■念願の「フリンジ」参加に喜び
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――「フリンジ」に参加した際のお写真ですね。ずっと楽しみにしていましたが、参加してみていかがでしたか?
寿:すっごく楽しかったです! 街全体がフェスティバル仕様になっていて、どこに行ってもワクワクしました。街中にポスターが貼られているので、どの公演を見るかすごく悩んでしまいました。一番印象に残っているのが、このポスターにある公演です。
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――どんな公演だったのでしょうか?
寿:「ブリテンズ・ゴット・タレント」というイギリスの公開オーディション番組があるのですが、10年前にその番組に出場した、オックスフォード大学出身のアカペラグループの後輩にあたる人達によるコンサートステージです。先輩達のステージは今でもYouTubeでその様子を見ることができるので、是非見てほしいです。本当に素晴らしいんですよ。今回初めて生でアカペラを聴くことができて感動しました。
――フリンジでは、出演者と交流もできるのでしょうか?
寿:はい。公演の後にお見送りをしてくれました。基本的にイギリスは入出待ちの文化があるので、舞台前後にキャストに感想を伝えることができるんです。
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――トータルでどれだけの公演を見たのでしょうか?
寿:2日間で7公演を見ることができました。前回のインタビューで「バーレスク的な公演を見たい」と話したのですが、それも観ることができたので、すごく充実したフリンジになりました!
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■ロンドンでも舞台漬けの日々を満喫
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――フリンジから帰っても、たくさんの舞台を見られたのですね。
寿:今思い返すと、この夏は本当に舞台漬けだった気がします(笑)。ライオン・キングは日本で見たこともあったのですが、イギリス公演ではまた違った印象を受けました。歌声も全く違っていて、神聖な儀式を見させてもらった感覚です。
――イギリスは劇場から作品に合わせていて、どれもステキですね。
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寿:これは劇場の写真だけでも、なんの公演を見たかわかりますよね。「オペラ座の怪人」です。「ハー・マジェスティーズ・シアター」という劇場なのですが、すごくゴージャスで入った瞬間から圧倒されました。
――上のシャンデリアが落ちて来たりするのでしょうか?
寿:まさにその通りです(笑)。劇場から「オペラ座の怪人」になっていたので、いるだけで作品に浸れる空間でした。
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――以前のインタビューで「行きたい」と言っていた、ロイヤルアルバートホールにも入ることができたのですね。
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寿:はい! もう終わってしまったのですが、「プロムス」というBBCが主催するコンサートが1か月間ほど開催されていて、毎日演目が違っていたので、私はピアノとパイプオルガンを聴きに行ってきました。最上階ではみんな寝転んで聴いていて笑ってしまいました(笑)。
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――寝ながらオーケストラを聴けるなんて、最高ですね(笑)。
寿:一番の特等席かもしれないと思いました(笑)。
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■寿美菜子の“幸せ”とは? 30歳の抱負を聞いた
――9月17日は、寿さんの30歳の誕生日。昨年、29歳の抱負を聞いた時は「いろんな人・ものに感謝できる人になれたら」と話していましたが、振り返っていかがですか?
寿:ロックダウンを終えて、そう思えるようになりました。今、毎日のように舞台を観に行っているのですが、劇場のアナウンスが「welcome back to the theater」など“おかえり”という意味の言葉を言ってくれて、「劇場に来られるだけで感謝だな」としみじみ感じます。電車やバスが時間通りに来なかったり、荷物が指定の日に届かなかったりすると最初は怒っていたのですが、最近では「よく時間通りに来たね!」という気持ちになったり(笑)。イギリスに来てから、何事にも感謝せずにはいられなくなりました。
――では、30歳の抱負も聞かせてください。
寿: 私はよく父親に「今幸せか?」と聞かれるのですが、「幸せやで」と返すと「幸せやったら良いねん。何でも」と言われるんですよ。改めて「私の幸せってなんだろう?」と考えた時に、それは“挑戦すること”だと思いました。挑戦をやめた瞬間、幸せを感じなくなると思うので、30歳になっても引き続きチャレンジ精神を持って、何事にも挑んでいきたいと思っています。
――ありがとうございました!
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『TIGER & BUNNY』カリーナ・ライル/ ブルーローズ役
事務所の同期である、高垣彩陽、戸松遥、豊崎愛生とのユニット「スフィア」のメンバー。