『モンストアニメ』劇場版第三弾の主題歌を担当するオーイシマサヨシにとっての英雄は「父親」――”世界一といっても過言じゃないほどのクオリティ”と語る作品、そして楽曲への想い【インタビュー】 | 超!アニメディア

『モンストアニメ』劇場版第三弾の主題歌を担当するオーイシマサヨシにとっての英雄は「父親」――”世界一といっても過言じゃないほどのクオリティ”と語る作品、そして楽曲への想い【インタビュー】

『モンストアニメ』劇場版第三弾の主題歌を担当するオーイシマサヨシさんにインタビュー。「英雄の歌」というタイトルに込められた強い想いや、自身にとっての「英雄」についてお話を聞いた。

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XFLAGが手掛けるスマホアプリのひっぱりハンティングRPG『モンスターストライク』(以下、『モンスト』)を元にしたアニメ「モンスターストライク」シリーズ(以下、『モンストアニメ』)。本シリーズの劇場版第三弾となる『モンスターストライク THEf MOVIE ルシファー 絶望の夜明け』が2020年11月6日(金)に公開となる。今回は、本作にて主題歌を担当するオーイシマサヨシさんにインタビュー。「英雄の歌」というタイトルに込められた強い想いや、自身にとっての「英雄」についてお話を聞いた。

オーイシマサヨシ

オーイシマサヨシとしての心模様を反映したい


ーー本作の主題歌を歌って欲しいというオファーがあったときの率直なお気持ちを教えてください。

「ものすごく光栄なことだな」という喜びと、「自分にこの大役が務まるのかな」というプレッシャーの両方を感じました。『モンスト』は人気のゲームですし、『モンストアニメ』関連では、ノア編で主題歌を歌わせていただきましたので、アニメのクオリティの高さも知っていました。そのアニメの劇場版となると、ワンランク上がった大作が出来上がることは容易に予想がついたので、その分プレッシャーも大きかったですね。ただ、そういう大役をお任せいただけたのは本当に光栄なことなので、しっかりそのオファーに応えようと思いました。 

ーーアニメのクオリティについてのお話がありましたが、改めて、オーイシさんが感じた『モンストアニメ』の魅力を教えていただければと思います。

 戦闘シーンの綺麗な絵と動き、そして臨場感と緊張感の凄さは圧巻でした。大げさでも何でもなく、自分の見てきた範疇では、世界一といっても過言じゃないほどのクオリティだと思います。「技術はここまで進歩したのか!」と驚きました。

ーー『モンストアニメ』に出演されるキャストさんにもインタビューしたことがありますが、皆さん「クオリティがとにかくすごい」と言葉にされます。

 やっぱりそうですよね! 3Dアニメの最先端を走ろうとしていて、なおかつトレンドの真っただ中にいるのが『モンストアニメ』かなと僕は思います。この作品でアニメの新時代の幕が上がるかもしれないという予感がして、ワクワクしますね。

ーー『モンスト』に登場した人気キャラクターが活躍するのも魅力のひとつだと感じています。

 分かります。僕もゲームをプレイしていますが、実際に自分が扱っていたキャラクターや愛でていたキャラクターが目の前で動くと嬉しいんですよね。



――オーイシさんは様々なアニメ作品で主題歌を歌われています。アニメの主題歌の楽曲を作ったり歌ったりするうえで、特別意識されることはありますか?

 基本的に原作に基づいて、寄り添って楽曲を作ることが多いですね。「原作正義論」と言ってもいいかもしれません。「英雄の歌」もそのポリシーに基づいて制作しています。ただ、今回はいつもと少し違い、自分の現実や日常で思っていることも乗せたくなっちゃったんですよね。

――なるほど。

 この曲の制作期間は、ちょうど新型コロナウイルスが全国的に広まった時だったんですよ。同時に、僕がスランプだった時期でもあります。これまでほとんどスランプを感じたことはなかったのですが、世の中の情勢も相まってか、なぜか、うまく曲が書けなかったんですよね。だからこそ、世の中における自分の軸みたいなものを再確認したんです。

ーーアーティストとしての自分を見つめ直した。

 そうですね。この楽曲は「世界を救う歌を書こうとしたら うまく書けないことに気づきました」というフレーズから入りますが、まさにその通りだと思います。大きなものを歌おうとすると、上手に歌えないし、曲も書けません。逆に、例えば自分の身の回りにいる1人の大切な人に対して歌った歌が結果、世界を動かしたり少し明るくしたり、誰かの心に届いたりする。これが、歌の基本的な公式だと思っています。

ーー私たち文章を書く人間も「大作を書いてやろう」と思ったら大概失敗します。

 僕たちの業界でいえば、きっと「世界」が歌えるのはジョン・レノンぐらいなんです(笑)。僕みたいなおしゃべりクソメガネが世界のことなんて歌えないんですよ。そもそも、誰かの心を動かそうと考えること自体がおこがましいと思うんですよね。考え方なんて人それぞれですし。ただ、自分が思ったことに共感してもらうことはできます。歌の中で偉そうなことは言えないけれど、共感してもらうことはできる。僕はそのスタンスで、ずっと曲を書き続けています。その結果として世界が動くというのは、成功体験もあるので、めちゃくちゃ信じていますね。

――「信じる」というのは、個人的にこの作品のテーマとも通ずる部分があると感じます。

 特にオラゴンの立ち回りは、僕が曲を書くスタンスとも似ていると思いました。また、この作品には「絶対悪」がいません。各々のキャラクターに大切な人がいて、誰かのヒーローになりたくて戦っています。そういうストーリーが自身のドキュメントともリンクして、オーイシマサヨシとしての心模様を反映したいと思ったんです。それだけに、「英雄の歌」は特別な思い入れのある曲となりました。

――歌ううえでも、そういった想いを載せている。

 そうですね。他の作品と比べて大きく違うのが、いわゆるアニソンシンガー然とした歌い方よりも、オーイシマサヨシの中でのボーカルをより大事にしているという点。アニソンシンガーではなく、オーイシマサヨシという一人間としてのボーカルが出ていると自分で聞いていても感じました。

ーー「英雄の歌」というタイトルも印象的です。

 もっとカッコいいタイトルの方がいいかなと最後の最後まで悩んだのですが、自分のドキュメントをかいつまんでいるので、やはり「歌」という言葉は入れたいと思ったんですよ。そこから、作品のこと・歌詞のことを考えて、「英雄」という言葉をタイトルに付けたという流れですね。

オーイシマサヨシ

父親の背中は忘れられない


――オーイシさんにとって「英雄」とはどのような存在でしょうか。

 誰かを守れる存在なのかな、と思います。自分の恋人だったり、友達だったり、仕事仲間だったり、子供だったり……。誰かのことを守りたいと強く思えたなら、その人はもうすでに英雄なのかもしれません。だから、誰しもが英雄になる資格を持っているんじゃないかな。

ーー具体的に、自分にとって「英雄」だったなと思う人は?

 ベタですが、やっぱりうちの父親が僕にとっては「英雄」ですね。僕は、中学生の頃に音楽家になりたいって本格的に思うようになったのですが、父親はその夢に対して肯定的だったんです。僕の故郷は、ライブハウスも練習できるスタジオもないくらいの田舎だったんですよ。ただ、大工の資格を持っている父親が「練習スタジオがなかったら作ればいい」って言ってくれて。余っていた自分の家の土地に、掘っ立て小屋みたいなものを建ててくれたんです。当時のバンドメンバーとはそこで練習をしていました。
 ライブハウスも作ってくれました。カラオケのパーティールームに大きな仮ステージを作ったり、ビール瓶のケースを並べて上にベニヤ板を敷いて客席を作ったり、機材を搬入したり……。ものすごいDo it yourself精神ですよね(笑)。でも、そうやって僕の夢を笑いもせずサポートしてくれたのは、父親でした。あの背中は忘れられないなぁ。

ーーやりたいのに「できない」環境を「できる」に変えてくれた。それはまさに救世主であり英雄だと思います。

 そうですね。新型コロナウイルスで思うようにライブができなくなった今は特に「できる」環境のありがたさを痛感しています。自分が歌えるのは、一人の力じゃないと改めて感じました。ステージを作ってくれる人たちや、見てくれるお客さんがいるから、アーティスト・オーイシマサヨシがいる。そういう構図だと思います。

ーー繋がりがなくなったからこそ、繋がりが大切だと分かる。

 まさにその通りだと思います。こういう状況になったからこそ、人の尊さを感じました。しかし、親が「英雄」なんて本当にベタ過ぎましたね(笑)。

――同じように親が「英雄」と思う方もいれば、アイドルやアニメ・マンガに登場するキャラクターが「英雄」だと思う方もいると思います。やっぱり「英雄」は人それぞれですね。

 本当に、色々な「英雄」がいると思います。そこに力の強さは関係ない。もちろん、力を持つ人への憧れもありますが、力がなくても、ちゃんと世界を動かせると思うんです。今回の映画からも、そういうメッセージを僕は受け取りました。
 うちの父親はたまたま大工さんの資格を持っていて色々と作ってくれましたが、他のことはからきしです。そう考えると、「英雄」になる資格というのは、自分が持っている能力を誰にどういう風に使うのか、使いたいのかを考えて行動する、ということなのかもしれません。

ーー素敵な言葉の数々、ありがとうございました。最後に本作を楽しみにしてる方々人メッセージをお願いします。

「英雄の歌」は自分のドキュメントを紐解いたという部分も含めて、とても思い入れのある曲になりました。そんな曲を作るきっかけになった『モンスターストライク THE MOVIE ルシファー 絶望の夜明け』は、「信じる力、誰かを信じること」の大切さが分かる素晴らしい作品です。ぜひとも映画館で映像と音を通じて、色々なメッセージを受け取っていただければと思います。

オーイシマサヨシ

プロフィール
オーイシマサヨシ。1月5日生まれ。愛媛県出身。2001年に「Sound Schedule」のVo.Gtとしてメジャーデビューして以来、音楽家として数々の作品を残す。アニメソングシンガーとしては「オーイシマサヨシ」名義で活動。『ダイヤのA』『月刊少女野崎くん』など、数々のアニメ主題歌を担当する。

『モンスターストライク THE MOVIE ルシファー 絶望の夜明け』作品情報
【あらすじ】
この悪夢に夜明けはあるのか。オラゴンと5人のヒーローにより平和を取り戻した「ストライク・ワールド」。しかし今、その世界は再び戦場と化していた。駆けつけたオラゴンを襲ったのは...ともに世界を救ったはずの仲間、ルシファーだった!世界の滅亡をたくらむ彼女の行動に、世界は、仲間たちは、絶望することになる。
【公開日】2020年11月6日(金)
【監督】静野孔文
【脚本】本田雅也
【出演】日笠陽子、水樹奈々、内田真礼、小倉唯、斉藤壮馬、福島潤、峯田茉優、堀江由衣、高山みなみ
【主題歌】オーイシマサヨシ「英雄の歌」
【アニメーション制作】ANIMA Inc.、DYNAMO Pictures
【配給】イオンエンターテイメント
【協力】ローソンエンタテインメント
《M.TOKU》
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