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<アニメ・マンガ妖怪よもやま話>『十二国記』にも登場するする「麒麟」という存在にまつわる話

2019/11/9


 
 アニメ・マンガ作品における定番ジャンルでもある「妖怪」のことを、ちょっとだけアカデミックに解説する「アニメ妖怪よもやま話」。アニメ雑誌「アニメディア」で連載していた本コーナーが「アニメ・マンガ妖怪よもやま話」としてWEBで復活。今回は、アニメ化もされた小説『十二国記』シリーズにも登場する「麒麟」という存在について、奈良県在住の妖怪文化研究家・木下昌美が語る。
 
 
 異世界を舞台に壮大な物語が繰り広げられる、小野不由美さんによる小説『十二国記』の最新刊『白銀の墟 玄の月』が2019年秋、18年ぶりに発売されました。多くの読者が待ちに待っていた刊行で、売れ行きは絶好調のようです。本作は2002年にアニメ化もされ、そこで作品の人気はさらに高まりました。小説とアニメとでは設定などに少しずつ違いがありましたが、アニメはアニメであるからこその面白さがありました。なにより動く楽俊(らくしゅん)のかわいさといったら……。飛びついてモフモフしたいと思っていたのは、私だけではないはずです。
 
 さて、本作において重要な存在のひとつは「麒麟」です。麒麟が天意にしたがって王を選び、その王が世を統治するというのが、この物語の骨格だからです。麒麟自体が王になることはなく、あくまで補佐をすることで世界のバランスを取ります。王が天意に背いた政治をとると麒麟は病み、病にかかった麒麟が死んでしまうと王も命を落とす。つまり彼らは運命共同体なのです。慶国の陽子(ようこ)と景麒(けいき)、雁国の尚隆(しょうりゅう)と六太(ろくた)、載国の驍宗(ぎょうそう)と泰麒(たいき)らがその関係にあたります。
 
 麒麟は中国神話にたびたび登場する霊獣です。江戸時代の図解入り百科事典『和漢三才図会』にも麒麟についての記述があります。それによれば、鹿の身体で牛の尾を持つようで、馬の蹄があり、体は五彩。腹の下は黄色。背の高さは一丈二尺(約3メートル60センチ)。一角がある。生きた虫や草は踏まない。王者の政が正しく、恵み深く行われている場合は必ず姿を現す――と書かれています。しかし日本において麒麟の話は聞かれませんので、中国を舞台にしてこそ現れる霊獣であると言えるでしょう。
 
『和漢三才図会』にある「生きものを慈しむ」「王のもとに現れる」といった解説は、『十二国記』に登場する麒麟の姿と大きく重なることがわかります。最新刊『白銀の墟 玄の月』では戴国を中心にストーリーが展開されます。王と麒麟のドラマは、どのように展開していくのでしょうか。私も『白銀の墟 玄の月』を読み進めているところですが、相変わらずの面白さですよ。そしてまた、いつの日か、本作が全編アニメ化されればよいのに……と、ひっそりと願っています。

 

解説:木下昌美
<プロフィール>
【きのした・まさみ】妖怪文化研究家。福岡県出身、奈良県在住。子どものころ『まんが日本昔ばなし』に熱中して、水木しげるのマンガ『のんのんばあとオレ』を愛読するなど、怪しく不思議な話に興味を持つ。現在、奈良県内のお化け譚を蒐集、記録を進めている。大和政経通信社より『奈良妖怪新聞』発行中。
 
●挿絵/幸餅きなこ 撮影/高旗弘之


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