声優・山下大輝に密着したドキュメンタリー番組が配信「本当にやりたいことに全力になれずに終わるの嫌だなって」 | 超!アニメディア

声優・山下大輝に密着したドキュメンタリー番組が配信「本当にやりたいことに全力になれずに終わるの嫌だなって」

 動画配信サービス「Paravi」にて、今の時代を牽引する若きスターたちに密着取材したドキュメンタリー番組『Real Folder』Season2の独占配信がスタート。Season2の第2回は声優・山下大輝への初の密着取材だ。本稿では、その内容についてリポートする(ネタバレ含みます)。

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 動画配信サービス「Paravi」にて、今の時代を牽引する若きスターたちに密着取材したドキュメンタリー番組『Real Folder』Season2の独占配信がスタート。Season2の第2回は声優・山下大輝への初の密着取材だ。本稿では、その内容についてリポートする(ネタバレ含みます)。

 テレビアニメ『弱虫ペダル』『僕のヒーローアカデミア』『ポケットモンスター』など大ヒットアニメの主役を務めてきた山下。思春期特有の揺らぎやキャラクターが自分自身を見つけていく過程を表現するのに山下の声質はよく似合う。自分はなんだってできると無敵感を覚えたかと思いきや、一気に自信を喪失したり自暴自棄になってみたり、思春期特有の威勢の良さの中にある儚さや怯え、熱中や楽しさの中にある焦り、この時間が“期間限定”なのだとどこかで本人も悟っていながらもそれに気が付きたくはない切なさや天邪鬼さ…そんな忙しない感情の機微を見事に表現する。

 それには山下自身が持つ柔らかさや優しさ、柔軟性、素直さやピュアさがあってこそなのはもちろん、もしかすると自分のやりたいことに向けて取り組み、声優を目指すようになってからが彼自身の人生の第2章の幕開けで、正に今、山下こそがその第2章の青春時代の渦中にいるからなのかもしれない。

 それが『ダンス・ダンス・ダンスール』の主人公・潤平役を決めるオーディション段階からの自信に繋がったのかもしれない。「すげぇー気持ちがわかっちゃったから受かんなかったらめちゃくちゃ悔しいなって」「ほぼ自分だもの、っていう」「やりたかった、やりたかった、超やりたかった」という言葉が山下の口からとめどなく溢れていた。この潤平は父親の死をきっかけに自分が本来興味のあったバレエへの思いを封じ込め父親が望んだ通り“男らしく”あろうとする役どころ。それはどこか、当初はテニスコーチの父親に本当に自分が好きな声優やタレントという職業について理解を示してはもらえなかった山下自身と重なるところがあるのだと言う。

「好きなものを堂々と好きって言えなかった時があったんで、学生時代は。それを隠しながら生きるのって割としんどいなって」「本当にやりたいことに全力になれずに終わるの嫌だなってどっかで思って、吹っ切れてきたんですけど」と言う山下の言葉が印象的だ。そして、山下がそこまで感情移入しながら、きっと時には痛みを抱えながらもその息苦しさや心細さにそっと寄り添ってくれ、息吹を吹き込まれる側の潤平というキャラクターはさぞかし幸せだろうなとも感じる。

 また、今、自身が青春時代を謳歌している山下だからこそ、“その向こう側”に行けた彼だからこそ、潤平を演じながら当時の窮屈さを抱えていた自分自身をそっと抱きしめ励ましてあげられるのかもしれない。そのキャラクターと自分自身の応酬こそ、山下がインタビュー中には話していた「自分の経験の中の引き出し」からどの感情や経験がフィットするか、「どれが一番この子(キャラクター)に合うのか」の「せめぎ合い」なのではないだろうか。

 そしてその「せめぎ合い」をとても大事にしているからこそ、山下はナレーション の原稿一言についてもふと立ち止まり熟考する。このトーンで、このテンションでこの言葉を発してしまうことで軽々しく聞こえてしまわないか、本当にこのワードがこの場に最適なのか。ネガティヴな意味合いを孕んでいないだろうか、誰かを不本意な形で傷つけてしまわないだろうかと。その繊細さや細やかさ、丹念さこそが山下の最大の武器であり、監督たちから厚い信頼を寄せられる所以なのだろう。

 そしてそこまで山下が大切にいつも自分の中にある引き出しと照らし合わせながらせめぎ合っているキャラクターだからこそ、彼がステージに立つ時、カメラの前でポーズを決める時、ここぞという時に手を貸してくれ輝かせ、助けてくれるのではないだろうか。そうやってキャラクターと最も近いところに常にい続け、共に悩もうとする山下だからこそ、キャラクター自身の背中を押し解放するだけでなく、その先にいる観る者の感情を置き去りにしてしまうことなく前進させてくれるのだろう。

次は彼がどんなキャラクターと手を取り合いながら、どんな世界を生き、熱中していくのか楽しみは尽きない。

文:佳香(かこ)

(C)MBS

《M.TOKU》
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