樋口楓「4thシングルは全曲が主役!」―『三D』リリース記念インタビュー | 超!アニメディア

樋口楓「4thシングルは全曲が主役!」―『三D』リリース記念インタビュー

アニメやゲームの主題歌、テーマソングなどを歌うアーティストに楽曲について語ってもらう雑誌「メガミマガジン」のインタビュー企画「Megami’sVoice」。2023年10月号には4thシングル『三D』をリリースした樋口楓が登場。

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アニメやゲームの主題歌、テーマソングなどを歌うアーティストに楽曲について語ってもらう雑誌「メガミマガジン」のインタビュー企画「Megami’sVoice」。2023年10月号には4thシングル『三D』をリリースした樋口楓が登場。



本稿では、本誌で紹介できなかった部分も含めたロングインタビューをお届けする。

タイアップだからこそ挑戦できた曲ばかり


――シングルのタイトル『三D』にはどんな意味を込めていますか?

 今回収録される3曲すべてがタイアップ曲ということもあり、まず「三」は使いたいなと思っていました。それから、私は二次元と三次元の壁を壊したいというテーマで活動しているので、二次元と三次元の壁をロケットで突き破っていくという意味も込め、飛んでいくロケットの絵文字に見立てて「三D」としました。ほかにも意味はあるのですが、そこは皆さんの想像にお任せしたいです。

――3曲すべての曲制作についても意見を出していると聞きましたが、ぜひそれぞれの曲についても教えてください。まずは「Bravery? Naturally?」から。

 テレビアニメ『英雄教室』のOP主題歌で、作品が学園ファンタジーということもあるので、最初の打ち合わせから爽やかな青春サウンドにしたいとスタッフさんにもお話していました。以前タイアップをさせていただいた「Baddest」はダークなロックでしたが、それとは打って変わった超王道青春アニソン曲になったと思います。歌詞については、作詞のRUCCAさんが作業の早い方だったので、完成までに何度もやりとりができ、作品らしさと樋口楓らしさが、すごくいいバランスになっていると感じています。とくに2番Aメロの「フツウの定義」について書かれた部分は、自分にもすごく刺さっています。誰もが同じじゃないということを歌っているのですが、がんばれる度合いって人によって違うということに、私自身、VTuberとして5年活動してきて気づけたので、2A部分はきっと私らしさも感じられるフレーズになっていると思います。

――歌う際に大切にしたことは?

 自分が割とネガティブな性格なので、暗くならないように、ですね。それから、作品の主人公のブレイドが5歳児みたいな人なので(笑)、それも踏まえて明るく元気に歌うことを心がけました。歌自体は、LiSAさんのような明るく前向きなロックをよく聞いていたので、わりとなじみやすくまっすぐに声を出せたと思います。ただ、自分の得意なキーよりは高めだったので、苦しく感じさせない歌い方を考えたり、ディレクションしてもらったりしながら探っていきました。

――「ぶっ飛んでラニカイ」は、オリジナルドラマ『量産型リコ -もう1人のプラモ女子の人生組み立て記-』のOP主題歌です。

 私はハワイが好きで、老後はハワイで生活をするために貯金をしているんですね。そんな大好きなハワイのきれいな海に、もしドラマの主人公であるリコちゃんが行ったらどんな気持ちになるのかと思い、彼女のドキドキワクワク感を書いてもらいました。『量産型リコ』第1期の主題歌も担当していて、そのオファーをもらうきっかけになったのがミニアルバム『i^x=K』に収録されている「イロドレ・ファッショニスタ!」という服をテーマにした曲だったんですね。それもあって、今回も「イロドレ・ファッショニスタ!」と同じ作詞家の安藤紗々さんに、女性らしさをテーマにした夏っぽい歌をお願いしました。サウンド面では、旅行もテーマのひとつだったので、異国感のあるメロディや波、飛行機の音も入れてもらいました。

――弾けすぎていない、でも楽しげなサウンドがいいですよね。

 リコちゃんって女の子というよりは女性なので、麦わら帽子を被ってパラソルの下でゆったりしているようなイメージで歌うことになったんです。明るくはあっても突き抜けてはいないのがポイントですね。私自身もはしゃいで遊ぶほうではないので、気持ち的にリンクしやすかったですし、「夏休みだ、やった~!」という開放感を表現しつつ、でも終わったら仕事もあるよね、という大人のテンションで歌えたと思います。

――そしてもう1曲がゲーム『すだまリレイシヨン』のOP主題歌「Around the bizarre world」。

 日本の妖怪をテーマにしたゲームなので、和ロックにするかおどろおどろしい感じにするかで悩んで、結果ちょっとダークでねっとりした曲になりました。松井洋平さんには以前ハロウィンの曲の歌詞を書いていただいたのですが、物語調の歌詞がすごく素敵だったので、今回は妖怪をテーマに物語性の強い歌詞をお願いしました。樋口楓の歌い方って言葉が立つところが特徴だと思うんですね。でも、この曲ではそれを1回やめて、ねとねと……ねちょねちょしたような歌い方に挑戦してみました。

――ふだんと違う歌い方ということで難しさはありましたか?

 最近のアーティストさんの間では流れるような歌い方が流行していると感じていたので、自分でも歌ってみようと思ったことはあったんです。ただ、やっぱり何かが違う。どうしても原曲と離れているイメージが強くなっちゃったんですよ。この曲も最初はそうだったので、そこは難しかったです。でも光増さんにディレクションをいただくことができたので、自分らしさも出しながら歌えたと思います。実際に完成したものを聞いたら、作品にも楽曲にも合っているなと客観的に思えたので、挑戦してよかったです。

――タイアップ曲だからこそ、できたなと思うことはありましたか?

 今回の3曲のなかでいえば、私、ホラー系が苦手なので、普段だったら妖怪の曲を歌おうとはならなかったと思うんです。でも、タイアップさせていただいたからこそ歌えましたし、ゲームに登場する妖怪のことを調べました。怖くて途中でやめちゃったんですが(笑)、それが配信の話題のネタにもなると思いますし。世界が広がっていくのは、タイアップさせていただけたからこそだなと感じています。

――初回限定盤には、「シャドーアート制作キット」が付くそうですね。

3rdシングル「ビューティーMYジン
セイ!」にペーパーフィギュアをつけていただいたのですが、完成に何十時間もかかる難しさで、少数の方しか完成に辿り着けなかったんです(笑)。それもあって、今回は簡単に作ることができて楽しさもわかってもらえるシャドーアートにしました。SOLANIさんに書いていただいたアーティストイラストがめちゃくちゃかっこよかったので、その奥行きを表現したいという気持ちもあります。

――完成してみてどんな1枚になったなと感じていますか?

 全部が主役で、ロケットのように突き抜けていってほしい、そんな楽曲が集まった1枚になりました。3曲すべてにタイアップが付くなんて、すごく貴重な経験をさせていただいたなと感じていますし、今回はそれぞれタイアップがアニメ、ドラマ、ゲームと違うジャンルだからこそ、VTuberがいろんなジャンルを歌えるようになったと感じていただけるのではないかとも思っています。VTuberになじみがない方も、配信などを見に来てくださったらうれしいですね。

――アーティスト・樋口楓としての今後の目標は?

 言葉が立つ歌い方が、樋口楓の統一性であり、らしさなんだろうなと思っています。そんな部分は大事にしつつ、私がただ歌いたいだけの味のある曲も歌っていきたいです。また、ピコピコ系やラップは未経験なので一度は歌ってみたいですし、よく配信を見てくださっている海外の方に向けて、全編英語詞の曲も歌ってみたいですね。

――では最後に、読者にメッセージをお願いします。

 まだVTuberを知らない方もいらっしゃるかと思いますが、もしこのインタビューを読んで興味を持っていただけたら、配信にも遊びに来てください。今回のCDは、全部が主役の楽曲が集まりました。曲を入口にアニメやドラマ、ゲームに触れたりするのも楽しいと思いますし、いろいろな形で聞いてみていただけたらうれしいです。



■Profile
ひぐち・かえで/「にじさんじプロジェクト」公式バーチャルライバー(VTuber)。2018年2月より活動を開始し、2020年3月25日にシングル「MARBLE」でメジャーデビュー。以後、これまでにシングル3枚、アルバム1枚、ミニアルバム1枚をリリースしている。

■『三D』
発売中
バンダイナムコミュージックライブ

初回限定盤2750円(税込)
通常盤1650円(税込)

樋口楓の4thシングル。テレビアニメ『英雄教室』、ドラマ『量産型リコ -もう1人のプラモ女子の人生組み立て記-』、ゲーム『すだまリレイシヨン』のそれぞれのOP主題歌を収録したトリプルタイアップシングル。初回限定盤には、トレカ風「シャドーアート制作キット」付き。


(C)Bandai Namuco Music Live Inc.(C)ANYCOLOR,Inc.


三D【初回限定盤】
¥2,750
(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)
三D【通常盤】
¥1,650
(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)
《超!アニメディア編集部》
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