アニメアイ出身イラストレーター・御手洗直行が実践!アニメディア×色彩検定プレゼンツ●春男子配色術 | 超!アニメディア

アニメアイ出身イラストレーター・御手洗直行が実践!アニメディア×色彩検定プレゼンツ●春男子配色術

ひとつのイラストでも配色を調整することでイメージがこんなに変わる!「色」に関する知識や技能を習得できる「色彩検定」の監修のもと、人気アニメーターの矢野茜が配色を実践。イラストにおける「色」の重要性を語る。ここでは、アニメディア9月号に掲載しきれなかっ…

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 ひとつのイラストは配色を変えるだけで、イメージがこんなに変わる――。色に関する知識や技能を習得できる「色彩検定」の監修のもと、本誌読者投稿コーナー「アニメアイ」出身のイラストレーター・マンガ家である御手洗直行が、オリジナルキャラクターを描きおろし。オリジナルの配色パターン以外に2パターンの配色を実践してもらい、イラストにおける「色」の重要性を語ってもらった。ここでは、アニメディア6月号に掲載しきれなかったインタビューやイラストと、その解説を余すことなくお届けしよう。

<色彩のセオリーをヒントに
ときには思いきった配色を> 御手洗直行


 私がイラストを描くようになったきっかけは、小学5年生のときに放送していたTVアニメ『魔動王グランゾート』。とにかくハマって、本作の作画監督やゲストキャラデザインを務められていた芦田豊雄先生の絵の模写をするようになったんです。そして中学時代にカラーインクを使ってアナログのイラストを描くようになり、高校時代には毎月、アニメディアの読者投稿コーナー「アニメアイ」にイラスト投稿をしていました。当時は『忍たま乱太郎』『幽☆遊☆白書』『超魔神英雄伝ワタル』『封神演義』『名探偵コナン』で、いろんな絵を描いていました。

 当時はネット環境がなかったので、限られた書籍や、周りの人からの〝口伝〞で、イラストの描き方や彩色を少しずつ勉強しました。でもアナログだったので、想像どおりの色に塗ることも、塗り直しをすることも大変。水をのせてから塗ったり、間違えたらホワイトや色鉛筆で上から塗ったりと、あっちこっちから聞きかじった知識をもとに試行錯誤していました。それでも「この絵はどうにもならなかった……」と残念な思いをすることが多かったですね。また同人誌を作る際にも、フルカラー印刷はまだ価格が高くて、単色刷りや二色刷りを選択していたので、仕上がりの色を現在よりも明確に想像しなくてはいけませんでした。

 デジタル環境になって、塗りのハードルは格段に下がったと思います。何百回でもやり直しができるから、その手探りさえ頑張れば、必ずなんとか形になる。デジタルで描くようになって、私はようやく色に慣れたのかもしれません。その後、イラストレーター・マンガ家になりましたが、やはり彩色では何回もいろんなパターンを試しながら仕上げています。

 今回の企画では、私が思うままに彩色した、お花見を楽しむ男の子ふたりのイラストを、色彩検定の2級で学ぶ「テトラード」と「ヘクサード」の配色でアレンジさせていただきました。

 テトラードで使ったのは、赤、黄、青緑、青紫の基本色4つ。思いきった組み合わせですが、やってみると「なるほど!」と思える仕上がりになりました。理論的に調和することがわかっているから、あとはトーンをきちんと調整すれば大丈夫というか。もちろん、自分が感動した色の組み合わせであることが大事ですが、こういった色の選び方もありですし、やはり私もやっています。「好きだなぁ」と思った絵の配色が、じつは色彩のセオリーに則っていたりもするんですよね。自分のなかの「萌え」を大切にしながら、色彩の知識やセオリーも押さえて、あとは楽しく数をこなせば、イラストもその配色も、きっと上達すると思います。

 ヘクサードで使ったのは、紫みの赤、だいだい、緑みの黄、青みの緑、青、青みの紫。この6色を、ビビッドトーン(いわゆる純色)から彩度を落とさずに使うというチャレンジをさせていただきました。私の場合、ちょっとなつかしい絵柄やアニメっぽい絵柄で描くとき以外は、全体的に彩度を下げた形で仕上げてしまうことが多いんですね。今回のようなふんわりとした線画にパッキリした色を塗るのは新鮮な体験でした。でも、できあがってみると歌舞伎のような日本らしいカラフルさが感じられて、とくに左の子がよく似合っているなと思いました。私はふだんから、派手な絵と落ち着いた絵とで、もっと違った雰囲気を出せたらいいなぁと思っていたのですが、今回はそのヒントが改めて得られた気がします。ときには思いきった配色をしてみるのも手ですね。


<PCCSの色相環とは?>
 色の3要素のひとつである色相とは「赤」「青」といった色味の違いのことである。色相環は、心理4原色と呼ばれる「赤」「黄」「緑」「青」をベースに、色相を24分割の円環でまとめたものだ。類似色や反対色の関係をひと目で確認できるため、イラストの配色をする際に便利。色相と、明度と彩度を融合した概念・トーンによってPCCS(日本色研配色体系)が成り立っている。


<御手洗直行がチャレンジしたコーディネートはこちら>
・テトラード(上図参照)
 色相環を4等分した4色配色。今回は、2:R(赤)、8:Y(黄)、14:BG(青緑)、20:V(青紫)の基本色4つを使い分けている。

・ヘクサード
 色相環を6等分した6色配色。今回は、1:pR(紫みの赤)、5:O(だいだい)、9:gY(緑みの黄)、13:bG(青みの緑)、17:B(青)、21:bP(青みの紫)を使い分けている。

 上記の多角形部分を回転させて、まったく違う色も試してみよう。

 

<オリジナルコーデ①>
▲着彩前の線画。線は細めで、この時点では茶色に設定されている。彩色作業のために基本色や影などの各部分ごとに、しっかりレイヤー分けされている

<オリジナルコーデ②>
▲塗り分け作業。「基本的には、左の子はチャラっと。右の子はおっとり。派手な色は、左の子のジャージと右の子のマフラーに入れようと思いました」

<オリジナルコーデ③>
▲基本色の決定とグラデーションの作成。「私の場合、黒髪は青緑から紫にかけたグラデーションにして、毛先だけ黒で塗るというパターンが多いです」

<オリジナルコーデ④>
▲肌や目の仕上げ。「頬にはやわらかめ、額や首の影には硬めのエアブラシを使っています。ハイライトも入れて、パッキリしすぎないようにしました」

<オリジナルコーデ⑤>
▲影の作成。「影になりそうなところを、硬めのエアブラシで描いていきます。のっぺりしない密度の高い絵になるよう、私は影を多めにつけています」

<オリジナルコーデ⑥>
▲影の塗り分け。「描いた影のコピーレイヤーを作って、それぞれの下地に合う色に変更。透明度の低い消しゴムツールでグラデーションもつけます」

<オリジナルコーデ⑦>
▲模様入れ。「マフラー、シャツ、お重などの模様は、フリー素材集から。ジャージの白い点線は点線ブラシです。これで描き込み感がアップしました」

<オリジナルコーデ⑧>
▲背景の追加。「今回は人物がメインだったので、輪郭がないフリーの桜ブラシを使ってみました。奥の桜は左手前の桜よりも黄色が少しだけ強めです」

 

<テトラード①>
▲まずは配色を変える準備から。先に仕上げたオリジナルコーディネート完成絵より、左手前にある桜と舞っている花びら、影のレイヤーを非表示にする

<テトラード②>
▲背景には20:V(青紫)を採用。黒とのグラデーションを作って塗りつぶす。面積が大きい部分であるため、イラストが一気に夜桜の雰囲気に変化した

<テトラード③>
▲右の子のマフラーを2:R(赤)で塗る。「ふだんはオレンジ寄りの赤を使うことが多いです。チェックのマフラーは赤のイメージが自分にはありました」

<テトラード④>
▲左の子のジャージを14:BG(青緑)で塗りつぶす。「残る2色である青緑と黄色の使いどころで迷いました……。青緑は、右の子のズボンも候補でした」

<テトラード⑤>
▲最後にジャージのジッパー裏を8:Y(黄)で塗る。「黄色は左の子のズボンか、右の子のシャツに使うことも考えましたが、最終的に差し色にしました」

<テトラード⑥>
▲出そろったテトラードの4色。それぞれの明度、彩度を下げて、全体のバランスを調整する。グラデーションもつけると、かなり自然な印象に変化した

<テトラード⑦>
▲①で非表示にしていた影レイヤーを表示。色調補正で、それぞれの下地に合う色に変更する。またマフラーなど、模様との兼ね合いもチェックしている

<テトラード⑧>
▲左手前の桜と花びらのレイヤーを表示させ、細かい部分を補正すれば完成。全体の落ち着いたトーンと、花びらの明るい白とのメリハリがあって鮮やか

 

<ヘクサード①>
▲配色を変える準備からスタート。先に仕上げたオリジナルコーディネート完成絵より、左手前にある桜と舞っている花びら、影レイヤーを非表示にする


 ▲背景の変更。上段が1:pR(紫みの赤)、中段が5:O(だいだい)、下段が白色のグラデーションを作って塗る。イラストが一気に夕桜の雰囲気になった

<ヘクサード③>
▲背景の上段と同じく、1:pR(紫みの赤)で左の子のズボンを塗る。「テトラードで黄色を使いたかったけどあきらめた箇所。今回は派手な色にしました」

<ヘクサード④>
▲左の子のジャージを21:bP(青みの紫)で塗る。「オリジナルコーデ、テトラードとも緑系を使ったので、ガラッと変える意味でもこの色に決めました」

<ヘクサード⑤>
▲今回はヘクサードの6色をビビッドトーンで使用するため、ふたりの髪などの彩度も上げる。左の子のジャージの裏地には13:bG(青みの緑)を採用した

<ヘクサード⑥>
▲右の子のマフラーを9:gY(緑みの黄)で塗る。「面積が広いので全体の印象にも大きく関わります。オリジナルの青、テトラードの赤とも違う色で調整」

<ヘクサード⑦>
▲最後に残った17:B(青)を、右の子のシャツ柄に採用。おっとりした印象の右の子からスタイリッシュな印象が加わり、効果的なアクセントとなった

<ヘクサード⑧>
▲左手前の桜と花びらのレイヤーを表示させ、細かい部分を補正して完成。全体のビビッドなトーンと合うように、線の色を濃くしているのもポイントだ

 

【インターネット申込5月23日(木)まで受付中!】
色彩検定【夏期】
「色彩検定」は年2回、夏期と冬期に全国約400の会場で行われる。夏期は2級、3級、UC(色のユニバーサルデザイン)級を受検することができ、冬期はそれらに1級が加わる。今年の試験日は下記のとおりで、「色彩検定協会」公式WEBサイトにて現在、夏期検定の申込を受付中。今回、実践してもらったように、「色」や配色に関する知識や技術は、さまざまな場面において活用することができる。まずは色彩検定3級にチャレンジしてイラストの色彩表現に親しんでみよう。

●2019年度夏期検定
 6月23日(日)2、3 級・UC(色のユニバーサルデザイン)級
●2019年度冬期検定
 11月10 日(日)1~ 3 級・UC 級(全級)
 12月15日(日)1級2 次
※冬期検定の申込期間:8月1日(木)~ 10月10日(木)
※2019 年よりUC 級を夏期・冬期両方で実施

申込はこちら ※2019年度夏期検定の受付は終了しました。8月1日(木)より冬期検定の受付がスタート
https://www.aft.or.jp/exam/

 

 ※2019年よりUC級を夏期・冬期両方で実施決定

 色彩検定は年2回、夏期と冬期に全国約400の会場で実施される。夏期は2、3級を受検することができ、冬期はそれらに1級と「UC(色のユニバーサルデザイン)級」が加わる。今年の試験日は上記のとおりで、色彩検定の公式WEBサイトにて現在、夏期検定の申込を受付中。今回、実践してもらったように、「色」や配色に関する知識や技術は、イラストにも大いに役立てられるものだ。まずは色彩検定3級からトライしてイラストの色彩表現に磨きをかけてみるといいだろう。

 

●イラスト・解説/御手洗直行(みたらい・なおゆき)

<プロフィール>
イラストレーター・マンガ家。現在、『おたくマンガ家・御手洗直子の「育児日記」』(たまひよ)、『となりの沼の住人たち』(マイナビニュース)を連載中。代表作はコミックエッセイ『31歳BLマンガ家が婚活するとこうなる』(新書館)など。よく使うソフトはComicStudio。

 

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《超!アニメディア編集部》
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