「10月のプールに飛び込んだ」を後世まで語り継ぎたいと本気で思う僕を笑うといい【瞬間、心が動いた物語1:欅坂46『THE LAST LIVE』】 | 超!アニメディア

「10月のプールに飛び込んだ」を後世まで語り継ぎたいと本気で思う僕を笑うといい【瞬間、心が動いた物語1:欅坂46『THE LAST LIVE』】

「超!アニメディア」編集長の連載「瞬間、心が動いた物語」がスタート。第1回目に伝えたいエンタメは、「欅坂46『THE LAST LIVE』」

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「欅坂46『THE LAST LIVE』」
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 アニメ・声優・マンガ・ゲーム情報のニュースやインタビューを発信し、ラジオ・動画コンテンツなども展開しているWEBサイト「超!アニメディア」。本サイトの編集長が“いま気になっているエンターテインメント”を紹介する連載「瞬間、心が動いた物語」が、本日よりスタート! 「エンタメ」に心を揺さぶられ、人生が変わった編集長が、エンタメの魅力を語り、時には物を申します。

 第1回目に伝えたいエンタメは、「欅坂46『THE LAST LIVE』」。

「欅坂46『THE LAST LIVE』」ジャケット写真

連載をはじめるにあたって
 はじめまして。この度、連載をスタートする「超!アニメディア」編集長の中筋啓です。本連載では、私どもが普段から情報を発信しているアニメ・声優・マンガ・ゲームだけでなく、音楽・ドラマ・映画・本など、様々なエンタメを紹介し、その魅力について語ります。

 この連載を始めようと思ったのは、”新しい生活様式“という言葉をしばしば聞くようになった2020年に、「エンタメがなくなる人生」を想像したことがきっかけでした。生まれてきて30数年。思い返してみると、私は「エンタメ」に触れることで熱くなったり、感動して涙したりと、心を豊かにしてきました。中には人生を変えるきっかけになった「エンタメ」もあります。いま私がこうやってアニメ関係の仕事をしているのも、『SHIROBAKO』というアニメ作品がきっかけなので、決して大げさではありません。

 ひとりの人生を変えることにもなる、そんな「エンタメ」ですが、2020年は新型コロナウイルス感染症の感染拡大によって、様々な影響を受けました。イベントの延期・中止、作品そのものが作れない・作りづらい状況に陥ってしまった企業・クリエイターの方々も少なくありません。先が見えない状況のなか、「エンタメ」はどうあるべきなのかと、問われることもありました。私自身、この仕事をやる意味を考えていました。

 それでも、そんな不安のなかで私を支えてくれたのもまた「エンタメ」だったんです。人と直接触れ合う機会が圧倒的に減ったなか、音楽を聞いたり、アニメやドラマ・映画を家で見たり、本を読んだりすることで、「あぁ、明日も頑張ろう」と、ただ単純にそう思えました。そんな誰かの活力になる「エンタメ」の魅力や存在意義を伝えたい。そう思い、連載をスタートすることにしました。この連載をきっかけに作品を知ってもらい、その作品が誰かの支えになれば、私も幸せです。

「欅坂46『THE LAST LIVE』」DAY1ジャケット写真

全力のパフォーマンスは、かけがえのない思い出に
 前置きがかなり長くなってしまいました。ここからが本編です。今回、紹介するのは「欅坂46 THE LAST LIVE」。早速アニメコンテンツではないのですが、連載第1回目はどうしてもこのライブについてお話がしたく。なぜなら、それほどまでに心を揺さぶられ、魂に刻まれるライブだったから。私のなかでは間違いなく、2020年一番印象に残ったライブでした。

 欅坂46は、秋元康さんが総合プロデュース、応募者2万2509名のオーディションを経て、2015年8月に乃木坂46に続く「坂道シリーズ」第2弾グループとして誕生します。そして、2020年10月12日・13日に行われた「欅坂46 THE LAST LIVE」を以て、活動の幕を閉じました。

 本ライブで終始感じていたのは、「彼女たちの物語と感情」。言葉通りに激動だった彼女たちの5年間が、ライブに凝縮されていた気がします。その感情は、「楽しかった」だけじゃなく、「寂しい」「悔しい」といったもの、そして「覚悟」も混じっていると感じました。その想いを受けて、私も大きく感情が揺さぶられ、何度も涙したんです。

「欅坂46『THE LAST LIVE』」DAY2ジャケット写真

 特に印象的だったのが、「10月のプールに飛び込んだ」。本曲は、欅坂46のアルバム『永遠より長い一瞬 ~あの頃、確かに存在した私たち~』に収録されていた楽曲。これまでリリースされたことがなかった未発表曲のひとつで、ライブでは二期生の森田ひかるさんがセンターを務めていました。

 本曲を披露する前、二期生たちの軌跡を伝える映像に併せて、二期生が会場に集うシーンがありました。そこで見たのは、二期生が自然と手をつなぎ、涙したり、笑顔を浮かべたりしている様子。その姿は、自分たちのこれまでの歩みを確かめ合い、お互いを尊重し、楽しいも悔しいもすべての感情を共有しているようで、あまりにも美しかった。

 その後、始まった「10月のプールに飛び込んだ」。うるんだ瞳の森田さんが、ふと笑顔を浮かべる。とても晴れやかに。そして、サビ部分で感情を開放させ、「がむしゃら」に全力でソロパフォーマンスを披露します。同じく二期生の藤吉夏鈴さんも、何者も縛ることができないような笑顔と躍動感で森田さんのダンスに合流。ふたりは圧巻のパフォーマンスを魅せます。

 あそこまで感情が乗って昇華されたパフォーマンスを私は見たことがない。「ひょっとしたらこれからも、見ることができないかもしれない」。それが過言ではないと思えるほど圧倒され、心にこびりつきました。この一曲だけでライブを見る価値が十二分にあった、欅坂46を知ってよかったと思えるほどに。

「物語」という点でいえば、「二人セゾン」も欠かせません。本曲は2020年1月に欅坂46を脱退した平手友梨奈さんが元々はセンターを務めていた一曲です。本ライブでは、一期生の小池美波さんがセンターでした。2019年夏のアリーナツアーでも本曲のセンターを務めた彼女は、『僕たちの嘘と真実 Documentary of 欅坂46』にて、「平手と対になる『(二人)セゾン』を作りたい」「平手が切なさだったら、私は楽しいとか嬉しい」「季節で表したら春とか夏にしたいと思いました。平手が秋冬とすると。そういう風に、繋がればいいなと思いました。平手との『セゾン』が」と語っています。

 その決意は今回のライブでも存分に発揮されていましたが、最後に見せたあの表情は、パフォーマーとして進化した小池さんが、すべての季節を超えて見つけた、本曲への想いを表しているようでもありました。また、一期生であり、本ライブを以て卒業することを発表していた佐藤詩織さんが、彼女に憧れを抱いている二期生の武元唯衣さんを曲中に抱きしめたその姿からは、切なさと感謝の念を感じ、まさに卒業式を迎える先輩・後輩を見ているようで、親になったこともないのに、親心をくすぐられました。

 その他、無表情がパフォーマンスになる渡辺梨加さん、「もう森へ帰ろうか?」のワイヤーを使った演出で幻想的な雰囲気を作る上村莉菜さん、「誰がその鐘を鳴らすのか?」で魂のこもったパフォーマンスをぶつける小林由依さんなど、本当は全メンバー、全曲について語りたいくらい、注目すべき点が多いライブ。恐らく、見た人の数だけ物語や感情も生まれたと思います。私とは全く違う感想を抱いた人もいるでしょう。それも「エンタメ」の面白さのひとつだと感じています。




「エンタメ」を提供する側でもある私は常々、「コンテンツの価値」を考えています。「価値」には色々な捉え方がありますが、ここで私が言いたいのは「対価」。もっと言ってしまえば、「そのイベントを見るために支払ってもらったお金、確保してもらった時間分の何かを提供できるかどうか」、ということ。

 このライブは、私にとって間違いなく「最高に価値あるもの」でした。提供する側としての学びも多く、何より心が洗われたから。そして、多くの人にとって「価値」あるものになったとも思います。

 キャプテンの菅井友香さんは本ライブの最後に「永遠ってないのかなと改めて思って、でもだからこそ、欅坂がいかにかけがえのない存在だったか、このチームの皆さん、応援してくださる皆さん、そしてメンバーのみんながどれだけ大切だったのかを感じています」と言います。私は、かけがえのない存在だからこそ、彼女たちの軌跡を知り、応援しようと思った人たちにとっては永遠にもなる気がしました。本ライブで命を燃やした欅坂46が忘れられることはないでしょう。

 さらに、「エンタメ」に関わる人間として、同じように誰かにとって「かけがえのないもの」を作れるようになりたい。心から、そう思います。欅坂46とは違う「価値」を模索する櫻坂46も、私は引き続き応援します。

 本ライブは現在、DVD・Blu-rayが発売中です。一度ライブが見たことがある人も新たな発見ができるはず。一回では見切れないほどに、様々な「物語」が凝縮されています。そして、まだライブを見たことがない人にも、アイドルが好きでない人にも、彼女たちの「物語」はきっと響くはず。どうか届いて欲しい。



欅坂46 DVD&Blu-ray『THE LAST LIVE』
発売日:2021年3月24日

【完全生産限定盤】
『THE LAST LIVE -DAY1 & DAY2-』
3DVD / SRBL-1985~1987 / ¥11,636+tax
3Blu-ray / SRXL-310~312 / ¥15,273+tax
・三方背BOX仕様
・特典映像「Documentary of THE LAST LIVE~欅坂を登った者たち~」収録
・フォトブックレット
・ポストカードセット封入(6枚組 ※全46種のうち6枚1セット封入)

『THE LAST LIVE -DAY1-』
DVD / SRBL-1988 / ¥4,727+tax
Blu-ray / SRXL-313 / ¥6,545+tax

『THE LAST LIVE -DAY2-』
DVD / SRBL-1989 / ¥4,727+tax
Blu-ray / SRXL-314 / ¥6,545+tax

<収録内容>
DISC1 -DAY1-  ※「THE LAST LIVE -DAY1-」同内容
01.オープニング
02.Overture
03.サイレントマジョリティー
04.大人は信じてくれない
05.エキセントリック
06.語るなら未来を…
07.月曜日の朝、スカートを切られた
08.Student Dance
09.カレイドスコープ
10.渋谷川
11.I'm out
12.Nobody
13.東京タワーはどこから見える?
14.避雷針
15.不協和音
16.キミガイナイ
17.君をもう探さない
18.もう森へ帰ろうか?
19.黒い羊
20.エンディング

DISC2 -DAY2-  ※「THE LAST LIVE -DAY2-」同内容
01.オープニング
02.Overture
03.危なっかしい計画
04.手を繋いで帰ろうか
05.二人セゾン
06.太陽は見上げる人を選ばない
07.制服と太陽
08.世界には愛しかない
09.コンセントレーション
10.Deadline
11.10月のプールに飛び込んだ
12.砂塵
13.風に吹かれても
14.アンビバレント
15.ガラスを割れ!
16.誰がその鐘を鳴らすのか?
MC
17.サイレントマジョリティー
18.エンディング
19.Nobody's fault / 櫻坂46

DISC3 ※完全生産限定盤のみ
Documentary of THE LAST LIVE~欅坂を登った者たち~
《M.TOKU》
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