フィギュア・雑貨商品のブラインドボックスが中国で流行中だ。中国発の玩具メーカー・POP MARTが主導したブラインドボックスブームを受け、中国国内メーカーだけでなく、数多くの海外メーカーも中国市場に注力している。とくに代表的な存在が日本メーカーのリーメントである。
リーメントの特徴として、多くの日本玩具メーカーとは異なり、現時点で中国大陸に現地法人を持たず、中国の貿易会社を通じて輸出している。
現在、中国市場におけるリーメントのブラインドボックスは主に2つのカテゴリーに分類される。ひとつはアニメ・ゲームをテーマにしたシリーズである。『ポケットモンスター』、『遊☆戯☆王』、『星のカービィ』、そして初音ミク、すみっコぐらしなどキャラクターIPまで幅広くラインナップしている。ちなみに、POP MARTも日本アニメとのコラボ商品を展開しているがまだまだ数が少ない。
もうひとつはぷちサンプル・オリジナルシリーズである。ケーキや総菜、駄菓子といった食品系から、インテリア用品などバラエティ豊かに展開している。

オリジナル商品も人気を誇るもののアニメシリーズの人気が高く、その中でも『ポケモン』シリーズが反響を集めている。『ポケモン』シリーズの中国販売価格は59元~89元(約1,200円~1,800円)、商品の種類と内容も日本国内版とほぼ変わらない。ただし、各商品の発売時期は日本より約1ヶ月程度遅れての登場となる。

1990年代末、アニメ『ポケットモンスター』が中国のテレビ局で放送され、ピカチュウなどの多種多様なキャラクターが人気を集めた。80~90年代生まれはアニメを見ていた人が多いことだろう。
『ポケモン』のゲームは2000年代から中国で展開を始めていたが、当時のゲームには中国語が含まれておらず、ゲーム言語の翻訳のほとんどがボランティアによる翻訳であり、翻訳には不正確な部分が多く見られた。2016年に『ポケットモンスター サン・ムーン』が発売され、任天堂が初めてゲーム言語に中国語を追加したことで、『ポケモン』のファン層がさらに拡大した。
近年においても、『ポケモン』のアニメやゲーム、カードゲーム、玩具など多様なエンターテインメント形態が中国で流行中。『ポケモン』は中国において膨大なファン層を築き上げている。
中国にはブラインドボックスメーカーが数多く存在する中、なぜ日本のリーメントがこれほど熱烈に支持されているのか? コレクター目線で言えば、その差別化戦略にあると考える。
同様のブラインドボックス商品だと、キャラクター単体が主流なのに対し、リーメントの商品はキャラクターと多彩なジオラマ背景を組み合わせ、さらに実用性を兼ね備えたアイテムも展開しているのが特徴だ。スマホスタンドやペンスタンドとして使用することができ、日常生活の中でもフィギュアを楽しめるのだ。

中国のブラインドボックスで面白いのは、事前開封販売をしている店舗もあることだ。店舗が事前に商品を開封し、キャラクターの人気度に応じて価格を設定する。消費者が確実に欲しいキャラクターを購入できるので人気だ。同様の理由からフリマでの購入も多く、中国版のメルカリ「閑魚(シエンユイ)」でも多数出品されている。本来のブラインドボックスとの楽しみ方とは異なるが、消費者としては需要があることも理解できる。

リーメントは数多くのアニメ関連会社と提携し、実用性を兼ねた新たなフィギュア商品を開発し、多くの中国のアニメファンの心を掴んできた。最近では、『ナタ 魔童の大暴れ』といった中国アニメの人気が急上昇しているため、中国のアニメ作品やキャラクターを取り入れた商品の開発も期待している。