やなぎなぎが「芽ぐみの雨」に込めた『俺ガイル』シリーズへの思い、そして「ユキトキ」「春擬き」との共通点【インタビュー】 | 超!アニメディア

やなぎなぎが「芽ぐみの雨」に込めた『俺ガイル』シリーズへの思い、そして「ユキトキ」「春擬き」との共通点【インタビュー】

「ユキトキ」「春擬き」に続き、TVアニメ『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。完』のオープニングテーマ「芽ぐみの雨」を歌うやなぎなぎ。先行配信中の「芽ぐみの雨」(TVサイズ)についてのインタビューがアニメディア6月号 …

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「ユキトキ」「春擬き」に続き、TVアニメ『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。完』のオープニングテーマ「芽ぐみの雨」を歌うやなぎなぎ。先行配信中の「芽ぐみの雨」(TVサイズ)についてのインタビューがアニメディア6月号に掲載されている。超!アニメディアでは、本誌に掲載しきれなかったぶんを含めた特別版を公開。楽曲制作の裏側や、『俺ガイル』シリーズに寄せる思いなどを聞いた。


楽曲も三部作の完結編をイメージ 

ーーやなぎさんは、TVアニメ『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。完』のオープニングテーマ「芽ぐみの雨」を担当。「ユキトキ」(2013年)でやなぎさんのことを知ったファンは多く、「春擬き」(2015年)はオリコントップテンにランクイン。『俺ガイル』シリーズの楽曲は、やなぎさんのキャリアのなかでも重要なものになりました。

 「ユキトキ」と「春擬き」は、ライブで歌うととても盛り上がります。アニメ『俺ガイル』シリーズは海外でも人気が高く、海外のライブで歌うと「待ってました!」という感じで、本当に喜んでくれるんです。これまでたくさんのシングルを出してきましたが、「ユキトキ」と「春擬き」はそのなかでも主軸で、とても大事なものになっています。これまでに携わったどのアニメ作品も大切ですけど、そのなかでも『俺ガイル』は自分のなかで思い入れがどんどん膨らんでいます。

ーーそれだけに完結するのは寂しいですね。

 そうですね。今回の曲を書き終わってしまったらもう次はないんだと思って、本当にすごく寂しくて。できることなら、もっとたくさん曲を書きたかったですけど、その気持ちを「芽ぐみの雨」にたくさん込めました。

ーー「芽ぐみの雨」は、切なさと疾走感のある楽曲で、「ユキトキ」と「春擬き」の両方の良いところが合わさった、『俺ガイル』シリーズのオープニングテーマの集大成のようなだと思いました。

 その通りで、作曲と編曲の北川勝利さんも完結だからということで、これまでの流れを汲みながら物語のクライマックスをもう一段盛り上げられるものを意識して作ってくださいました。

ーーやなぎさんから曲に対して何か提案されたりしましたか?

 最初に上がったデモは、サビのメロディがあまり高音に行かないもので、ゆったりしたイメージだったんです。でも完結ですし、もう少し疾走感と耳に残る高音があったほうがキャッチーになると思ったので、「もう少しメロディのここが高音に行けませんか?」といった感じでお願いをして、こういう形にしていただきました。


ーーサビ前にポイントで入ってくるギターが印象的で格好いいですね。

 そうですね。ギターソロもあって、「いったいどう弾いてるんだ!」と思うくらいフレーズが動いてて格好いいです。あのギターは松江さんが弾いてくださっています。

ーーレコーディングで何か印象に残っていることは?

 レコーディングはめちゃめちゃスムースだったんです。北川さんとは「ユキトキ」と「春擬き」から引き続きなので、多くを語らずとも「それだよね」って。お互いにイメージしているものが同じだったので、変に詰まるようなことはありませんでした。

ーータイトルが「芽ぐみの雨」で、第二期13話のサブタイトルに「芽吹き始める」という言葉が入ってて、それとリンクさせたのかなと思いました。

 そこはまったく考えていませんでした(笑)。原作やシナリオはすべて読んでいるので、どこかですり込まれていたかもしれませんけど。「ユキトキ」で雪が解けて、「春擬き」で春のような何かがやってきたところまで季節が進んでいたので、その流れで次に何かドラマが起きるとしたら……という気持ちでタイトルを考えました。

ーーちょっと春めいたものを感じさせながら、それを直接的に言わないという。

 普通なら「恵の雨」となるんでしょうけど。「芽ぐみ」という言葉で、ちょっと緑が揺れてきたかなっていう季節を予感させることができれば良いなと思いました。

ーー「芽ぐみの雨」のなかでは、本格的な春はまだ訪れていない?

 それはフルサイズを聴いたときの歌詞で、わかるんじゃないかなって思います。

ーー歌詞は全体的に完結というところを意識されたと思いますが、どんなイメージを持って書いていきましたか?

 完結というところは大きかったです。『俺ガイル』にはたくさんのキャラクターが出てきて、いわゆるヒロインもいっぱい出てきますが、楽曲のなかですべての人の終わりの部分にフォーカスすることはできないので。自分なりに、もしこの物語を終えるとしたらと考えて、こういう結末があったら良いなとか、終わりだけど次の物語の始まりだったとか、さまざまな可能性を考えて書いていきました。

ーー改めて原作を読み返したりしましたか?

 原作小説も読みましたし、アニメ第三期のシナリオでできているところまで読ませていただき、第一期と第二期のアニメも見直しました。今回で『俺ガイル』の曲を作るのは最後になるので、いっぱい思いを詰め込みたいと思って、事前に読み込む作業はいつも以上に念入りでした。

ーーやなぎさんの曲には雨の情景がよく出てきますが、もしかして雨女ですか(笑)?

 私が雨女というわけではないですけど(笑)、確かに多いですね。2017年のシングル「over and over」のカップリングで「Rain」という曲を書いたことがあって、そのときに思ったことなんですけど、雨って晴れの日よりも印象に残りやすいんじゃないかって思うんです。何かを思い出すときに「あの大雨だった日ね」みたいな感じで。何かを思い出すときに、「あのすごく晴れた日」とはなかなかならないなと。

ーーたしかに雨はドラマチックになるし、より特別感が増しますね。また「芽ぐみの雨」の歌詞の言葉で、「ユキトキ」と「春擬き」との共通点みたいなものもあったりしますか?

 「ユキトキ」と「春擬き」で使ったワードを、「芽ぐみの雨」でも違った形で上手く取り入れられたら良いなと思いました。言い方や表現を変えて、「これってもしかしてあのことかも!」と想像してもらえるような。例えば、「ユキトキ」の歌詞に<アザレア>が出てくるんですけど、ツツジとして「芽ぐみの雨」に出てきたり、3曲を並べて聴くと、いろいろ気づいていただけることがあるんじゃないかと思います。

由比ヶ浜結衣ちゃんは報われて欲しい 

ーーちなみに歌詞を書くときは、いつもパソコンで書かれるんですか?

 パソコンで書くときと、A4サイズくらいの紙に書きたい言葉を羅列して、そこから組み立てていくこともあります。紙に書くときは言葉だけじゃなくイラストも描いて、イメージを分岐させていくんです。今回は「ユキトキ」と「春擬き」の歌詞を横に並べて、そこからワードをピックアップしたりしながら、絵も描いたりしていって。

ーーどんな絵を描いたんですか?

 いっぱい植物の絵を描きました。絵と言っても、落書き程度ですけどね。植物が芽吹いていく過程の絵を描いたりして、それでイメージを広げていって。そういうものを描いてるうちに、次の言葉が浮かんだりするんです。

ーーまた、歌詞には<完全なハッピーエンドなんてない>というフレーズも出てきます。やなぎさんご自身は本を読んだとき、ハッピーエンドとそうじゃないものではどっちがお好きですか?

 どっちも好きですけど、切なく終わる物語のほうが、その後の世界を自分で想像する楽しみがあるかなって思います。

ーー「芽ぐみの雨」にも<エンドロールの先>というフレーズが出てくるように、結末の先にスポットを当てている部分がありますね。

 そうですね。物語自体は完結するんですけど、そのなかで生きていたキャラクターたちって原作を読んだ方やアニメを見た方たちのなかで生き続けていくんです。文字やアニメではもう続きは楽しめないけれど、「もしこうなっていたら良いな」とか「次はこういうことがあったら良いな」ということを無限に想像することができるので、聴いた人にもそんな風に想像を広げて欲しいと思って作詞しました。

ーー比企谷八幡、雪ノ下雪乃、由比ヶ浜結衣たちには、その後はどんな人生を歩んで欲しいですか?

 なんだかんだでみんな優しい人たちなんですけど、その優しさがたくさんの人を傷つけてきました。一番その煽りを受けたのが結衣ちゃんだと思うので、結衣ちゃんには報われて欲しいですね。原作を読んだときから、彼女の想いが伝わってきて悲しくて仕方がなくて。結衣ちゃんにはどうか幸せになって欲しいです。

ーー「芽ぐみの雨」のミュージックビデオも撮影されたそうですが、こちらはどんな映像になりましたか?

 物語にはいくつもの並行世界があって、ひとつだけじゃない、たくさんの物語が重なってできているというところを表現できたらと思って。それで切り絵を使って、多重構造っぽい世界観で撮影していただきました。私は芽ぐみを待っているイメージ的なシーンがあったり、切り絵のなかに出てきたり、物語の登場人物たちを見守っているようなイメージで出てきます。切り絵とライティングがとても美しいので、楽しみにしていてください。

ーーまた、声優の鈴木みのりさんが歌う「エフェメラをあつめて」の作詞も手がけていますが、ご自身で歌うものと提供のときではどんな違いがありますか?

 提供するときは自分が歌うわけではないので、今回であればみのりちゃんのことをイメージしました。みのりちゃんはとても元気で明るい方なので、ご本人のそういうイメージを大切にします。それに普段自分が歌う曲には出てこない言葉でも、みのりちゃんならきっとこれを歌い切ってくれるという気持ちもあるので、作詞をするときの言葉のチョイスも変わってきますね。

ーー今後はどんなアニメの楽曲をやりたいですか? 今までは『俺ガイル』をはじめ青春ものが多かったと思うので。

 ファンタジー系作品に携わったことが少なくて、みのりちゃんの楽曲はファンタジー系アニメのエンディングテーマだったので、作詞がとても楽しかったです。私はファンタジーも大好きなので。でも、新しいアニメ作品と出会うたびに新しい言葉が生まれるので、どんなジャンルのアニメでも楽しいです。

ーーまたアニメとは別のところで、4月9日にYouTubeで「あの子は次亜塩素酸の匂い」という曲を、アニメの映像と共に公開してファンの間で話題になりました。

 3月から4月にかけてほとんどを自宅で過ごしていて作ることに対して集中できる時間が持てたので、今まで「時間があったらこういう曲を作ったら面白いんじゃないか」とぼんやりと考えてたことを、どんどん形にして行こうと思って。それで、ひとりで作業をやってるとどんどんのめり込んでいってしまって。手描きのゆるいものでしたけど、自分でイラストを描いてアニメーションを作ったり、普段とは違う作業もとても楽しくて。みなさんにも楽しんでいただけて嬉しかったです。


ーーネットで何かを発信する際に心がけることは?

 オンラインは気軽に制作したものをすぐ発表できるし、反応もダイレクトで早いので自分にはとてもありがたいです。ライブはできないけど、オンラインではオンラインでしかできないことができるので、じゃあそこで何をやるのか考えることも楽しいです。また何か作品ができたときはどんどん発表していくので、楽しみにしていてください。

ーーでは最後に、読者にメッセージをお願いします。

 アニメ『俺ガイル』の放送が始まったときは何期まで続くかわかっていなかったのですが、今回が第三期ということで楽曲も三部作の完結編というイメージで制作しました。もちろん完結することはとても寂しいですけど、完結を彩るための楽曲制作に向けて気持ちがとても高まりました。4月10日にTVサイズが先行配信されていますが、フルサイズではもっとたくさんの発見と楽しみがあると思います。7月15日のCDリリースをアニメ放送と共に楽しみにしていてください!

「芽ぐみの雨」配信ジャケット

取材・文/榑林史章

やなぎなぎ21thシングル「芽ぐみの雨」リリース情報
発売日:7月15日
価格:
【初回限定盤】1,800円(税別)
【通常盤】1,200円(税別)<CD only> 
初回特典:初回限定盤特典DVD MV、他収録予定
<購入先着メーカー特典>やなぎなぎ×『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。完』B3リバーシブルポスター

オフィシャルサイト
http://yanaginagi.net/

《超!アニメディア編集部》
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