個性がぶつかり合った『いせかる3』ED!鈴木このみ・伊東歌詞太郎「君色、僕色」リリース記念インタビュー | 超!アニメディア

個性がぶつかり合った『いせかる3』ED!鈴木このみ・伊東歌詞太郎「君色、僕色」リリース記念インタビュー

アニメやゲームの主題歌、テーマソングなどを歌うアーティストに楽曲について語ってもらう雑誌「メガミマガジン」のインタビュー企画「Megami’sVoice」。2025年11月号には、『君色、僕色』をリリースした鈴木このみ・伊東歌詞太郎が登場。

特集
注目記事
個性がぶつかり合った『いせかる3』ED!鈴木このみ・伊東歌詞太郎「君色、僕色」リリース記念インタビュー
  • 個性がぶつかり合った『いせかる3』ED!鈴木このみ・伊東歌詞太郎「君色、僕色」リリース記念インタビュー
  • 個性がぶつかり合った『いせかる3』ED!鈴木このみ・伊東歌詞太郎「君色、僕色」リリース記念インタビュー
  • 個性がぶつかり合った『いせかる3』ED!鈴木このみ・伊東歌詞太郎「君色、僕色」リリース記念インタビュー

アニメやゲームの主題歌、テーマソングなどを歌うアーティストに楽曲について語ってもらう雑誌「メガミマガジン」のインタビュー企画「Megami’sVoice」。2025年11月号には、『君色、僕色』をリリースした鈴木このみ・伊東歌詞太郎が登場。

互いの存在に強い影響を受けた曲

――お2人で『異世界かるてっと』(以下『いせかる』)シリーズの主題歌を担当するのは、劇場版『異世界かるてっと ~あなざーわーるど~』の主題歌「メロディックロードムービー」以来ですね。

鈴木「メロディックロードムービー」でご一緒したあと、私のファンクラブイベントに歌詞太郎さんがサプライズで登場してくれたことがあるんです。それがすごく楽しく、また一緒に歌いたいと思っていたので、今回ご一緒できてうれしかったです。

――伊東さんがスタッフの扮装でステージにやってきて、鈴木さんが全然気づかなかったんですよね。

鈴木そうなんです!本人の前でモノマネまでしちゃったんですよ(笑)。でも、そんなご縁がいまもつながっていたことがとてもありがたいです。

伊東「メロディックロードムービー」のときは、一緒に制作できるタイミングがなかったんですよね。それが、今回は仮録音で一緒に歌えて、マスタリングも一緒にできると聞いていたので、すごく楽しみでした。

――『異世界かるてっと3』(以下『いせかる3』)のEDテーマ「君色、僕色」は「メロディックロードムービー」と同じく、作詞・作編曲の担当がヒゲドライバーさんです。曲を聞いた際の感想を教えてください。

鈴木「メロディックロードムービー」のときは、得意なテンポとレンジだったので、曲を聞いたときから自分が歌う姿が想像できたんです。でも、今回の「君色、僕色」は、いつもの自分よりも穏やかな、歩いているときに感じるそよ風のような曲だなと感じました。そこで、自分としても落ち着いた声色を使ってみようか、少し低いトーンにしてみようかと、いろいろなチャレンジを考えたんです。

伊東曲そのものよりも制作面の思い出になるのですが、アニメのタイアップ曲ということもあって、ヒゲさんの思いにアニメサイドの意向が入って、曲が変わっていくさまが勉強になりました。また、僕は完成した音源よりも半音高いキーをプッシュしていたんです。でも、鈴木さんチームが完成音源のキーを押していて。そこのすりあわせができるのも、一緒に作ることの妙だなと思いました。

鈴木「君色、僕色」を聞いたときに、歌詞太郎さんが歌っている絵のほうが強く思い浮かんだんです。しかも、プリプロで一緒に歌ったときの、歌詞太郎さんのAメロの歌い出しがすごく素敵で、私もそれに合わせてトライしたかったんですね。半音上げるといつもの私になってしまうので、完成版のキーで挑戦したいとお願いしました。

――伊東さんは曲を聞いたときに、鈴木さんが感じたような「伊東歌詞太郎らしさ」を感じましたか?

伊東「君色、僕色」は2人で歌うことが前提の曲なので、あまり意識しませんでした。僕は、タイアップをいただいたとき、中間を取ってしまうと、作品にも自分にも失礼だと思うので、作品と自分が完全に一致したところだけを狙って制作するんです。ですから、今回のレコーディングも、鈴木さんと僕のアーティスト性の一致するところに行くのが当然だと考えていたので、ヒゲさんからいただいた楽曲を僕と鈴木さんでどう料理して美味しいものにできるかだけを考えていました。

――レコーディングでは、どのように歌うことにポイントを置いていましたか?

鈴木プリプロで一緒にレコーディングブースに入り、声を合わせて雰囲気を掴んでから本番のテイクに入りたいとお願いしたんです。一緒にブースに入ったのは、初めてですよね?

伊東そうですね。同じ空間にマイクを2本立てて歌えたんですよ。

鈴木目と目を合わせて歌えたことも大きかったのですが、それ以上に歌詞太郎さんがライブのように、ずっと身体を動かしているのが印象に残っていて。私が先に本番テイクを録ったのですが、最初の1コーラス目は、いつもの自分すぎて物足りなかったんです。そこで、プリプロの歌詞太郎さんを思い出して、いつもよりもオーバー気味に動いて、歌詞太郎さんの自由さと、私のいつもの疾走感を出す気持ちで歌いました。歌詞太郎さんの動きをトレースしたら、テンションがかなり変わって、コラボすることの楽しさを実感しました。

伊東僕は逆に、どんな環境になっても心を動かさないことの大切さを学びました。もともと僕は、ライブとレコーディングを一致させるように考えて歌っているのですが、そうするとどんどん無意識に歌うようになっていくんです。ひとりでも、鈴木さんが目の前にいても、大勢の観客の前でも全部が同じになる。でも、鈴木さんが目の前にいて、同じ空気のなかで掛け合って歌えるというのはいつもと違う環境なので、無意識で歌っていてもその存在に影響を受けることがあると肌で知ることができました。

――伊東さんは、鈴木さんの本番テイクを聞いたあとでレコーディングだったんですよね。

伊東そうですね。鈴木さんが先に僕の動きをトレースしたといってしまったので、本当にわかってたのかと思われるかもしれませんが(笑)、鈴木さんの声の振り幅が前後に出ているような印象でした。鈴木さんの曲のすべてを聴けているわけではないんですが、それでも、僕が知る限りもっとも前後の振り幅が大きいように感じました。レコーディングまでは、鈴木さんは例えていうなら「硬い枕」のような歌い方をすると思っていたんです。でも、思っていた以上に「柔らかい枕」をイメージさせる歌い方で、僕も想定よりもリラックスして自由に歌えました。

鈴木「柔らかい枕」っていいですね!すごくうれしいです。それはまさにプリプロで歌詞太郎さんからもらったエッセンスだと思うんです。私は歌うとき、つねに新しい自分しか見つけたくないので、その新しさが伝わってよかったなという気持ちです。

――完成した音源を聞いての感想はどうでしたか?

鈴木歌詞太郎さんの声は、この曲に合うんだなと思いました。「メロディックロードムービー」はバチバチとこぶしを交えているような曲でしたが、「君色、僕色」はアニメサイドからも「戦いではない方向の歌い方で締めてほしい」とリクエストがあったんです。それは私にとっても課題でしたが、歌詞太郎さんはそういう雰囲気の声を持っている方なので完成音源を聞いて感動しました。

伊東鈴木さんがチャレンジをしてくれたぶん、歌の個性がより強くなりましたよね。ただ、個性が強くなりすぎてミキシングが大変で(笑)。個性を完全に生かそうとすると、どうしてもうまくいかなくなってしまうんです。なるべくいい塩梅を選んでいいミキシングができたと思うのですが、そこからのマスタリングはすごく勉強になりました。個性がぶつかるところと乖離しているところをうまく調整してくれて、制作側としても学びのある曲になりました。

鈴木私と歌詞太郎さんの声って、持ち味が似ているようでいて、響き方は違うんですよね。それがこの曲ではハッキリ表れている気がするので、聞く側的には耳が楽しいんじゃないかなと思います。今回、歌詞太郎さんのエッセンスをもらったことで、自分の個性を失うことにならないかと思ったこともありますが、スタッフ陣は皆さんプロですから、仮に私がはみ出しても絶対いい方向に導いてくれる。だからこそ、新しいチャレンジができましたし、私が思う自分の歌の強みと、ほかの方が感じる強みが違っていることもわかって。歌詞太郎さんから「下の音の響きがいいですね」と言ってもらえたことも、新たな発見になりました。

伊東鈴木さんは、倍音が多いボーカリストなんですよ。しかも、低音の帯域がかなり多く含まれていて、高音を歌っても低音がうまく混ざり合う。だからこそ、耳をつんざくような歌声にならず、心地よく聞けるんです。それに加えて、音が下がっていってももこもこしないところがすごく素敵だなと感じています。

鈴木歌詞太郎さんの歌声は、ご自身もおっしゃるとおり自由ですよね。私は歌に人柄が出ると思っているのですが、自由に音を行き来するところが、歌詞太郎さんの歌の楽しいところだなと思います。

――あらためて、お2人的な「君色、僕色」という曲の推しポイントを教えてください。

鈴木サビの、短いスパンでバトンを渡し合っていく掛け合いは、歌っていて気持ちがいいです。また、『いせかる』のシリーズ全体を通して描かれている、「お互いの“らしさ”を大事にする」というテーマをサビで強く感じられるところが好きです。

伊東「メロディックロードムービー」は、「君はそう思うのか、俺はこう思う」と、自分からの思いが強い歌だと解釈しているんです。なので、ひとりで歌っても成立すると思うんですね。でも、「君色、僕色」はひとつのフレーズを2人で作り上げていく構成なので、ひとりで歌うと曲芸感が出そうなんですよ(笑)。2人で歌ってこその曲だというのを理解して聞いていただけると、よりも魅力が伝わるんじゃないかなと思います。

――いつか、ライブでも楽曲が聴けるといいですね。

伊東ライブのとき、どうするんですかね。僕以外と歌うのが許されない曲になっていますよね?(笑)

鈴木私、歌詞太郎さんのライブで歌ったことがないので、一度呼んでください。

伊東僕がやっている路上ライブやワンマンツアーでも、ぜひ飛び込んできてください!

――『いせかる』シリーズも、どんどんキャラクターが増えていますが、お2人が気になるキャラクターは?

鈴木めぐみんです。『この素晴らしい世界に祝福を!』が好きで、『いせかる』が始まる前から見ていたというのもありますし、めぐみんがいると場が盛り上がるんですよね。エクスプロージョン一発でにぎやかになるところが好きです。

伊東芦名みのる監督です(笑)。「芦名監督がんばれ!」って、つい応援してしまいます。あとは、キャストさんとも仲よしなので、『Re:ゼロから始める異世界生活』のスバルも推したいですが、じつはまだ『幼女戦記』をきちんと履修できていないので気になっています。能力の高いサラリーマンが幼女のターニャに転生して、歴史のなかで合理的に生き抜いていくというギャップがおもしろくて。中国でライブをしたときに、天聞角川さんのブースでガチャガチャを引いたら、ターニャが出てきたんですね。そんな思い出も含めて注目しています。

――では、最後に読者に向けてメッセージをお願いします。

鈴木最近、「どんな鈴木さんでも応援しています」や「がんばらなくても鈴木さんは鈴木さんですよ」と声をかけてもらえる機会がありました。ずっと「がんばらなければ自分じゃない」と思い込んでいて、「足を止めるのが怖い」とも考えていましたが、「君色、僕色」を歌って「何をしてもあなたはあなた」というメッセージを感じ、言葉の意味を深く考えることができました。「君色、僕色」では歌詞太郎さんと個性をぶつけ合い、いい音楽を届けられたと思います。じつは以前、芦名みのる監督が自主的に「メロディックロードムービー」のミュージックビデオ風映像を制作して、送ってくれたことがあるんです。そんなふうにスタッフさんはもちろん、キャストさんも、作品へ並々ならぬ熱量を注いでいるのが『いせかる』です。『いせかる3』もとてもいい作品になっていると思いますので、ぜひアニメも楽曲も楽しんでいただけたらと思います。

伊東「君色、僕色」を歌う機会をいただけたのは、いままで応援してくれている皆さんのおかげです。ありがとうございます。そして、作品や鈴木さんのファンで僕を初めて知ってくださった方、今後ともよろしくお願いします。『いせかる3』は、アニメ全体としても多くの方のがんばりがあってできている作品です。あらためて、この作品に携わることができて、アニメは多くの人の努力で作られていることを実感しましたし、その一部としてEDテーマを担当できたことが本当にうれしく、ありがたいことだと感じています。作品や音楽を通じて、皆さんにもその思いが伝わっていたらうれしいです。


Profile
すずき・このみ/2012年にシングル「CHOIR JAIL」でデビュー。以後、数々のテレビアニメ、ゲーム主題歌を担当。10月25日には、3月からスタートしたアジアツアーの最終公演をソウルにて開催

いとう・かしたろう/動画投稿サイトにて活動を開始。動画総再生数は1.5億回を超え、ネット&SNSユーザーに絶大な人気を誇る。現在は、音楽活動のみならず、声優や文筆業、DJなど幅広く活躍中。

Information
「君色、僕色」
配信中
KADOKAWA

テレビアニメ『異世界かるてっと3』のEDテーマは、鈴木このみと伊東歌詞太郎がデュエットで担当。ヒゲドライバーが作詞、作・編曲を担当し、“君”と“僕”がそれぞれ違うことの素晴らしさを歌ったナンバーに仕上がっている。
YouTubeのKADOAKWA anime channelにてMusic Video公開中!

(C)異世界かるてっと3/KADOKAWA

《メガミマガジン編集部》
【注目の記事】[PR]