皆さん、こんにちは。中国在住のライター・李だ。今回は『鬼滅の刃』の最新作『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』についてお話ししたいと思う。
2025年7月18日に日本で公開された『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』は、2025年11月14日についに中国大陸で公開を開始した。本作は中国公開前から非常に高い人気を集め、11日時点の前売りチケット販売額だけでも1.81億元（約38.5億円）を売上げ、中国の輸入アニメ映画における新記録を樹立した。
公開初日である14日には、興行収入が1.17億元（約24.9億円）に達し、21日までに5.65億元（約120.2億円）を突破した。本作は中国においてアニメ映画の金字塔になりつつあると言っても過言ではない。
日本アニメが人気を伸ばす一方、現在の日中関係が緊張している状況下をめぐり、その後予定されていた日本映画の中国大陸での公開は延期されたが、『鬼滅の刃 無限城編』は、そうした状況でも観客の熱意をまったく損なうことがなかった。公開初日である14日の午前0時の回は、ファンたちが一刻も早く映画を見られるように映画館へ殺到し、深夜上映であるにもかかわらず、北京や上海などの上映館は満員状態となった。
従来のアニメ映画と同様に、今回の『鬼滅の刃 無限城編』にも先着特典が用意された。映画館によって特典の内容は異なるが、映画ポスターやポストカード、アクリルスタンドなどの特典が一般的だ。さらに今回とくにファンたちが喜んだのは、上映時間155分の内容が一切カットされることなく、中国語字幕が追加されたのみで、日本で公開されたバージョンと完全に同一の内容で鑑賞できる点である。中国は輸入映画に対する審査がいつも厳しく、血なまぐさく暴力的なシーンが削除されるのが通例だが、今回のように一切のカットがないことは何よりだ。
中国では、ファンや愛好家が集まってコスプレし、アニメのキャラクターに扮して一緒に映画を見に行くことがあり、このような団体は「観影団」と呼ばれている。今回の『鬼滅の刃』の映画も例外ではなく、各地の都市でこのような観影団が見られた。竈門炭治郎、胡蝶しのぶ、猗窩座などのキャラクターが映画館の中に存在することで、臨場感が生まれ、雰囲気を一層活気づけていた。
私自身も鑑賞し、ストーリー、作画、音響効果のいずれをとっても非常に優れている作品だと感じた。映画館を出たあと、数人の観客と雑談する機会があったが、ほとんど全員がこの作品を賞賛していた。隣に座っていた観客は次のように語った。「映画全体を通じて最も印象的だったのは、猗窩座が結局、自身の内なる善で悪に打ち勝ち、『過去の自分』によって『現在の自分』に終止符を打ったことです。おそらく、彼自身にとってこれは一種の救いであり、解放だったのでしょう」
『鬼滅の刃』のアニメは2020年7月に中国で初めて公式導入され、Bilibiliにて有料会員で配信された。そして5年が経った今では、中国のアニメファンの間で知らない者はいないほどの人気作品となった。中国各地で開催されるコスプレイベントでは、『鬼滅の刃』は常に最も人気のある作品のひとつである。現在、中国大陸では、BilibiliやYoukuなどの動画配信サイトで、有料会員登録をすることで『鬼滅の刃』のアニメを視聴できる。
『鬼滅の刃』の関連グッズも非常に豊富で、どこのアニメショップに入っても、フィギュアやバッジ、アクリルスタンドなどの商品を見かける。映画の公開に伴い、関連グッズの価格も短期的に上昇し続けている。例えば、バンダイナムコより登場したGrandistaシリーズの猗窩座のフィギュアは、最近の猗窩座の人気急騰により、アニメショップではほぼ完売状態となっている。
中国のフリマアプリ「閑魚」では、映画公開前は約120元（約2,553円）で取引されていたが、現在の価格は約270元（約5745円）前後で、ほぼ倍額となっている。この高値状態は、短期的には変わらない見込みだ。
最近の日中関係により、アニメ産業にも一定の影響が見られるものの、中国のアニメ愛好家たちの『鬼滅の刃』への熱意は微塵も衰えていない。今後もアニメ産業における交流が、重要な意義を持つと信じている。
