【インタビュー】女王蜂・アヴちゃん、アニメ『東京喰種:re』ED曲について「どヤンキーサウンドだと思います」 | 超!アニメディア

【インタビュー】女王蜂・アヴちゃん、アニメ『東京喰種:re』ED曲について「どヤンキーサウンドだと思います」

人を食らう存在・喰種と喰種捜査官の戦いを描く『東京喰種:re』。現在「オークション掃討作戦」が進行中で戦いの行方が気になるが、女王蜂が歌うEDテーマ「HALF」も本編の展開と同じくらい視聴者の注目を集めている。原作者の石 …

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人を食らう存在・喰種と喰種捜査官の戦いを描く『東京喰種:re』。現在「オークション掃討作戦」が進行中で戦いの行方が気になるが、女王蜂が歌うEDテーマ「HALF」も本編の展開と同じくらい視聴者の注目を集めている。原作者の石田スイ先生とも仲よしというアヴちゃんに、楽曲制作にいたる気持ちを語ってくれたインタビューが、発売中の「アニメディア」5月号に掲載中。超!アニメディアでは、誌面で紹介しきれなかったロング版のインタビューをお届けする。

それでも生きていく!
突っ張ってきてよかった

──『:re』という作品の魅力は、どんなところですか?
 この作品はドラスティックな部分だけじゃなく、愛があるというか、人間性がすごく爆発するシーンもあって、そこにカタルシスを感じます。シリーズを通して、人間を食べる者と人間との戦いというテーゼがしっかりありながら、すでに単純なVS構図ではなくなっていて。どう終わるのか気になるし、スイ先生はこの作品を通じて「どんなことを伝えたいと考えているのか?」と思う一方で「ひょっとしたら、結局“何も無い”ということを描きたいのか?」とも思うし……。というのも、私たち自身もバンドとして、“何も無い”ということを書かないといけないと思っているんです。「何も無いけど、でもやっていくしかない」と。言い換えると「無情」ということですけど、そこに対して感傷的にではなく、押しつけがましくもなく、しっかり伝えるられるのが音楽だと思っています。

──『:re』のなかで好きなキャラクターは?
 (クインクス班の一員の米林)才子ちゃん! ゲーマーで、捜査官としてのヤル気はない風ですけど、めちゃめちゃいい子ですよね。彼女だけでなくクインクス班のメンバーって、みんなバンドのメンバーにいそうで。スイ先生とも「このメンバーでバンドをやったら面白そうだよね」とか「女王蜂もクインクス班のメンバーみたい」って話しています。

──原作者の石田スイ先生とは、今回EDテーマを担当される以前から交流があったそうですね。
 はい。最初は「週刊ヤングジャンプ」のあとがきに、スイ先生が「女王蜂を聴いてる」と書いてくださったことで。それを聞いて、ライブにお誘いしたら来てくださって、そのときに意気投合して以来、私が出演したミュージカルを観てくださったりとか、一緒にご飯を食べにいったりとか。スイ先生とは、仕事における気持ちとか、どう生きて行くかとか、個人的な深い話など、いろいろなことをお話させていただいていますが、ふだんは他人に感じないようなシンパシーを感じています。

──たしかに「HALF」の歌詞も、『:re』の世界観とすごくシンクロしていると感じました。この楽曲は『:re』のために書きおろしたものなのですか?
 じつは、この「HALF」という曲は『:re』のEDテーマを担当することが決まる前からできていたんですよ。作品の世界観と合致したと感じていただけたのは、すごくうれしいです。はからずも佐々木琲世という、「喰種と人間の間の存在」である人物が主人公の作品だったので、すごく運命的なリンクを感じました。タイアップありきで作ったのではない、今自分たちが歌いたいことを手加減せずに思いきり歌った曲だったからこそ、EDテーマとして選んでいただけたのだと思っています。ちなみにスイ先生はレコーディングにも来てくださって、後日、完成した音源をお渡ししたら「自分もひとつの音として参加できたような気持ちでうれしい」とおっしゃってくださいました。

──自分のルーツを隠したいと思う人もいますけど、「HALF」ではそれをあえて大上段から歌っていて。そこに対して、何かメッセージを発したいという気持ちがあったのですか?
 まったくなかったです(笑)。私自身、「ハーフ」という言葉はむしろ嫌いで、初対面の人から「どこのハーフなの?」って、小さいころからしょっちゅう聞かれて、そのたびに「何でそんなこと聞かれないといけないんだろう?」と思っていました。「私は今ここにいて、あなたと話しているだけなんだけど?」って。だから、女王蜂はメンバー全員がルーツも性別も非公表で……。それが、今このタイミングで、私たちが「HALF」という曲を歌うことに、強さがあると思うんです。きっと89秒のテレビサイズを聴くのとCDでフルバージョンを聴くのでは、言葉の響き方が変わってくると思いますね。それに、物語が進むにつれて、その回の終わり方によって、曲や歌詞の響き方も変化するんじゃないかな。

──辛辣さやダークさも感じられる歌詞のなかに、「ひかり」という言葉が出てくるのが、救いだなと感じました。
 天啓の光や蛍光灯の光など、いろんな“光”がありますが、私のなかでの“光”は、“自分から放たれる光”のことです。どんな闇にいても自分が発光していれば自分の周囲は見えるし、ずっと先の丘の上を見たかったら自分が「フンッ!」て頑張ってもっと発光すればいいだけで。闇とかディストピア然としたことだけを歌うのは簡単だけど、そのうえで「それでも生きて行く」と歌ったところは、はからずとも『東京喰種』という作品のメッセージと共通していると思っています。

──速くも遅くもないビート感が、よりグッと響く感じでかっこいいですね。
 自分たち的には“どヤンキー”サウンドだと思っています(笑)。あと、速いのか遅いのか、暗いのか明るいのか、言いきれないのが人間らしいなと。暗いだけ・明るいだけの人間なんていなくて、どっちもあるのが人間じゃないですか。

──人間には必ず両面あって、曲でもそういう意識を持っていると。
 そのほうが、私は好きなので。どんなテンションのときも聴ける気がするし。明るく励まされる曲も好きだけど、そこにちょっと香るタナトスというか、死のにおいみたいなものにグッとくるし。逆に“悲しみ然”とした曲のなかにちょっとした希望を持たせて、でもそれが潰えるものとか。そういう二面性に惹かれるんです。好みもあると思うけど、そういう感覚が合致して、ついてきてくれる人が増えたらうれしいですね。

─女王蜂として初のアニメテーマソングですが、その部分ではどんなお気持ちですか?
 自分たち自身がアニメのテーマソングをやりたかったので、すごくうれしいです。今はギャルでも普通にアニメの話をしますし、いい時代だなって思います。ただ蔓延しすぎると大事にされなくなることもあるので、そこは“ザッツ・アニメソング”というタイプの曲ではないことが、逆にいいのかなと思います。世の中に何かをぶちまけていくことって、ぶちまけることが目的になってしまいがちだけど、“何をぶちまけるか”をしっかり持っていることが大事で。それがあれば、決して楽曲の持つ意味が薄まることはないし、勝手に一人歩きしてどこかに届くこともあると思うんです。今回、私が大好きなアニメディアさんにこうして載ることができたこともそうだし、私も通っているアニメイトさんにもCDを置いていただけたのもそうだし。自分がよく行く場所に限らず、どんな界隈でも自分たちの音楽が鳴ることは、とても素敵なこと。会えなかった人に会えるのが楽しいですね。

──アヴちゃん個人としては、Netflixのアニメ『DEVILMAN crybaby』挿入歌「デビルマンのうた」や、『美少女戦士セーラームーンTHE 25TH ANIVERSARY MEMORIAL TRIBUTE』アルバムにも参加されていて。『デビルマン』も「人間と悪魔の間の存在」で二面性を持っているという意味で、「HALF」というテーマと通じるものがあるのかもしれませんね。
 そうですね。『セーラームーン』も戦う自分と恋をする自分という、両面があると言えるし。女王蜂自体に、二面性を感じてくれている方も多いですね。ちなみに私、セーラーウラヌスとセーラーネプチューンが大好きで、携帯電話の待ち受けもそのふたりだし、グッズも普通に使ってるくらいなんですよ!

──二面性という共通点から、女王蜂とそれらの作品とで引き合うものがあるのかもしれないですね。
 あるのかしら? あったとしたら、突っ張ってきたかいがありましたね。私はただやりたいことをやるという姿勢でやってきて、そこに少しでも小賢しさがあったら、きっとこうはなってなかったと思います。お客さんって鼻が利くので、そういうのはすぐにバレちゃうでしょ。

──「HALF」アニメファンにも広く浸透しそうですね。
 そもそも私は、オタでありギャルでありヤンキーなので、この私がいいと思うものは、きっとオタとギャルとヤンキーに「いい」と言ってもらえる自負があります。それに誰でもきっと、オタ、ギャル、ヤンキーのどれかを持っているものなんです。

──最後に、アニメディア読者に向けて何かメッセージを。
 誰でも好きなことを表現できる時代になったけど、そこで残っていくにはテーゼとクオリティが必要です。すごくたくさんアニメが放送されているなかで、私たち女王蜂を見つけてくれて、ズガンと恋に墜ちてもらえるように、つねに気を引き締めていないといけないなって思っています。それと、現在、絶賛ツアー中なので、ぜひライブにも足を運んでください。

──ライブって、行ったことのない人には怖く感じたりするものですけど、女王蜂のライブは怖くはないですよね。
 それは保証できません(笑)。ロックバンドのライブでよくあるダイブやモッシュのような、暴れる怖さはないけど、むしろ精神攻撃って言うか(笑)。でも体感としてあっという間に感じるくらい、きっと楽しいと思います。それこそ2.9次元じゃないけど、アニメやマンガをひとりで観ているような没入感があると思うし。何よりアニメ好きの私のライブなんだから、アニメ好きの方にも絶対にハマっていただける自信があります!

<プロフィール>
【じょおうばち】2009年に結成。メンバーはアヴちゃん(Vo)、やしちゃん(B)、ルリちゃん(Dr)、ひばりくん(G)。2011年にアルバム『孔雀』でメジャーデビュー。映像、ファッション、ダンス、アート、音楽を融合したステージが音楽シーンを飛び超えて人気を博している。これまでに映画『モテキ』メインテーマなど担当。現在全国ツアー2018「H A L F」を開催中。

<CD情報>
HALF/女王蜂

<テキスト>
「HALF」は明るさと暗さが同居した独自の色合いを持ったダンスロック。C/Wには、「HALF」と同時にできた双子曲となるミディアムバラードの「FLAT」を収録。初回生産限定盤のみダンスナンバーの「80’s」などを収録し、通常盤のジャケットは石田スイ先生描きおろしのアヴちゃんのイラスト。

<データ>
発売中
ソニー・ミュージックアソシエイテッドレコーズ 
初回生産限定盤:1,620円、通常盤:1,080円(各税込)



《超!アニメディア編集部》
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