声優ユニット・Run Girls, Run!の6thシングルは、TVアニメ『アサシンズプライド』のOPテーマ「Share the light」をはじめ、どれも異なる個性が際立つ強力な3曲が収録された濃すぎる1枚に! 本作にまつわるインタビューは「声優アニメディア 2020年1月号」でも掲載されているが、ここでは誌上に掲載しきれなかったエピソードもたっぷりご紹介。それぞれの楽曲への3人の思いや意図を受け取って、ぜひ改めて楽曲やMVに触れてほしい。
「Share the light」は、Run Girls, Run!の新しいかっこよさを見せた曲に
――いよいよ、6thシングルがリリースになりました!
林鼓子(以下、林) もう6枚目……なんだか、夢みたいです!
森嶋優花(以下、森嶋) 曲が増えてきたおかげで、そろそろ自分たちだけの曲でライブを構成できそうなぐらいなんですよ! そこに自分たちの成長と軌跡を残せているような嬉しさもありますし、カップリング曲も含めて大切で大好きな曲ばかりなので……今後もずっとみんな大事にしていきたいね。
厚木那奈美(以下、厚木) うん。8月の2周年ライブで衣装を決めるときも、今までのものを見返して「めちゃめちゃ衣装ある!」って思ったよね。そうやって悩めるほどに選択肢があることも、本当にありがたいことで。それぐらい、Run Girs, Run!として語れるものが増えたことを、すごく幸せに思っております。
――その6thシングルの表題曲「Share the light」は、TVアニメ『アサシンズプライド』のOPに起用されています。まずは、作品自体への印象をお教えください。
林 まず、主人公のメリダ(・アンジェル)ちゃんが、とっても健気でかわいいんです! メリダちゃんは聖騎士(パラディン)というすごい階級を継承するおうちのお嬢さんなのに、自分自身はマナという能力を持たずに育ってきてしまって“無能才女”と呼ばれている、ちょっとかわいそうな子で。でもそれに負けず頑張る姿がかわいいし、見ていて元気をもらえるんです。あと、クーファ先生との関係性もすごく気になります! どこかじれったい感じもあるんですけど、ふたりだけの温かい雰囲気もすごくいいんですよ。
森嶋 そんなメリダちゃんとクーファ先生の関係を見てると、毎週次のストーリーがめっちゃ気になるんだよね! それを実際アニメの放映で観るのを、私たちも毎週楽しみにしています。
厚木 あと、私は異世界系の作品が大好きなので、台本を読んだりアニメを観るたびに「この世界に入りたい!」って毎週すごく思っていました。クーファ先生とメリダちゃんのふたりきりのいいシーンだと「あ、あのへんに咲いてるバラになりたい」とか……。
林・森嶋 (笑)
厚木 それぐらい、その世界に行きたいと思わせてくれる作品なんです。
――一方で、楽曲自体を最初に聴かれたとき、いかがでしたか? 最初聴いたとき、正直とんでもなく難しそうに感じたのですが……。
厚木 私、最初デモで聴いたとき、リズムを取るのが少し苦手なのもあって「うわ、この曲、難しい!」って思ったんです。
林 私も思った! でも「とってもおしゃれな曲だな」っていう印象もありましたし、間奏の部分でピアノの音がフィーチャーされてクラップが続いてくる部分は「ライブですごく盛り上がるだろうな」とも感じて。それに、「どんな振り付けになるんだろう?」って曲を聴いた瞬間に考えちゃったぐらい、ライブを想定して歌うのが楽しみでした。
森嶋 私も、この曲はライブですごく見せられる曲になるんじゃないかと思っていて。盛り上がりもですけど、それ以上に楽曲の醸し出す雰囲気でRun Girls, Run!の魅力をさらに表現できる曲のように思うんです。なので、私もライブで歌うのがすごく楽しみでした。それに曲自体もアニメの世界観にすごくピッタリなので、レコーディングでは『アサプラ』のこともすごく意識して表現できたと思っています。
厚木 この曲のかっこよさって、私たちのこれまでの楽曲のかっこよさと違う雰囲気なんですよね。今までは疾走感が強くて勢いのある楽曲が多かったんですけど、今回はつややかさも含まれているので、「Run Girls, Run!の新しいかっこよさをみなさんにお届けできる!」という楽しみもありました。
林 ただ、あっちゃん(厚木)が言うように今までの明るい曲とはだいぶ違うので、つややかかつ無機質に歌うことがすごく難しくて。あと、サビには跳ねるような部分があったりとリズムも一筋縄でいかなかったので、どうすれば跳ねながらも色っぽく聴こえるのか、悩みながらのレコーディングでした。
森嶋 しかもこの曲って、かっこいいだけではないじゃないですか。でも私、自分を出しちゃうとわちゃーっとした元気な感じになっちゃうので(笑)、ゆったりした心の余裕みたいなものを感じながら、自分なりの大人っぽさを出すように心がけました。サビでは強めのビートが入ってきたりする曲ではあるんですが、そういう曲調とその余裕感の両立も、歌ううえで心がけたポイントでしたね。
厚木 私はレコーディングがアニメの第1話のアフレコ後だったので、その映像やみなさんの空気感を思い出しながら歌わせていただきました。なかでも、2番のAメロ最初のソロパート「胸の蕾はもう」という部分の歌詞とサウンドの静かな感じで、第1話のメリダちゃんがクーファ先生に力をもらってマナが覚醒する、黒い画面で「先生、先生!」って呼びかけるシーンがすごく頭の中に浮かんだので、アフレコでのみなさんの空気感を思い出しつつ歌わせていただきました。
林 そういうふうにいろんな展開をする曲ではあるんですけど、楽曲自体にストーリー性があるので、全体的に感情移入はしやすかったです。
表題曲から一転! “かわいい”を突き詰めた「キラリスト・ジュエリスト」
――そして、先ほどからお話によく出ている“大人っぽさ”は、この曲のMVからも強く感じられました。
林 本当ですか!? 嬉しい!
厚木 しかも今回もまた、初挑戦のことも多かったんだよね。シルエットだけのダンスシーンがあったり……。
森嶋 そのシルエットのところの振付で、手が鉤爪みたいになっているところがあるんですけど、そこの見え方がすごく面白くて好きなんですよ。
林 もちろんステップもなんですけど、その他角度とかも含めた細かいところまで、手が結構ダンスのポイントになっているように思います。
――ロケーションも作品にすごくぴったりでしたからね。メリダの屋敷を連想するようなお屋敷や噴水があったり……。
厚木 その噴水のシーンは私のソロだったんですが、まだ夜が肌寒い時期だったうえに、撮影順がいちばん最後で。しかも、めちゃめちゃ噴水の水がかかってくる風向きだったんですよ。だからもう、すごく寒かったんです!
林 終わったあと、ぷるぷるしてたもんね(笑)。
――その他、ドラマパートも結構作り込まれていて。
森嶋 はい。その中で、私が何かに怯えて逃げるようなシーンがあったんですけど、いつもの感じでちょっとオーバーに「きゃ♪」みたいにやったらダメだったみたいで、撮り終わった瞬間みんな超笑ってたんですよ! あれ、めっちゃ恥ずかしかったです(笑)。そのあと御指導いただいた成果がMVにありますので……ぜひチェックしてみてください。
――ただ、別カットでは森嶋さんが不敵な笑みを浮かべているシーンもあって。そこも魅力的でした。
林 もっちー(森嶋)、ほんと表情作るのうまいんです!
森嶋 まぁ……頑張ったからな(照)。
林 あと、MVの配信が始まったときに先輩方が観てくださって、「今までとはまた違った感じで、めっちゃいいね!」って声をかけてくださったんですよ。発売前にわざわざチェックしてくださった事自体もですし、いつもと全然雰囲気の違うMVを通じて「こんな顔できるんだね」みたいに言っていただけたことも、すごく嬉しかったです。
――そして今回はカップリングも2曲ございますが、そのうち「キラリスト・ジュエリスト」は『キラッとプリ☆チャン』のOPです。
林 はい。この曲もブレスする位置が難しかったりリズムが速かったりとすごく難しい曲なんですけど……でも、自分のパートの「個性はドキドキしている自分だけのジュエル」っていうフレーズがまさに『プリ☆チャン』そのものを表しているようで大好きなんですよね。
――どう心に刺さりましたか?
林 曲自体のテーマも「それぞれの個性を輝かせる」というものなんですけど、たとえばアイドルを目指すときって「うまくならなきゃいけない」とか「かわいくなきゃいけない」みたいな気持ちになってしまうときもあるでしょうし、自分の色を出すことも簡単なようで難しいことだと思うんです。でも「自分なりの輝きを見つければいいんだよ」って示してくれるのが『プリ☆チャン』のいいところですし、それを表しているのが「キラリスト・ジュエリスト」であり先ほどのフレーズだと思うんです。なのでこの一節が、すごく好きなんです。
厚木 サビにも「一生懸命が軌跡になる」っていうフレーズがあるんですけど、何かに憧れてそれに向かって頑張ってるときって、意外と「なりたいけど何を頑張ればいいかわからない」っていうことが結構あると思うんです。でも、キラキラしたかわいい曲の中でこのフレーズを歌ってくれると、すごく勇気が出るなと思って。そういう夢見る女の子の背中を押してくれるようなところにプリティーシリーズのOPらしさもありますし、シリーズとしてのテーマも感じられる曲なんですよね。
森嶋 それに、歌詞もメロディも乙女チックでとってもかわいくて、それこそプリティーシリーズを好きでいてくれてる年頃の女の子にすごく刺さる曲なんですよ。歌詞にも「リップグロス」とか出てきちゃうし。なので、自分もこの曲を聴いた子たちの憧れの的みたいな存在になれたらと思って、自信を持って歌えるように感情を込めました。
――サウンド的には、今までの『プリ☆チャン』OP曲の中で最もポップ寄りな気がします。
林 そうなんです。途中に出てくる「pa・pa・pa・ya・pa」みたいなコーラスの部分とかも、めちゃめちゃかわいいんですよ! ただそのぶん、「かわいいって、改めて難しいな」と思いました。自分自身としてかわいい歌い方をする、っていうところに難しさを感じました。
厚木 本当に、とにかく曲自体がかわいすぎて! なので、レコーディングの日にはスタジオに向かいながら「かわいく歌うぞ、かわいく歌うぞ……」って気合いを入れて挑んだぐらい、私も過去イチ歌声をかわいく振りました。あと、途中でセリフが入ってるというのもあってか、キャラクターではないですけど、ひとりの人として自分なりの色をうまくにじませられたらいいなと思いながら、歌わせていただきました。
森嶋 私はそういうセリフっぽい部分もあったので、かわいさプラス表現力みたいなものも必要になるんじゃないかなと思って、特に喜怒哀楽を入れることを意識しましたね。そのセリフチックな部分は、感情をより込められるように何度も録り直したりもしたんです。でも、表題曲とは違ったかわいいポイントもいろんなところに散りばめられているので……ぜひ、みんなのお気に入りの“かわいい”を教えてください!
――かわいいポイントというと、Bメロに「プリ☆チャン!」のように盛り込まれているコールも上げられると思います。
林 そうなんですよ。あれもかわいいですよね!
厚木 歌詞には載っていないので、聴き込んで覚えて、コールを入れていただけたら……。
森嶋 あれも何種類か録ったよね?
林 うん。「キラッと!」とか……そうだ! 実は私がレコーディングのトップバッターだったんですけど、そこに作詞の只野(菜摘)さんもいらっしゃっていて。そのとき「何か『プリ☆チャン』っぽいセリフってありますか?」と尋ねられたんです。それで「みらいはよく『キラッと』と言います」とお話したら、「じゃあ『キラッと』って言ってみましょう」ってなったんですよ。
森嶋 えー、すごい! 私、元からあるんだと思ってた。
林 2番でチラッと聴こえると思うので、ぜひ注目していただけたらと思います!
――ちなみにこの曲、ダンスはどのようなものに?
厚木 振付自体はかわいいよね?
森嶋 でも、今までの比じゃないぐらい跳ねていて。
林 だから私、初めて振付の先生がぱーって踊ってくださったときに「……無理だな」って思った(笑)。「キラッとスタート」のとき、最初にいただいた映像を観て「できない……」って絶望してたときのような……。
厚木 そうなの! 「キラスタ」のときとまったく同じ感情になった!(笑)。
林 でも、すごくかわいいんです! 手を頭の上に持ってきて、自分でティアラをかぶるようなイメージの振付があったりしますし。
森嶋 そういうふうにダンスにもすごくかわいいところが散りばめられている曲なので、ぜひ観てほしいです!
待望の“季節シリーズ”新曲には、今まで以上の切なさが
――そしてもう1曲のカップリング「スノウ・グライダー」は、「サクラジェラート」「秋いろツイード」に続く“季節シリーズ”曲で。
森嶋 そうなんです。ついに季節シリーズ曲に、冬がきました!
林 発売時期にも本当にピッタリですし、お話も春・秋・冬とすごくつながってる感じがして。しかも、さらに切なさが増しているんですよ。歌詞を初めて読んだとき、「ついに彼が、行っちゃった……」と思って。
厚木 そうなの! 本当にこの曲は心が痛くて……。
――これまで2曲で、ずっと想いを寄せていた彼が。
林 はい。だから、今までの季節シリーズを歌ってきたからこそ、この「スノウ・グライダー」により気持ちが乗るというか。
森嶋 うん。私も歌うときには感情移入しまくりで、結構するするっと録れたイメージがあったんですけど、それは歌詞から情景が鮮明に思い浮かんだからだと思ってるんです。イメージビデオのような映像とか、「こんな感じで、何か降らせたいな」みたいなライブでの演出を、聴いているうちに次々と妄想しちゃったぐらいで……さすが、只野(菜摘)さんの歌詞ですよね。そのおかげで、すごくアウトプットがしやすかったんだと思います。
林 私、「サクラジェラート」とかと同じくレコーディングしてくださった石濱(翔)さんに「すごく上手になりましたね」って言っていただけて。「やったー!」って思いました。
厚木 逆に私は、歌詞に引っ張られすぎてしまって。つらさや切なさを乗せすぎて、「そっちじゃない」っていわれてしまって(笑)。「もっとはかない感じでいいよ」って。たしかに今までの季節シリーズもはかなさがすごく大事なポイントになっていたので、改めてそこをすごく大切にすることを意識して歌いました。
――そのために、イメージをどう再整理されたのでしょう?
厚木 歌詞がすごく重たいぐらいにせつなくて痛いものなのにはかなく歌うということは、感情がせつなさの底のようなところを通り過ぎたあとの、抜け殻みたいな状態なのかなと思ったんです。なので、今回は、そんなイメージで歌わせていただきました。
林 でも、この曲も他の季節シリーズの曲と同じようにサウンドはちょっとテクノポップ的なので、楽曲のポップさでバランスが取れて、重すぎない素敵な雰囲気にもなっています。
――活動も3年目に入りました。これから、グループとして、成し遂げたい目標をひとことずつお願いします。
林 声優もやりつつライブもできるというのが私たちの魅力でもあると思うので、ワンマンライブをもっとやりたいですし、ツアーもやりたいです! それを通じて私たちが、主題歌をうたわせていただいているアニメと皆さんとの架け橋になりたいですし、その姿から私たちの成長もお見せできる1年になればと思います。
厚木 今までにもいろんな私たちを見ていただいてきましたが、今回のシングルを通して、まだまだ見せたことのない私たちがいるんじゃないかと思ったんです。ただそれって、自分たちから出そうとして出すというよりも、ライブの場や新しい曲など、様々な経験のなかで自然と出てくるもののように思っていて。なので、3年目も自然体でありつついろんな私たちを見ていただいて、Run Girls, Run!の新たな可能性を感じていただけるような活動をできればと思っています。
森嶋 あとは、楽曲から私たちのことを知ってくださった方たちにもっとパーソナルな部分も知っていただけるように、グループとしても個人としてもいろんな魅力を発信していきたいです。今年の夏は『らんがばん!』というバラエティ番組もやらせていただきましたけど、「Run Girls, Run!の3人でいるときの私はこんな感じなんだよ」みたいな姿をもっともっと表現できる場で3人の個性を出していって、今以上にいろんな方たちに出会えるきっかけを作れるよう、突っ走っていく3年目でありたいです。
取材・文/須永兼次 撮影/TOMO(TWEETY)
「Share the light」情報
Dive II entertainment/エイベックス・ピクチャーズより発売中
CD+Blu-ray盤:2,100円+税
CD only盤:1,500円+税
<収録内容>
M1.Share the Light
M2.キラリスト・ジュエリスト
M3.スノウ・グライダー
M4.Share the Light(Instrumental)
M5.キラリスト・ジュエリスト(Instrumental)
M6.スノウ・グライダー(Instrumental)
<BD収録内容>
Share the light ミュージックビデオ
Run Girls, Run!公式HP
https://rungirlsrun.jp/
Run Girls, Run!公式Twitter
https://twitter.com/rgr_official_