富田美憂が3rdシングル「Broken Sky」をリリース! 10代から20代へ、失った武器と手に入れた変化【インタビュー】 | 超!アニメディア

富田美憂が3rdシングル「Broken Sky」をリリース! 10代から20代へ、失った武器と手に入れた変化【インタビュー】

2019年にアーティストとしての活動もスタートした声優・富田美憂が、3rdシングル「Broken Sky」をリリース。超!アニメディアでは、「Broken Sky」のリリースに併せて、富田さん本人にインタビュー。アーティストデビューから1年が経ったいま、彼女が馳せる想いとは。

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 2019年にアーティストとしての活動もスタートした声優・富田美憂が、2020年11月11日(水)に3rdシングル「Broken Sky」をリリース。表題曲は、TVアニメ『無能なナナ』のOPテーマ曲にも採用されており、楽曲も作品らしさが詰まったものになっているという。超!アニメディアでは、「Broken Sky」のリリースに併せて、富田さん本人にインタビュー。アーティストデビューから1年が経ったいま、彼女が馳せる想いとは。

アーティストデビューしてからの変化


――アーティストデビューが発表されて約一年が経ちました。デビューしてからの一年間はいかがでしたか? 

 1stシングルのリリースイベントでは東京だけでなく、北海道や大阪、愛知なども周らせていただきました。その時に、中学生の女の子から年配の方まで、本当に色々な人が私に会いに来てくださったんです。そこで、自分を応援してくださる方がこんなにいることを初めて知りました。
 ただ、2020年に入ってからは、なかなか外出できない日が続き、ライブやイベントで皆さんに会えなくなって……。代わりに配信イベントを行う機会が増えました。それも、もちろん楽しいのですが、正直な話、お客さんがいないとこんなにも自分の気持ちが違うんだと感じることもあって。だからこそ、配信イベントを通じて、改めてファンの方の大切さが分かりました。自分のライブに必要なテンションは、応援してくださる人たちがピークにまで持っていってくれていたんだと気づいたんです。

――お客さんが目の前にいるライブでしか体感できないことがあると知った。

 そうですね。応援してくださる方の存在の大きさに気が付きました。私、ステージで歌ってるときに皆さんが笑顔になってくれたり、感動して涙を流してくれたりする姿を見たら、「アーティストとして活動できてよかったな」と思えるんです。あの時が、「報われたな」と思える瞬間なんですよね。今はそれをなかなか体感できないので、寂しいです。

――声優という夢がありつつ、アーティスト活動への憧れもあった富田さん。デビューしてから、その想いはより強くなっていますか?

 強くなりました。アーティストデビューして、新しい自分が発見できた気もします。例えば、こうやってインタビューを受ける機会も増えたのですが、「私、自分のことや曲について、誰かに発信するのがこんなに好きだったんだな」と気づきました。グッズのデザインをしてみたいなとか、もっとこういう曲にチャレンジしてみたいなとか、次はこういう衣装を着てみたいとか……デビューして、人の前で歌ってきたからこそ「こういうこともやりたい!」という目標が、どんどん生まれています。アーティストデビューして、夢が叶ったから終わりじゃないんですよね。

――富田さんはどんなインタビューでも、すぐにお答えが返ってきます。これって、なかなか出来ないことだと思います。

 いやいや! 忘れっぽいだけなんです! インタビューなどでレコーディングのエピソードをお話する機会も増えたので、何か印象に残ることがあったら携帯のメモ帳に書くようにしているんですよ。歌うだけじゃなくって、こういう機会を通じて、自分の想いを少しでも伝えられたらいいなと……。

――その姿勢、本当に見習わないといけないです……。そういうメモなどを見返すことによって気付きもある?

 ありますね。メモだけじゃなくて、過去のインタビューなどを見ていて、「パフォーマンスをすることで人の心を動かしたい」という気持ちは変わっていないなと感じました。逆に、お仕事に対しての気持ち、例えば10代で考えていたことと、20歳になってから感じたことは全然違うなって。メモやインタビューを通じて、そういう自分の変化も感じますね。

――20歳になって、どういう変化がありましたか?

 お芝居も歌も、今までは“10代の声優・富田美憂”って肩書きがあったと思います。その肩書きがあるから、スタッフさんからも、私の活動を見たり聞いたりしてくださる方からも、少し珍しがられていた部分は正直あったと思っていて。オーディションを受けたときも「キャラクターと同い年なんですね」という会話がまず生まれるんです。それだけで、興味を持ってもらえるポイントになっていました。自分の年齢に甘えていたわけではないですが、間違いなく、自分の武器のひとつではあったと思います。
 20歳になってからは、当然、その武器がなくなりました。だからこそ、より自分の力で勝負して役を勝ち取らなきゃいけないし、ライブもやっていかなきゃいけない。一層努力もしなければいけません。そういう自覚みたいなものは生まれましたね。

――なるほど。

 ……私、デビュー当時から先輩方に恵まれてきたんです。初めてアフレコ現場に入った作品は『干物妹!うまるちゃん』。私は養成所に通ったことがなかったので、どのマイクに入ればいいのか、どこに座ったらいいかも全くわかりませんでした。そんなとき、メインキャストとして出演されていた野島健児さんが「初めてはスタジオの様子をよく見れた方がいいから、隣においで」と言ってくださったんです。そして、「別録りとはこういうこと」「こういう色でチェックすると台本が見やすいよ」と、現場で必要なことを全部教えてくれました。
 また、『メイドインアビス』でご一緒した伊瀬茉莉也さんは「お芝居をするときは、ただセリフを声に出して読むんじゃなくて、そのキャラクターが感じてる匂いや温度まで想像すると、もっと楽しくなるよ」と助言してくださいました。

――いい先輩方ばかりですね……!

 そういう先輩と出会えたのは、本当に幸せなことです。だから、私も「この先輩に出会ってよかった」と思ってもらえるような先輩でありたくって。『アイドルマスター シンデレラガールズ』で共演している辻野あかりちゃん役を演じる梅澤めぐちゃんは、ことしに入って北海道から東京に引っ越してきた新人の子なんです。初めての現場で、しかも、『アイドルマスター』という大きな作品。プレッシャーはものすごいと思います。実際に、震えながら現場に来て、台本を読むときも手元が震えていました。自分が同じ立場だったら、きっと耐えられないと思う。
 だから、私が野島さんや伊瀬さんにしてもらったように、今度は私が声をかけてあげないと、と思ったんです。先輩からしていただいて嬉しかったことは、私も後輩にしてあげたいとって。20歳になってから、その気持ちがより強くなりました。

「Broken Sky」通常盤

トリッキーさが作品らしさにも繋がる


――素敵なお話、ありがとうございました。様々なことを考えるようになった一年。新たな一歩として、アーティスト活動においては、3rdシングル「Broken Sky」がリリースされます。

「Broken Sky」を最初に聞いたのが「Present Moment」をリリースした直後で、実は「翼と告白」よりも先にレコーディングしていたんですよ。一年以上も自分の中にしまっておいた楽曲なので、「早く発表されないかな」と、逸る気持ちでいっぱいでした。

――初めて楽曲を聞いたときの印象を教えてください。

 初めて聞いたときは、ものすごくパンチのあるカッコいい楽曲だと思いました。同時に、つかみどころのないミステリアスな曲だったので、歌いこなすのは難しいだろうなと感じて……。ただ、この曲は、アニメのオープニングで流れて「作品の顔」にもなりえる。だから、「『無能なナナ』の曲といえば『Broken Sky』だよね」と、皆さんに言っていただけるような楽曲にしたい、という想いも強かったです。

――レコーディング時には原作を読んでいましたか?

 はい! めちゃくちゃ衝撃的な作品でした……! 自分も一緒に推理しながら読み進めていたのですが、予想の裏を突かれてしまうんですよね。読み進める手が止まらない、早く続きが読みたくなる作品でした。

――「Broken Sky」では、そういう作品らしさも表現されている。

 そうですね。「Broken Sky」は1番と2番のBメロでリズムがちょっと違うんです。そのトリッキーさみたいなものが、『無能なナナ』の作品を体現しているなと思いました。

ーー特にお気に入りのフレーズは?

 私はひとつの楽曲中にぞわっとくるポイントを最低ひとつは盛り込みたいなと思っていて。この曲に関しては、最後のサビ前の『ムノウ ナ ボクハ ザンコク?」というワンフレーズがそのポイントでした。わざとセリフっぽく歌ってみたり、逆にすごく無機質に歌ってみたりなど、色々なパターンを録り、その場にいる全員でひとつずつ聞いて一番しっくりくるものを選びました。

――実際のレコーディングはいかがでしたか?

 今回の曲からは、ちょっと孤独感みたいなものを感じたんです。原作でもナナは、1人だけ能力を持っておらず、孤独を感じていた存在。楽曲もその世界観や孤独感とリンクしていると感じたので、歌の端々でも切なさや孤独さを出したいなと思いながらレコーディングに臨みました。

――富田さんは孤独を感じた経験はありますか?

 私、高校在学中に声優の仕事を始めていたんです。だから、当時は「声優さんの富田美憂」として見られることが多くって。例えば、他の学年の生徒が物珍しがって、教室に見に来るとか……。そういうのが、ちょっと苦手だなと思っていたんです。反対に、私に話しかけづらいって思ってる人も当時は結構いたみたいで。そういうのは、今思うと孤独感といえるのかな、と思います。

――生徒の中にはアニメが好きな方もいると思うので、そういう人にとって富田さんは、憧れの存在だったかもしれません。

 高校2年生の時くらいだったかな。隣の席に座っていた子が確か『ガヴリールドロップアウト』を好きだったんです。で、隣の席だったから消しゴムを忘れたときなどに「貸して」とお願いするのですが、話しかけたら毎回ちょっと怯えているんですよ(笑)。

――その人は、もちろん富田さんがガヴリールの声優さんとは知っていたでしょう(笑)。

 恐らく(笑)。私としては同級生として仲良く喋りたかったんですけど……。だから、周りに誰もいないという孤独ではありませんが、ちょっと距離を感じたという経験をしたことはありますね。

――そういう意味では、歌詞にも少し共感できる部分があった。

 そうですね。

――初回限定盤には本曲のMVが収録されたDVDが付属します。MVはどういう内容ですか?

 今回は薄暗い廃墟で撮らせていただきました。私はずっとバラの花が入ったガラスを抱えているのですが、そのガラスが割れてしまうと死んでしまうというのがMVのコンセプトになっているんですよ。これまでのMVはにこやかな表情で撮ることが多かったのですが、逆に今回はクールであまり笑いません。
 笑ったとしても、ニヤッとするくらい。そういった表情の作り方も、今までとは明確に差があると思います。また、今回はバンドメンバーさんが一緒だったので、その分、撮影も心強かったですね。

ーー撮影の雰囲気はいかがでしたか?

 MVはとてもクールですが、現場はとても和やかでした。あとは、クーラーがなかったので、みんな汗だくになりながら撮ったという記憶も色濃く残っています(笑)。そういう舞台裏はメイキングで見られるかもしれません!



――楽しみです! 続いて、カップリング曲「インソムニア・マーメイド」についてうかがいます。こちらは、待望のバラード曲ですね。

 私、事務所の所属オーディションの歌唱審査で歌ったのがバラードの曲だったんです。だから、バラード曲は、自分の中でちょっと特別感があって。今回、こういう形で皆さんにお届けすることができて嬉しいです。「インソムニア・マーメイド」は、何曲かの候補の中からコンペで選ばせていただいた楽曲なんですけど、もう一目惚れといいますか、「この曲を絶対やりたい!」って強く思えた曲だったんですよ。
 その時点ではまだ作詞・作曲がどなたか知らなかったのですが、蓋を開けてみたら、普段からキャラクターソングなどでもお世話になってる園田健太郎さんだったんです。本能的に求めている音楽ってあるんだなと思いました。 

――自身のなかで、馴染む曲が存在する。

 ありますね。キャラクターのオーディションを受けるときにも、目がいくキャラクターが稀にいるんですよ。ガヴリールや『アイマス』の砂塚あきらがそうでした。キャラクターの絵を見せていただいたときから、なぜか目がそっちにいっちゃって。

――声のオーディションでも、そういうのがあるんですね。

 ありますね。オーディションでは、先方さんから「このキャラクターで受けてください」と指名していただけるときがあるのですが、個人的にはそのキャラクターではなくて、別のキャラクターに目がいくときもあって。「こっちも受けたいです」とお願いしてオーディションしてみると、実際にそっちが受かったという経験も少なくないんですよ。

――貴重なお話ありがとうございました。改めて、「インソムニア・マーメイド」のレコーディングについて教えてください。

 バラードな曲ゆえに、テクニックや感情の作り方が如実に表れます。感情を込めすぎて、くどくなるという怖さもあります。だから、レコーディングもちょっと控え目な表情で臨みました。
 そしたら、「富田さんの年齢だからこそ出るそのフレッシュな表情作りは、出し過ぎでもくどくならないので、もっと出しちゃっていいですよ」というディレクションをしていただいたんです。今までの楽曲は大きいものから引き算をしていくことが多かったのですが、今回は逆に、プラスしていく作業になりました。

――お客さんの前で歌うとき、どういう表現をされるのかも楽しみです。

 滅茶苦茶ライブ映えすると思います! 足元にスモーク焚く演出などが合いそうですね……!

――今回3rdシングルがリリースされますが、今後はどういう楽曲を歌ってみたいですか?

 ライブで皆さんと手振りができるような、みんな揃ってコールを入れられるような曲も歌ってみたいです。お客さんが一緒に参加できる盛り上がり曲が欲しいですね!

「Broken Sky」初回限定盤

取材・執筆=M.TOKU

プロフィール
富田美憂【とみた・みゆ】11月15日生まれ。埼玉県出身。アミューズ所属。昨年11月に1stシングル「Present Moment」、2020年6月に2ndシングル「翼と告白」をリリースする。放送中の主な出演作は『いわかける! -Sport Climbing Girls-』杉浦野々華役、『One Room サードシーズン』琴川晶役、『くまクマ熊ベアー』シュリ役、『無能なナナ』佐々木ユウカ役など。

富田美憂3rd SINGLE「Broken Sky」リリース情報
【初回限定盤】CD+DVD:1,800円(税別)
【通常盤】CD only:1.200円(税別)
<CD収録内容>
1.Broken Sky
2.インソムニア・マーメイド
3.Broken Sky(Instrumental)
4.インソムニア・マーメイド(Instrumental)
【DVD 収録内容】
Broken Sky Music Video Making Movie
《M.TOKU》
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