放送中のTVアニメ『ブラッククローバー』のOPテーマ「ハルカミライ」を含むシングル「#HAL」を11月22日にリリースする感覚ピエロ。その制作秘話を聞いたインタビューが、『アニメディア11月号』に掲載されている。「超!アニメディア」では本誌記事内でお届けしきれなかった部分も含めたインタビュー全文をご紹介する。
ーーこれまで、ドラマ『ゆとりですがなにか』の主題歌をはじめ、アニメ界隈では水樹奈々さんやLiSAさんへの楽曲提供でも知られる感覚ピエロ。『ブラッククローバー』のOPテーマ「ハルカミライ」は、初のアニメタイアップ曲ですね。
秋月 めちゃめちゃうれしいです。「週刊少年ジャンプ」でずっと読んでいた作品のOPですから。メンバー全員むちゃくちゃテンションが上がりました。
横山 とは言っても、アニメソングを作ろうという意識だったわけではなくて。あくまでも僕たち感覚ピエロとしての曲を100%で作って、一緒にいいものを作っていきましょうという感じで迎え入れてもらえたので、それはすごくうれしかったです。
ーープレッシャーみたいなものはありました?
秋月 めちゃめちゃありましたよ。人気マンガのアニメ版のOPですから、作品の顔になるわけだし。でも僕らなりの全力のいい曲を書いて、自信を持って届けたいと思いました!
ーー「ハルカミライ」は、AメロBメロとサビとのギャップがかっこよくて、違う曲が混ざっているみたいな雰囲気になっていますね。
秋月 今回は、ラップっぽいBメロを横山が作って、サビは僕が作って合わせているので。でも、こういう楽曲構成は僕らっぽいと思います。
ーーキメやブレイクがたくさんあって、OPの映像とハマってますよね。
秋月 そこは考えましたね。“アニメのOPってどんなんやろう?”と考えて。ド頭からキャッチーでかっこよくいきたいって思ったし、それでサビまで引きつけることができたら、アニメとしても僕らとしても大正解じゃないかと思いました。OPはどんな映像になるかな〜って想像してワクワクしながら作ったので、楽しかったです。
ーー「ハルカミライ」というタイトルは、主人公たちの夢に突き進む姿を重ねた部分もある?
秋月 それもあります。サビに入ってからのひと言目ってすごく大事で、メロディーを聴きながら考えているときに、ふと「ハルカミライ」という言葉が出てきて。それで、それをそのままタイトルにしたいなって。主人公アスタと幼なじみのユノの旅が始まって盛り上がっていく内容なので、ストーリーとも合うと思いました。
ーー感覚ピエロの楽曲は、今まではいい意味で少しひねくれたところがあって、それも含めたよさでしたが、今回はもっとストレートですよね。
秋月 本当にそうですね。実際に真っ直ぐに書きました。アニメを離れたところでも、何かで葛藤している人の背中を押してあげられるものになったらいいなと思っています。
ーー歌詞に「ページ」と出てくるところは、グリモワール(魔導書)を連想させるところですね。
秋月 そうですね。「グリモワール」って直接的に出さずに、 (言葉にするのではなく)匂わせつつ、ハマる感じを目指しました。
ーー改めて原作を読んでどうでしたか?
秋月 魔法が大前提の世界なのに、主人公がまったく魔法を使えないという設定が面白いですよね。そこから努力で上に行くというのは、ジャンプの王道だし。男の子は魔法が大好きなので、くすぐられるポイントは多いと思います。
横山 主人公のアスタが、最果ての田舎出身で。僕も北海道の田舎の出身なんですよ(笑)。だからアスタが抱える憤りとか、「絶対に魔法帝になってやる」と言いながら仲間を増やして旅を続けるところに、勝手に共感を覚えていて。
秋月 身長が小さいところも似てるよな(笑)。
横山 田舎出身のコンプレックスを持ちながら、“それでもこうなりたいんだ”という信念と折れない心で、うちのバンドはやってきたところがあって。すごく共通点を感じるので、この作品とタッグを組めて、とても良かったなと思いました。
ーーアスタとユノなら、どっちが好きですか?
横山 いや〜ムズいっすね。
秋月 そこはアスタっていうべきだろ(笑)!
横山 アスタがユノを「ライバルだ」っていう気持ちで、自分がアスタに似ているからこそ、ユノが好きだなって思うんですけど。
ーー横山さんがアスタで秋月さんがユノかと。
秋月 タイプでいえばそうですね。あと、うちのドラム(西尾健太)はガタイがいいので、ヤミですね(笑)。ノエルはいないけど。
ーーアスタの決めゼリフに「諦めないのが俺の魔法だ」というのがありますが、バンド活動で諦めそうになったときはどうしますか?
横山 何度もありましたけど、挫折を感じる間もなく、何くそ根性でずっとやっているのがうちのバンドです。僕らの根底には、他の人がやっていることと同じことをやってもつまらないというのがあって。ライブハウス時代もフェスに出ても、たくさんのバンドがいるなかで、どう突き抜けたらいいか考えてやってきたし。
秋月 アスタはアンチの存在で、僕らの活動の仕方もバンドシーンではアンチだったので、周りからいろいろ言われることも多かったです。でも自分たちのやりたい気持ちを優先させていった結果、今がある。そこは、作品とも重なるところですね。
ーー小学生ファンが増えたら、ドラマ『ゆとりですがなにか』の挿入歌でもある「O・P・P・A・I」 は封印ですか?
秋月 いやいや、やりますよ(笑)。タイアップ曲になるとエロさがなくなってエモくなるのが、ぼくら感覚ピエロの“あるある”で。でもそういうギャップがあるのも僕らのよさと言うか。
横山 今の音楽はその場で消費されていくものが多いけど、「ハルカミライ」は、10年後に聴いても新しい発見を与えてくれる曲になりました。それをアニメ主題歌として聴いてもらえることは、ひとつ足跡を残せたんじゃないかと思います。今の小学生が10年後に思い出して聴いてくれたら、そのときは「O・P・P・A・I」の良さもわかってもらえるんじゃないかな(笑)。
(取材・文=榑林史章)
◆プロフィール
感覚ピエロ【かんかくぴえろ】 横山直弘(Vo&G)、秋月琢登(G)、滝口大樹(B)、西尾健太(Dr)。2013年に大阪で結成して、自主レーベル&マネジメント「JIJI RECORDS」を設立して活動。独立自営のスタイルを貫き、インディーズながらドラマ『ゆとりですがなにか』の主題歌「拝啓、いつかの君へ」や映画『22年目の告白-私が殺人犯です-』の主題歌「疑問疑答」などを担当した。水樹奈々やLiSAへの楽曲提供も行っている。
<シングル「#HAL」情報>
11月22日発売
ブラッククローバー盤:1,620円、通常盤:1,296円
JIJI INC.
アニメ『ブラッククローバー』のOPテーマとなっている「ハルカミライ」は、圧倒的なパワーとストレートに突っ走るイントロからの力強いメロディー、ラップ調の歌、サビメロでは突き抜けるような爽快感を味わえる。感覚ピエロの特徴的なメロディーは、一度聴いたらくせになる。ストーリーともばっちりハマった歌詞も感動的に胸を打つ。ほか2曲収録。通常盤とアニメジャケット盤の2形態で発売される。
ブラッククローバー盤
通常盤