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【インタビュー】『劇場版 Infini-T Force/ガッチャマン さらば友よ』松本淳監督が語る劇場版の見どころとは -「劇場を意識した作りと原点回帰」

2018/2/24


 2018年2月24日(土)より公開がスタートした『劇場版 Infini-T Force/ガッチャマン さらば友よ』。TVシリーズの続編として制作された本作では、TVシリーズに続きガッチャマン、テッカマン、ポリマー、キャシャーンが活躍。加えて、科学忍者隊の創設者の南部博士やコンドルのジョーが登場するということでも話題を呼んでいる。超! アニメディアでは、本作の監督である松本淳監督にインタビューを実施。本作の見どころのほか、理想のヒーロー像などについてじっくりと話をうかがった。

本来映像をつくるとはこういうことなんだろうな

――『劇場版 Infini-T Force/ガッチャマン さらば友よ』がいよいよ公開されます。本作はTVシリーズからの続編となりますが、劇場版を制作するにあたって特に意識したことを教えてください。

今回は劇場での公開となるので、TVと比べて見せ方を多少ゆったりにしています。ディスプレイが大型化しているとはいえやっぱり劇場のスクリーンよりもTVのスクリーンは狭いんです。だから、TVの絵作りだとキャラクターの顔が重要になってくると思うんですよ。その時にその人がどういう感情で喋っているのか、顔のアップを見せるのが一番分かりやすくなるはずなので。

――なるほど。

対して劇場だとスクリーンが広く、放映時間もTV放送1話分の尺よりも長い。だから、情景もじっくり見せることができるので、その点は意識して制作しました。本編でセリフもなく人も動かないのに、夜の街を延々と見せるシーンがあります。あのシーンはまさに劇場ならではの作り方を見せたいという意図がある部分ですね。

――劇場で公開されることを意識して見せ方や演出を変えたんですね。

音も同様です。空を見上げるととても低い音がする、あれも効果さんが「TVじゃ絶対にできない」とおっしゃられていました。劇場で見るとTVでは表現できない迫力を感じていただけるのではないかと思います。

――TV版では鈴木監督が指揮をとられていましたが、劇場版で監督を務めるにあたり、何か相談などはされましたか?

僕が本作の脚本作業に入る前にTVシリーズの脚本は既に完成していたので、それは事前に目を通していました。アドバイスという点では、CG映像会社のデジタル・フロンティアさんが絵作りの中核になっていたので、通常の手書きアニメとは違うシステム・流れについて鈴木監督に色々と話を聞きました。大変勉強になりましたね。

――なるほど、通常のアニメと違うという点では今回、プレスコに近い形でアフレコ収録も行われていますよね。

まずはアクターの方がモーションキャプチャでキャラクターの動きを作って、その動きに併せて声優さんが声をあてる、そしてその声の感情に併せてまたモーションキャプチャのアクターさんが表情を作っていくという、行ったり来たりのやり方でした。

――これまでそういった手法を取った経験はありましたか?

全然やったことなかったです。この形式でやってみて、本来映像を作るというのはこういうことなんだろうなと感じました。手書きのアニメだとやっぱり効率重視で無理した作り方になってしまうときがあるんですよ。本来は俳優さんの芝居を活かせる形で作品を作っていくのがいいんだろうなと今回思いました。

――キャラクターの動きだけでなく、芝居の面でもそれは活きてくる?

手書きアニメのアフレコの場合、無理に声優さんが絵に併せている場合があります。それが自然にハマっているのはやっぱり声優さんの技術なんですよね。なので、生の人間の俳優さんが動きをやった芝居だと声も乗せやすかったのではないかなと思います。

ーーお話をうかがっていると本作は実写とアニメの中間くらいの作品になっているのかなと感じました。

そうかもしれません。モーションキャプチャに挑戦したのは初めてでしたが、アニメを作っていくうえでとても勉強になりました。

ヒーローたちが主人公になる視点にしたい

――ここまで演出面のお話を中心にうかがってきましたが、ストーリー面で特に意識した点を教えてください。

TVシリーズはTVシリーズで面白かったのですが、ガッチャマン、テッカマン、ポリマー、キャシャーンといったヒーローたちをオンタイムで見ていたファンからすると、ヒーローたちの活躍が少々物足りないと感じる部分がありました。なので、TVシリーズで形成されたキャラクターは守りつつも、オンタイムでヒーローの活躍を観ていた世代が感じる「物足りなさ」は解消したいなと思っていました。

――なるほど。TVシリーズは、キーキャラクターであった界堂笑の成長物語でもあったと思います。

そうですね。むしろヒーローたちは主人公ではなくて、笑を助けるキャラクターという立ち位置だった気がします。だから本作では笑ではなく、ヒーローたちが主人公になる視点にしたいと思ったんですよね。

――だから、コンドルのジョーや南部博士を登場させたんですね。

それもありますが、ジョーに関してはプロデューサーの方々から「出してほしいな」というお話があったんですよ。

――ジョーはプロデューサー陣からの要望だったんですね!

実はそういう経緯がありました(笑)。ジョーはタツノコプロさんが持っているコマの中ではかなり強いと思います。だから、ジョーを登場させたいと聞いたときは「そんな強いコマを僕に打たせるのか」と思いましたね。

――歴史あるキャラクターだけに、プレッシャーにもなりますよね(笑)。そんなジョーが出てくる作品といえば、タツノコプロさんの名作『科学忍者隊ガッチャマン』です。監督は『ガッチャマン』という作品に対してどのような印象を持たれていますか?

私はオンタイムで『ガッチャマン』を見ていた世代ですが、当時は本当に画期的なアニメが始まったと思いました。子供だったので言葉がすべて理解できていた訳ではありませんが、絵がとにかくリアルで、色彩も華やかでしたね。セルアニメの時代はまず色数がそもそも少なく、しかもあまりキレイな色ではなかったんですよ。そんな中で色の合わせ方で洗練されたオシャレな感じを表現していたのが、『ガッチャマン』でした。

――それくらい、画期的な作品だったんですね。

SFの設計や考証がかなり凝っていたのも印象的でした。その凝り方は理科の授業で先生が「あれはこういうことだぞ」と説明するくらいだったんですよね。半面、アクションでもしっかり魅せるシーンがあり、画期的なアニメだったと思います。本当に新しい形のアニメで、チャレンジングなことだったのではないでしょうか。

――監督はそうやってこれまでアニメの様々な変遷を見てこられたんですね。

本当に、困ったものですよ(笑)。大人にならないままです。学生の頃の友人と酒を飲むときにも、未だにアニメの話をするんですよね。もうそろそろいいだろうって思うんですけど(笑)。

――いやいや、この業界で働きたいと思って足を踏み込んだ一人間として、監督みたいな方は憧れですよ!

憧れだなんて……よくないことですよ(笑)。でも、ありがとうございます。

作品の多面性に気づいてもらえると嬉しいです

――先ほどは『ガッチャマン』のお話を中心にうかがいましたが、監督が考える理想のヒーロー像とはどういったものでしょうか?

難しいですね……。というのも、ヒーローは見る人の立場や視点によって、誰が“ヒーロー”になるのか変わると思うので。例えば、織田信長は当時生きていた人にとって、ヒーローというだけでなく、ヴィラン(悪役)に見えていた人もいると思うんです。だから、ヒーローは主観的なものなのかなと思っています。そういう意味では、僕個人としては金田一耕助やドラマシリーズ『TRICK』に登場する上田次郎のような人物がある意味でヒーローですね。

――どういう点がヒーローと感じますか?

ちょっと見栄を張っていて、この人ダメなのではと思われているような人が譲らない点を見せたり、ある領分だけではちゃんとしたりする行為が僕は好きなんですよ。特に上田次郎なんかはそうなのですが、普段はいい加減でぼんくらなんですけども、ヒロインの山田奈緒子のことはとても大切にしているんですよね、実は。そういうキャラクターに好感が持てます。

――やはり、人によってヒーロー像は全然違いますね。

そうですね。僕個人としては、普段スポットの当たらない、ヒーローに見えないような人がヒーローとして輝く瞬間がとても好きです。ただ、本作ではそういうヒーローは登場しません。それはタツノコプロさんのヒーローがみんなマッチョ、悩むけれど自分を犠牲にしてまで戦うという輝かしいキャラクターだからだと思います。ぼんくらな僕から見て眩しいくらいです。

――立場によっても見方は変わりますよね。一方ではヒーローとされていてももう一方では悪に見えるというのは少なくない話だと思います。

社会の常識が変わるによって求められる正義も変わると思います。だから、何が正義なのか、何がヒーロー的な行動なのかというのを個人・個人で考えてみるというのが大切なのかなと思いますね。実は本作のスタッフとの打ち合わせ時にも正義や悪についての話をしたことがあるのですが、誤解している人が多かったんですよ。

――誤解?

バードスーツ隊員が悪役だと思っている人が大半だったんです。彼らは確かにヒーローたちと戦いますが、単に組織に雇われている、ガードマンに近い立場なんですよ。南部博士が悪役として登場するのも、ボタンの掛け違いで悪人になってしまうかもしれないという話だと思うんです。本作では、そういう作品の多面性に気づいてもらえると嬉しいですね。

――監督のヒーロー像についてお話いただきありがとうございました。もう一点、監督ご自身のことについて聞かせてください。本作はタツノコプロ55周年記念作品ですが、監督が小さい頃から続けていることはありますか?

強いて言えば目が覚めたときに仕事や勉強、友人関係のことなど、色々と考えるというのは続けていることだと思います。意図的にではなく、パッと目が覚めたときに自然と考えているんですよね。

――寝る前ではないんですね。

寝る前に考えると暗くなっちゃうんですよね(笑)。また、寝ている間に脳が情報の整理をするらしいので、僕は目が覚めたときに考えるようにしています。

―ーここまで、作品のこと・監督自身のことも色々とお話いただき、ありがとうございました。最後に劇場版の見どころを改めて一言お願いします。

ストーリーは作品を観ていただくしかありませんが、映像はCGのリアルな映像表現と手書きでいい形にデフォルメされた中間くらいの表現をしています。もちろんTVシリーズも同様でしたが、劇場版ではさらにキャラクターを追うようにカメラを動かしていますので、その点に注目いただきたいですね。

あとはアクション。アクターさんの動きがそのままキャラクターのアクションになるよう仕込んでいますので、かなり迫力があります。元々タツノコプロさんのヒーローはビームなどでなく、素手で戦うのが特徴だったようにも思います。そういう意味では原点回帰にもなっているかもしれません。手で調整せずに動かしているアクションもぜひ楽しんでいただきたいですね。

■作品情報
タイトル:『劇場版 Infini-T Force/ガッチャマン さらば友よ』
公開時期:2018年2月24日(土)
配給:松竹
出演:関 智一(ガッチャマン/鷲尾 健)、櫻井孝宏(テッカマン/南 城二)、鈴村健一(ポリマー/鎧 武士)、斉藤壮馬(キャシャーン/東 鉄也)、茅野愛衣(界堂 笑)、遠藤 綾(佐々岡)、鈴木一真(コンドルのジョー/ジョージ浅倉)、船越英一郎(南部博士)
監督:松本 淳(『閃光のナイトレイド』『PERSONA -trinity soul-』監督)
脚本:熊谷 純(『PSYCHO-PASS サイコパス 2』脚本、『アクエリオンロゴス』シリーズ構成)

プロフィール
松本 淳【まつもとじゅん】。アニメーション監督。主な監督作品は『閃光のナイトレイド』、『BROTHERS CONFLICT』ほか。

■作品あらすじ
戦いの末に自分たちの世界を取り戻し、それぞれが生きるべき場所へと戻ったガッチャマン=健、テッカマン=城二、ポリマー=武士、キャシャーン=鉄也の四人。しかし彼らはある目的のため、笑と共に再び時空を超えて一つの世界へと降り立った。そこは平和を脅かす人類の敵「ギャラクター」が猛威を振るい、それに対抗するガッチャマン率いる「科学忍者隊」が戦い続けた世界。だが、その世界の様子に違和感を覚える彼らの前に、一人の男が姿を現す。それは科学忍者隊の創設者、南部博士。見知ったはずの健に不審な表情を向ける南部は、ヒーローたちに思わぬ言葉を告げる。「どうやら君たちは私の敵らしい」と……。そして、その様子をビルの上から見つめる一つの影があった。それは健と共にギャラクターと戦い続けた、科学忍者隊のナンバー2。その名を“コンドルのジョー”。4大ヒーローの新たなる激闘が、スクリーンで幕を開ける!

公式HP
http://www.infini-tforce.com

公式Twitter
https://twitter.com/Infini_TForce

 (c)タツノコプロ/Infini-T Force 製作委員会



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