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開演前のメインスクリーンには夕陽と灯台が映され、それが次第に夜へと変化。加えて、流れていた客入れBGMにさざ波のSEが重なっていき、開演が近づくさまを表現する。普段のように喋れない開演待ちの時間を活用してファンにワクワクを感じさせる“今ならではの公演”を演出によって開演前から形にした。
ライブ本編はまず、朗読劇からスタート。“開演を目前に控えたTrySailが、月でのライブを控えた5年後のTrySailのもとにタイムスリップする”という設定のもと、息の合ったコミカルな掛け合いを展開する。最後には実際にも3人が抱いていたであろう「(ファンへ)ありがとうの気持ちを全力で届ける」という想いをセリフとしても掲げた。その後に披露した楽曲は「Sail Out」。間奏で3人が向き合って手を合わせて掲げるという振付を含む1stシングルのカップリング曲で“出航”すると、続けて「BraveSail」「WANTED GIRL」を歌唱する。ここまでの流れで“培われた3人の絆”を随所で明示した。
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序盤の見せ場としては、「パーリー☆パーティ」から始まる3連続のダンス曲ゾーンも忘れてはならない。いずれの曲でもパフォーマンスの質の高さを見せ、特に「Truth.」では非常に硬質なサウンドに合わせたパキパキとしたダンスを披露。そんななか、楽曲終盤に移動の隙を使って右手を掲げ、観客を煽って巻き込んだ夏川の巧みさも光った。
ここで、メンバーがひとりずつ順に衣装チェンジのため降壇。残るふたりが、事前にファンから寄せられた、TrySailや楽曲にちなんだメッセージをローテーションで紹介する。全員の衣装チェンジが終わったところで、ライブが再開。最後のメッセージでも触れられていた楽曲「あかね色」では、赤やオレンジのペンライトの光が客席を埋めつくす。また、メインスクリーンにもオレンジの光に囲まれてソロパートを歌うメンバーの姿が浮かび上がった。1サビでは、芯はもちながらも角を取った優しさ含みの雨宮の歌声が非常によく響いたほか、間奏を挟んでの2-Aメロでは麻倉の歌声がもつ無垢さが非常によく活き、楽曲のもつ温かみがさらに増しているようであった。
「azure」「明日も晴れる」と徐々にライブのボルテージがクレッシェンドしていくと、「うつろい」からは中盤の山場『マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝』楽曲ゾーンへ。ハイスピードかつストリングスの利いた、爽やかさと切なさをあわせ持つ楽曲と麻倉のキュンとくる歌声の相性は、生でも抜群。楽曲の良さを活かし増幅させていると感じられた。
そんな3曲に続いたのが「High Free Spirits」。ライブで会場中を熱く燃え上がらせるド鉄板ナンバーで、夏川が歌声の質を直前までとはガラリと変えてくる。ポイントごとにアタック強めのトゲのある歌声へと一気に変貌し、熱と鋭さをこの曲にもたらす。そんな彼女の「代々木ー!」の雄叫びを合図に、3人がロングスカートを脱いで颯爽と衣装チェンジ。その他のパートのダンスも含め、熱量をぶつけるだけでなくパフォーマンスでもしっかり魅せ続けた。
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ライブは終盤戦へと突入。その幕開けを飾ったのは、キュートな歌声とサビでの跳ねる振付が魅力の「whiz」。しかもその跳ね方が、タイミングや高さはもちろん脚の向きや角度、さらには上半身のひねり方まですべて揃っている点には、ただただ脱帽だ。続く「バン!バン!!バンザイ!!!」では、コールアンドレスポンスのかわりに客席を数ブロックに分けての振付タイムでファンの気持ちを高め、「Sunset カンフー」ではペンライトの揺れ方だけでわかるほどの盛り上がりをもたらす。会場のボルテージは、この2曲で最高潮を迎えた……と思われたが、最強のキラーチューン「adrenaline!!!」がその天井を軽々と突き破る。
この日のこの曲はとにかく、ステージいっぱいを使ってファンと笑顔の交換を続けた雨宮の一挙手一投足が、視線を離してくれない。なぜなら、センターステージでの披露中には若干アピールが手薄になったエリアに駆け込んだり、メインステージへの戻り順の兼ね合いもあってセンターステージを独り占めしながら四方八方に手を振りまくっていたりと、彼女自身が楽曲にも通じるワクワクを発し続けていたのだから。
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そして突入した本編ラスト曲「Free Turn」。楽曲のもつ熱は帯びたまま、サビの細かいメロディ一音一音と連動した細かい振付を3人がピタリと揃える。3人のパフォーマンスの質の高さがはっきりと分かるこの曲は、今のTrySailの良さをぐっと凝縮したものと言えるだろう。まさに、本編のラストを飾るにふさわしい曲でしかなかった。
暗転後、客席からの割れんばかりのクラップアンコールを受けて、メインスクリーンにはTrySailのライブ映像が。映像は2019年のライブから初ワンマン”Sail Out!!!”まで、徐々に遡っていく。そして、カウントダウンが始まったところで、2階ステージに射す各人のイメージカラーのたもとから3人が登場。デビュー曲「Youthful Dreamer」でアンコールがスタートした。歌唱が始まると、先ほどの映像演出を引き継ぐかのようにメインスクリーンの左半分には初ワンマンの姿、右半分には今現在の姿が映し出される。同時に見比べることで、6年での成長をはっきりと感じられた。さらに、初ワンマンライブ”Sail Out!!!”で初披露された「僕らのシンフォニー」を続けることで、楽しみながら改めて初心に帰る姿もみせた。
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ライブも残すところあと1曲。ラストナンバーを前に、3人それぞれからファンへメッセージが送られた。
「昨日のライブの筋肉痛も、みんなの笑顔を見たら吹っ飛んで『楽しみたーい!』という気持ちになりました。久々だけど、みんなと会えて一緒の時間を楽しめて本当によかった! これからも一つひとつの時間を大事に、全力で行きたいです!(雨宮)」
「みんなの笑顔と楽しそうな表情を見たら、心の底から『やってよかった!またライブしたい!』という気持ちがあふれてきました。新曲も発表されましたし、絶対にまたライブするので、絶対笑顔で会いましょう!(麻倉)」
「皆さんが『楽しい!』『幸せ!』と思ってくれている気持ちをエネルギーにして、今日伝えきることができたように思います。今日来てくれた皆さんも、来られなかったり来ないことを選んだ皆さんにとっても、『ただいま』と『おかえり』を言える場所をTrySailとして準備して待っていたいです!(夏川)」
各々が思いの丈を言葉にした後は、ラストナンバー「この幸せが夢じゃないなら」へ。1サビのラストでは雨宮と麻倉が夏川をサンドしたかと思えば、2-Aメロでは花道でソロを歌う雨宮に、麻倉と夏川がにじり寄ってから飛びつくなど、3人が互いに2Daysの完走をねぎらい合う。加えて、2サビ最後にはステージ側からのアングルで3人と客席を映し、この日だけの景色を会場中と共有してライブは幕を下ろした。
コロナ禍でも共に進み続けるファンへの感謝と、3人の結束を改めて形にした今回のワンマンライブ。6月には約1年3ヶ月ぶりのニューシングル「誰が為に愛は鳴る」発売も決定し、再びファンとの“航海”を加速させていく3人から、ますます目が離せない。
執筆/須永兼次
LAWSON presents TrySail Live 2021 “Double the Cape”
2020.03.07@国立代々木競技場第一体育館
【SET LIST】
M1.Sail Out
M2.BraveSail
M3.WANTED GIRL
M4.パーリー☆パーティ
M5.Truth.
M6.CODING
M7.あかね色
M8.azure
M9.明日も晴れる
M10.うつろい
M11.ごまかし
M12.かかわり
M13.High Free Spirits
M14.whiz
M15.バン!バン!!バンザイ!!!
M16.Sunset カンフー
M17.adrenaline!!!
M18.Free Turn
EN1.Youthful Dreamer
EN2.僕らのシンフォニー
EN3.この幸せが夢じゃないなら
TrySailニューシングル「誰が為に愛は鳴る」(たがためにあいはなる)リリース情報
発売日:2021年6月9日(水)
※アニメ『SDガンダムワールド ヒーローズ』OPテーマ曲
初回生産限定盤【CD+DVD】
価格:1,700円(税別)
※TrySailメンバー出演によるMusic Videoを収録
通常盤【CD】
価格:1,200円(税別)
期間生産限定盤(アニメ盤)【CD+DVD】
価格:1,600円(税別)
※描き下ろしイラストジャケット仕様・ノンクレジットアニメOP映像を収録予定
※TVバージョン楽曲はアニメ盤のみ収録