沼倉愛美2ndアルバム『アイ』が完成「沼倉愛美を切り取った11曲でできた1枚」【インタビュー】 | 超!アニメディア

沼倉愛美2ndアルバム『アイ』が完成「沼倉愛美を切り取った11曲でできた1枚」【インタビュー】

声優・沼倉愛美が、1年8か月ぶりにアルバムをリリース。ジャケットのイメージが最初に浮かんだというアルバムには、「沼倉愛美を切り取った曲」が収録されているという。今回のアルバムを作るにあたってのこだわりやアーティスト・沼 …

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 声優・沼倉愛美が、1年8か月ぶりにアルバムをリリース。ジャケットのイメージが最初に浮かんだというアルバムには、「沼倉愛美を切り取った曲」が収録されているという。今回のアルバムを作るにあたってのこだわりやアーティスト・沼倉愛美としてのあり方、そして“平成が終わる前にやっておきたかったこと”についても語ってもらった。


ジャケットのイメージからスタートしたアルバム制作

――1年8か月ぶりとなる2ndアルバムは、タイトルが「アイ」とシンプルですね。


 アルバムを作ると決まって、まず浮かんだのがジャケットの絵だったんです。誰も見ていない状態で、何もしていない私、服も薄かったり下着姿だったり……何でもいいんですが、そういう無防備な自分が浮かんできて。それならば「沼倉愛美さんという人を切り取った曲がいいだろう」と思い、タイトルを「アイ」に決めました。ただ、タイトル候補はいくつかあったので、最終的に「アイ」に決まったのは、制作も半ばを過ぎたくらいでしたね。普段はビジュアルに関してジャケットでもミュージックビデオ(MV)でも自分からこうしてほしいと伝えることがほとんどなかったので、珍しいアプローチでの制作スタートでした。

――曲に関しては、沼倉さんからの希望はあったのですか?

「私を切り取る」ということに決めたので、すべての曲にテーマを設けて、私から作家の皆さんにいくつかのキーワードと場合によっては少しの文章も加えて、こういう曲をお願いしたい、と伝えました。そのくらいふわっとしたものではあったので、私の想像を超えた曲もありました。

――なかでも一番驚いた曲は?

「Don’t back」です。この曲のテーマは「情熱」とか「闘志」、「負けず嫌い」。ガツガツのロックがくるかと思っていたら、静かに燃えているようなクールな曲だったので、意外でしたが、すごくハマっているなと思いました。

――逆に、一番自分の想像とピッタリだった曲は?

 最終的には「夜と遠心力」です。ただ、この曲は1回作り直していただいたんです。テーマは「孤独」と「憎しみ」で、ドロドロした汚い部分を吐き出すような感じをイメージしていたので、最初にあがってきた曲はおしゃれすぎてちょっと違うかなと思って。気持ちの安定しない感じをノイズで表現していただいたりして、最終的には気持ちにピッタリで、これまでにないアプローチができた曲かなと思っています。

 この曲は、レコーディング当初、メロディーに綺麗に声が当たっているテイクを並べてもらったら、想像よりつまらないなって思ってしまって。もう少しニュアンスを重視したほうにしてもらいました。結果、最後に叫びのようなものが入った感じですね。



それぞれに自分からテーマを提示

――ほかの曲についてもぜひ聴かせてください。まずは1曲目の「Benvenuti」。これはファンクラブイベントで作ることが決まった曲ですね。


 はい、ようやく皆さんにお聴かせできるようになりました。「Benvenuti」はイタリア語で「ようこそ」という意味もあるし、アルバムの1曲目にふさわしいタイトルなんですよね。歌詞も私が書いていることもあり、「ようこそ」という思いも込めたつもりです。それから、曲がすごくキラキラしている印象だったんですね。それもあって、これまで一人称で歌詞を書いてきたところを、応援歌のような、背中を押したり肯定したりする曲もいいかなと思って、“あなた”に向けた詞にしました。

――2曲目の「This Kiss」は、「ザ・イノタク(TAKU INOUE)節」という感じです。

 まさに、おしゃれな曲ですよね(笑)。TAKUさんには、私から1曲書いてほしいとお願いしました。テーマは「妄想」とか「ときめき」。ちょっと女子っぽいテーマだったんですが、できあがった曲はかわいらしくてエモい、期待通りの曲でした。

――4曲目は「魔法」。

 テーマは「憧れ」「ヒーロー」「超えられない壁」。歌詞は3パターンくらいあるうちの、最初にあがってきたものなんです。最初はちょっとイメージと違うかなと思ったんですが、読み込んでいくうちに、テーマを付け足すとよりいいものになるんじゃないかと感じて。

 学生時代、オタク活動に勤しんでいた私ですが、今、当時ビッグだなとか遠くを走っているなと思っていた方とお仕事をさせていただける機会も増えているんです。もちろん、皆さん変わらずビッグですし、遠くを走っていらっしゃるんですが、今の私はその方たちに追いつきたいとか、頼られるような自分になりたいとも思えるようになって、それがとても幸せなんです。その気持ちを付け足すとすごくしっくりして深みのある歌詞になるなと思ったので、「オタク」というテーマを加えました。

――5曲目の「グッバイ」はストレートなタイトルですが、それほど悲しみのようなものは感じられない歌い方ですね。

 テーマは「別れ」「卒業」ですから、切なげな言葉も多いんですが、私としては大きな決断をして、一歩踏み出し、新しい自分になった清々しさを表現したいと思った曲なんです。メロディーもかわいらしいですし、悲しみというよりは、切なさに引っ張られないように意識して歌った曲です。

――9曲目の「まどろみ」は、まさにタイトル通りのゆったりとした曲です。

 この曲のテーマはタイトル通り「まどろみ」。すごく退屈な曲にしたくて作った曲なんです。力が入っていなくて、シンプルで、歌う箇所も最低限でいいと思っていたくらい。歌詞も綺麗だし、夢と現実の狭間のような演出も入った曲になっていたので、“何もしたくない私”がすごくよく表われているなと思います(笑)。この曲が、ジャケットの絵に一番近いイメージです。

――10曲目の「SWAY」は、歌声から笑顔の感じられる曲ですね。

 なんでもない、日常にいつもある何気ないことが、実は大切で幸せ、というようなテーマです。歌詞も、ただ隣で手をつないで歩いて帰るだけ、というシンプルなものですが、すごくやさしい曲になったなと思います。

――「SWAY」は、メロディーにはちょっと切なさがありますよね。

 もともとバラードを入れる予定はなくて、でも1曲くらいあってもいいよねというところからスタートした曲なので、メロディーは暗いというか、切ないんですよね。でも、テーマが「幸せ」なので、アレンジで温かい雰囲気を加えてもらい、歌詞も最初にあがってきたものから少し変えてもらって、なるべくメロに引っ張られない前向きなものにしてもらいました。レコーディングのときも、口角を上げたような声の成分は多めにしましたね。

――そして、11曲目の「アイ」。

 これは3曲くらいあった候補のなかから、一番前向きな曲を選ばせていただきました。アレンジをしたらかなり強めになっちゃいましたが(笑)。

――「アイ」でも作詞をされていますが、このテーマは?

 最終的なテーマは「歌う私」です。歌うのか、歌わないのかで戦って、結果ステージの上でライブをするのが好きな私が勝つ、みたいな曲ですが、“何もしたくないB型の私”と“ちょっと頑張れば明日はもっと楽しくなるかもよというA型の私”のせめぎ合いみたいな内容にもなりましたね(笑)。メロディーは強いですが、歌詞は事実を書いているだけなので、私にとってはすごくポジティブな曲なんです。

――「評価する視線から逃げる」という歌詞は、ファンからするとちょっとドキッとします。

 このお仕事って、毎日テストを受けているみたいなものなので、時々休みたいなって思ってしまうのも事実なんです。家では最低限のことしかしないけれど、外に出ればよく見られたいし、褒められたいし、評価だってされたい。そのすべてが私にとっては事実で。そんな人から見られている自分という意味も「アイ」には含まれていますね。

――曲中に入る「私」というささやきも印象的です。

 最初は違うワードが入っていたんですが、それは私にとって重要な言葉ではなかったので、いろいろと考えた結果「私」になりました。「アイ」というタイトルには、「愛」もあれば「I」もあるし、先ほどお話しした「eye」もある。多角的な意味が込められる曲になりましたね。

アーティストだからと気負わないように

――テーマがそれぞれ決まっているなかで、シングル2曲もすんなりとおさまっていますね。


「彩-color-」が「感謝」、「Desires」は「欲望」を担う曲なんですが、「彩-color-」は周りの人や自分を支えてくれる人への感謝を込めて、温かい気持ちで歌っているので、前半だったらどこに入っても問題ない曲だなと思っていました。置き場所を考えたのは「Desires」ですね。結果的には「Don’t back」から少しずつ普段隠している私が見えて「Desires」を経て「夜と遠心力」に流れ込むという、綺麗な流れになったんじゃないかな。「夜と遠心力」がとりわけ強い、叫びのような歌声も入っている曲なので、「Desires」が孤立せずにすんだかなと思っています。

――「アイ」のMV撮影はどうでしたか?

 MVも衣装はシンプルでいいだろうということで、パーカーにしました。比較的これまでのMVでもバンドシーンは撮っているんですが、今回は1日中一緒にいたので、メンバーがより大変だったんじゃないかなと。表情よりは身体を使った表現をした感じだったので、すごく楽しかったです。

――これを聴けば、それなりに“沼倉愛美という人”はわかる1枚になったと感じていますか?

 11曲で100%すべてを表現できているわけではないですが、どの曲のも“私”は入っていると言えると思います。

――アルバムも2枚目ですが、アーティスト・沼倉愛美としての理想像のようなものは見えてきましたか?

 逆に理想を考えなくなりました。最初の頃のほうがアーティストとしてどうあるべきかとか、キャラクターソングじゃないから何か変えなきゃいけないとか、普段の自分とは違うものを見せなきゃいけない、アーティストとしての自分を作らなきゃみたいに考えていたんです。でも、今は何をやっても私は私でしかいられない、と考えられるようになったというか。今できることを全部入れて作るのがいいんじゃないのかと思えるようになりましたね。

平成が終わる前に「免許取る取る詐欺」を卒業

――4月にはツアーも決まっています。


 1stアルバム『My LIVE』をリリースしたときに一度ツアーをやらせていただいて、ライブの空気感はわかったので、ライブってどんなものかという不安はなくなりました。MCのことを考えて眠れなくなるくらいじゃないかな(笑)。今回、初めてホールでもやるので、ライブハウスと何かを変えるべきか、変えないでおくべきかは今考え中です。

――シングル「Desires」のリリースイベントのときに「平成が終わる前にやっておきたいことがある」とおっしゃっていましたよね。

 あれは……(車の)免許なんです(笑)。

――ツアーで台湾公演があるので、海外公演のことかと思いました(笑)。

 お仕事は関係ないんですよ。とにかく取ってから言おうと思っていて、「免許取る取る詐欺」を終わりにするべく頑張りました。2月中には卒業できているはずです。

――台湾公演について、意気込みはありますか?

 お仕事で3、4回行かせていただいていたすごく馴染みがある国なので、いい意味で海外という気負いはないです。しっかりと私のできることを作っていけば、きっと皆さんにも楽しんでいただけると思っています。

――話題は少し変わりますが、2月2日に行われた「犬フェス」では、Tridentとしてサプライズ出演をされていましたね。

 Tridentの活動は3年前に終わったんですが、何かとほかのふたり(渕上舞、山村響)とは集まったり、ほかのお仕事でそれぞれと会ったりもしているので、そんなに前に終わった感じがしなくて。私たちとしては「ステージに立っていいのか」みたいな感覚もあったんですよ。その一方で「もう忘れられているんじゃないかな」みたいな話もしましたね(笑)。私たちとしては、あの出演はTridentとしてお世話になったフライングドッグさんの大きなイベントで、恩返しをするみたいな気持ちでした。

――改めて、2019年、アーティストとしての野望のようなものはありますか?

 ……まだ言えない(笑)。免許じゃなくて、何かしらやろうと思っていることはあります。でもそんなに大きなことではないので、あまり期待は持たないでください(笑)。

――では、最後に読者にメッセージを。

 多くの方のおかげで2枚目のアルバムをリリース、ツアーもできることになりました。私は「そんなにすごいことやっていいの? 大丈夫なの?」と考えてしまいがちで、周りから「やろうよ、きっと楽しいよ」と言われるのは相変わらずなんです。いろいろな機会を与えていただけることに追いつくのに精一杯な部分もありますが、まずは「楽しい」を第一にしたいと思っているので、その気持ちは忘れずに、お会いできる人たちと新しい思い出をこれからも作って行けたらいいなと思っています。今後も見守っていただけたらうれしいです。

取材・文/野下奈生(アイプランニング)

<PROFILE>
沼倉愛美【ぬまくら・まなみ】4月15日生まれ。神奈川県出身。アーツビジョン所属。2016年11月にシングル『叫べ』でソロ活動を開始。これまでにシングル4枚、アルバム1枚をリリース。声優としての主な出演作は『新幹線変形ロボ シンカリオン』(男鹿アキタ)、『FAIRY TAIL』(ブランディッシュ・μ)、『けものフレンズ2』(ゴリラ)など。

<リリース情報>
アルバム『アイ』
フライングドッグより発売中
初回限定盤:3,780円
通常盤:3,240円

<イベント情報>
2ndアルバム『アイ』発売記念イベントを下記日程で開催
3月3日(日)【1回目】13時/【2回目】15時 東京・富士ソフトアキバプラザ6Fセミナールーム1
※イベント参加券は、アニメイト秋葉原、AKIHABARAゲーマーズ本店、タワーレコード秋葉原店、ソフマップAKIBA1号店、とらのあな秋葉原店Bにて、2ndアルバム『アイ』(限定盤、通常盤とも)の購入者に先着で配布
※掲載時には配布が終了している場合もございます。ご了承ください。

<ライブ情報>
2ndライブツアー「アイ」
4月6日(土)開場17時、開演18時
大阪・なんばHatch

4月7日(日)開場17時、開演18時
愛知・ダイアモンドホール(名古屋)

4月12日(金)開場17時30分、開演18時30分
東京・中野サンプラザホール

4月20日(土)開場17時、開演18時
台湾・CLAPPER STUDIO(台北)

沼倉愛美公式サイト
http://numakuramanami.com/

沼倉愛美公式Twitter
@numakura_manami

《超!アニメディア編集部》
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