沼倉愛美 アーティスト活動を振り返る――新曲「みんなで!」は、“皆さんがいなければできなかった曲です”【インタビュー】 | 超!アニメディア

沼倉愛美 アーティスト活動を振り返る――新曲「みんなで!」は、“皆さんがいなければできなかった曲です”【インタビュー】

沼倉愛美がコンプリートベスト「みんなで!」をリリース。今作と2月16日(土)に行われるライブをもってアーティスト活動を終了する彼女にこれまでの活動についてや、収録曲の魅力を聞いたインタビューがアニメディア3月号に掲載さ …

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 沼倉愛美がコンプリートベスト「みんなで!」をリリース。今作と2月16日(土)に行われるライブをもってアーティスト活動を終了する彼女にこれまでの活動についてや、収録曲の魅力を聞いたインタビューがアニメディア3月号に掲載されている。超!アニメディアでは、本誌に掲載できなかった分を含めたロングインタビュー版を紹介。


■アーティスト活動の最後を飾るコンプリートベスト

――コンプリートベストと2月16日に行われるライブをもって、アーティスト活動終了と発表されました。終わりを決めたきっかけのようなものはあったのでしょうか?

 何かひとつ大きな出来事があってというわけではなく、いろいろな物事が複合的に関わってきての結果なんです。何かを例としてあげてしまうと、それひとつが理由だとなってしまいそうで、私自身もまだどんな風に気持ちを表現すればいいのか探している段階です。

――やりきった、というような気持ちがあった?

 うーん。まだやっていないことはあると思うし、今、私がやりきったと言ったら、もっと長く活動している皆さんに怒られてしまうような。ただ、この期間のなかでできることはできたと思うし、皆さんのおかげでこれからの人生を歩んでいくための支えを得ることができたと思っています。本当に、どう言えばいいのか難しいんですが。

――受け取る側からすると、どうしてもひとつ明確な理由があったほうが納得しやすいんですが、本人としては、いろいろあってのタイミングだったと。

 そうですね。


――活動期間は、2016年8月の『Animelo Summer Live 2016 刻-TOKI-』(アニサマ)から考えると、約3年半です。

 私のなかでは、ここまで続いていたことのほうが想定外でした。もちろん、続けばいいなという気持ちはありましたが、熱を持って一緒に作ってくださる方がいて、応援してくださる方が増えて、ここまで続けてこれた。それはすごく幸せなことだと思っています。例えばCDをリリースしてもまったく売れず、これでは続けられませんといつ言われても、気持ちよく感謝して終われるように、後悔のないものを作ろうという気持ちは一貫してありました。だから、どこで区切りが来ても、きっと同じ気持ちでいただろうと思っています。

――最後を飾るリリースは、ファンクラブ限定シングルの曲や新曲もすべて収録したコンプリートベストです。

 ファンクラブ会場限定で発売したCDは、今後聴きたいと思ってくださる人が現れても、もう手に入らなくなってしまう。それで、その2曲と最後に1曲新曲を収録したCDが作れたらいいな、という気持ちでした。そうしたら、「全部入れちゃいましょう」とスタッフの方からご提案をいただいて。すごくありがたかったです。

――限定シングル2曲と新曲についてもお聞かせください。まずは、限定シングル1曲目の「Come on New World!!」。

 ファンクラブイベントに合わせて初めて作った曲です。ファンクラブなので、とにかく身内で楽しく騒げる感じにしたかった。私からは、「いきものがかりさんの『じょいふる』のような曲を」とお願いしました。歌詞も書かせていただきましたが、「自分の楽しいことだけを思う存分やってかまわない。それをみんなで共有しようね」とだけ歌っています。当時、タオルを回せる曲も歌ってみたくて、それにも合った曲になりました。一度ソロのライブを経験したあとに作ったので、ライブで歌うことに特化した流れで作れました。

――もう1曲の限定シングル曲は、諏訪彩花さんと歌った「わたしたち」。

 この曲はもともと、ファンクラブイベントにゲストに来ていただく方と一緒に歌う曲として考えていたんです。最初は、もっと普遍的な感じで、なんて思っていたんですが、蓋を開けてみたら諏訪ちゃんとしか歌えない曲になっちゃいましたね。

――歌詞はどのような気持ちを込めて書いたのでしょうか?

 諏訪ちゃんとは事務所の先輩・後輩関係ですが、同い年でもあるんですね。同い年だからこそ話せることもたくさんあって、この関係をどう表すんだろうと考えて書いていきました。

――レコーディングについては?

 先に私が仮歌を歌って、表現については諏訪ちゃんにお任せして。キーが高くて難しかったかもしれないけれど、彼女は割となんでもできちゃう人なんですね。なので、心配もせずにいたら、あまり作り込まず、私といるときの素の感じを出してくれて、すごくありがたかったです。

――「(相手を)うらやましいと思っている」といったニュアンスの歌詞がありますが、諏訪さんに対してうらやましいと思っていることは?

 彼女には心を開きやすいんですよね。出会ったばっかりでも相手に壁を作らせない人柄がある。それは私にはないものなので、そういうところですね。

――そして、新曲の「みんなで!」。

 制作時の私のトレンドだったOfficial髭男dismさんかWANIMAさんみたいな曲がいいなというお話はさせていただいて、「沼倉さんだったらWANIMAでしょう」と言われて、方向が決まりました。普段は詞を書くときは使えそうなワードをメモしておくんですが、この歌は、曲が来てから言葉をあてていきました。

――ファンの人に向けた思いがギュッと詰まっている歌詞ですね。

 この曲に限らず、タイアップ以外で詞を書かせていただいたものは、全部それしか書いていないんですよね。今回の歌詞も、みんなが笑顔だったらいいなぁ、最後の景色はみんなの笑顔がいいなぁと想像して、レコーディングにもそういう気持ちで臨みました。

――ファンの人が生で聞いたら感動して泣いてしまいそうですよ。

 笑ってほしいんですけどね(笑)。

――でもとても、ファンの方への信頼が感じられます。

 ちょっと強気に言い切っているところとかは、確かに信じる思いが出ているかもしれません。これを聞いてくださった皆さんが、応援してきてよかったと感じてくださったらうれしいです。

――「みんなで!」のMVは、ペンキを使ったにぎやかな映像です。

 もともとビジュアル周りにあまり意見を言うことはないんですが、レコーディングで「鮮やかなほうがいいよね」という話になって、バンドメンバーのみんなとつなぎを着て、それを汚しながらペンキを彩っていく感じがいいんじゃないかと思い、それを提案させていただきました。そのあとはプロデューサーの方とMVの監督さんにお任せでしたね。

――ジャケットは、とてもさわやかな印象です。

 最初に決まっていたのは、外がいいね、じゃあロケにしようくらいでした。撮影はいろいろな形でお花や自然も一緒に移していただいたんですが、結果的に空がきれいな写真をジャケットにしていただきました。

――アーティスト活動を振り返ってみて、印象的だったことは?

 アニサマのときは、アニメの映像をスクリーンに出していただいたことに、すごく助けられたなという印象があります。タイアップのある曲は難しいことも多かったですが、その分思い入れも強いです。ソロとしてのステージは、不安定だったなという印象で。緊張の種類がほかのイベントとは違っていたなと思います。

――ライブは、ライブハウスやホールでも行われました。

 ステージに立つ側としては、ライブハウスでもホールでも、お客さんから感じる熱量は変わらなかったんです。ライブハウスだと苦しそうな人がいないかちょっと心配するくらいで(笑)。特に名古屋のライブはかなり人でぎゅうぎゅうになっていたので、「言いたくはないけど、下がって」みたいなこともありました。

――アーティスト活動を経て、どんなことを得ましたか?

 声優として活動しているときは、お芝居ができるとか、歌が上手とか、能力や技術を認められてうれしい気持ちが大きいんです。でも、音楽活動に関しては、私の存在というか、私という人間そのものを認めてもらえたみたいな気持ちでした。私は自分の価値をずっと探していたので、とても救われました。

――今後、キャラクターソングなどで歌う機会はもちろんあるわけですよね。

 私自身、演じるということへの熱意は以前と変わらずにありますし、キャラクターソングはお芝居の一環だと思っています。そこはやめません、と自分から言うのはちょっと野暮かな? と思ってはっきり言えずにいたんですけど(笑)。アーティスト活動をしてみて、やっぱり歌のなかでも演じたがる自分がいるという発見があったんですね。改めて演じることが好きなんだなと気付かせてもらえた活動でもありました。

――アーティスト活動は、楽しかったですか?

 はい。

――きっと、ファンの方はそれを聞ければ満足なんじゃないかと思います。

 そうだったらいいですね。

――2月16日には最後のライブも控えていますが、読者へメッセージを。

「みんなで!」は、皆さんがいなければできなかった曲です。『アニサマ』から数えたら約3年半、みんながいたからこの曲にたどり着くことができました。本当に感謝の言葉しかありません。そういう気持ちを1週間後のライブではたくさん伝えて、みんなと一緒に笑顔で過ごすことができたら思い残すことはないと思います。よろしくお願いします!

取材・文/野下奈生(アイプランニング)

PROFILE
【ぬまくら・まなみ】4月15日生まれ。神奈川県出身。アーツビジョン所属。これまでに、シングル4枚、アルバム2枚をリリース。主な出演作は、『Dr.STONE』コハク役、『ノー・ガンズ・ライフ』メアリー・シュタインベルグ役など。

商品情報
「みんなで!」
フライングドッグより発売中
価格:4,500円(税抜)


 沼倉愛美のアーティストとしてラストリリースとなるコンプリートベストアルバム。これまでにリリースされた31曲に、ファンクラブ限定シングルに収録された2曲と新曲「みんなで!」を加えた全34曲収録。Blu-rayには、全7曲のMVを収録する。

沼倉愛美 公式サイト
https://numakuramanami.com/

《超!アニメディア編集部》
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