読者に人気のアニメ作品から、期待の声優に作品や役柄について語ってもらうインタビュー企画「Megami’sVoice」。2019年7月号には、『賢者の孫』でシシリーを演じる本泉莉奈が登場。「超!アニメディア」では、本誌で紹介できなかった部分も含めた、ロングインタビューをお届けする。
――まず、『賢者の孫』(以下『けんまご』)の第一印象を教えてください。
オーディションのときに原作を読ませていただき、その後シシリー役が決まってからさらに読み込みました。もともとファンタジーは好きでしたが、主人公のシンくんが現代日本での記憶を持ったまま異世界に転生しているので、彼のツッコミもあり、世界観がわかりやすいなと感じました。魔法を詠唱するシーンは原作でもとてもおもしろかったのですが、アニメだとかっこいい詠唱なのに魔法がしょぼいというギャップがよりハッキリと描かれていて、おもしろさも増しました。
――シシリーへの印象は?
シシリーは引っ込み思案ですし、幼なじみのマリアと比べると、自分から前に行くタイプではないなと思っていました。なので、とてもおしとやかな女の子なんだなという印象でした。でも、シンくんと出会い、彼から「何があっても守る」と言われたことで、第2話では言い寄ってきていたカートくんにちゃんと断りを入れることができたんです。それもあって、実際には芯の強い部分もあるんだなと感じました。――第2話でメリダに「シンを利用しようとしていた」と言われ、それを認めていたところも印象的でした。
もしかしたら守ってくれるかもしれないという思いが、シシリーにもあったんだと思います。そして、彼女はそこに罪悪感を持っていた。それをあいまいにせず認められたことも、彼女の強さだなと思います。
――そんなシシリーを演じる際に心がけていることは?
清純でピュアな感じはもちろんですが、恋に慣れていなくてすぐ照れるという部分も大事にしました。彼女の場合は照れることで魅力が増すのかなと感じたので、そこはあえてハッキリとわかるように演じています。それから、シンくんがほかの女の子と仲よくしていてムッとするときは、いやみにならないよう、かわいさを残すことを意識しています。
――シシリーは、バトルシーンではサポートに回ることが多いですが、バトルシーンで気にかけていることは?
『けんまご』の世界の魔法はイメージでできているので、演じる際もイメージすることを意識するようにしています。自分の内側で魔法をイメージして、発声するような感じですね。シシリーは攻撃的な魔法を使わないので、力みすぎないように注意しました。
――スタッフからは、演技に関してどんな指示がありましたか?
「やさしい子です」という指示があったくらいですね。ほかは、比較的自由にやらせていただいています。彼女は冒頭で上目遣いのカットが多かったので、“上目遣い感”は意識しました。
――第7話まで進んだところで、本泉さんが感じるシシリーの魅力は?
シンくんが中心になって立ち上げた「究極魔法研究会」のマークとオリビアがカップルだということがわかりましたが、そこでシシリーは恋の話が聞きたくてオリビアにグイグイいくんです。意気揚々とオリビアに迫るところはすごく楽しそうですし、等身大の女の子らしくてかわいいなと思います。
――シシリーに共感できる部分はありますか?
じつは、あまりないんです。私はあそこまで奥手ではないし、言いたいことがどうしてもあったら、言ってしまうので、どちらかというとマリアタイプ。シンくんのことをつねに心配して、バトルのあとも真っ先に彼のもとにいくシシリーを見ていると、自分の思いを突き通している感じがして、ひとりの女性としてすごく憧れます。
――シシリー以外で、気になっているキャラクターはいますか?
アリスとリンのちびっ子コンビです。アリスは小動物のようにちょこまかしているところがかわいいし、リンはローテンションだけど天然で、世間とずれているところがいいですね。魔法を暴走させがちなリンに、シンくんが「暴走魔法少女」と言うんですが、それを気に入っているところもかわいいなと思います。男性キャラクターなら、ユリウスかな。彼は語尾に「ござる」をつけて話すのですが、マリア役の若井友希ちゃんはアフレコ前に「おはようでござる!」とか、よくからかっていますね(笑)。彼だけOPの映像ではみ出るほどにアップなのも、スタッフの方から愛されている感じがしていいなと思います。
――シシリーの恋の相手はシンですが、本泉さんの好みの男性キャラクターは誰でしょうか?
おじいちゃん(マーリン)です! 血のつながっていないシンくんを孫のように育ててきたところや、シンくんが特別扱いされないように、シンくんにしか使えなかった魔法を学んだところもときめきます。包容力があって、お茶目で大らか。でも、やるときはやるタイプなので、魅力的ですね。
――シンについてはどう思いますか?
魔法の力はすごいけど、完璧ではないところが素敵だなと思います。シシリー視点だとときめきますが、やっぱりおじいちゃんが一番好みです(笑)。
――第7話までで、印象的だったシーンは?
先ほども少しお話ししましたが、第2話です。罪悪感がありつつもシンくんに頼ってしまう自分の弱さを、シシリーが自覚するところもそうですが、メリダおばあちゃんの力も借りて、ちゃんとそれを正直に言えるところがすごく素敵でした。あと、シンくんと殿下(オーグ)の絡みも楽しいです。いたずらっ子なところのある殿下が、シンくんを男友達としてからかっているところを見ると、すごく楽しい気持ちになります。
――アフレコ現場の雰囲気はどうですか?
登場人物は多いですが、比較的年齢の近い方が多かったので、終始ほのぼのとした雰囲気でした。一方で、マーリン役の屋良有作さんやメリダ役の高島雅羅さんが締めるところはきっちり締めてくださって、演技の面でもとても勉強になりました。
――今後の見どころを教えてください。
これからは魔人との戦いが本格化していくんですが、それに伴ってだんだんとシュトロームさんの過去が明らかになっていきます。彼をただの悪人と切り捨てられないような事実も明らかになりますので、ぜひ注目してほしいです。それからシシリーとシンくんの関係もさらにもう一歩近づきます。そんな2人を周りの人たちが茶化しつつも見守っていてくれるので、究極魔法研究会のメンバーと一緒に、みなさんもシンくんとシシリーの関係を見守っていただけたらと思います。
◆MegamiにQuestion
Q.チャームポイント
A.八重歯
一時は矯正も考えたんです。でも、その話を友人にしたら、まず八重歯の心配をされて(笑)。そのときに悪いものではないのかなと思えるようになりました。
Q.ニックネーム
A.本ちゃん
上京する前は、「本泉」というのが長くて呼びづらいからと「泉さん」とかファーストネームで呼ばれることが多かったです。その後、専門学校ではなぜか「莉奈泉」など、「本」を別のワードに置き換えて呼ばれるようになり、現在はそれを埋めるかのように「本ちゃん」と呼ばれることが増えました。
Q.自分の声の特徴
A.寒色
人からも言われますし、自分でもそう思います。役柄的にも、水属性や風属性のキャラクターを演じることが多いです。
Q.自分の性格
A.マイペース
子供の頃、親戚の子たちと一緒に動物園に行ったのですが、ゾウやキリンを見続けていたら、みんなに置いていかれて迷子になったことがありました。今も考えごとをして置いていかれそうになることがあります。でも、そういうときにはみんな声をかけてくれるので、とてもありがたいです。
Q.今、ハマっている趣味
A.グミを食べること
もともとグミが好きで、毎日のように食べています。固めですっぱいパウダーがついている、ブドウ味のものがとくに好きです。
Q.「こう見えてじつは●●なんです」
A.親指が手の甲に乗ります(笑)
じゃんけんで「最初はグー」をするときに親指を手の甲に乗せてみたら、相手から「気持ちが悪い」って言われました(笑)。左がとくにやわらかいみたいですが、右の親指も乗りますね。
Q.もしも魔法が使えたら?
A.転移魔法一択!
もうこれしかないです。朝はギリギリまで寝られますし、次の現場まで時間が空いたとき、気軽に家に帰れるのもいいですね。
Q.本作のキャッチフレーズ
A.よし、『けんまご』見よう!
シリアスなシーンもありますが、『けんまご』は頭を空っぽにして見ることのできる作品だと思います。シンくんは視聴者側に立ってツッコミもするようなキャラクターなので、ぜひ彼と同じ気持ちになって見てもらいたいですね。
Profile
ほんいずみ・りな/2月4日生まれ。福島県出身。81プロデュース所属。主な出演作は、『HUGっと!プリキュア』薬師寺さあや(キュアアンジュ)、『BanG Dream!』川村真結、水村楓役など。
〈アニメ『賢者の孫』情報〉
毎週水曜日深夜2時16分からABCテレビほかにて放映中
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©2019 吉岡 剛・菊池政治/KADOKAWA/賢者の孫製作委員会