライブさせていただく機会も増えたので、現地の方ともっとコミュニケーションが取れるようになりたいんですよね。もちろん、サウンド面でも上達していきたいですが、ライブで世界中の方とコミュニケーションが取れるようになりたい、と思っています。

yuxuki 劇場版『SHIROBAKO』でfhánaのことを初めて知る方もたくさんいらっしゃるかと思います。そういう方々がこれからもfhánaの曲を聴いてくれるような、多くの人に愛される曲を作ったり、誰かの後押しができるような曲を作ったりしていきたいです。ふと何か音楽を聴こうと思ったときにfhánaを選んでいただけるようになりたいですね。

towana 2019年が私自身の新しい一面を知る年になりました。2020年は、ライブや新しい曲を歌うといった経験を通じて、もっと私の歌を突き詰めていきたいと思います。自分の歌がどういう風に聞こえるのか、どういうパワーを持っているのか、それを見つけられる一年になったらいいな。

佐藤 fhánaはありがたいことにこれまでも色々な作品とタイアップしてきました。アニメが好きなので、嬉しい限りです。ただ、タイアップありきリリースをして、それに紐づいてライブをする、というサイクルだけでは、どうしても限界があるし、これから厳しくなっていくと思うんです。だからバンドとして主体的にしっかりと活動をして、アーティストとして、fhána自体のファンを増やしていかなければいけないし、ファンになってくれる人たちを大事にしていきたいと思っています。それが今後の目標ですね。僕たちの音楽を聴いたり、ライブを見たりしてくれている人の感情や気持ちを動かすことができればいいと常々思っているので、それは今後も追及していきたいです。

取材・執筆=M.TOKU

「星をあつめて」商品概要
発売日:2020年2月26日(水)
価格:1,500円(税別)
品番:LACM-14974
初回生産限定特典:描き下ろしイラストスリーブケース仕様

<INDEX>
1.星をあつめて
2.Code “Genius” ?(English Ver.)
3.世界を変える夢を見て
4.星をあつめて -Instrumental
5.Code “Genius” ? (English Ver.) -Instrumental
6.世界を変える夢を見て -Instrumental

 

 

fhána 公式サイト
http://fhana.jp/

《超!アニメディア編集部》
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