アニメやゲームの主題歌、テーマソングなどを歌うアーティストに楽曲について語ってもらうインタビュー企画「Megami’sVoice」。2020年4月号には、『痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。』のEDテーマを歌う佐々木李子が登場。「超!アニメディア」では、本誌で紹介できなかった部分も含めた、ロングインタビューをお届けする。
EDと挿入歌で『防振り』を盛り上げたい
――表題曲「Play the world」は、軽やかなポップチューン。『痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。』(以下『防振り』)のEDです。
OPのような明るい曲だったので、初めて聞いたときはビックリしました。始まりを感じさせるようなイメージで、冒険をしたくなるようなワクワク感も詰まっているなと感じました。
――『防振り』という作品への印象は?
異世界系の作品は、ガンガンにバトルをするというイメージだったので、『防振り』の主人公・メイプルちゃんのように、防御がメインで盾を使って戦う設定が斬新だなと感じました。しかも、メイプルちゃんはゲーム初心者なので、歩く速度が遅かったり、寝ている間に敵に攻撃されたりと、最初の頃はゲームに慣れた人だったらあり得ないような出来事にもよく遭遇していて。その姿に癒やされましたし、笑わせてもらいました。メイプルちゃんが手探りで進んでいくところには、自分のデビュー当時の手探り感が重なってきて、とても共感できました。
――佐々木さんはクールな歌声という印象で、ここまで明るいタイプの曲はあまりなかった気がします。
そうですね。それもあって、どういう声色で歌ったらいいのか、最初は考えました。すごくかわいく歌ってみたり、かっこよくしたり、地声で歌ったり……。最終的には、自分の普段の声と明るさマックスとの中間くらいの声で歌いましたが、自然と笑顔があふれてくるような曲なんです。春っぽくてまっすぐで、自分が歌ってきた曲の中でもずば抜けて明るかったので、自分でも歌っていて元気が出ました。言葉に込められたメッセージをまっすぐに伝えられていると思います。
――とくに自分で気に入っているポイントは?
セカンドワンマンライブで披露させていただいたときに、サビの部分でお客さんとの一体感が得られたんです。そこはとても好きなポイントですね。ライブは初めましての方も多かったんですが、声を出してくれたり拳をあげてくれたりして、一緒に行こうという気持ちが伝わっているようでうれしかったです。
――カップリングの「Good Night」は、『防振り』の挿入歌にもなっています。
レコーディングをしたときは、どういうシーンで使われるのかはまだ聞いていなかったんです。でも、弱虫な自分が殻を破って光の方向へと進んでいきたい、明日はもっと素敵な自分になれますように、と願っているような歌詞なので、作品にすごく寄り添っているなと感じました。
――全編英詞なんですよね。ナチュラルに歌っているところが素敵だなと感じました。
英語で歌うのは好きなんですが、学校の授業はあまり得意ではなく、発音も苦手で(笑)。スタッフの方に発音のアドバイスをいただきながらレコーディングをしていきました。
――レコーディングでの思い出は?
ボサノバとかラテン風の曲調の歌は初めてでしたし、歌詞の内容は情熱的だけど、ウィスパーボイスで歌わなければならなかったのが難しかったです。実際のレコーディングでは、まず曲に寄り添うことを考えて、温かく、やさしく包み込むようなイメージで歌っていきました。それから、声に空気を多く含ませて歌うと、息継ぎが難しくなって、酸欠になりそうでした(笑)。ワンフレーズにワードがたくさん詰め込まれているところもあったので、そこをかっこよく歌うのも工夫がいりました。スタッフの方から「感じるままに歌ったほうがいいよ」とアドバイスをいただいたので、頭で考えすぎず、いい意味で頭を空っぽにして歌うことができました。
――もう1曲の『GALAXYZ』は、ファンクチューンです。
イントロにDJが入ってくるのは初めてで、そこで心をわしづかみにされました。DJ部分は、いつもお世話になっている事務所の方が参加してくださったんですね。異色な雰囲気になっていて、すごく気に入っています。
――この曲でも英詞が登場します。
どうしても、英詞が入るところはテンポが速いんですよね。こちらも事務所のバイリンガルの方や海外出身のスタッフの方に発音を教えていただきながらレコーディングに臨みました。言葉をちゃんと伝わるように、曲を初めて聞いたときの無敵感が伝わるように、自信満々に歌うことにこだわりました。
――「Play the world」のミュージックビデオは、屋外でギターを弾く姿がとても楽しそうです。
楽しかったです! 撮影にあまり慣れていなくて顔がこわばりがちなんですが、今回はバンドスタイルということもあって、心強かったです。メンバーとアイコンタクトをしながら歌えたのも大きかったのかな。
――MV撮影の想い出は?
撮影中にネコちゃんが遊びに来たんです! 5~6匹くらいやってきて、休憩中も人なつっこく戯れてくれて、すごく癒やされました。それから、スタジオを貸してくださった方が、お昼ご飯にカレーを作ってくださったんです。それをみんなでわいわい言いながら食べたのが、合宿みたいですごく楽しくでワクワクしました。
――ビジュアルイメージは、ピンクを基調に、花を手にしていてやさしい感じになっていますね。
「Play the world」が出会いなども描いているので、衣装は春っぽく、花も持たせていただきました。私、無表情だったり複雑な表情をしていたりするジャケットが多かったんですよ。だから、こういうやさしい感じが新鮮でしたし、似合わないと思っていたピンクの背景で撮影することができたのもすごくうれしかったです。
――とてもキュートに仕上がっていると思います。
ありがとうございます。自分でも自分の新しい一面を発見できた気がして、とてもお気に入りです。
――新しい佐々木李子を表現した1枚ということで、今後ライブで新しく挑戦してみたいことは?
歌手としても声優としても活動させていただいているので、歌だけではなく、自分の思いを表現できるようなライブを作ってみたいです。たとえば、曲をお届けしつつ、間にちょっとしたストーリーを挟んで、起承転結を感じさせるようなものとか。お話を考えることも好きなので、ちゃんと形にして届けたいですし、新しいことにもどんどんチャレンジしていきたい。佐々木李子のライブは期待を裏切らないと言われるように、唯一無二の存在になれるようなネタ作りをたくさんしていきたいです。
――最後に読者へメッセージをお願いします。
昔の私は自分の思いをさらけ出すことが苦手だったんですが、これまで出会ってくださったみなさんのおかげで、自分の伝えたいことを深く歌やお芝居に込められるようになりました。今年はそれを気付かせてくれたみなさんにもっと恩返しをしていきたいなと思います。それから、去年は作詞にも挑戦させていただいたので、今年は作曲にも力を入れて、ひとつの作品をちゃんと自分で形にできるようになりたい。ぜひ、2020年の佐々木李子も楽しみにしていてほしいなと思います。
取材・文/野下奈生(アイプランニング)
PROFILIE
ささき・りこ/11月10日生まれ。ハニカムエンタテインメント、テレビ朝日ミュージック所属。小学5年生のときにミュージカル『アニー』の主役を射止める。2016年にメジャーデビューを果たし、以後シングル4枚、アルバム1枚、ミニアルバム1枚をリリース。現在は、声優としても活動中。
商品情報
『Play the world』
MAGES.より発売中
DVD付盤:2200円(税込)
通常盤:1650円(税込)
佐々木李子のニューシングル。表題曲はテレビアニメ『痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。』のEDで、明るく爽やかな歌声が印象に残る1曲。カップリングは、同作の挿入歌「Good Night」、スマートフォン向けゲームアプリ『GALAXYZ』挿入歌「GALAXYZ」の2曲。DVD付盤には、表題曲のミュージックビデオとメイキング映像を収録したDVDを同梱する。
佐々木李子 公式サイト
https://sasakirico.com/
佐々木李子 公式Twitter
https://twitter.com/sasakirico
(C)2020 夕蜜柑・狐印/KADOKAWA/防振り製作委員会