初のベストアルバムをリリース!今井麻美「A・S・A Vol.1」リリース記念インタビュー | 超!アニメディア

初のベストアルバムをリリース!今井麻美「A・S・A Vol.1」リリース記念インタビュー

アニメやゲームの主題歌、テーマソングなどを歌うアーティストに楽曲について語ってもらう雑誌「メガミマガジン」のインタビュー企画「Megami’sVoice」。2025年8月号には、初のベストアルバム『A・S・A Vol.1』をリリースした今井麻美が登場。

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アニメやゲームの主題歌、テーマソングなどを歌うアーティストに楽曲について語ってもらう雑誌「メガミマガジン」のインタビュー企画「Megami’sVoice」。2025年8月号には、初のベストアルバム『A・S・A Vol.1』をリリースした今井麻美が登場。

ファン投票も含む全12曲のアルバム


――2009年にアーティストデビューをしてから、今回が初のベストアルバムになりますね。

2017年にコンプリートアルバム『rinascita』をリリースしたのですが、その制作時にベストにするか全部入りにするかで会議があったんです。私はベストのつもりだったのですが、私の音楽チームは冒険家が多く、全部入りにしようとなって、ベストの話が立ち消えになったんですね。

それから時間が経ち、曲も増えてきたのでそろそろベストをリリースしてもいいのではないかという話になって、今回初めて出す運びとなりました。コンプリートを一度出しているので、今回はファン投票を中心にしたのですが、投票結果を見てみると、バラードもロックも、爽やかな曲もダークなナンバーも選ばれていてバランスがよくて。ファンの皆さんのクリエイティブ能力の高さに驚きました。

――投票結果を見て、意外だなと感じた曲はありましたか?

いろいろな場所で散々歌ってきたので、いい加減皆さんも「朝焼けのスターマイン」は入れなくていいと思っているのかと感じていました。でも、フタを開けたらぶっちぎりで1位の得票だったんです。それが、いい意味で意外でした。それ以外だと、「Aroma of happiness」が入っていたことですね。2011年にリリースした2ndアルバムの曲だったので、最近全然歌う機会がなかったんです。なんとなく、歌ってほしいという圧を感じたので(笑)、先日ファンクラブイベントで久しぶりに歌いました。

それから、「World-Line」や「The Azure~碧の記憶~」がもっと上位に来るかと思ったらそうでもなかったのも意外でした。

――新曲「ジャンヌの末裔」はどんな曲にしようと考えたのでしょうか?

歌詞は2年ほど前に、公私共に親しくさせていただいている作詞家の森由里子先生が、「麻美ちゃんを思って作詞をしてみたのですが、どうですか」とプロデューサーに連絡をくださったものなんです。本当に素晴らしい歌詞だったのですが、ちょうど私が音楽活動を1年ほど休んでいたり、その後のリリースが企画的なミニアルバムだったりしたこともあって収録ができなかったんですね。でも、今回満を持して収録できるとなったので、ベストアルバムに入れるために作っていただけたのではないかと思えるほどでした。

――最初に歌詞を見たときには、どんな感想を持ちましたか?

私、ジャンヌ・ダルクの末裔なんだ……と(笑)。由里子先生は、私のことを「宇宙の人だ」とよくおっしゃるんですね。プライベートでも宇宙のお話をしてくださるので、そちらではなく戦いのイメージをお持ちだったことに驚きました。

でも、キャラクターのライブなどで、自分が憑依体質なのは理解していましたし、自分のライブでも自分ではない感覚になることがあったので、それを汲み取ってくださったんだと誇らしくもありました。

――いまのジェンダーレスな時代に、女性にスポットを強く当てているフレーズがとても印象的でした。

男性だから女性だからと言う表現は、いまはあまりありませんが、そんな時代に女性だからできることに焦点を当てた、強さのようなものを感じました。裏を返せば男女関係なく、ひとりひとりが与えられた運命を受け入れたり抗ったりする、個々のストーリーがあることを実感するような歌詞だったんですね。

先日、お仕事でシカゴに行ったのですが、そこで国内以上に多種多様な人や考えを目の当たりにしたんです。世界の情勢はグルグルと回っていて、カテゴライズをする時代があれば、カテゴライズを解放する時代もある。そんな人間の流動性を「ジャンヌの末裔」を歌ったことで、スッと受け入れられたように思います。

――森先生とは、歌詞の意図などについてのお話はしたのですか?

怖くて聞けませんでした(笑)。レコーディングスタジオに来てくださったのですが、久しぶりだったこともあって、楽しくおしゃべりをして終わってしまったんです。また、説明されるよりも感じ取ってほしいのではないかと思ったので、受け取ったものをそのまま声に出しました。「素晴らしかった」と言ってくださったので、それを素直に受け止めようと思っています。

――プロデューサーと今井さんのセレクト曲も入っていますが、今井さんは「海月~Jellyfish~」を選ばれたんですね。

ファン投票の結果を見る前に、入っていたらうれしいと思う曲を7、8曲上げておいて、投票結果に偏りがあったらバランスが取れる曲を選ぼうと思っていたんです。でも、本当に完璧なセレクトだったので自分で選べなくなり、「投票で被っていなかった曲の中からプロデューサーに「ひとつ選んでください」と丸投げしました。プロデューサーは、自分で作られた「クレッシェンド」を選ぶと思っていました。ご自身の名刺に譜面を入れているくらいにお好きだと知っていたので。それがまさかの「オーロラの音」で。でも、自分で作られた曲を選んでいたら私が異を唱えていたかもしれません(笑)。

――曲順に関しては、どう決めていったのですか?

プロデューサーにお任せしました。というのも、私は歌詞を重視してしまいがちなのですが、プロデューサーやスタッフさん方は音にもとてもこだわってくださっているんです。以前、トラックダウンのときにプロデューサーがエンジニアさんと高度な話をされていたり、マスタリングエンジニアさんが小さなボリュームで音を聞いて細かく調整してくださったりしている姿を見て、これは素人が踏み込んでいい領域ではないと感じたんです。

じつは、私はアーティスト写真やジャケットも自分ではチェックしないんです。今のマネージャーさんが私についてくださって6年ほどになるのですが、私以上に私の顔を熟知しているんですね。女性から見て魅力的に見える写真を丁寧に選んでくれるので、ソロのときはプロデューサーとマネージャーさんにお任せをしています。実際、今回のアルバムも、自分では選ばない写真が入っていたので、なるほどという気持ちですね。

――ほかに、お任せしていることはありますか?

ヘアメイクは、私の顔をキャンバスにして自由にしてくださいとお伝えしています。そうすると皆さん、喜んでくださって、曲を聞いたり、テーマを尋ねてくださったり、自分では出てこないものが出てくるんですね。ただ、衣装選びだけは自分でやっています。今回も、「ジャンヌ・ダルクだけど、現代で用意できるもの。でも新しすぎないもの」を探してイメージ通りのものを選びました。それを、私が「光の魔術師」と呼ぶカメラマンの方が、想像もできないような別世界に作り上げてくださったんです。

――衣装のポイントは?

鎧感がほしかったので、光沢感のある布地のものを選びました。シルバーの糸が織り込まれていて、光が当たるとキラキラと光って硬めに見えるんですね。黒のラインが鎧のようにも見えますし、首の部分はダークさを感じさせるようにクロスにして十字架をイメージしました。最初に買った上着はいまいちハマらなかったのですが、うまく古着も選べて、いい感じになったと思います。ワンピースはまだ売っていると思いますので、おそろいにしたい方は探してみてください。

――タイトルの「A・S・A」にはどんな思いを込めましたか?

2023年に始めたVTuber・詩趣ミンゴスが、今年4月に私とは別のレーベルからEPをリリースして歌手デビューを果たしたんです。「ミンゴス」は私がずっと使い続けているあだ名なのですが、VTuberにつけたことで本体を取られた感覚があり、さらにもともとのあだ名である「アサミンゴス」の「アサ」が浮いてしまって、寂しい思いをしているなと感じていて。それならばベストのタイトルにいいかもと思ってつけました。詩趣ミンゴスと合わせると、完全体の「アサミンゴス」になります(笑)。

――「A・S・A」の表記をどうするかも、いろいろ考えましたか?

考えました。「ASA」だけだと何かの略称みたいに見えてしまうし、「A★S★A」だと、ちょうどお仕事でシカゴに行く前だったこともあって、そのワクワク感が出てしまう気がして。熟考の結果「A・S・A」にしました。VTuberとして自分の名前を出しつつ、自分のソロ活動もしている人はあまり多くないので、珍しがってもらえたらうれしいです。

――タイトルに「Vol.1」とあるということは、当然「Vol.2」もあるわけですよね?

現時点では何も聞いていないのですが、出なかったら私も怒ります(笑)。私自身、年齢的にも音楽活動が集大成期に入っているとは感じてはいるのですが、そのぶん最近私を知ってくださった方には、全部を集めるのは難しいんですよね。そんな方にも手に取っていただきやすく、ずっと応援してくださっている方には、そのときを思い起こせるものとして、ベストを出せていけたらいいなと感じています。

――最後に、読者にメッセージをお願いします。

今井麻美として歌い続けてきて、詩趣ミンゴスやキャラクターとしても歌と関わり、魂の部分で歌が好きだという思いを強く感じています。そう思えるのも音楽活動があってこそで、今回のアルバムはそんな私の音楽のいいところが集まっています。ぜひ手に取って、聞いていただけたらうれしいです。

Profile
いまい・あさみ/5月16日生まれ。山口県出身。EARLY WING所属。
2009年にアーティストデビュー。これまでにシングル20枚、アルバム7枚、ミニアルバム2枚、アコースティックアルバム1枚、コンプリートアルバム1枚をリリースしている。

Information
「A・S・A Vol.1」
発売中
AniTone
3300円(税込)

今井麻美の初となるベストアルバム。ファン投票で選ばれた9曲に、新曲「ジャンヌの末裔」と、プロデューサー・濱田智之氏、今井自身がそれぞれセレクトした「オーロラの音」、「海月~Jellyfish~」を加えた全12曲を収録。

《メガミマガジン編集部》
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