ONEの人気マンガ『モブサイコ100』を原作としたTVアニメの第3期『モブサイコ100 III』が10月5日より放送スタート! アニメ2期から約3年ぶりとなる第3期の放送決定は主人公「影山茂夫(通称:モブ)」の誕生日、5月12日に発表された。
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アニメ!アニメ!では、待ちに待った第3期の放送を記念して、モブくんの声を担当する伊藤節生さんにインタビュー!
久しぶりにモブくんを演じたアフレコの感想や、第3期の第1話と第2話を先行上映した「スペシャルイベント~霊とか相談所 大相談会~」でのファンの反応、舞台版でも同役を演じてきた『モブサイコ100』は伊藤さんにとってどのような作品になったのか、さらに悩める中2男子・モブくんにちなみ、伊藤さんの“悩みごと”や悩みの“相談相手”などを教えてもらった。
[文・取材/タナカシノブ 写真/Ayumi Fujita]
■第3期スタート! 「僕の中でロスが始まっていました(笑)」
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――第3期の決定を聞いたときは、どのように感じましたか?
伊藤:僕自身は待ちに待った、そして、ファンのみなさんには長いことお待たせいたしました、というのが最初の感想でした。第2期の後に舞台もやりましたが、舞台からも長いスパンが空いたので、そこも含めての「お久しぶりです!」という気持ちでいっぱいでした。
――8月に開催された「スペシャルイベント~霊とか相談所 大相談会~」では第1話、第2話も先行上映もあり、ひと足早くファンの反応も直接見ることができたかと思います。
伊藤:「久しぶりだけど、みんな『モブサイコ100』のこと覚えてるかな」という気持ちもありましたが、そんな心配は全然いらなかったです。声の出せないイベントでしたが、マスクをつけていても感想がダイレクトに伝わってくる感覚がありました。『モブサイコ100』としては3年前のOVAの記念イベントが最後。コロナ禍で初めてとなるイベントで前回とはいろいろと違う部分もありましたが、イベント後のSNSなどの反響などからも「みんな、本当に待っててくれたんだ」と実感しました。
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――久しぶりにモブくんを演じたアフレコはいかがでしたか?
伊藤:第1話の収録では、キャストと一緒の収録も含めて、あまりにもいろいろなことが久しぶりすぎて、第1期の最初の頃の緊張が舞い戻ってきたように感じました。とはいえ、第3期ともなれば、第2話くらいで徐々に緊張は和らいできましたが、懐かしい気持ちもかなり強かったです。でもやっぱりアフレコが始まると、染み付いていたものは自然と出てきて、「モブくんってどうやるんだっけ?」みたいな違和感もなく、素直な気持ちで演じることができました。
今回は、会話する相手と一緒に収録できるように組んでいただけたので、いろいろな人と一緒にアフレコでやりとりができたのが心強かったです。第3期では「初めまして」のキャストさんもいて、刺激をもらうこともできて面白かったです。
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――エピソードは原作13巻以降が描かれていきますね。
伊藤:第1話収録のときから、僕の中でロスが始まっていました(笑)。始まりがあれば終わりがあるのは当たり前なのですが、第3期が始まって「うれしい!」という気持ちと、「何話収録したら第3期は終わっちゃうんだろう」という気持ちが入り混じって。セリフを1個1個、噛み締めるように、そして自分の持っているものすべてを出し切ろうという思いで挑みました。まだまだ自分の力不足を感じる部分は第3期になってもやっぱりあって……、悔しさを感じる瞬間もありました。でもそこは、キャストの皆さんに助けていただき、いいものが出来上がったと満足しています。
――第3期もさまざまなエピソードが盛り込まれています。伊藤さんのおすすめポイントをお聞かせください。
伊藤:基本的に原作を追いかけているので、みなさんが観たいと期待しているところはアニメになっているかと思います。第3期ではエクボとのやりとりは外せないと思っていたし、演じるうえでも「頑張らなくちゃ!」という気持ちになるエピソードでした。詳しくは言えませんが、僕が原作でお気に入りのシーンがあったのはうれしかったです。めちゃくちゃ面白くなっているのでお楽しみに! 第2期の後半はバトルシーンが多めでしたが、第3期では日常系が戻ってきます。そこも『モブサイコ100』らしい描かれ方を感じてますので、注目です。
――第1期、第2期とそれぞれに特徴がありますよね。
伊藤:第1期では、人と繋がりがなかったモブくんが、どんどん繋がりを持っていくお話がたくさん描かれました。第2期では師匠の記者会見が一番印象的でした。師匠がメインのエピソードも多く、そして最終的にはボスと戦うところまで描かれアクションも大きな見どころでした。第3期は、今まで作ってきた関係の総決算が描かれるので、それぞれのキャラクターのファンの方に楽しんでいただけるシーンがたくさんあります。第3期は観たい要素が全部詰め込まれているので、すごく綺麗にまとまったと感じています。
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■2つの“モブ”を演じて気付いたキャラクターの魅力
――いよいよ第3期を迎えた『モブサイコ100』。伊藤さんにとってどんな作品でしょうか?
伊藤:第1期のときには、僕の人生において特別なものになっていくのだろうと思っていました。初めてのレギュラーで初めての主役は特別だと実感していました。こうやって第3期まで続けてきて思うのは、自分の人生にとっての土台のようなものになったということ。今後出会う作品やキャラクターは数多くあると思うし、きっとそれぞれに良さや特別さはあるけれど、「人生の中で一番特別な作品は?」と聞かれたら、迷わず『モブサイコ100』と答えるくらい、自分を作ったものだと思っています。
――アニメ、そして舞台でも演じてきたモブ役。演じるうえで軸となっていることはありますか?
伊藤:第1期のときは自分ができることを精一杯やること、それしか考えていなかったです。考える余裕もなかったというのが正直なところです。舞台をやって、第2期になったとき「モブが元気キャラになっている」と言われたことがありました。モブくんのキャラクター性を崩してはいけないと改めて意識したきっかけになりました。モブくんの魅力は素直さ。やりとりや反応で素直さを出すために、直感を強く意識しています。どれだけ絶大な超能力を持っていても、14歳の少年の素直さ、純粋さを根本にしっかり持っていようと心がけてきました。
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――伊藤さんの演じるモブは魅力的ですが、以前インタビューで「学生服を着ていない、大人の役もやりたい」とのお話もありましたね。
伊藤:最初の舞台や、アニメ第1期の頃はそういう思いが強い時期もありました。今ももちろん大人の役をやりたいですけれど、モブくんに関して言えばいつの間にか自分の年齢の半分以下になり、気づけば師匠まで年下に……(笑)。でも、自分の年齢とかけ離れていても演じられるのが声優という仕事の魅力でもあるので、今は「若い役でも、学生役でもなんでもやります!」という気持ちです。舞台の第3弾は学生服が少なかったので、14歳のモブくんを演じながらもどこか新鮮で面白かったです。