『花咲くいろは』がつなぐ、きみコと伊藤かな恵の10年の絆【インタビュー】 | 超!アニメディア

『花咲くいろは』がつなぐ、きみコと伊藤かな恵の10年の絆【インタビュー】

nano.RIPEがメジャーデビュー10周年を記念した2枚目となるベストアルバムを2020年9月23日にリリース。この度、店舗特典CDに収録される「イトシキヒビ」でデュエットしたきみコさんと伊藤かな恵さんによる対談が実現した。

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(左から)伊藤かな恵、きみコ
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ボーカル&ギターのきみコ、ギターのササキジュンによるロックバンド・nano.RIPEが、メジャーデビュー10周年を記念した2枚目となるベストアルバム『月に棲む星のうた ~nano.RIPE 10th Anniversary Best~』を2020年9月23日(水)にリリース。新曲の「イトシキヒビ」と「スピカ」は、それぞれ声優・伊藤かな恵、愛美とのデュエット曲としても制作、店舗特典Discに収録される。発売中の声優アニメディア10月号では、きみコさんと伊藤かな恵さんによる対談記事を掲載中。超!アニメディアでは本誌で紹介しきれなかった内容も含めた長文版をお届けする。

イトシキヒビ
(左から)伊藤かな恵、きみコ【画像クリックでフォトギャラリーへ】

10年を経たいまだから歌える「イトシキヒビ」


――ベストアルバムに収録される「イトシキヒビ」は、きみコさんのソロですが、店頭購入特典となるCDでは、伊藤さんのソロ、きみコさんと伊藤さんのデュエットを聞くことができます。両方を聞いてみて、お2人の声の雰囲気が似ているなと感じました。

きみコ これまでにもかな恵ちゃんとステージに立つ機会があって、そこであたしもかな恵ちゃんとはとても声の相性がいいなと感じていました。

伊藤 デュエットのお話をいただいたとき、どんな曲になるのかすごく楽しみでした。私たちの出会いのきっかけになったTVアニメ『花咲くいろは』のイメージや、いままでのことをプラスして作ってくださるというお話だったので。

――実際に曲を聞いた感想は?

伊藤 いろいろなことを思い浮かべられるワードが盛りだくさんで、曲調もあたたかいなと感じました。

――きみコさんは、曲を作るにあたって特に何を重視しましたか?

きみコ かな恵ちゃんにこれまで提供させてもらった曲はバラードだったので、今回はかな恵ちゃんの華やかな声が映えるような、アップテンポで爽やかな曲を作ろうと思いました。歌詞には、2人の出会いのきっかけとなった『花咲くいろは』はもちろん、公私ともに仲良くさせてもらっている点も盛り込んでいきました。

――伊藤さんは、その歌詞を見てどう思いましたか?

伊藤 きみコさんは私を“芯が強い”といってくださるのですが、その部分を含め、素に近いところも描かれているなと感じました。

きみコ 昨年末のライブにゲストで出てもらったとき、かな恵ちゃんがバンドメンバーをいじり倒したんですよね。お客さんの中には、かな恵ちゃんの毒舌に驚いた方もいたみたいで。

伊藤 ジュンさんやバンドメンバーさんにムチャ振りし続けましたからね(笑)。

きみコ あたしは“もっとやれ!”と思っていたんですけどね(笑)。

イトシキヒビ

――気に入っているフレーズは?

きみコ あたしは、落ちサビのかな恵ちゃんの歌い方がとても好きで。歌い分けはあたしが考えさせてもらったんですが、“ここは絶対、かな恵ちゃんの歌を使うぞ!”と決めていました。

伊藤 私はやっぱり『花咲くいろは』の主人公・緒花ちゃんを感じられるフレーズですね。曲を作る前、きみコさんに『緒花ちゃんは私にとって憧れで、光り輝いていて、素敵だなと思う存在です』と話していたんです。それを落とし込んでいただけた歌詞だったので、その部分が特に好きです。

――歌ってみた感想を教えてください。

伊藤 思っていたよりもスムーズに歌えました。私のレコーディング前にきみコさんのレコーディングが終わっていたので、『歌い方を寄せて』とか『ニュアンスを合わせて』といわれると思ったら、何もいわないんですよ。

きみコ 見学にいっただけ、みたいな感じだったよね(笑)。

伊藤 そうそう(笑)。途中で一度、きみコさんもジュンさんもいなくなっちゃって、“お任せだ!”とビックリしたぐらいです。

きみコ きみコバージョンとかな恵ちゃんバージョンで、色が違ったほうが面白いじゃないですか。それに、最初のマイクチェックで“もう、これでいい”というぐらいハマっていたんです。だから、何もいいませんでした。

伊藤 逆に私が不安になっちゃっいました。『次は跳ねる感じで歌ってみますね』と自分から提案したりして。指示がないなりに、自分でどうニュアンスをつけたらいいのかは考えながらでしたが、すごく心地よく歌えました。

――ミュージックビデオは、きみコさんにとっても伊藤さんにとっても、いつもとは違う雰囲気かなと思います。

きみコ nano.RIPEだけだとなかなかないシチュエーションもありましたね。かな恵ちゃんとじゃなかったら、一生やらないと思う(笑)。

伊藤 私もバンドさんを背に歌うのはあまりないことだったので、すごく楽しかったです。

きみコ あたしは一生分ぐらい、かな恵ちゃんの顔を間近で見たんじゃないかなと思った(笑)。

伊藤 『ずっと目を見て歌ってください』と、ミュージックビデオの監督さんから指示があって。なんか、ちょっと照れますよね。

きみコ かな恵ちゃんのファンに怒られちゃいそう(笑)。



nano.RIPEと伊藤かな恵の10年とそれ以上



――改めて、この10年を振り返っていただきたいのですが、2人の出会いになったのはTVアニメ『花咲くいろは』ですよね。

伊藤 最初は、2010年のアニメの制作発表会ですよね。

きみコ そうそう。石川県の金沢21世紀美術館で行われました。声優さんたちがみんなかわいくてキラキラしていて、デビューしたてのロックバンド的には“迷い込んだ感”が強かったです。かな恵ちゃんがぼくらのリハーサルのときも一番前の席で見てくれていたのをすごく覚えていて。“何、このかわいい生き物は!?”と思っていました(笑)。

伊藤 私がnano.RIPEさんの曲を初めて聞いたのは、アニメのPVだったんです。その当時は名前もわからなくて、これは誰が歌っているんだろうと思って。制作発表会で、生で見られるからと、食い入るように見ていたんです(笑)。

――その当時といまとで、お互いの印象は変わりましたか?

きみコ 変わりました。“かわいい生き物”かと思ったら、実はかわいいだけじゃなかったんです。すごく芯のある人で、見た目にだまされた~って。

伊藤 だましてないですよ! 受け取る側の問題で、私は普通にしているだけですから。私にとってきみコさんは、すごくカッコいいお姉さんで、笑顔が素敵な方だなという印象でした。

きみコ それは初めて聞いた!

伊藤 “なんでこんなにきれいに笑えるんだろう”と思うぐらい、笑顔がめちゃくちゃかわいいんです。その印象は、昔もいまも変わっていません。

イトシキヒビ

――nano.RIPEとしての10年を振り返ってみると?

きみコ どちらかというと、あっという間でした。もちろん、思い出せば色濃い記憶として残っていることはたくさんありますが、サーッと通り過ぎていくぐらいの速さに感じました。nano.RIPEとしては、10年前の曲も変わらずにライブで歌い続けていますから、なつかしさも感じない。たぶん、かな恵ちゃんの中にも『花咲くいろは』という作品はそうあるんじゃないかなと思っているので、その“なつかしいと思わない気持ち”は「イトシキヒビ」の歌詞にも盛り込みました。

伊藤 確かに『花咲くいろは』は、そんなに前の作品という感じがないんですよね。いま見ても面白いですし、作品から生まれた“湯涌ぼんぼり祭り”も、いまでもきてくださる方が増えているそうです。きっといつか、古くからあるお祭りとして定着していくんだと思うと、すごい作品だなと現在進行形で思います。

――きみコさんは、この10年で音楽との向き合い方に変化はありましたか?

きみコ メンバーが2人になった前後から、バンドサウンド以外をちょっとずつ取り入れはじめたりもしていたんです。その後、2人になって、いろんなミュージシャンとレコーディングをさせてもらうようになった結果、“バンドだから”という縛りが自分たちの中でなくなって。メロディーと歌詞を一番いい形で届けることを第一に考えるようになれたので、曲作りへの気持ちはかなり変わりました。

――伊藤さんは、声優デビューして14年ほどになりますから、10年選手としては先輩になりますね。

伊藤 私は一生懸命走っていたら10年が経っていた、という感じでした。このお仕事はゴールがあるわけではないですし、もっとずっと長く活動されている先輩方もたくさんいらっしゃいますから、自分はまだまだだなと思いながら日々頑張っています。

イトシキヒビ

作り出す音楽、そして歌声の魅力



――きみコさんから見た、ボーカリストとしての伊藤さんの魅力は?

きみコ あたしはもともと素直に歌う人がすごく好きなんです。あたし自身がビブラートを使わずに育ってきているので、そのせいもあるのかもしれませんが、かな恵ちゃんは気持ちがスッとストレートに出るところが魅力的ですね。

伊藤 単純に、ビブラートができないんです(笑)。

きみコ あたしもできないんだけどね(笑)。でも、人って、普通に会話をしているときはビブラートをかけないし。かな恵ちゃんが話しているときのように、スッと耳に入ってくる歌い方が好きなんでしょうね。言葉が真っすぐに届くんです。

伊藤 真っすぐにしか歌えないというか、思ったものをそのまま表現したい気持ちがあるんです。自分なりの表現も模索するんですが、結果的には出たものがすべてというか。だから、変に考え過ぎないようにしています。

――伊藤さんから見たnano.RIPEの魅力は?

伊藤 私も、言葉ひとつひとつが聞こえる歌い方の人が好きなんですが、きみコさんは、ちゃんと言葉を届けてくれるなって思います。歌の世界に一緒に連れていってくれる感じがするので、聞いていてとても心地いいんです。

きみコ あたしは、歌詞が届かなければ意味がないと思っているんです。だから歌詞に英語を使いませんし、発音や歌い方はすごく考えています。

――もし、今後また一緒に歌う機会があったとしたら、どんな曲を歌ってみたいですか?

きみコ かな恵ちゃんはすごく幅の広いジャンルの曲を歌っているので、“新しく何かを”というのが考えつかないんですよね。いまのかな恵ちゃんが挑戦することって、ビブラートぐらいじゃない?

伊藤 それは入れなくてもいいんじゃないですか!

きみコ (笑)。ゴリゴリのバンドサウンドでのかな恵ちゃんはもっと聞きたいですね。

伊藤 ゴリゴリ……。

きみコ あたしの曲はポップだから、ジュンのゴリゴリのサウンドを歌っているかな恵ちゃんを見てみたいし、聞いてみたい。それから、かな恵ちゃんのお芝居を見にいくこともあるんですが、高笑いをしたり、色気たっぷりのキャラクターだったり、すごく幅が広いんです。外見は時がとまって見えますが。

伊藤 声だけだったら、色気のあるキャラクターもやっていますから!

きみコ じゃあ、そういう曲を伊藤かな恵として歌ってみてほしいな。

伊藤 それは……キャラソンになっちゃいますよ。

きみコ 伊藤かな恵の色っぽさを出していこうよ!

伊藤 課題だなぁ……。

きみコ いままで聞いた、かな恵ちゃんのプライベートの話を盛り込んだ歌詞を書くから!

伊藤 イヤですよ~。全部ピー音が入っちゃうじゃないですか(笑)。私は、アコースティックで静かに聞いてもらうようなライブを、きみコさんたちとやってみたいです。

きみコ それも面白そうだね。

――最後に改めて、今回のアルバムやデュエットの感想をお願いします。

伊藤 「イトシキヒビ」は、これまで応援してくださっている方には作品やキャラクターを感じながら受け取ってもらえるだろうし、今回初めてnano.RIPEさんや私に出会った方には、想像をふくらませて聞いていただける歌になりました。ぜひ店舗でCDもゲットしていただきたいです。ミュージックビデオも初めてのドキドキが詰まった素敵なものに仕上がっていると思いますので、そちらもチェックしてください!

きみコ 「イトシキヒビ」はかな恵ちゃんを思って書きおろした曲で、あたしの欠片もたくさん入っていますが、何より『花咲くいろは』という作品の色が濃く入っているので、作品を知ってる方は歌詞のワードが何を意味しているのか考えながら聞いていただけたらと思います。作品を知らない方は、アルバムに『花咲くいろは』の曲もたくさん収録されていますので、ぜひ一度聞いてみて、もしよかったら作品にも触れていただけたら、より「イトシキヒビ」も楽しんでいただけると思います。

イトシキヒビ

取材・文/野下奈生(アイプランニング)
写真/白濱賢吾

プロフィール
nano.RIPE【ナノライプ】ボーカル&ギターのきみコ、ギターのササキジュンを主体に'98年に結成。'10年9月に、TVアニメ『花咲くいろは』のイメージソング『パトリシア』でメジャーデビュー。

伊藤かな恵【いとうかなえ】11月26日生まれ。主な出演作は『ONE PIECE』キャロット役、『とある科学の超電磁砲』佐天涙子役など。アーティストとしては、シングル12枚、アルバム3枚、ミニアルバム1枚、ベストアルバム1枚をリリース。青二プロダクション所属。

月に棲む星のうた ~nano.RIPE 10th Anniversary Best~リリース情報
nano.RIPEのメジャーデビュー10周年を記念した2枚目となるベストアルバム。CD2枚組で、全34曲収録。きみコと伊藤かな恵のデュエット(「イトシキヒビ」)、きみコと愛美のデュエット(「スピカ」)がそれぞれ収録される「特典CD~Duet~」と、伊藤かな恵、愛美のソロ歌唱バージョンが収録される「特典CD~Solo~」の2種類が店舗購入特典となっている。特典CDは店舗によりもらえるバージョンが異なるので、詳細はnano.RIPEの公式サイトをチェック。

発売日:9月23日
価格:3,600円(税別)
レーベル:ランティス


nano.RIPE 2020 ONLINE LIVE 「ゆめみのしずく」配信にて開催決定
nano.RIPE 初のオンラインライブの開催が決定! デビュー10周年を記念し、過去にリリースした全曲をライブで披露する4日間となる。

nano.RIPE 2020 ONLINE LIVE 「ゆめみのしずく」DAY1~DAY4
【日時】
DAY1:10月17日(土)
DAY2:10月18日(日)
DAY3:10月24日(土)
DAY4:10月25日(日)
OPEN 19:00 / START 19:30 (全日共通)

【チケット料金】
一般:3,000円 / グッズ付チケット:5,000円(FC会員限定)(全日共通)
※9月23日(水)正午12:00より発売開始
チケットはStreaming+(イープラス)にて販売
※FC会員の方はファンクラブページよりお申込みください
【公演に関する問い合わせ】
ディスクガレージ 050-5533-0888(平日 12:00~19:00)


※2020年9月23日14時40分……冒頭サマリー部分の説明文で誤りがございました。
誤)「スピカ」でデュエットしたきみコさんと伊藤かな恵さんによる対談が実現した。
正)「イトシキヒビ」でデュエットしたきみコさんと伊藤かな恵さんによる対談が実現した。

関係者様並びに読者皆様にお詫び申し上げると共に、文章を訂正致します。
《中筋啓》
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