2025年11月21日(金)21時より、日本テレビ系「金曜ロードショー」にて『竜とそばかすの姫』が放送される。細田守監督の最新作『果てしなきスカーレット』の公開を記念し、4週連続で細田監督作品を放送する“細田守月間”となる11月の3週目の作品だ。
この記事ではその作品概要やあらすじとともに、知っておくと本作をより楽しめそうな豆知識も紹介する。
『竜とそばかすの姫』とは/仮想世界<U>で、心に傷を抱えた女子高校生が大切な存在を見つける―あらすじ紹介
『竜とそばかすの姫』は細田守監督にとって、かつて『サマーウォーズ』で描いたインターネット世界を舞台に、『時をかける少女』以来となる10代の女子高校生をヒロインに迎えた作品となった。コロナ禍の真っただ中にあった2021年に公開されたにも関わらず、興行収入は66億円を数え、現在まで細田作品最大となるヒットを記録している。
本作で描かれるのは、母親の死により心に大きな傷を抱えた女子高校生の主人公が、もうひとつの現実と呼ばれる50億人が集うインターネット上の仮想世界<U(ユー)>で大切な存在を見つけ、悩み葛藤しながらも懸命に未来へ歩いていこうとする勇気と希望の物語だ。
『美女と野獣』をモチーフに、『サマーウォーズ』でも描かれ細田監督が得意とする、現実世界とインターネット上の仮想世界という2つの世界が絡み合うストーリーが繰り広げられる。中でも細田作品ならではの、高知県の仁淀川流域を描いた息をのむ美しい映像や、かつてないスケールで描かれたインターネット仮想世界、そして心の奥底までに響く音楽がみるものを圧倒する。

自然豊かな高知の田舎に住む17歳の女子高校生・内藤鈴(すず)は、幼い頃に母を事故で亡くし、父と2人で暮らしている。母と一緒に歌うことが何よりも大好きだったすずは、その死をきっかけに歌うことができなくなっていた。
曲を作ることだけが生きる糧となっていたすずはある日、親友に誘われ全世界で50億人以上が集うインターネット上の仮想世界<U(ユー)>に参加する。<U>では、「As(アズ)」と呼ばれる自分の分身を作り、まったく別の人生を生きることができる。歌えないはずのすずだったが、「ベル」と名付けたAsとしては自然と歌うことができた。ベルの歌は瞬く間に話題となり、歌姫として世界中の人気者になっていく。
やがて、数億のAsが集うベルの大規模コンサートの日がやってきた。突如、轟音とともにベルの前に現れたのは、「竜」と呼ばれる謎の存在だった。乱暴で傲慢な竜により、コンサートは無茶苦茶になってしまう。ベルは、そんな竜が抱える大きな傷の秘密を知りたいと近づく。一方、竜もまた、ベルの優しい歌声に少しずつ心を開いていく。やがて、世界中で竜の正体探し(アンベイル)が巻き起こる。<U>の秩序を乱すものとして、正義を名乗るAsたちは竜を執拗に追いかけ始める。
<U>と現実世界の双方で誹謗中傷があふれ、竜を二つの世界から排除しようという動きが加速する中、ベルは竜を探し出しその心を救いたいと願う。現実世界の片隅に生きるすずの声は、たった一人の「誰か」に届くのか。二つの世界がひとつになる時、奇跡が生まれる――。
【豆知識1】舞台はインターネット上の仮想世界!初報時は「『サマーウォーズ』路線?」「OZを彷彿」の反響も
前述のとおり、本作ではもうひとつの現実と呼ばれる50億人が集うインターネット上の仮想世界<U(ユー)>が物語の舞台とされている。細田監督といえば、『サマーウォーズ』や東映アニメーション時代の監督作『デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!』において、インターネットやデジタル技術が人々の生き方をどう変えていくかを描いてきただけに、この「インターネット世界」という舞台設定は初報時から大きな注目を集めた。
2020年末の公開情報の発表時、アニメ!アニメ!では「今回は『サマーウォーズ』路線?」「サマーウォーズのOZを彷彿させるビジュアルだなと思っていたら、今作も ≪U≫というインターネットの世界が舞台!」といったTwitter(現X)での反響とともに、<U(ユー)>を描いたコンセプトアートを紹介していた。2021年の公開からはや4年。今もなお絶え間なく変化を続けるインターネットの世界を、当時の細田監督がどのように切り取ったのかについて注目しながら観るのも、本作の楽しみ方のひとつといえるだろう。
・【豆知識2】竜のキャラデザは細田監督が直々に指名!ディズニー大物アニメーターの参加も/スタッフについて
そんな本作は、参加スタッフに日本屈指のクリエイターたちが名を連ねる。竜のキャラクターデザインは細田監督が「この人が描く竜が良い!」と直々に選んだという、緻密かつ幻想的な世界観で多くのファンを持つ秋屋蜻一が手掛けた。
また、<U>世界の作画監督は東映時代の細田監督の師匠であり『デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!』以降の細田作品すべてに参加している山下高明、現実世界の作画監督とキャラクターデザインは同じくほぼすべての細田作品に原画や作画で携わる青山浩行が担当しているのも見どころだ。
そんな中でも特に目を引くのは、ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオで『塔の上のラプンツェル』、『ベイマックス』、『アナと雪の女王』など数多くのキャラクターデザインを手掛ける大物アニメーター、ジン・キムがCGキャラクターデザインで参加していることだろう。ジン・キムが歌姫ベルのデザインを手掛けたことは、アニメ!アニメ!でも公開前の報道時に記事化していた。
そんなジン・キムは、最新作『果てしなきスカーレット』でもスカーレットと聖のキャラクターデザインを担当しており、先ごろアメリカで行われたプレミア上映で同作を初鑑賞のうえ細田監督と対面を果たしている。
このたびの「金曜ロードショー」で『竜とそばかすの姫』、そして劇場で『果てしなきスカーレット』と、ディズニー大物アニメーターが描いたキャラクターの活躍を立て続けに堪能するのも良さそうだ。
【豆知識3】森川智之、津田健次郎、小山茉美、宮野真守ら豪華声優陣が脇を固める!/キャストについて
キャストでは、主人公の女子高校生すず役は本作が声優初挑戦となったシンガーソングライターの中村佳穂が務めた。本作ではセリフだけでなく“歌の力”が重要なファクターだ。それだけに、細田監督が「歌を大事にしていて、歌からも愛されているということ。歌との距離が近い。そういった意味で唯一無二な人」と絶賛する彼女が抜擢されたそうだ。
また、すずの幼馴染で女生徒の憧れである“しのぶくん”こと久武忍役は、新海誠監督の『君の名は』でも声優を務めた俳優の成田凌が演じる。熱血男子の“カミシン”こと千頭慎次郎役には、『おおかみこどもの雨と雪』以来、細田作品ではお馴染みの染谷将太が配された。

さらに、校内の人気者“ルカちゃん”こと渡辺瑠果役でモデル・俳優の玉城ティナ、すずの親友“ヒロちゃん”こと別役弘香役で本作が声優初挑戦だった音楽ユニット「YOASOBI」のikuraこと幾田りらも盛り上げる。すずの父親役で、『バケモノの子』以来3作品連続で細田作品への出演となった、名優・役所広司が息を吹き込んでいるのも見逃せない。そして、すずのアバターである“ベル”がインターネット世界<U(ユー)>で出会う嫌われ者“竜”を演じるのは俳優の佐藤健だ。
このようにキャストも豪華な面々だが、声優ファンにとってはこのほか物語の脇を固めるキャラクターたちの声も気になるところとなるはず。森川智之、津田健次郎、小山茉美、宮野真守といった豪華声優陣も出演者に名を連ねているのだ。
森川は<U>の秩序を乱す竜の正体を暴こうとする自警団・ジャスティスのリーダーであるジャスティン役、津田は「竜の正体探し」の中で候補にあがる現代美術アーティスト・イェリネク役を務める。小山は同じく「竜の正体探し」で疑惑の人となる豪邸に住む貴婦人・スワン役、宮野は「竜の正体探し」を盛り上げるYoutuber・ひとかわむい太郎&ぐっとこらえ丸の二役を担当した。
公開前の発表当時、森川と宮野はコメントも寄せている。「監督とは同い年ということもあり、アニメ業界・声優業界の遍歴も同じ時代を歩いてきているので、とてもフィーリングが合いました」という森川は、役どころとその収録時について「私が担当したジャスティンという役はストーリーの中でも特に異彩を放つ個性派のキャラクターの一人です。もちろん、とても注目されている作品でもあるので、否が応でも、演技に力が入りましたが、実際のアフレコは、監督との細かで、率直なディスカッションのもと楽しく収録できたので、完成が楽しみです」と述べていた。

また、細田作品には『バケモノの子』に続く2度目の出演となった宮野は、「『バケモノの子』の時の『一郎彦』とは、全然違う印象のキャラクターになります。『ひとかわむい太郎』と『ぐっとこらえ丸』です(笑)。なんと、二役(笑)実際のアフレコでは、細田監督と、丁寧にディスカッションを重ね演じていき、宮野の新境地をかなり開拓してもらいました(笑)」と話したうえで、「キャラクターのネーミングから、もう既に楽しい空気が伝わってきますが、どんな役柄になっているのかは、楽しみにしていてください」と期待を誘っていた。
森川、津田、小山、宮野ら演じるキャラクターの活躍も楽しみながら物語を堪能したい。
「ある種『異世界』的でもあるけど、実はこの世界とつながっている」細田監督からコメント到着/『果てしなきスカーレット』新情報も
このたびの「金曜ロードショー」での放送にあたり、細田監督からコメントも届いた。細田監督は本作と最新作『果てしなきスカーレット』の共通点として、ディズニーのレジェンドアニメーターであるジン・キムの参加にも触れつつ「『竜とそばかすの姫』で描いたインターネット世界<U>のアニメーション表現を発展させたもの、それが『果てしなきスカーレット』の≪死者の国≫の表現に繋がっているのです。ある種『異世界』的でもあるけど、実はこの世界とつながっているという、遠いようで近い世界を描いている点も<U>との共通点かもしれません」との言葉を寄せている。
また今週も番組の後半で、本日11月21日に公開を迎えた細田監督の最新作『果てしなきスカーレット』から、主人公の王女・スカーレットと日本の看護師・聖が心を通わせる重要なシーンが特別に初公開される。ぜひ最後までお見逃しなく。
日本テレビ系「金曜ロードショー」の“細田守月間”3週目の作品となる『竜とそばかすの姫』は、本日11月21日(金)21時より放送される。
<以下、コメント全文掲載>
細田守監督

もうひとつ、2つの作品では共通点があります。『竜とそばかすの姫』で描いたインターネット世界<U>のアニメーション表現を発展させたもの、それが『果てしなきスカーレット』の≪死者の国≫の表現に繋がっているのです。ある種「異世界」的でもあるけど、実はこの世界とつながっているという、遠いようで近い世界を描いている点も<U>との共通点かもしれません。
そんな場所を舞台にした今日放送の『竜とそばかすの姫』と今日公開の『果てしなきスカーレット』、なにもかも対照的な2人のキャラクターの出会い、そしてラブロマンス的要素、という共通点もふくめて、是非お楽しみください!
【放送日時・作品情報】
11月21日(金)よる9時00分~11時29分 ※放送枠35分拡大
『竜とそばかすの姫』(2021)※本編ノーカット
◆監督・脚本・原作:細田 守
◆作画監督:青山浩行
◆CG作画監督:山下高明
◆CGキャラクターデザイン:ジン・キム、秋屋蜻一
◆美術監督:池 信孝
◆CGディレクター:堀部 亮、下澤洋平
◆色彩設計:三笠 修
◆声の出演
すず(内藤鈴)/ベル:中村佳穂、しのぶくん(久武忍):成田凌、カミシン(千頭慎次郎):染谷将太
ルカちゃん (渡辺瑠果):玉城ティナ、ヒロちゃん(別役弘香):幾田りら 、すずの父:役所広司
竜:佐藤健
【今後の放送ラインナップ】
◆今夜9時『竜とそばかすの姫』※本編ノーカット
◆11月28日よる9時『時をかける少女』※本編ノーカット
◆12月5日よる9時『ズートピア』※本編ノーカット
◆12月12日よる9時『ウィッシュ』※本編ノーカット
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