声優アイドルユニット・i☆Risのメンバーとして活動する若井友希が、シンガー・ソングライター“友希”名義で行った有観客のワンマンライブ“友希 Birthday Live 2021 #YOLO”が、2021年10月30日に恵比寿ザ・ガーデンホールにて開催された。本ライブは、彼女自身の誕生日当日に、この日に向けて書き下ろした新曲を多数引っさげたフルバンド編成のライブで、シンガー・ソングライターとしてのはじまりを確かに感じさせてくれた。本稿では、2回行なわれた公演のうち第2部の模様をお届けする。
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“友希 Birthday Live 2021 #YOLO”ライブフォト【画像クリックでフォトギャラリーへ】
一貫して自身の向く方向を示した、ギュッと詰まったライブに
ライブロゴをモチーフにしたモニュメントが大きく吊り下げられたステージの下、雑踏のなか友希の想いをそのまま翻訳したような英詩が流れるオープニングSEのなか、まずはバンドメンバーが登場。最後の「No more」のフレーズと同時に、1曲目「No more」の演奏がスタート。イントロ中に友希がステージに登場し、ライブが幕を開ける。ポップなリズムの楽曲に乗せたグルーヴィーな歌声はユニットやバラード歌唱時とはアプローチが異なるものだった。序盤のみ若干の固さもあった様子だったが、途中からは気持ちよさそうな笑顔をのぞかせる。
そのまま続けた「Moon Power」は、イントロでピアノに乗る口笛の音が印象的な、スウィングが心地よいジャジーなムードのナンバー。それでいて少し懐かしい歌謡曲の雰囲気も漂うサウンドやメロに、さらにグルーヴ感を増した歌声を気持ちよさそうに乗せていく。2サビ明けの間奏では友希自身もリズムに合わせて気持ちよさそうに跳ね、かと思えば大サビではぐわっと広がるようなボーカルで歌い上げるなど、ステージングも歌声も印象深いポイントの多い楽曲だった。
曲明けにはこの日最初のMC。自身の誕生日当日のライブではあるが、「逆に私から、皆さんにいっぱいプレゼントする気持ちで、いろいろ持って帰ってもらいたい」と意気込みを語る。また、シンガー・ソングライターとしての活動についても「ずっとやりたかったことで、今日は私にとってあらたなスタート」と語り、新曲も多数引っさげてのライブであることも改めて公言する。
そして「新しい私の世界を、皆さまにお届けします」とMCを締めくくり、ライブタイトルにも結びつくナンバー「YOLO!」でライブ再開。ミドルテンポのポップなナンバーと絡む、低音部分もよく映える骨太な歌声は、ソロのステージならではのもの。ラストのフェイクまで、聴きどころ満載だった。サビでは友希の先導に従って観客が左右に腕を振るなど、場内を巻き込みながら一体となって楽しむポップなナンバーを作り上げていくと、続く「Daydream Devil」では楽曲に沿ったセクシーさを歌声にもステージングにも漂わせていく。特に尻下がり気味になるサビ中盤のロングトーンや、2サビ明けの間奏からDメロ最後のロングトーンまでの部分には色気が濃く出ており、視覚・聴覚の両面でファンをさらにぐっと惹き込んだ。
そんな曲明けのMCタイムでは、“好きなコンビニ”をお題にバンドメンバーを紹介。バンドメンバーのみならず、ファンにも挙手を用いたアンケートを行なうなどコミュニケーションを取っていく。
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その後、3曲続いての洋楽カバーコーナーへ。カバー3曲は、彼女自身のやりたいことへの連続性や一貫性が、はっきり感じられた。まずMaroon 5の「Sunday Morning」では、少々低めの音域に合わせて深く沈み込む、より懐の深さを感じられる歌声を響かせていく。終盤にはパワフルさをプラスして歌声を場内中へと広げると、観客も着席してそれを受け止め歌声を堪能した。また、ピアノソロから始まるVanessa Carltonの「A Thousand Miles」では、ピアノの音が立ち、爽やかさが増したサウンドに合わせてか、クセや溜めのようなものを若干減らした歌声に。スッキリとさせた聴きやすい歌声としながらも、若干抜きめとなった落ちサビから全開になる大サビまでの展開が素晴らしく、一段と濃密なラスト1分を形作る。
そしてカバー曲ラストのBruno Mars「Just The Way You Are」ではギターがアコギに。照明もオレンジベースに変わり音もムードも温かみを増したなか、友希の歌声も少々柔らかいものへと昇華する。この曲の聴きどころは、なんと言ってもサビ。言葉一つひとつへの発し方や息の込め具合にまでこだわり抜かれた、表情のありありと見える歌声だ。その繊細さに最後まで魅せられたまま、カバーコーナーはエンディングを迎えた。
カバーコーナーが終わると、友希がバンドの演奏をバックにライブ後半戦突入を告げる。改めて、幼い頃からの夢がシンガー・ソングライターであったことや、その最初の一歩を踏み出すためのこのステージに立てたことへの感謝を述べる。そして「今思うことは歌に込めました」と締めくくり、友希として開催した1stワンマンライブのタイトルにも冠した「Hello My Dream」を歌唱。直前に熱い想いを発信した後だったからか、冒頭少々感極まってしまった友希。想いと音楽を受け取ってくれる人が目の前にいてくれるからこその、心の動きだったのかもしれない。だが、何度も脚を叩いてなんとか踏ん張り抜いた友希は、崩れずに中盤からは力強歌い、最後には微笑みを浮かべながら締めくくる。そんな感情の起伏をみせながらもこの曲を歌いきったときこそ、彼女が改めて夢への一歩を踏み出した瞬間になったのかもしれない。
続く「カフェラテ」は、歌詞で描かれたヒロイン像にもピッタリな、ちょっぴり甘めな味付けのポップなバンドアレンジに。歌声も少しかわいげをのぞかせた軽めのアプローチのものとなっており、イントロと同時に笑顔で跳ねる姿からはライブを楽しんでいる様子も感じ取れた。
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待望の“友希”としてのリリースも発表! 充実のステージが高める今後への期待
曲明けのMCは、今度は今回披露した8曲もの新曲の作曲をともに手掛けた、バンマスの宮田’レフティ’リョウ(Key.)とともに新曲制作の振り返り。友希は「自分の力量だけでは理想にたどり着けなかった」と率直に語り、「私が『こういうのをやりたいです』と提示したものを、すごく大きく広げてくれた」とレフティへの感謝を改めて言葉にする。レフティからは、今回の新曲は3ヶ月ほどで生み出されたという驚きの事実も明かされた。
そんなトークに続いては、レフティ自身が制作中のアルバム収録に向けて、ふたりで作詞・作曲を共作した新曲「ex」を披露。レフティのピアノ1本をバックにしたこのバラードでは、情感たっぷりに歌うなか1サビでぐっと大きく想いを広げてみせた友希。大サビではひざまずくような場面も織り交ぜて感情を爆発させて、メロディのもつ魅力をさらに増幅させていた。
歌唱後、レフティのピアノソロの演奏をバックに再びバンドメンバーが登場。暗転のなか歌われ始めたのは「Lost」だ。ステージが明転すると、なんとその中央には、ギターを提げてスタンドマイクの前に立つ友希の姿が。プラスアルファの“新しい私”を示す、ギターを演奏しながらの歌唱だ。しかも演奏に気を取られるわけではなく、感情の波のみせかたも非常に見事。声を震わせるDメロのラストに至るまでの流れは、とにかく絶品だった。
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曲明け「今日はハートだけで歌えています。いちばん大事なものを皆さんに届けられているという気がしています」と口にすると、ライブはいよいよ終盤へ突入。バリエーション豊かな新しい表情をみせてきた友希が、一周回ってミドルテンポのポップなナンバー「Beautiful sky」を歌唱する。ドラムの煽りに合わせてイントロからクラップが響くなか、彼女の表情と歌声はともに晴れやかなもので、観る側を同じような晴れやかな気持ちへと引っ張り上げてくれた。
そのまま続いた本編ラスト曲「リナリア」は、パープルの照明の色合いやピアノのリバーブ具合などから夜好性のエッセンスを感じさせつつも、友希らしいポップさが芯として存在する楽曲に。序盤にも感じた歌声の懐の深さを持ってしっかりと楽曲を乗りこなすことで“新しい私”を最後までみせていく。歌いきったところで、後奏が演奏されるなか一礼して降壇。続けてバンドメンバーも降壇すると、すかさず観客からの盛大なアンコールを求めるクラップが響き始める。
クラップがしばし響き続けたところでバンドメンバーが登場し、アンコール曲「アカリ」のイントロと同時に友希も再登場。再び明るくミドルなポップなナンバーを通して、明るさとエネルギーを場内に届ける。この曲ではステージをゆっくり歩きながら、最前から最後方まで様々な場所に位置取るファンと視線を交わす。そうしてつながることで曲のメッセージを体現する、すべての人に寄り添う“アカリ”となる曲としていた。
曲明けには、誕生日当日ということで観客をバックに写真撮影……かと思いきや、サプライズでケーキが登場!1部とは異なるケーキの登場に「もうないと思ってた!」とうれしがると、友希からも12月15日に自身初の配信シングル「No more」がリリース決定するというお知らせが。この発表を受けて、この日一番の拍手が場内を包む。そして「今日を境に、友希としての活動もガンガンしていきます!」と宣言すると、ラストの1曲を前に、タイトルに冠した「YOLO」について「You Only Live Once」=「人生は一度きり」という意味であることが改めて説明され、「私はここからがスタートですし、まだまだこれからなので、『私はこれでやっていくんだ!』という強い意志を持って生きていきたいです」と宣言。そして、配信リリースされる「No more」の二度目の披露へ。
1曲目としての披露から素晴らしい歌声ではあったのだが、二度目の披露ではそれを大きく越えた、気持ちの乗り具合がまったく違う豊かで大きな歌声に。それはきっと、ここまで14曲を披露してきたなかで感じた想いが詰め込まれていたからだろう。これこそがまさに、「翼を広げて飛んでいく」姿を体現したものなのかもしれない。2サビ明け間奏で「この曲を背負ってもっともっと加速していくんで、ずっとついてきてください!」と改めて決意表明をした彼女の歌声とステージングは、最後までポジティブな気持ちを感じさせるもの。堂々のロングトーンで歌い上げると、達成感に満ちあふれた表情でのジャンプエンドで楽曲を締めくくる。ステージ前方へと出てきたバンドメンバーと手をつないでの最期の挨拶でも、満面の笑み。今出せるものを出し尽くせたからこその、最高の笑顔だった。
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シンガー・ソングライターとして、素晴らしいワンマンライブを作り上げた友希。だがこの日のライブは決してゴールではなく、彼女にとってはこれがスタート地点。そう自然と思わせてくれたのは、彼女が質の高い新しい姿を次々とみせてくれたことからだ。。誕生日当日・配信シングルのリリースと様々な記念が重なった大切なバースデーライブを、単なる“記念日”にとどまらないものとした友希。いよいよ夢見ていた世界へ向けての第一歩を、この日彼女は堂々と踏み出したのだった。
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取材・執筆=須永兼次
“友希 Birthday Live 2021 #YOLO”2部
2021.10.30@恵比寿ザ・ガーデンホール
【SET LIST】
M1. No more
M2. Moon Power
M3. YOLO!
M4. Daydream Devil
M5. Sunday Morning(Maroon 5カバー)
M6. A Thousand Miles(Vanessa Carltonカバー)
M7. Just The Way You Are(Bruno Marsカバー)
M8. Hello My Dream
M9. カフェラテ
M10. ex
M11. Lost
M12. Beautiful sky
M13. リナリア
EN1. アカリ
EN2. No more
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配信リリース決定
配信日:2021.12.15(Wed)
楽曲:「No more」
※作詞を友希が担当、作曲は友希とバンドマスターの宮田'レフティ'リョウと共作で制作
iTunes、Apple Music、Spotify、Amazon Music、LINE MUSICなど主要音楽配信サービスにて配信予定
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友希【画像クリックでライブフォトを見る】