【インタビュー】『アニゴジ』監督の静野孔文&瀬下寛之に聞く第二章の見どころと製作秘話 -「宮野真守さんの演技に助けていただきました」 | 超!アニメディア

【インタビュー】『アニゴジ』監督の静野孔文&瀬下寛之に聞く第二章の見どころと製作秘話 -「宮野真守さんの演技に助けていただきました」

ゴジラ映画史上初の3DCGアニメーション映画となる『GODZILLA』(通称:アニゴジ)。「アニゴジ」は二万年もの間、地球に君臨し続けてきた<ゴジラ>と絶滅の縁に追い詰められながらもそれに抗う「人類」の物語で、全三部作 …

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 ゴジラ映画史上初の3DCGアニメーション映画となる『GODZILLA』(通称:アニゴジ)。「アニゴジ」は二万年もの間、地球に君臨し続けてきた<ゴジラ>と絶滅の縁に追い詰められながらもそれに抗う「人類」の物語で、全三部作で描かれる。2017年11月に第一章『GODZILLA 怪獣惑星』が公開、そして2018年5月18日(金)にはいよいよ第二章となる『決戦機動増殖都市』が公開予定だ。

 今回は監督を務める静野孔文氏&瀬下寛之氏にインタビュー。「アニゴジ」の魅力や第二章の見どころなどについてお話いただいた。

(左から)静野孔文氏&瀬下寛之氏

家督は間違いなく『シン・ゴジラ』、「アニゴジ」はいとこ?


――昨年、第一章となる『GODZILLA 怪獣惑星』が上映され、今ではNetflixでも配信されています。手ごたえなどは感じられましたか?

静野 先日の一夜だけの再上映で、若い女性の方が来てくださったのが私としては印象深いです。第一章が上映されたばかりの舞台挨拶だと年配の方や男性の方が多かったので、第一章が上映され、Netflixでも配信され、女性ファンが増えていることを実感できました。それが非常に嬉しかったですね。 

瀬下 僕も静野監督と全く同じ気持ちです。今回の「アニゴジ」はこれまで「ゴジラ」を観たことがない若い世代など、もっと多くの方々に「ゴジラ」を知って欲しいという狙いがあったので、老若男女に受け入れていただきとても嬉しかったです。

――「ゴジラ」といえば日本中のほとんどの人が知っているであろう歴史的な特撮怪獣作品です。そんな「ゴジラ」という存在・タイトルについて、お二人はどのような印象をお持ちですか?

静野 おっしゃる通り、「ゴジラ」は作品を観たことがない人でもなんとなくどういう形だと分かっちゃうくらい有名な存在だと思います。ただ、有名になりすぎちゃって、知らない人が制作する上で、急場しのぎで知識をいくら蓄えたところで、すぐににわかだと見破られてしまう。僕も正直、それほど「ゴジラ」シリーズに明るくなかったので、制作していくうえで真のゴジラファンの方に聞いて作っていかなければ、と思っていました。そうしたら、瀬下監督が非常にゴジラに詳しかったんですよ。だから瀬下監督に色々と教わりながら本作を形にしていきました。

瀬下 本作を入れたら30作目になる「ゴジラ」の歴史、例えば子供向けに目が大きく、動きがコミカルになった事もあるなどの変遷とか、ゴジラが口から放つのは火ではなく放射火炎であるなど、色々なことをお伝えしました。ただ僕は、真のゴジラファンの方とは比較にならないくらいライトなゴジラファンですけど(笑)。

静野 えつ、瀬下さんでライトなんですか?

瀬下 とてつもなく詳しい方々は世の中にたくさんいらっしゃいますよ(笑)。だから、僕としては、オリジナル「ゴジラ」シリーズの持つシンボリックな要素を本作の世界観の各所に引用させてもらう…くらいの意識で臨みました。

――本作は「ゴジラ」というシリーズのなかでも別の形の作品になるという位置づけを意識した?

瀬下 そうですね。家系図で言うと、家督を継ぐのは間違いなく『シン・ゴジラ』だと思いますから。「アニゴジ」はそうですね……いとこくらい?(笑)。

――本家と分家みたいな感じでしょうか?

瀬下 そうですね。だから、「ゴジラ」の表記も今回はアルファベットになっていたり。


――なるほど。先ほども言った通り、世の中に非常に浸透したシリーズである「ゴジラ」ですが、本作では初めて実写から3DCGアニメーションで展開することとなりました。新たな挑戦になりましたが、緊張や不安などはありましたか?

静野 スタッフ陣の「ゴジラ」熱が高く、しかも非常に優秀な方々が揃っていたので、個人的には自分の得意分野を作品にどこまで反映させて「アニゴジ」の魅力を引き出すか、ということに集中して作品作りに臨めました。

瀬下 東宝さんが初期段階で、いわゆるこれまでの特撮・実写作品としての「ゴジラ」の伝統を意識しなくていいと言ってくださいました。ですから、「アニゴジ」は自由にのびのびやろうと宣言してから作り始められたわけです。…とはいえ、やはりプレッシャーはあります (笑)。

――静野監督から“得意分野を”というお話がありましたが、本作はお二人の得意分野と言っても過言ではない3DCGで手掛けられたアニメーション作品です。お二人は3DCGのどういう点が魅力だと感じますか?

瀬下 3DCGの場合、物語の舞台をバーチャル空間上のセットとしてまず作ります。で、その中をバーチャルにロケハンしながら、効果的にストーリーテリングできる場面を設計していきます。そうすることで場面空間の情報量が豊かになり、結果的に各カットの説得へとつながり、観る人の没入感を増強します。その、いわば空間性が魅力だと感じています。

静野 僕は2次元の作画アニメーションと開発の工程が違うのが一番の魅力なのかなと感じています。手描きのアニメーションだと、絵コンテまでは監修できるのですが、その後は各作画さん、作画監督さんや演出さんにお任せすることが多いんですよ。だから、作画作業に入ると、どうしても着色して撮影するまでどんな感じに仕上がるのかが監督の立場としては分かりづらいんです。

ただ、コンピューターグラフィックス、特に今回、「アニゴジ」の制作を担当しているポリゴン・ピクチュアズさんの作り方は、レイアウトリール、アニメーションリール、エフェクトなどの開発工程を現実的に監督が見ることができる仕組みになっているんですよ。なので、手描きのアニメーションよりも完成のフィルムをより監督の理想により近づけることができる。それが一番の魅力なのかなと感じています。

――自身が思い描いていた方向性に作りやすい?

静野 そうですね。手書きのアニメーションよりも監督の意志が反映されやすいのが特徴だと思います。

――なるほど、3DCGと併せて本作ではセリフを先に収録してそれに合わせて絵を作成するプレスコ方式が採用されているのも特徴かと思います。プレスコ方式を採用されたことによる成果、手ごたえはどのくらい感じていらっしゃいますか?

瀬下 ハルオ役の宮野真守さんを筆頭に、役者さんたち自身が、それぞれの役を作り上げてくださいました。“声をあてている”というレベルを超えて、そのキャラクターが役者さんによって出来上がっていくというのを実感しました。

静野 ハルオの人物像を作っていくうえで宮野さんの演技には本当に助けていただきました。正直、ハルオの人物像を作り上げるのにすごく時間がかかったんですよ。とてつもない信念をもって<ゴジラ>に立ち向かうキャラクターが、どういったことで挫折し、力を取り戻すのか複雑で分かりかねるとことがあって……。

瀬下 脚本の虚淵玄さんが作られたハルオの原案は素晴らしいものでしたが、波乱の運命に翻弄され、憎悪と大義が混在した人格は複雑で、狂気ギリギリのキャラクターでした。ですが、あまりにギリギリだと観客に引かれてしまうような事にもなりかねず、あくまで英雄として描いていく難しさがありました。

静野 宮野さんの演技はそんな難しいキャラクターの方向性を示してくださいました。ハルオというキャラクターを作っていくうえで非常に大きな影響を受けましたね。

――ハルオのキャラクター像は宮野さんの演技にかなり左右された?

瀬下 かなりどころではなく、全面的に助けられました。

――宮野さんじゃないとこの作品は成立しなかったかもしれない?

瀬下 極論、そうかもしれないです。

――本作ではプレスコ方式を採用したことが非常に意味・意義のあることであったということがひしひしと伝わってきました。それくらいに各声優さんの演技が素晴らしかったのだと思います。

静野 プレスコ方式は声優さんがどこまでそのキャラクターになり切って演じてくださるかによって、私共が描くキャラクターにも影響がある作り方です。通常の収録方式よりも、委ねる部分が極めて大きい。

――声優さんの演技次第で方向性が変わることもある?

静野 変わる可能性はあります。事前に制作陣からキャラクターの外観や性格などは伝えて演技指導もしますが、そこから生まれてくる個性は声優さんの技によるものです。

瀬下 宮野さんの他、櫻井孝宏さん、諏訪部順一さん、梶裕貴さん、花澤香菜さんなど、本作は主役級のそうそうたるメンバーが声優陣として名を連ねています。皆さんの素晴らしい演技に、とにかく引っ張っていただきました。感謝です。


ユウコがロボットを上手く操縦できる理由

――ここまで「アニゴジ」全体のお話をうかがってきましたが、ここからは第二部『決戦機動増殖都市』についておうかがいできればと思います。「アニゴジ」第二部、いよいよ5月18日より公開がスタートしますね。

静野 第二部では冒頭から突然変な美少女が出てきて、地下で得体のしれない生物と戦うという怒涛の展開が待っています(笑)。しかも、第一章で名前だけが挙がっていた<メカゴジラ>が第二部ではキーワードになります。こういった点を始め、第一章よりもゴジラファンの方々に楽しんでいただける要素が盛り込まれていると思いますね。

瀬下 静野監督のおっしゃる通りです。付け加えると、主人公ハルオの更なる苦悩と葛藤、闘争が、まさに怒涛の群像劇として描かれるので、その辺りの人間ドラマはぜひ期待していただきたいですね。

――第二章では人類の生き残りとされる種族「フツア」の民も登場し、更には一章以上に種族による考え方の違いなどが浮き彫りになり、より人間ドラマが色濃く描かれます。

瀬下 初期段階から静野監督が、とにかく主人公にカメラが付いていきたいとおっしゃっていました。その方針には僕も虚淵さんも大いに賛同して、まさに人間ドラマにしましょうと盛り上がった。それが本作の柱となっています。

――人間ドラマも本作の注目ポイント?

静野 そうですね、間違いなく。

――その他、本作からの新たな要素としては、ヴァルチャーと呼ばれるロボットの登場が挙げられます。一ロボットファンとしては非常に胸が熱くなるアクションでしびれました。

瀬下 静野監督、出してよかったですね(笑)。

静野 本当に(笑)。第一章では「ガシャン、ガシャン」という稼働音で動く武骨なロボットで<ゴジラ>に挑みます。ただ第二章では、ある技術の存在によって、いきなりスーパーロボットが登場するんですよ(笑)。

瀬下 第一章で登場したのは、元々は惑星開拓用の重機で、それを改造して無理やり戦闘に使っているという設定です。ずいぶんもっさりとしたメカだな(笑)と感じた方もいらっしゃると思いますが、まさに二章で登場する「ヴァルチャー」との落差を出すための伏線でした。


――なるほど。確かに差の違いに驚きました。ヴァルチャーの操作という点でいえば日本人女性のユウコ・タニは非常にロボットの操作が上手という描写がありました。

瀬下 ユウコは、元々パワードスーツ部隊のエースという設定です。また彼女がこういった重武装兵器を扱うのに長けている理由は、強さに対する憧れです。ユウコは小柄でひ弱な自分にコンプレックスがある。ヴァルチャーは、「強くなりたい」という彼女の望みを叶えるガジェットになります。ただ、詳しくは言えませんが、同時にその事が彼女を苦しめることにもなります。

静野 その辺の展開は第二部のクライマックスで描かれます。本当にーーーー (※かなりネタバレが含まれたので検閲に引っかかりました)

――どこまで書けるか分からない、非常にギリギリのトークを展開いただきありがとうございました(笑)。ここまでハルオやユウコといったキャラクターの名前が挙がりましたが、お二人が本作で特に気に入っているキャラクターは誰でしょうか?

静野 そりゃ、<ゴジラ>ですよ。主役なので。これまで怪獣作品にあまり触れてこなかったので、今回制作に関わってその魅力にどんどん惹かれています。

瀬下 静野監督が<ゴジラ>を挙げられたので、あえてそれ以外なら、やはりハルオです。あと僕の場合…第二章では特にですが、異星人「ビルサルド」の技術士官・ガルグが好きです。ガルグって意外と納得性の高いことを言いますし(笑)。また、一章冒頭の回想シーンにある「待ってくれ、メカゴジラさえ動けば」というセリフこそ、彼の叶えたかった野望です。メカゴジラは絶対的な存在で、「俺のメカゴジラ」といったニュアンスがある。そういう素振りが見られます。そういう中二的なところが好きですね(笑)。

静野 編集しているときに、「ガルグがもしここでこんなセリフを言ったら……」というネタを色々と話すくらい、彼をフィーチャーしていました(笑)。

――な、なるほど(笑)。二章からのキャラクターで言えば、「フツア」の巫女である双子のマイナ・ミアナの存在も気になるところです。

静野 フツアの民を二章ではかなりミステリアスな種族として描いています。ただ、マイナ・ミアナがハルオと出会うことでどういう感情が生まれて、どうなっていくのか、それは三章で描いていきます。なので、二章ではマイナ・ミアナの立ち位置を気にしつつ、第三章も楽しみにしていただきたいなと思います。


<『GODZILLA 決戦機動増都市』情報>
2018年5月18日(金)公開
【スタッフ】監督/静野孔文・瀬下寛之 ストーリー原案/虚淵玄(ニトロプラス)
【キャスト】宮野真守・櫻井孝宏・花澤香菜・杉田智和・梶裕貴・諏訪部順一・ 三宅健太・堀内賢雄・中井和哉・山路和弘・上田麗奈・小澤亜李 他
【製作】東宝
【制作】ポリゴン・ピクチュアズ
【配給】東宝映像事業部


映画公式サイト
godzilla-anime.com

映画公式 twitter
@GODZILLA_ANIME

©2018 TOHO CO., LTD.

《超!アニメディア編集部》
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