1996年2月27日に『ポケットモンスター 赤・緑』が発売されてから30周年を迎えたことを記念する楽曲プロジェクト「ポケモンオールスターズ 1025」。
同楽曲の作詞作曲を手掛け、歌唱も担当したのはオーイシマサヨシ。9月3日に行われた「ポケモンオールスターズ 1025」ミュージックビデオ公開記念発表会に登壇し、ゲストのアン ミカ、八木勇征(FANTASTICS from EXILE TRIBE)と共にポケモン愛を語った。あわせて、オーイシが「ポケモンオールスターズ 1025」の中から、特にお気に入りのポイントTOP3も発表。
さらに同日、アニメ!アニメ!はオーイシへの単独インタビューを実施。1025匹ものポケモンの名前を1曲に詰め込むという前代未聞のオファーを受けたときの心境から、約22分におよぶ超大作の制作秘話、ポケモンの名前を並べるうえでのこだわりまでたっぷりと聞いた。
◆「みんなが主役だ 脇役はどこにもいない」オーイシマサヨシが楽曲に込めたメッセージ

――1025匹ものポケモンの名前が登場する楽曲を作ってほしい、とオファーを受けたときはどう思いましたか?
オーイシ第一印象としては、「正気じゃないな」と思いました(笑)。まさか、こんな超大作のバトンが僕に回ってくるとは、という気持ちでしたね。でも、オファーをいただいたときにすごくうれしかったのが、「どうしてもオーイシさんにやっていただきたい」と言ってくださったこと。とても強い熱意を感じまして、「これは絶対に一大プロジェクトになるぞ……!」と思いながら、「ぜひ!」とお受けしました。
ただ、僕ひとりの力ではたぶん作れないだろうな、というのも最初から感じていて、ポケモンサイドのスタッフさんはもちろん、こちら側でも信頼できる音楽クリエイターのみんなに声をかけて、たくさん協力してもらえたらということで、まずは座組作りから始まりましたね。
――歌詞にある「みんなが主役だ」という言葉は、ポケモンにぴったりのテーマだと思いました。ポケモンサイドの方から「こういう曲にしてほしい」といったリクエストはあったのでしょうか?
オーイシ「令和版『ポケモン言えるかな?』的な曲になればいいよね」というお話は、オファーをいただいたときにありました。また「ポケモン1匹1匹に差がないように」ということも言われたのですが、それはどちらかというと僕自身が「そうありたい」と思っていて。なので、サビの「さあ みんなが主役だ 脇役はどこにもいない」というフレーズは、逆に僕のほうから提案したものなんです。そこから「これを主軸にしながら楽曲を展開していきましょうか」ということで、そこからもいろいろとコミュニケーションを取りながら作っていきましたね。
――冒頭が『ポケモン言えるかな?』の「ピカチュウ カイリュウ ヤドラン ピジョン~」から始まるのも、初代からのポケモンファンとしては熱いものがありました!
オーイシありがとうございます! 「こういうオマージュがあったら面白いよね」というアイデアはこちらから提案させていただきました。
やっぱり30年の歴史を振り返ったときに「このフレーズ、聞いたことがある」とか、「こういう歌あったよね」とか、どこか聞き馴染みがあるものをいろいろな場面に散りばめられたらいいなと思いながら作曲していきました。
アニソンフェスでも、先んじて213匹バージョンを歌わせていただいているのですが、初見の皆さんでも、さすがに「ピカチュウ カイリュウ~」のくだりから「ズバット ギャロップ」まで、もうコール&レスポンスができるんですよ(笑)。それを見て「これはポケモンの遺伝子だ!」と思って。皆さんそれぞれが持っている“ポケモンの歴史”を感じながら曲を作らせていただきましたし、今はパフォーマンスもさせていただいていますね。

――1025匹のポケモンの並べ方は、どのように組み立てていったのでしょうか?
オーイシ何億……いや、何千億通りもの組み合わせ方があって、思い返しても、それはそれは大変でした(笑)。さらに「ここにこのポケモンを持ってきたらピッタリだな」と思っても、すでに使っちゃってたりして。「あ、もうこのポケモン名は使えないんだ!」というくだりを、何度もやってしまいましたね。なので、スプレッドシートのような形で「このポケモン名はもう使いましたよ」とわかるようなチェック機構をスタッフさんに用意していただきました。
基本的には、ポケモンの名前の“音感”といいますか、実際に口にしたときに「この並び、気持ちいいよね」というところを中心に選びつつ、進化などの関係性があるポケモンを並べたり、全タイプを並べてみたり、地方ごとにまとめてみたり。いろいろと工夫しています。ただ、それでも「あれ、このポケモン名って言ったっけ?」「まだ言ってないや」となるので、一度登場したポケモンの名前を重複させないというのは、やっぱり意外と難しかったですね。
あと、作っていて思ったのが、「ポケモン名って、こんなに韻を踏めるんだ!」ということ。韻を踏めそうな名前はたくさんあるだろうなとは思っていたんですけど、実際にやってみるといろいろな発見があって、それがめちゃくちゃ面白かったですね。
――今後、アニソンフェスなどでも歌われていく楽曲になると思いますが、この曲を歌いこなすコツがあれば教えてください。
オーイシ例えばカラオケで歌うときって歌詞が出るじゃないですか。でも、この曲は歌詞を追いかけていたら、たぶん歌えないんですよ。もう本当に記憶するしかない(笑)。僕が作った自分自身の曲の中でも、一番難しい曲になったんじゃないかな。
でも、難しいからこそチャレンジしたくなったり、歌いたくなったりするのが、やっぱり“オタクの性”だと思うので(笑)。ぜひポケモンオタクの皆さん、ポケモントレーナーの皆さんには、この曲にチャレンジしていただけたら非常にうれしいです。
そして、この曲を歌えたということは、ポケモン1025匹をすべて覚えたことにもなるので、周りのポケモン好きのみんなにも自慢できると思います。「俺、フルコーラス歌えるし(ドヤ顔)」みたいな(笑)。そういう自慢話のひとつにもしていただけたらうれしいですね。

――ちなみに、1025匹のなかで特に思い入れのあるポケモンはいますか?
オーイシすべてのポケモンに思い入れがあるんですけど、しいて選ぶならガマガルです。好きになったきっかけがありまして、僕のファンの中に“ガマガルおじさん”がいるんですよ(笑)。ガマガルが大好きなおじさまで、毎回ライブに足を運んでくださるのですが、全身にガマガルのグッズを身にまとっているので、すごく目立つんです。ライブでは皆さんが「オーイシ!」とか「こっち向いて!」とか声をかけてくれる中、その“ガマガルおじさん”だけは「ガマガル!」と言っていて(笑)。
この間、サイン会でその方とお話しする機会があったんです。実際にお話ししてみたら、すごくいいおじさまだったんですけど、短い時間の中で「推しポケモンは何ですか!?」と必死な表情で聞かれて(笑)。「ガマガルです」と答えたら、すごく喜んで帰られたんですよ。そこから僕もガマガルの魅力にどんどんのめり込んでいって……特性が「うるおいボディ」というのも推しポイントです(笑)。そういうきっかけもあって、今ではガマガルが大好きになりました。
――ありがとうございます。最後に、ポケモンファンの皆さまにメッセージをお願いできますか?
オーイシ僕の音楽人生をかけたと言ってもいいくらいの制作期間を経て、この超大作を完成させました。もちろんポケモン愛がたくさん詰まっていますし、僕自身の音楽魂もこもった楽曲なので、ぜひたくさん聴いて、覚えて、できれば全フレーズを歌ってほしいです。僕もこれからいろいろな場所でこの曲を歌って、皆さんと一緒にポケモン愛を伝えていきたいなと思っています。
そして、30周年という節目の年に、こういう夢のあるプロジェクトに携われたことを本当にうれしく思います。曲を作り終えて改めて感じたのは、30周年という歴史はゴールではなくて、きっとここからまた新しいスタートを切っていくんだろうなということです。
これからもポケモンと一緒にオーイシ自身も歩んでいきたいですし、いつかポケモンが1万匹に到達したときには、今度は「ポケモンオールスターズ10000」にチャレンジしたいですね(笑)。改めて、このプロジェクトに携わらせていただけたことに感謝しています。
◆【発表会レポート】オーイシマサヨシのMVお気に入りポイントTOP3

発表会では、こだわりが詰まった本楽曲のMVについて、オーイシが自ら選んだ「お気に入りポイントTOP3」を発表。「歯を噛みしめながら厳選させていただきました(笑)」と悩み抜いたことを明かした。
第3位は「タイプ別に曲調を変えて歌うところ」

ポケモンには全18タイプが存在するが、楽曲ではそれぞれの特性に合わせて曲調や歌い方も次々と変化していくパートがある。オーイシは「めちゃくちゃこだわり抜いて作らせていただきました」と胸を張り、制作には自身だけでなく、ポケモン好きの音楽クリエイターたちも参加していることを説明。「それぞれのクリエイターの“ポケモン愛”が詰まった音楽になっています」と語った。
中でもオーイシのお気に入りは“ゴーストタイプ”のパート。「まるでミュージカルの客席に紛れ込んだかのような、テーマパークに来たかのような没入感のあるパートになっています。アトラクションに乗っているような気分になってもらえたら」と、その魅力をアピールした。

これに同じく歌手として活動する八木は「本当にオーイシさん、すげえなってずっと思っていて」と感嘆。以前からオーイシの音楽を知っていたという八木は、「ここに来て、また最高を超えてくるかと思いました」と絶賛し、タイプごとに曲調や歌い方が変化していくことについても「聴き手も楽しいし、歌い手もすごく楽しめる曲なんじゃないかな。早くカラオケで歌いたい!」と意欲を見せた。ただし、楽曲は約22分の超大作。アン ミカから「“今から22分歌うね!”と、前もってみんなに言うとかないとあかんな(笑)」とツッコミが飛ぶと、会場から笑いが巻き起こった。
「どこかで八木くんの歌う『ポケモンオールスターズ 1025』を聴きたい!」とリクエストしたオーイシだったが、同楽曲はオーイシ自身が「相当難易度が高い」と認める一曲。歌詞が表示されていても「1個見逃すと、そこからどんどん転げ落ちていっちゃう」と、その難しさを説明していた。
第2位は「アニメやゲームなど、これまでのいろいろな作品のシーンがカットインで入るところ」

約30年にわたって展開されてきた『ポケモン』だけに、MVには「懐かしい!」と思わず声を上げたくなるような映像が次々と登場する。オーイシは、アニメやゲームなどさまざまなメディアを横断してひとつの映像に集約することは「かなり稀有なこと」だと話し、「それぞれのセクションで活動されているものをひとまとめにするって、すごく難しいことだと思うんです。それを今回実現していただけたのは、歌を作った本人としてめちゃくちゃうれしい」と喜びを語った。

アン ミカは「長年のファンの方にとっても、最近ポケモンを知ったお子さんにとっても、エモい感情やうれしい感情、いろんな感情が湧いてくる」とコメント。八木も「見ていて、すごくノスタルジーな感情になりました」と共感し、「記憶を改めて呼び起こしてくれることに、すごく尊さを感じる。曲調は明るくてポップだけどやっぱりどんどん感動してきちゃうんですよね」としみじみ。アン ミカも、次々と変化する曲調と映像に引き込まれたといい、自身が知らなかったポケモンについても「知ろうという気持ちになれる」と、新たな出会いを楽しんでいた。
そんなMVには、歌唱を担当したオーイシ自身も心を動かされたという。「本当に一視聴者としてMVを見ていられるんです。しかも、見ていて3回ぐらい泣きました」と告白すると、アン ミカは「あの頃の自分とも再会できるMV」と表現。世代を超えて、それぞれが歩んできたポケモンとの歴史を振り返ることのできる映像となっているようだ。
栄えある第1位に選ばれたのは、「さあ みんなが主役だ 脇役はどこにもいない」というフレーズ

オーイシは、1025匹すべてを歌うにあたって「仲間外れを作りたくない」という思いがあったといい、「それぞれに思い入れがある中で、“みんなが主役で、脇役なんていないんだよ”という大きなテーマで作りたいとずっと思っていました」と説明。その思いを象徴する言葉として生まれたフレーズを、約22分の楽曲の随所に散りばめたという。
さらにオーイシが振り返ったのが、1025匹目のポケモンをレコーディングした瞬間。長時間にわたる収録を「マラソンのよう」と表現し、「これで最後だ、というときに号泣しちゃいました」と告白。実際の音源にも泣きながら叫んだ声が収められているそうで、一度は録り直すことも考えたものの、その瞬間の臨場感を残すため、あえてそのテイクを採用したという。
このエピソードにアン ミカは「ずっと聴いていると、ここでさよならしたくない、もっと聴いていたいっていう気持ちになる。その声がすごくよかったです」と感動した様子。オーイシも「今聴いても、自分自身すごくエモい瞬間が録音できたなと思います」と振り返った。

また八木は、さまざまなポケモンの名前や曲調が目まぐるしく登場する中でも、「このフレーズがあるからこそ、軸が絶対にぶれない」と分析。「それぞれのポケモンは個性が違うけれど、すごく素敵なパワーワードがあるから、“みんなが主役”ということを曲を聴いていて忘れる瞬間がひとつもない」と、そのメッセージ性に心を打たれた様子を見せていた。










