ギャンブルの強さがすべての私立百花王学園が舞台のTVアニメ『賭ケグルイ××』で、さまざまなギャンブルのディーラーや進行役を努める生徒会書記・五十嵐清華を演じる福原綾香を直撃したインタビューが、「アニメディア4月号」に掲載。超！アニメディアでは、誌面に入りきらなかった部分を含めたロング版を掲載。
――ご自身が演じる清華の印象は？
すごく頭がよくて、合理的な考え方の持ち主なんですが、内に持て余すほどのエネルギーを内包した子だと思います。以前はそのエネルギーを勉学に向けていたんですが、綺羅莉会長との出会いをきっかけに、エネルギーのすべてを会長のために使い始めて、今の彼女が形作られたという感じです。清華にとってギャンブルは「何かを勝ち取るための手段」でしかなく、理に合わない運の要素が絡む遊びを楽しむタイプではないと思います。
――夢子とは真逆をいくタイプですね。
そうですね。夢子のことはどこまでも底知れない「相容れない存在」としてとらえていると思います。普通の人はリスクを避けようとするものですが、夢子はギャンブルがはらむ「大きなリスク」も愛している「ギャンブル狂」。理解の外にいる夢子は、清華がギャンブルを挑む相手としては最悪なのではないかと。また夢子は、会長が治める学園の構造を、故意ではないにせよ、根底から覆そうとしています。もしもそうなったら、会長と自分との関係性も崩れてしまいかねない。それゆえに、清華は夢子に憎悪と恐怖の感情を向けているんです。
――福原さんご自身は、清華にとって綺羅莉はどのような存在だと考えていますか？
どこまでも尊くて崇拝する対象で、神様のような「概念」とまで言える存在ですね。「蜘蛛の糸」というお話に登場するお釈迦様が会長だとすると、清華はその肩に止まっている一匹の小さなクモ。垂らした糸に群がる人々を「なんと愚かな……」と眺めながら、役目が終わったら会長の肩へうれしそうにカサカサ上っていく、みたいな。
――もはや同じ「人類」じゃないと。
ふたりの間には、そのくらい大きな隔たりがあると思っています。それでも、会長は清華のことを稀有な才能を持つ忠実な部下として、大事に思ってくれている。自分に比べたら、クモのように矮小な存在である清華のことを必要としてくれている。見ようによっては残酷だけど、とても美しい関係なのかなという気がしています。
――では、清華が夢子と戦うことになる「扉の塔」のギャンブルの見どころについて教えてください。
「扉の塔」のなかで、数字で答えられるさまざまな問題を解いていく勝負になります。清華は合理主義者でとても頭がいい子なんですが、そんな彼女の盲点を突いてくる問題ばかり。ただ、運の要素は絡まず、相手との駆け引きもありません。そういう意味では、「自分自身との戦い」なんです。清華は自分の出した答えが正しいのか否か、苦悩の自問自答を繰り返すんですが、そのなかでふだんはクールな清華の素顔が垣間見られると思います。
――収録の際、とくに気を付けたことは？
清華の極限まで落ちたテンションを、いかに表現するかですね。台本には「土左衛門（※水死体）のような気持ちで」と、私のメモ書きが残っています（笑）。この勝負に負けたら、自分は会長とは他人以下の存在になってしまう。もう、どうでもいい。ただ流れに身を任せる水死体のように、どん底まで落ちた心持ちになろうと……。かと思ったら、勝利の可能性が見えて復活したりと、非常にテンションのアップダウンが激しく、収録では自分の持てるすべてを使いきりました。収録後は、身体中に矢が刺さりまくった落ち武者みたいに満身創痍でしたが（笑）、音響監督の藤田亜紀子さんに「よく戦ったね！」といっていただいて、報われた気持ちになれましたね。
――『賭ケグルイ××』に登場するキャラクターたちは、振り切った演技が見どころですよね。他のキャストの方々も収録では苦労されているのでは？
毎回、収録に参加しているキャスト全員が、鬼気迫る演技を見せるので、こちらもすごく刺激を受けます。特に印象に残っているのは、蟲喰恵利美を演じた竹達彩奈さんの演技です。竹達さんといえば、きっとみなさんはかわいらしいお声と姿のイメージが浮かぶと思うんです。私はお芝居に臨むときも、竹達さんはそうしたご自身のイメージを崩さない方という先入観を勝手に抱いていたんです。でも、「指切りギロチン」に臨んだ蟲喰さんが、情けなく涙と鼻水とよだれを垂らしながら泣きじゃくるというシーンを、竹達さんは見事に熱演されていたんです。泣き方も汚くて無様なんですけど、それがたまらなく魅力的で。きれいに形作られたご自身のイメージをぶっ壊して、体当たりでお芝居に臨む様を見ながら、「そういうのもっとちょうだい!!」という気持ちで応援していました。
――みなさん、全力投球で演じられているんですね。
『賭ケグルイ××』は収録にあたって緻密なディレクションをいただくので、台本が真っ赤になるくらいメモを取りまくります。そして、テスト収録と本番とを見比べながら、毎回、お芝居の変化のつけ方を勉強しています。アフレコに参加していても、とても刺激になります。現場のテンションも高くて、たとえるなら体育会系で強豪校のバレー部のような空気感というか。みんな気持ちが入っていて士気が高く、「いくぞ、みんな！」みたいな気合に満ちた現場だと思います。
――ところで、福原さんご自身は学生時代にどんな部活をされていたのでしょうか？
高校時代は美術部と放送部、合唱部を掛け持ちしていました。美術部はもともと中学時代から所属していたので、高校でも引き続き入部して。そして、そのころから将来は声優のお仕事に就きたいと思っていたので、番組作りやナレーション、アナウンスなどができる放送部にも加入したんです。でも、放送部は部員数が少なくて、自分の代はひとりだけになってしまって。そんなとき、同じく自分の代で部員がひとりになってしまった合唱部の友人と取引して、お互いの部活に掛け持ちで所属することにしたんです。友人は人前に立つのが好きな人間を求めていましたし、私は友人のような事務作業が得意な人間を求めていたので、とても都合がよかったんです。
――お互いの利害が一致したビジネスパートナーみたいですね。
まさにそんな感じでした（笑）。そこから、放送部で番組を作って全国大会に出場したり、合唱部でも少ない人数でできる活動をしたり。また、美術部ではさまざまな行事で使う看板の下書きをしたりと、多忙な高校生活を送りました。その友人とは、一緒に上京してからもずっと仲良しで、かれこれ13～14年の付き合いになりますね。バディーを組んだことをきっかけに、こんなに長い付き合いになるとは思いませんでした。
――すごく素敵な関係ですね。それでは、最後に読者に向けてメッセージを。
これまで描かれてきたギャンブルは、対戦者同士の頭脳戦や駆け引きがカギとなっていました。でも、「扉の塔」は己との戦いです。最大の敵は自分であるという、ギャンブルの本質に迫るエピソードになっていきます。そして、その戦いに臨む清華が「百面相」を見せながらもがき苦しむ様を、全力で演じさせていただきました。彼女の醜くも美しい生きざまを、どうか見届けてください。
取材・文／福西輝明
TVアニメ『賭ケグルイ××』 放送情報
【TOKYO MX】毎週日曜23:30～
【テレビ愛知】毎週水曜7:05～
【RKB毎日放送】毎週日曜26:25～
【BS日テレ】毎週日曜23:30～
【NETFLIX】毎週木曜配信開始
※放送日時は変更になる可能性がございます
■STAFF
原作：河本ほむら・尚村 透
（掲載 月刊「ガンガンJOKER」 スクウェア・エニックス刊）
監督：林 祐一郎／松田 清
シリーズ構成：小林靖子
キャラクターデザイン：秋田 学
美術監督：松田春香
色彩設計：末永絢子
CGディレクター：奥納 基
撮影監督：柳田貴志
編集：武宮むつみ
音響監督：藤田亜紀子
音響制作：HALF H・P STUDIO
音楽：TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND
制作：MAPPA
■CAST
蛇喰夢子：早見沙織
早乙女芽亜里：田中美海
鈴井涼太：徳武竜也
皇 伊月：若井友希
西洞院百合子：奈波果林
生志摩 妄：伊瀬茉莉也
夢見弖ユメミ：芹澤 優
豆生田 楓：杉田智和
黄泉月るな：鵜殿麻由
五十嵐清華：福原綾香
桃喰綺羅莉・桃喰リリカ：沢城みゆき
等々喰定楽乃：潘 めぐみ
等々喰ユミ：井上遥乃
蟲喰恵利美：竹達彩奈
陰喰三欲：内山夕実
陽喰三理：大久保瑠美
和楽喰淑光：高垣彩陽
狛喰 希：北原沙弥香
骨喰ミラスラーヴァ：斎賀みつき
尾喰 茨：細谷佳正
尾喰 凜：石田 彰
×喰 零：朴 璐美
■音楽情報
オープニングテーマ
JUNNA「コノユビトマレ」1月23日(水)Release
作詞：尾上 文／作曲・編曲：白戸佑輔
エンディングテーマ
D-selections「AlegriA」2月27日(水) Release
作詞・作曲・編曲：TECHNOBOYS PULCRAFT GREENFUND
■Blu-ray BOX
『賭ケグルイ××』Blu-ray BOX 上巻
2019年5月17日(金) 発売
＜特典・仕様＞
・キャラクターデザイン秋田学描き下ろしジャケット
・特製ブックレット
・『賭ケグルイ××』オリジナルサウンドトラック
・ノンテロップオープニング
・ノンテロップエンディング
第1話～第6話収録／￥19,000＋税
※ 仕様は予告なく変更となる可能性がございます。
アニメ公式サイト
https://kakegurui-anime.com/
公式Twitter
@kakegurui_anime
©河本ほむら・尚村透／SQUARE ENIX・「賭ケグルイ××」製作委員会
