カノエラナ4thシングルはトリプルタイアップ!―『Queen of the Night』リリース記念インタビュー | 超!アニメディア

カノエラナ4thシングルはトリプルタイアップ!―『Queen of the Night』リリース記念インタビュー

アニメやゲームの主題歌、テーマソングなどを歌うアーティストに楽曲について語ってもらう雑誌「メガミマガジン」のインタビュー企画「Megami’sVoice」。2023年12月号には、4thシングル『Queen of the Night』をリリースしたカノエラナが登場。

特集
注目記事
カノエラナ4thシングルはトリプルタイアップ!―『Queen of the Night』リリース記念インタビュー
  • カノエラナ4thシングルはトリプルタイアップ!―『Queen of the Night』リリース記念インタビュー
  • カノエラナ4thシングルはトリプルタイアップ!―『Queen of the Night』リリース記念インタビュー
  • カノエラナ4thシングルはトリプルタイアップ!―『Queen of the Night』リリース記念インタビュー

アニメやゲームの主題歌、テーマソングなどを歌うアーティストに楽曲について語ってもらう雑誌「メガミマガジン」のインタビュー企画「Megami’sVoice」。2023年12月号には、4thシングル『Queen of the Night』をリリースしたカノエラナが登場。


テレビアニメ『ティアムーン帝国物語~断頭台から始まる、姫の転生逆転ストーリー~』EDテーマ「Queen of the Night」、テレビアニメ『Helck』第2クールEDテーマ「ヒカリ」、少女マンガ『千紘くんは、あたし中毒。』の作品イメージソング「ハニーホリック」の全3曲を収録。

表題曲は暗闇のなかでもキラッと光るような歌


――今回のシングルは、3曲ともタイアップが付いていますね。

 こんなことが起こるのかと自分でもビックリしました。スタッフさんも「なかなかないよ」とおっしゃっていたので、奇跡としか言えないようなことなのだなと感じています。

――どの順番で曲を作ったのですか?

 2曲目の「ヒカリ」のもとになる曲は、コロナ禍前に作っていました。その次に「ハニーホリック」ができて、最後に「Queen of the Night」でした。

――『ティアムーン帝国物語』のEDテーマ「Queen of the Night」は、どんな曲にしたいと考えましたか?

 アニメの制作サイドから「オープニングの曲がにぎやかで楽しい感じになるので、エンディングは全編を見終わったあとに場を締めるようなものにしたい」とお話がありました。「主人公のミーア姫がひとりで歩いているさびしげな風景のイメージ」とも言われたので、その要望とアニメの資料から読み取ったイメージを合わせて作っていきました。私は、資料からシリアスさとコミカルさのバランスのよさを感じたんです。だから、曲も強すぎたり暗くなりすぎたりしないように気を付けて、暗闇でキラッと光るような、前を向いた曲を目指しました。

――歌詞からは悲劇的な結末を避けようとがんばりつつも、どこか切なげなミーア姫の様子が伝わってきます。

 私は作詞をする際、作品やテーマが決まっているときは、自分の思いは最後の1パーセントに入れるだけにして、原作に沿った物語になるような言葉選びを心がけているんです。「Queen of the Night」も同じ構成で作ったので、原作を読んでいない方にもこれからミーア姫がどう動いていくのか、物語の進み方を感じ取っていただけると思います。

――歌詞には作品タイトルに似た「Dear Moon」というワードも出てきますね。

 作中に出てくる日記が、いまのミーア姫が過去の自分に向けて書いている手紙のように受け取れたので、まずそれを表現できたらと思ったんです。そのうえで、歌だけを聞いてもしっかりと芯が残るような強い曲にしたいと思い、あえて頭に残りやすいワードとして「Dear Moon」を選びました。サビにくり返し入れることで、より印象づけられたと思います。さらに、ミーア姫が月に向かって決意表明をするイメージも込めました。

――レコーディングでは、どんなことを大切にして歌いましたか?

 勇ましく歌うか、かわいらしく歌うか、また別のアプローチをするか考えましたが、ミーア姫の成長を1曲のなかで表したかったので、まず幼い姫がぽつりぽつりと日記を書いているようなイメージで歌いました。そこからBメロになって姫の思いが膨らんで柔らかくなっていき、サビは勇ましく、姫の強さや打算的なところ、そしてかわいさと幼いころの気持ちが混ざり合って決意になっていくような気持ちで歌っていきました。

――前作「ヨトギバナシ」は、テレビアニメ『虚構推理 Season2』のオープニングテーマでした。「Queen of the Night」はエンディングテーマですが、オープニングとエンディングで制作面の違いはありましたか?

 曲作りの根っこはまったく同じですね。ただ、エンディングは1話の最後、物語の世界に浸る時間に流れるものだと思うので「物語を復習するときに、このBGMではどうですか?」という気持ちで作っていました。オープニングがキャラクターとして前に立つものだとしたら、エンディングはうしろのものを描いている感覚でもありました。

――ミュージックビデオ(MV)は、初めて全編グリーンバックで撮ったそうですね。

 そうなんです。ずっと緑の幕の前で歌うだけなので、MVの監督さんと自分の想像力をどうすり合わせるか、撮影中もいろいろ話し合いをしながら作っていきました。手作り感がありつつ、完成するまで何が起こるかわからないスリルもあって。実際に完成した映像を見たときは、自分の想像とまた違うものが出てきてすごいなぁという感想でしたね。

――MVの見どころと言われたら?

 円のなかを歩く少女のシルエットが、物語を紡いでいくミーア姫を表現しているところです。私は語り部のような背景のような立ち位置で歌っていますが、MVの監督さんが作品も私のこともすごく理解してくださっているので、とてもスムーズな撮影でした。初回限定盤にはメイキング映像も付いてくるので、ぜひチェックしてください。

――2曲目の「ヒカリ」はテレビアニメ『Helck』第2クールのEDテーマです。もともとはどんなテーマで作っていた曲でしたか?

 当時は森のような曲にしたいという気持ちでした。土や草っぽい香りのする音楽を、いつもと違うピアノで作ってみた曲です。『Helck』のタイアップのお話をいただいて原作を読んだときに、まさに土のにおいを感じたのですが、アニメの制作サイドからは、第2クールは主人公・ヘルクの過去について語っていくので、過去を根っこから掘ったような曲にしてほしいというオーダーがあったんです。曲調を明るくするか暗くするかはお任せということもあり、「ヒカリ」のもとになった曲と新たに作った曲を提出して選んでいただきました。結果「ヒカリ」のもとになった曲を選んでいただいたので、やっぱり土なんだなぁと思ったことを覚えています。ただ、歌詞についてはガラッと書き換えました。最初の歌詞は「探しても見つからない光」がテーマでしたが、『Helck』の原作を読み終わったときに、いつも希望があると感じたんです。それで、憎々しさや強いワードもあるけれど、光が射すような歌詞にしたいと思って作っていきました。それから、ヘルクとヴァミリオをはじめ、仲間たちと繋がっている感覚があったので、多くのキャラクターに当てはまるような言葉選びをしていきました。

――「まもる」をいろいろな漢字で表現していますよね。

 たくさんのキャラクターがいて、それぞれに守りたい気持ちが違うと思ったんですね。愛情を持って守るのか、好きだから守るのか、尊敬しているからなのか、その意味の違いを表現したくてあえて漢字を変えてみました。

――歌う際に大切にしたことは?

 たくさんのキャラクターが登場する作品の曲なので、自分のニュアンスを付けすぎず、ゆったりと波のように、そして自分を立たせず背景になったような気持ちで歌いました。

――『千紘くんは、あたし中毒。』のイメージソング「ハニーホリック」は、とてもキュートな曲です。

 この曲は、スタッフさんから「チャレンジをしてみないか」というお話があってのスタートでした。ちょうどこの曲を作る前に『歌楽的イノセンス』というアルバムを作って、そのなかで自分の歌に対する振り幅を考えることができたんです。その延長線上で、自分のハッピーさの端っこはどこなんだろうと思って作ったのがこの曲でした。

――前作の「ヨトギバナシ」を聞いた人からしたら、ガラッとテイストが変わりますよね。

 お化け屋敷にいたのに、急に原宿に来た、みたいな曲ですよね(笑)。もともと私はハッピーな曲も暗い曲も大好きなんですが、カノエラナから外れないハッピーってどこだろうと思って、そのラインを見極めながら作った曲ですね。カノエラナの明るさってこういうものだと提示できた曲だと思います。ただ、歌声も曲もすべて明るいとカノエラナではなくなってしまう気がしたので、あえてカッコいいホーンセクションを入れたり、アコースティックギターでリフをバリバリ入れたりしていきました。かわいさもありつつかっこよさもあるというところに、カノエらしさが詰まっています。

――そんななかで歌詞はどのくらいかわいさに振ろうと思いましたか?

 歌うときにちょっと照れるぐらいにしました。これまでの曲でも、歌っている最中にむずがゆくなった感じが出ると、お客さんが笑顔になってくれるんですね。そうであれば、お客さんが楽しい曲がいいなと思い、ライブで私も楽しめてお客さんも楽しくなる曲として考えて作りました。あと、マンガに登場する未知ちゃんと千紘くんの目線をそれぞれに入れたところもポイントです。ワンコーラス目は未知ちゃん、2コーラス目は千紘くんと紡いでいって、最後に2人の思いが混ざるような物語性を持たせていきました。

――かなりテイストの違う3曲が入ったシングルになりましたね。

 カオスですよね(笑)。でも、これがカノエですと言える1枚になりました。この1枚を聞けば、カノエラナって、いろんな人の人生や体験を歌いたいんだと感じてもらえると思います。今回のシングルで名前を知ってくださった方は、「カノエ」が苗字で「ラナ」が名前だということをまずわかっていただけたらうれしいです。私の作る曲は本当にテイストがバラバラで、1曲が気に入ってもほかはよくわからないということもあると思いますが、私はそれでいいと思うので、ぜひ気軽にライブにも遊びに来てください。

■Profile
かのえ・らな/12月4日生まれ。2016年8月にメジャーデビュー。無類のアニメ好きで、2022年には念願が叶いアニメ『永遠の831』のOPテーマを担当。2023年1月にはテレビアニメ『虚構推理 Season2』のOPを手がける。

■『Queen of the Night』
発売中
キングレコード

初回限定盤3080円(税込)
通常盤1650円(税込)

カノエラナの4thシングルは、テレビアニメ『ティアムーン帝国物語~断頭台から始まる、姫の転生逆転ストーリー~』のEDテーマ「Queen of the Night」、テレビアニメ『Helck』第2クールEDテーマ「ヒカリ」、少女マンガ『千紘くんは、あたし中毒。』の作品イメージソング「ハニーホリック」の全3曲を収録。初回限定盤には、8月に行われたライブのセレクション音源を収録したCDと、表題曲のMVやメイキング映像が入ったM-CARDを同梱。

《超!アニメディア編集部》
【注目の記事】[PR]

特集