アニメーションスタジオ MAPPAと『リネージュ2』がイラストでコラボレーション。「MAPPA×リネージュ2」と題し10月29日から全世界に向け公開をする。
『リネージュ2』は、NCSOFTを代表するオンラインRPG「リネージュ」の約100年前のストーリーとして作られた MMORPGで、ドワーフ、 エルフ、 オークなど西洋ファンタジーではおなじみの種族が登場する世界観が特徴。マウスクリックのみでゲームを進行できる手軽さでありながら、血盟(同盟や連合)というコミュニティに属し参戦する大規模な攻城戦やレイド討伐などが楽しめ、全世界で展開されている。
そしてサービス開始から2025年6月に21周年を迎えた2025年10月1日に『リネージュ2』史上初となるグローバルプロジェクト「SAMURAI CROW」を始動した。2025年11月5日に各国で同時に日本発の“侍”モチーフにした新クラス「CROW(クロウ)」アップデートおよび新サーバー「CROW(クロウ)」を実装する。
本稿ではこのプロジェクトに際し展開されるコラボレーション「MAPPA×リネージュ2」についてインタビュー。 株式会社MAPPA 取締役副社長/制作プロデューサー 長谷川博哉氏と株式会社MAPPA 取締役/CGI プロデューサー淡輪雄介氏、『リネージュ2』日本統括プロデューサー NC JAPAN株式会社 新井友和氏の3名にコラボレーションに至った経緯やイラスト制作秘話、「CROW(クロウ)」についてのお話を伺った。
新クラス「CROW(クロウ)」の魅力、スピード感、殺陣の「間」、静と動のコントラストを世界水準で表現

ーーまずは自己紹介をお願いいたします。
長谷川:主に制作の業務を担当しております。
淡輪:主にデジタルクリエイティブ全般の統括をしております。
新井:『リネージュ2』の日本統括プロデューサーを務めております。2004年のサービス開始以来、遊びやすさと”リネージュ2らしさ”の両立を大切に運営してきました。20周年を越え、次の時代づくりに力を注いでおります。
ーー今回のコラボはどのような経緯で実現したのでしょうか?
長谷川:昨年より『リネージュ』の開発元であるNCSOFT様、およびNC JAPAN様とお取り組みをさせていただく機会ができたことが大本の経緯です。そのお取り組みは別IPの映像制作ではあるのですが、そこで出来た関係値を基に、NC JAPAN様から今回の『リネージュ2』でのコラボのご提案をいただきました。
新井:私共として、『リネージュ2』のグローバルプロジェクトに合わせ、日本発の“侍”モチーフである新クラス「CROW(クロウ)」を世界へ届けるなら、表現力の高いイラストを描ける企業様とご一緒したい、その思いから弊社の他のタイトルでも協力いただいているアニメーションスタジオMAPPA様にお願いし、快くお受けいただきました。
ーー数多くのアニメーションスタジオや、イラストレーターがいますが、なぜMAPPAさんにオファーをしたのでしょうか?
新井:新クラス「CROW(クロウ)」は“侍”を中核に据えた日本発信のビジュアルです。スピード感、殺陣の「間」、静と動のコントラストを世界水準で表現できる点に魅力を感じました。MAPPA様ならキャラクターの精神性まで掘り下げて描いていただけると考え、オファーしました。

ーーコラボイラストの感想をお聞かせください。
長谷川:『リネージュ2』という世界的なIPのプロモーションに関わることが出来て光栄です。今回は弊社が主にしているアニメーションという形ではありませんでしたが、キャラクターの魅力が伝わるようなビジュアルをイメージして制作させていただきました。
淡輪:『リネージュ2』という長く愛されているIPには、キャラクターとプレイヤーが積み重ねてきた歴史が宿っています。新しいクラスを描くということは、これまでの世界観を受け継ぎながら、次の時代の物語を提示することでもありました。その責任と緊張を感じつつ、このたび携われたことを光栄に思います。
新井 :今にでも動き出しそうな、躍動感あふれるオリジナルイラストで『リネージュ2』の新しい世界観を表現していただいたことにうれしく思います。
2つのアプローチを対にすることで、クロウというキャラクターの外と内、静と動の両面を成立

ーーコラボイラストを今回2つ作られたと伺っています。イラスト制作において、それぞれこだわった点、難しかった点などはありましたか?
長谷川:映像制作とは違い、脚本や絵コンテなどキャラクターや世界観を理解するプロセスが時間をかけて踏めていなかったので、プレイヤーの皆様の期待に応えられているか今でも不安はあります。ベースになるレイアウト(構図)については何度もやりとりをさせていただきましたが、キャラクター、背景、色彩、撮影処理、すべてが合わさった完成図は作業を進めながら確認していくという流れだったので、そこは難しかったと感じています。
淡輪:2つのビジュアルでは、外側の世界と内側の心──戦う者の「二つの戦場」を描いています。難しかったのは、異なるビジュアルを持ちながらも、ひとりのキャラクターとしての連続性を保つことでした。外的な対峙では、構図とライティングで緊張感と力の均衡を追い、内的な対峙では、筆致や色彩のコントラストを通して精神の深淵を表現しています。2つのアプローチを対にすることで、クロウというキャラクターの外と内、静と動の両面を成立させることにこだわりました。

ーー『リネージュ2』の新クラス「CROW(クロウ)」をイラスト制作するにあたって構図の変化もあったようですが、構図を通じて伝えたい魅力などはありますか?
長谷川:キャラクターのデザインを拝見した際に「豪快」「余裕」「精神力」というようなワードを連想しました。荒々しさの中にも揺るぎない信念を持っているキャラクターだと理解して、今回のビジュアルに落とし込ませていただきました。
淡輪:クロウというキャラクターには、侍の美学と孤独の両方が宿っているように感じました。『リネージュ』を象徴するエルフの透明感と優雅さに対し、クロウは大地に根差した力強さと、己の刃一本で道を切り拓く覚悟を体現しています。また、彼の内に潜む“鬼”のような衝動と、それを制御する強い意志も大きな魅力です。構図では、その二面性──静けさの中にある緊張、そして内なる炎を感じさせる佇まいを意識しました。

ーーMAPPAさんでは、アニメ作品のほかMARO17、シチズンといったCMアニメーションも手掛けておりますが、今後もさまざまな企業やコンテンツなどとコラボを考えていますか?
長谷川:はい。現在もTVシリーズや劇場作品だけではない様々なプロジェクトに参加させていただいています。新しい発想や価値観を学ぶことが出来るので、これからもそういった機会は増やしていきたいと考えています。
淡輪:弊社では強みであるアニメーション表現を軸に、ブランド価値を最大化するクリエイティブを追求しており、映像演出だけではなく一枚絵としても、構図・色彩・質感・光などで”思わず目を奪われるような絵”を目指しています。今後もアニメーションの力を起点にしながら、見た人の記憶に残るビジュアル表現を通じて、作品やブランドが持つ物語をより豊かに届けていければと思います。
八咫烏の意匠を取り入れた“侍”モチーフで、鋭い一撃と間合い管理の手触りを重視した「CROW(クロウ)」
ーー『リネージュ2』といえば、20年以上続いているPCオンラインゲームですが、改めてゲーム内容のご紹介をお願いいたします。
新井 :大陸「アデン」を舞台に、狩りの爽快感、仲間と挑むレイド、攻城戦などの大型コンテンツ、そして血盟(ギルド)を核にしたコミュニティ体験を楽しめるMMORPGです。長期運営の中で基本無料化や自動狩りなど、時代に合わせた改良も重ねてきました。
ーー『リネージュ2』初のグローバルプロジェクト「SAMURAI CROW」について、あらためて魅力ポイントをお聞かせください。
新井 :シリーズ初の“世界同時アップデート、同じテンポ”で遊べる新しい取り組みです。目玉は新クラス「CROW(クロウ)」と新サーバー「CROW(クロウ)」。八咫烏の意匠を取り入れた“侍”モチーフで、ゲーム体験としては鋭い一撃と間合い管理の手触りを重視しています。グローバルプロジェクトのキャッチコピーは「サムライ見参!リネージュ2新時代。」です。
ーープロジェクトが始動して数日が経ちましたが、プレイヤーからどのような反響がありましたか?
新井 :「日本発祥の侍クラスを世界同時に体験できる驚き」と「新しい遊びの文法へのワクワク」を多くいただいています。新クラス「CROW(クロウ)」の操作感や、レイドやランキングなど“みんなで盛り上がるイベント”への期待が高いと感じています。
ーーグローバルプロジェクト「SAMURAI CROW」を待つプレイヤーの皆様へコメントをお願いいたします。
新井 :新クラス「CROW(クロウ)」その一振りで世界を切り裂け。新しい『リネージュ2』の入り口が開きます。初めての方も、しばらく離れていた方も、現役の皆さんも、ぜひ一緒に体験してください。必ず面白い事をお約束いたします。
11月5日に今回コラボイラストにて表現された「クロウ」が登場する『リネージュ2』グローバルプロジェクト「SAMURAI CROW」を実施予定。現在、事前登録を開催中だ。受付は11月4日(火) 23時59分まで。
【『リネージュ2』「SAMURAI CROW」事前登録はこちら】■インタビュイー・プロフィール

長谷川博哉 株式会社MAPPA 取締役副社長/制作プロデューサー
アニメーションスタジオ「GONZO」「Production I.G」「WIT STUDIO」を経て、2021年に入社。MAPPAでは『ヴィンランド・サガ SEASON 2 』『忘却バッテリー』のアニメーションプロデューサー、『らんま1/2』の制作統括プロデューサーをつとめる。

淡輪 雄介 株式会社MAPPA 取締役/CGI プロデューサー
2005年、STUDIO4 Cに入社。CGI監督として3DCGと作画を連動させた画作りを追求する。
2014年にMAPPAでCGI部を立ち上げ、現在はプロデューサーとして主に3DCGや撮影などのデジタル領域を統括。

新井友和 NC JAPAN株式会社『リネージュ2』日本統括プロデューサー
アライアンス(業務提携)業務を経て、『タワー オブ アイオン』MMORPGの運営に携わる。その後、『リネージュ2』の統括プロデューサーに就任。
SAMURAI CROW|リネージュII - NCSOFT
サービス:国家/地域(日本/韓国/台湾/ロシア/北米)










