厄介なデジモンおじさんが「ラスエボ」を観るとどうなるのか?【編集部が選ぶ2020年1番○○だったアニメ】 | 超!アニメディア

厄介なデジモンおじさんが「ラスエボ」を観るとどうなるのか?【編集部が選ぶ2020年1番○○だったアニメ】

【編集部が選ぶ2020年1番○○だったアニメ】今回は、2020年最も繰り返し観たアニメとして『デジモンアドベンチャー LAST EVOLUTION 絆』を紹介します。

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『デジモンアドベンチャー LAST EVOLUTION 絆』本ポスター(C)本郷あきよし・東映アニメーション
  • 『デジモンアドベンチャー LAST EVOLUTION 絆』本ポスター(C)本郷あきよし・東映アニメーション
  • 『デジモンアドベンチャー LAST EVOLUTION 絆』(C)本郷あきよし・東映アニメーション
  • 『デジモンアドベンチャー LAST EVOLUTION 絆』本予告カット(C)本郷あきよし・東映アニメーション
  • 『デジモンアドベンチャー LAST EVOLUTION 絆』田口智久監督
  • 『デジモンアドベンチャー LAST EVOLUTION 絆』スーパーバイザー・関弘美さん、木下陽介プロデューサー
2020年ももう間もなく終了。

年明けから新型コロナウイルス感染症の影響により放送延期や、イベントの中止などアニメ業界にとっても波乱が起きた年でした。そんな中でも、かつて放送された名作の再放送なども行われ、新しい作品の魅力だけでなく、過去作品の魅力も再発見できたのでは…。

そこでアニメ!アニメ!では、2020年を振り返り「2020年1番繰り返し見たアニメ」をピックアップ! 編集部が選ぶイチオシの作品を連載形式で紹介していきます。

『デジモンアドベンチャー LAST EVOLUTION 絆』


概要・ストーリー


『デジモンアドベンチャー LAST EVOLUTION 絆』(C)本郷あきよし・東映アニメーション

TVアニメ『デジモンアドベンチャー』での冒険から10年以上経過した、2010年を舞台にした作品。選ばれし子どもたちは大学生になり、それぞれの進路に向けて歩み始めていた。
そんな中、謎のデジモンを原因とした事件が起こる。デジモンを専門に研究する学者・メノアと井村に協力し、太一たち選ばれし子どもたちは事件に深く関わると思われる「エ  オスモン」を追うのだが、戦いの中で太一は「選ばれし子どもが大人になった時、パートナーデジモンとのパートナーシップを失い、デジモンは選ばれし子供の前から姿を消してしまう」という事実を知る。
救わなければいけない仲間や世界中の選ばれし子どもたちと、戦えば、戦うほど早まるパートナーデジモンとの別れの狭間で、太一達が選ぶ決断とは?

オススメポイント


筆者の本作の印象は、「今まで応援してくれたデジモンファンへのサービスシーンと、これからデジモンシリーズのファンを開拓していくことへの覚悟を描いた作品」です。もしデジモンのファンではなかったとしても、今までに好きだった作品が再始動する、新規にリブートするなどのプロジェクトが期待外れでガッカリしたことがある人にはぜひ観ていただきたい作品です。

『デジモンアドベンチャー LAST EVOLUTION 絆』本予告カット(C)本郷あきよし・東映アニメーション

前半は、まさしく今まで応援してくれたデジモンファンへのサービスシーンてんこ盛りで、登場デジモンや、音楽、進化シーンなど既存のファンが楽しめる要素やこだわりをふんだんに盛り込んでいます。詳しくは下記田口監督のインタビュー記事でも紹介されていますが、「Butter-Fly」のオリジナル音源の採用などが上映開始前から話題になりました。


また、過去作へのオマージュも多く、空気感をしっかりと引き継いだ、まさに「あの頃のデジモン」を再現した作品です。もしかして本作は、『ワンピース』や『おジャ魔女どれみ』と同時上映なのでは?と錯覚するような感覚でした。

後半は、敵と選ばれし子供が、過去にすがる者と明日に踏み出そうとする者の対比として描かれています。太一が未来に踏み出すために覚悟を決める様や、投げかける言葉の一言一言が、作中の本筋のストーリーとしてだけでなく、観ている自分たち自身にも突き刺さりました。本作の公開タイミングが現在放送中の『デジモンアドベンチャー:』の放送開始を控えていた2月だったこともあり、「素直な気持ちで新しいデジモンも応援してくれ!」といわれているような気持になりました。

『デジモンアドベンチャー』をアニメ化するのであればOP曲はこうでなければいけない! 内容はああでなければいけない! と荒ぶっていた厄介な古参デジモンおじさんだった筆者も、本作をみて、「本作で古参デジモンファンに対してのストーリーは一旦締めくくられた。ここからは次の世代にデジモンファンになったもらう番だ!」という優しいデジモンおじさんに大変身を遂げたのです。

本作でスーパーバイザーを担当された関さんが話されている『ゲゲゲの鬼太郎』のような広い世代に楽しまれるIPの第一歩を感じる作品となりました。


筆者は、事前のインタビュー前、スペシャル先行上映会、公開後、パッケージでそれぞれ視聴したのですが、どの会も次に見る際には表現がブラッシュアップされており、スタッフのみなさんの作品への熱が感じられる作品でした。

そもそも、本作の設定は『デジモンアドベンチャー02』の最後のシーンと矛盾があります。しかしその矛盾により、描かれてはいないがここから『デジモンアドベンチャー02』の最後のシーンにつながるストーリーが存在することがわかる。『02』の最後のシーンにまで本作ですべて描き切れないのであればこのような選択もあったのかなぁと…。
いや…そもそもこれを最後の作品にしなければよかったのでは…?
『デジモンアドベンチャー tri.』は6部作までやっているのだから、絆もせめて、2部作にすれば…。
本作を通じて厄介なデジモンおじさんは、厄介なデジモンおじさん卒業…とはならず、厄介なデジモンおじさんフェイズ2へと進化を果たしました。

何はともあれ、2020年最も繰り返し見たアニメであり、何度も新しい楽しみを与えてくれただけでなく、デジモンというコンテンツへの向き合い方を改めさせてくれた本作。ぜひデジモンファン以外の方にも見ていただきたい1本です!

パッケージ以外にもTVOD(都度課金型動画配信)サービスでの配信もされていますので是非ご覧ください。

(C)本郷あきよし・東映アニメーション
《江崎大》
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