『冴えカノ』『WA2』を生んだ国宝級ラブコメライターの新作『Engage Kiss』が見逃せない理由~丸戸史明氏インタビュー~ | 超!アニメディア

『冴えカノ』『WA2』を生んだ国宝級ラブコメライターの新作『Engage Kiss』が見逃せない理由~丸戸史明氏インタビュー~

「冴えカノ」や「WA2」を生み出したS級ライター丸戸史明氏の新作アニメ「Engage Kiss」の魅力を探るべく丸戸氏ご本人にインタビューを行った結果、本作が絶対に見逃せない作品であることがわかってきた。

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『冴えカノ』『WA2』を生んだ国宝級ラブコメライターの新作『Engage Kiss』が見逃せない理由~丸戸史明氏インタビュー~
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丸戸史明というシナリオライターをご存知だろうか。

『冴えない彼女の育てかた』というラブコメ好きなアニメファンなら誰もが知るような大ヒット作や、『WHITE ALBUM2』という世に出て10年以上経ってなお、熱狂的なファンが日々話題にしているような傑作を生み出してきたS級シナリオライターである。

彼が生み出してきた作品はただのヒットにとどまらない。ファンの人生にも影響を与えかねない破壊力を持っているのだ。一度その魅力にとりつかれたファンは、そこから抜け出すことは容易でない…まさに「沼」といえる作品を送りだしてきた。

そんな丸戸史明氏がシリーズ構成・脚本を担当するオリジナルTVアニメ『Engage Kiss』が2022年7月2日(土)より放送開始となる。今回その魅力に迫るべく丸戸史明氏ご本人にインタビューを行ってきた。

『Engage Kiss』は、「悪魔」の少女キサラと契約した主人公シュウが、架空の都市「ベイロンシティ」で発生する「悪魔」による事件に立ち向かうラブコメアクションである。丸戸氏の他、キャラクターデザイン原案に「デート・ア・ライブ」のつなこ氏、アニメーション制作をA-1 Picturesが手掛けるなど、非常に豪華な布陣となっている。

本インタビューでは、『Engage Kiss』のプロジェクトの成り立ち、メインキャストである斉藤壮馬さんや会沢紗弥さん達の収録時のエピソードの他、『冴えない彼女の育てかた』や『WHITE ALBUM2』など、丸戸氏の過去作も振り返りながら本作の見どころを語っていただいた。今回お話を伺う中で、丸戸氏やA-1 Picturesのこだわりがひしひしと伝わってきた。

本記事は、学生時代から丸戸氏の作品を追い、丸戸氏の作品に関わるためアニメ業界に転職した筆者が、『Engage Kiss』を絶対に見逃せない3つの理由という切り口で新作の魅力をまとめたものになる。ラブコメファンの期待が高まる作品内容や、丸戸氏のファンにはたまらないエピソードを詰め込んでいるので、ぜひ最後まで読んでいただきたい。

【見逃せない理由1】国宝級ラブコメライターが描く新作ラブコメ


『Engage Kiss』が見逃せない理由としてまず「丸戸氏が描くラブコメだから」というものが挙げられる。ここではインタビューの前に、丸戸氏が生み出すラブコメがなぜ期待できるのかをご紹介したい。

冒頭に紹介した丸戸氏の代表作『冴えない彼女の育てかた』、通称「冴えカノ」は、2012年に原作ライトノベル第1巻が発売されて以降、TVアニメ化、映画化までされており、ラブコメファンなら誰でも一度は聞いたことがあるであろう大ヒット作である。1クール50本近くアニメが放送される昨今において、2期や続編映画まで制作される作品は数少ないことを考えると、その人気は並大抵のものではない。

そんなヒットアニメの原作者である丸戸氏だが、元々は恋愛シュミレーションアドベンチャーゲームのシナリオライターとして多くのファンを虜にしてきた。中でも特に有名な『WHITE ALBUM2』は2013年にアニメ化もされ、2022年現在でも国内外に多くの熱狂的なファンを抱えている。この作品では主人公と2人のヒロインの三角関係に重点が置かれており、その展開のシビアさから「胃薬必須のゲーム」と言われながらも、作品としての完成度の高さから「傑作」との呼び声も高い。

そんな数々のヒット作を生み出してきた丸戸氏の作品にはラブコメ好きにはたまらない要素が詰まっている。王道設定なのに心の機微はリアルなヒロイン達によるハーレム展開、元カノポジションのキャラクターによる嫉妬、そこに誰かを選ぶという決断に伴う「青春ならではの痛み」がスパイスのように効いてくる(※劇薬の場合もあり)。

今回の『Engage Kiss』でも、悪魔の少女「キサラ」と元カノ「アヤノ」による三角関係が示唆されており、ラブコメファンが悶えるやりとりが出てくるのは間違いないだろう。丸戸ファンはもちろんのこと、ラブコメファンにも見逃せない作品なのである。

【見逃せない理由2】歴代”最クズ”主人公と、それにハマるヒロインたちの魅力


ここからはいよいよ本題、丸戸史明氏のインタビューと共に本作を見るべき理由を紹介していく。インタビューの中で丸戸氏のキャラクターやシナリオ構成へのこだわりを随所に感じることができた。なお今回は本作の原作協力として企画に携わっている株式会社オルクス代表の萩原猛氏にも同席いただいた。

――まずは今回のプロジェクトの成り立ちについて教えてください。

丸戸史明氏(以下、丸戸):今、自分のPCで『Engage Kiss』のフォルダを漁ってみたんですが、一番古いファイルは「冴えカノ」劇場版の脚本作成が終わった頃のものでした。

ありがたいことに、その頃「また何か次の作品も一緒にやりたいね」とお声がけいただいて色々企画を出していたんですが、帯に短したすきに長しという感じで。そんな中『Engage Kiss』に近い悪魔の女子高生が登場する企画を出して、面白そうだけどここに何か足せるといいねみたいな話になったときに「全員クズにしてみたらどうでしょうか」と提案したらそれが通ったというのが今回の企画の成り立ちになります。

――そうだったんですね!本作は最初に公開されたPVで「ちょっぴりこじれた関係性3人のドタバタラブコメディー」と紹介されておりましたが、このあたりもう少し詳しく伺えますか?

丸戸:一言でいえば4月に公開されたPVの通りの関係性といいますか…詳しくはまだ言えないですが、やっぱりラブコメとか三角関係ものは行ったり来たりするのがいいですよね。強いこだわりというわけではないですが、三角関係とかが純粋に好きなんですよ。

――こだわりといえば、今回アヤノが元カノという立場のキャラクターとして登場しますが、丸戸先生の他作品でも元カノポジションのキャラクターが多いですよね?そういうキャラクターを描く際に何かこだわっている点などはありますか?

丸戸:難しいですね。ただ基本的に僕の作るキャラクターで元カレ、元カノともに未練のない奴はいないので、いつも通りだと思ってください!

今後も飽きられるまでやりますけど、でもまだ丸戸の元カノ飽きたからもうやめろと言われることは少ないので大丈夫だと思ってます。

――そうですね。アヤノも見る限り未練タラタラっぽくて、非常に楽しみです!主人公のシュウについてですが、今回彼はストレートに「クズ男」として紹介されています。丸戸先生の過去作『WHITE ALBUM2』の春希や『冴えない彼女の育てかた』の安芸君もそれぞれダメ男な部分が多々あったと思うのですが、過去作品の主人公と比べた時、シュウはどんなキャラクターなのでしょうか。

丸戸:人間としてのダメさはトップクラスですね。シュウってちょっと過去に色々あって、その傷を今でも引きずりながらそれを払拭するために悪魔と戦っている部分はあるんですよ。

だけど書き上げた脚本を読み直して思ったんですよ。確かにこいつには同情すべき過去の経緯とかそういうものがある。でもこいつがダメなこととその過去はまったく関係なかった。こいつはどんなことがあろうと最初からクズだったんだなって(笑)

――なるほど、過去の経験に基づいてできあがった人格とかっていうことじゃなくて…

丸戸:はい、生まれつきでしたね(笑)

ただそうはいっても、本作では主人公をかっこよく描くというところにはすごくこだわりがあって、決めるところでは決めてくれるのではないかと

――ヒロインのキサラに関してはいかがでしょうか?丸戸さんからみたキサラの魅力などを紹介していただけたらと。

丸戸:ヤンデレキャラの女の子として仕上げました。こんな子が現実にいたらやばいんですが、創作だからこそ楽しめる魅力がある子だと思います!(笑)

既に公開されているキサラの悪魔ビジュアルも可愛いかったですよね。

――次にメインキャストに関してお伺いできればと思います。今回キャストの皆さんはオーディションで選ばれたのでしょうか?

丸戸:そうですね、ご時世的にテープオーディションで選ばせていただきました。主人公のシュウは、再三言われている通り「クズ」なので、それに合う声質の方を皆さんで選びました。「クズ」といっても、「DV系クズ」と「ヒモ系クズ」があると思うんですがシュウは後者のほうで、女の子には常に優しいんだけど、何だかんだやることやっちゃうようなクズ臭が自然とにじみ出ている方を必死に探して…で、それとはなんの関係もなく斉藤壮馬さんを選びました(笑)

――そう言わないとあらぬ誤解を生んでしまいそうですもんね(笑)。つまりご本人の資質とは関係なく、ということですね?

丸戸:そう、ご本人の資質とは関係なく。声質がポイントでしたので。

――キサラに関してはいかがですか?

丸戸:キサラは、紹介されている通り「ヤンデレ」でして、中でも「自傷系ヤンデレ」、つまり何かあったらどんどん自分を責めて「私ってなんでこんなだめなんだ」となってしまうようなタイプです。なのでオーディションテープを聞いている時も、そういうセリフを中心に聞いて「あーこれは病んでますわ」という人を絞り込み、でそれとはまた何の関係もなく会沢紗弥さんを選びました(笑)

――ご本人の資質とは関係なくですね?

丸戸:ご本人の資質とは関係なく。演技的な理由で選ばせていただきました(笑)

――『Engage Kiss』の制作過程で、丸戸先生が指示を出された部分や他にこだわった部分があれば教えてください。

丸戸:一言で言えばフェティッシュな部分ですね。今回の作品は、監督を始め皆さんアクション畑の方が多いので、アクションシーンの作り込みなどは信頼して基本的に全部お任せしています。逆にキャラクターとして魅力的に仕上げるために必要なシーンや要素などは、自分のエッセンスを入れられるようにこだわっています。

例えば絵コンテ段階で着替えシーンとか脱衣シーンとかが端折られてしまったり…。アクション畑の硬派なコンテマンさんが多いのでそりゃそうだと思いつつ「ちょっとまってください!この脚本の中で僕が一番表現したいのはここの脱ぐシーンなんです!なのにもう着替え終わったところからシーンが始まるのはおかしいじゃないですか!」みたいな(笑)

「僕の作品の視聴者はそういうところを求めているはず」という思いもありますから、そういったフェティッシュというか変態的な部分は意識して突き通したというのはありますね。

あと僕のシナリオの特性として回想が多いので、今回も「わかりにくいよ」と言われながらも、どうせ出てきます(笑)

元カノの話もそうですけど主人公との関係値に歴史があるキャラクターっていうのが好きなので、現在においてその関係性をポーンと出したら当然昔のことを書かないといけないよね、ということでどうしても回想が多くなるんですよ。そういった部分も含めて、楽しんでいただけたらと思います。

――なるほど、まさに丸戸節が炸裂といったところでしょうか!

インタビューからも分かる通り、本作『Engage Kiss』は丸戸氏こだわりのキャラクターが、こだわりのキャストとこだわりのシーンによって魅力的に引き立てられてた物語となっているようである。過去最高のクズ男と言われた主人公や、それに一途なヤンデレ、未練タラタラな元カノたちから目が離せない。

【見逃せない理由3】こだわりがぶつかりあう、A-1 Picturesとのタッグ


本作のアニメーション制作は「かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~」などを制作したあのA-1 Pictures。インタビューの中で、丸戸氏とスタジオプロデューサーのこだわりがぶつかりあって新たな魅力が生まれた作品であることがわかってきた。

――今回制作スタジオはクオリティの高い作品を数々生み出しているA-1 Picturesですが、スタジオとのやりとりについて何かエピソードがあれば教えてください。

丸戸:企画段階の話に戻ってしまうのですが、そもそも今回の企画を立てる際にA-1 Picturesの柏田さんから「冴えカノみたいなラブコメとは違う丸戸史明を見てみたい」と言われましたね。

「Classroom☆Crisis※で違う丸戸を表現してるんですけど…」と話したら、「俺がやってないから関係ない」と言われて、はぁそうですかと(笑)

※2015年に放送された、丸戸史明氏がシリーズ構成を担当したオリジナルTVアニメ。

――すごい、ザ・プロデューサーって感じですね!

萩原:一応フォローしておくと、柏田さんは「アニメで表現すべきものをやりたい」と常に言っていて、実写や漫画や小説ではなく、アニメだからこそ映えるものをやりたいという思いが強い方なんです。そうなったときに、「冴えカノ」の次に丸戸さんとやるならアクションだろう、という考えがあったんだと思います。

丸戸:あとは、「冴えカノ」を書いていた当時担当編集だった萩原さんやイラストレーターの深崎さんとお仕事をしたときに、ある意味自分は好きなものを好きなだけやれば売れるというような腕を持った作家ではないなと思ったのもありまして。独りよがりにならず、聞くべきところは聞こうと意識しているつもりです。

――プロデューサーさんからリテイクなどのフィードバックも多かったんでしょうか?

丸戸:そうですね、様々なリテイクを経て脚本全話納品したのに、その直後「じゃ1話から読み直しますか」といって2周目の脚本会議が始まりましたね。しかも話数によってはそこから全部書き直しました(笑)

最初はやっぱり勢いで書いてる部分もありますし、最後まで上がってない中だと書いてる方も読んでいる方も、整合性などの部分で問題ないかよくわからないんですよね。最後まで形になったところで再度読み直してこそ、伏線が足りないとか補足が必要だとかわかってくる。

――そこまでプロデューサーさんも熱量高く向き合ってらっしゃるのですね。かなり大変な作業なのに、それをやろうというのもやりきるというのも本当に凄いですね…!

丸戸:そうですね。アニメーションの場合はプロデューサーだけではなく、本当に色んな会社の方々の、色んなリソースが注がれるわけです。今回で言えば監督の田中智也さん、キャラクターデザイン原案のつなこさん、A-1 Picturesの方々、宣伝の方々など皆さん必死に頑張っていいものを作り上げようとしている。そんなみんなが幸せになるには、一番には「売れる」ことだと思うんですよ。そういう意味でこの『Engage Kiss』も売れてくれるといいなと思います。

――最後に読者にむけてメッセージをお願いします!

丸戸:新機軸とまではいわない微妙に新機軸。バトルがついてるけど基本的に男と女が常に揉めてます!今まで僕のラブコメが好きだった人へ、ちゃんと揉めてますからそこは安心してください。で、アクション部分に期待する人たちへ、そこはA-1 Picturesがちゃんと頑張っているので期待してください!どんな脚本でもA-1だったらいいの作ってくれるんです!!丸戸だからアクションは不安だなっていう人たちも大丈夫!そこはA-1だから!!!

――ありがとうございました!

ただでさえ忙しいアニメ制作現場において、一度決まった脚本をやり直すのは相当な熱量がないとできないことだろう。丸戸氏のポテンシャルを最大限に引き出したA-1 Picturesの全力が見られると思うと、もはや『Engage Kiss』を見ない理由がないのではないだろうか。

以上、TVアニメ『Engage Kiss』が絶対に見逃せない3つの理由である。

丸戸史明氏による脚本で、もっともクズな主人公とそれにハマる魅力的なヒロインたちが、あのA-1 Picturesのこだわりによって描かれるTVアニメ『Engage Kiss』は7月2日(土)24:30よりTOKYO MXほかにて放送開始だ。

また今回のインタビューを踏まえて、次回『Engage Kiss』のメインキャストである会沢紗弥さん(キサラ役)、Lynnさん(アヤノ役)、大久保瑠美さん(シャロン)のインタビューも公開予定。オーディション時の丸戸氏の印象を伝えた会沢さんの反応もお楽しみに!

【公式HP】
https://engage-kiss.com/

【公式Twitter】
https://twitter.com/engage_kiss

《ふみ丸》
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