高畑勲監督が太平洋戦争末期を生きた兄妹の悲劇を描いた、スタジオジブリの名作『火垂るの墓』にスポットを当てるNHK・Eテレの特別番組「ETV特集『火垂るの墓と高畑勲と7冊のノート』」が、2025年8月2日23時より放送される。

『火垂るの墓』は、『アルプスの少女ハイジ』や『母をたずねて三千里』などでも知られるアニメーション映画監督の高畑勲が手掛け、1988年に公開された。野坂昭如による原作小説をもとに、空襲で母を亡くした14歳の少年・清太が4歳の妹・節子とともに生きる姿を描いた作品だ。
没後に見つかった映画の創作過程を記した7冊のノートによると、高畑は自身の空襲体験をもとに原作を忠実に再現しようとする一方で、「F清太」という原作にはない存在をあえて作り出していたという。

生前、「これは反戦映画ではない」と語っていた高畑は、『火垂るの墓』で何を伝えようとしていたのか。「ETV特集『火垂るの墓と高畑勲と7冊のノート』」は、発見された7冊のノートと関係者の証言から、高畑が『火垂るの墓』に込めた思いに迫る特別番組となる。

担当した寺越陽子ディレクターは、「戦後80年を迎えたいまもなお、戦争がなくならない世界。改めて高畑さんが『火垂るの墓』という映画にどんな思いを込めていたのか、わたし自身が知りたいと思い、取材を続けました。創作ノートから見えてきたのは、いまの時代のわたしたちへのメッセージだと思っています」などのコメントを寄せている。
高畑勲監督が太平洋戦争末期を生きた兄妹の悲劇を描いた、スタジオジブリの名作『火垂るの墓』にスポットを当てるNHK・Eテレの特別番組「ETV特集『火垂るの墓と高畑勲と7冊のノート』」は、2025年8月2日23時より放送される。
<以下、コメント全文掲載>
寺越陽子ディレクター
2011年、遺作となった「かぐや姫の物語」を制作する高畑勲さんを取材しました。以降、2018年に高畑さんが亡くなるまで、ときには叱られましたが、ありがたいことに大変親しくしていただきました。作品への熱いまなざし、心に響く言葉など教わったことは数えきれませんが、「火垂るの墓」についてはほとんど何も、高畑さんから聞くことはありませんでした。
戦後80年を迎えたいまもなお、戦争がなくならない世界。改めて高畑さんが「火垂るの墓」という映画にどんな思いを込めていたのか、わたし自身が知りたいと思い、取材を続けました。創作ノートから見えてきたのは、いまの時代のわたしたちへのメッセージだと思っています。
【番組】
ETV特集「火垂るの墓と高畑勲と7冊のノート」
【放送予定】
放送 Eテレ 8月2日(土)午後11時00分~11時59分
再放送 Eテレ 8月7日(木)午前 0時00分~ 0時59分 (※水曜深夜)