TVアニメ『ファンタシースターオンライン2 エピソード・オラクル』監督の橘正紀とプロデューサーの菊地等が語る「アニメとゲームにおけるすり合わせの難しさとこだわり」【インタビュー】 | 超!アニメディア

TVアニメ『ファンタシースターオンライン2 エピソード・オラクル』監督の橘正紀とプロデューサーの菊地等が語る「アニメとゲームにおけるすり合わせの難しさとこだわり」【インタビュー】

現在好評放送中のTVアニメ『ファンタシースターオンライン2 エピソード・オラクル』。本作は、原作ゲーム『ファンタシースターオンライン2』(以下、『PSO2』)のエピソード1~3を再構築したオリジナルストーリーとなってい …

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 現在好評放送中のTVアニメ『ファンタシースターオンライン2 エピソード・オラクル』。本作は、原作ゲーム『ファンタシースターオンライン2』(以下、『PSO2』)のエピソード1~3を再構築したオリジナルストーリーとなっている。超!アニメディアでは、物語も折り返し地点となったいま、監督の橘正紀とプロデューサーの菊地等に、改めてアニメ化の経緯、描く上で大変だったことやアフレコの様子、そして今後の展開についてお話いただいた。

(左から)監督の橘正紀とプロデューサーの菊地等

――まず、アニメ化にあたり、演出等で気を付けたところについて教えてください。

 お声がけいただいた際、セガさんのほうから「今回は原作準拠でいきたい」という話をいただきました。そのときはアニメでうまく落とし込めるかどうか分からなかったので「もっと違う角度からアレンジしたほうがいいんじゃないか?」という話もさせていただいたのですが、最終的には原作をなぞったほうがいいという結論に至りました。

地 前作(2016年に放送されたTVアニメ『PSO2 ジ アニメーション』)は『PSO』15周年記念ということで、かなり大きなプロジェクトとして進行しました。そのときは手探り感もございまして、「舞台もそうですがゲーム以外のメディアの展開に関して、ユーザーさんの評価や市場の動きをみてみたい」ということもあり、アニメオリジナルストーリーという形でやらせていただきました。今回は『PSO2』のユーザーアンケートで「原作ゲームのアニメを見てみたい」というご意見をたくさんいただいたことから、「原作ゲームのTVアニメ化」という方針で企画を進めることにしました。

――今回はエピソード1~3を中心に描かれているということですが、その意図は?

地 ゲームはハードの製造が終わったり、サービスが終了してしまうとプレイができなくなってしまったりするじゃないですか。ですので、映像メディア作品としてきっちりと残しておきたいと思ったんです。現在『PSO2』はエピソード6を配信中で、8年目を迎える大作ですので、最初は1エピソード1クールと考えたこともありましたが、いろいろなハードルもありますので、まずは区切りのいいところで再構成しようということになり、エピソード1~3ということになりました。

――監督は昔から『PSO』をプレイされていたそうですね。

 脚本で入っている浅沼(文生氏)は高校時代から付き合いがあり、最初は彼に勧められてドリームキャストの第1作『PHANTASY STAR ONLINE』を買ったのが『PSO』との出会いでした。その後、ゲームキューブの『PHANTASY STAR ONLINE Episode1&2』、『PHANTASY STAR UNIVERSE』とプレイしてきたのですが、『PSO2』では主人公がしゃべらなくなってしまったんですね。それもあり、アニメに落とし込むのが難しくて。というのも、『PSO2』のプレイヤーは自分のキャラクターで作品のストーリーにコミットしているため、自分が主観で物語を見ることになるじゃないですか。ここで、あるひとりのキャラクターが主役として登場してしまうと「俺はこんな選択はしないのに」と違和感が出てしまうんじゃないかと思ったんです。

――んな悩みがあるなか、アニメ制作はどうやって進んでいったのでしょうか。

 どのような方向性で物語を作ればいいのか、当初は迷走していました。例えば、4~5人でパーティーを組みながらアークスと絡み、みんなで相談をしつつストーリーを進めていく……みたいなことも考えたのですが、エピソード1~3はかなりボリューミーな内容なので、「チームを何個も作ってしまったらまとまりきらない」という結論になり、シンプルなストーリー構成にすることにしたんです。


――そのストーリーの中心人物として生まれたのが、今回の主人公・アッシュですね。

地 はい。オンラインゲームではユーザーさん自身が主人公になるので、アニメで主人公をどう設定するかは、橘監督とゲームの開発陣ともかなり議論しました。結局はゲームで長く愛されているNPCのアッシュを主人公としました。キャスト陣も基本ゲームと同じという方針で進めてましたので、アッシュは新米アークスとして登場しますが、アッシュの成長していく姿や全体のバランスのことも考え、実績経験ともに抜群の小野大輔さんにお願いいたしました。橘監督とも別作品でお付き合いもありましたので。

――実際にアフレコをご覧になっていかがでした?

 ゲームのボイス収録は、基本的にひとりで収録しますので、キャストさんのなかには「実際どのような形で会話が成立していたのかが見えづらかった」という方もいらっしゃいました。アニメのアフレコでは、ほとんどの方が一堂に会して収録できましたので、それゆえに最初は少し掛け合いが恥ずかしかったキャストさんもいらっしゃったみたいです(笑)。

 師弟関係にあるマリア役の小山茉美さんとサラ役の植田佳奈さんがアフレコ現場で「はじめまして」とおっしゃっていたのがすごく面白かったですね(笑)。そう言えば、(下野紘さん演じる)アフィンは、物語序盤からアッシュに懐いている様子があるのですが、小野さんと下野さんは一緒に旅の番組をやっていたりして、元々すごく仲が良くて。なので、その距離感が演技にも出ていてすごくよかったですね。

――では、ストーリーを作る上で、特に気をつけた点は?

 主人公のアッシュが一体何を背負っているのかを演出的にも出していきたいということを念頭に置きつつ、作っていったところはあります。

 (ゲームの)ストーリーモードでは人が死んでしまうことがままあるのですが、アニメでも人の死というものはしっかりと描きたかったですね。今後、アッシュが倫理観的にも重たい選択を迫られる場面があるのですが、それを際立たせるためにも死をちゃんと描かなければならないと思ったんです。

――パティとティアのコンビは、作品のことをあまり知らない人にも世界観を分かっていただけるような「ナビゲーター」的な存在でもありますね。

橘 パティって、すごい説明したがりなんですよね。勝手に色々しゃべってくれるので、こちらとしてもすごくありがたいです(笑)。

――ちなみに、おふたりのお気に入りのキャラクターはいますか?

 アニメになって、アフィンのことがますます「面白いキャラだな」と思えるようになりました。あとはリサみたいな、ぶっ飛んだキャラクターも味があっていいですよね。

地 もちろん主人公のアッシュはクールでカッコよくてお気に入りですが、個人的にはメルフォンシーナがとても切なく毎回注目してしまいます。ゲームだと細かい表情の描写がなかなか難しいので、彼女が今後成長していく中で、表情がどのように変わっていくのかもご覧いただきたいです。


――戦闘シーンでこだわったところは?

橘 ゲームをプレイしていた段階で「このコスチュームで(アニメでの)戦闘に落とし込むのは無理なんじゃないか」と正直思いました(笑)。25話最後まで作りきるにはディテールを減らさないことには難しいと思っていましたので、カロリーのコントロールはだいぶしました。

 コスチュームではそのほか、マトイの探索用のコスチュームを新規で作っています。橘監督からのカロリーコントロールもありますが、今回アニメでは日常生活も多く描いてますので「あのコスチュームでどう生活しているんだよ!」って話になり色々と新規でデザインをしました(笑)。凍土に行ったとき、マトイが露出多めのコスチュームを着ているアフィンに対して「寒そう」と言ったのは、マトイのコスチュームが必要なことを暗にアピールしたものです(笑)。

 ですので、シーンごとに衣装を分けて作画の負担を減らす、というのは最初に考えました。ちなみに気づいている方がいるかもしれませんが、アフィンのふくらはぎのトゲがなくなっているんです。あれは座ったときに刺さっちゃうだろうと思って、「取ってもいいですか?」と聞きました(笑)。

――今後の見どころをお聞かせ下さい。

  アニメの情報解禁の段階で、すでに25話構成ということはみなさんにお伝えしてあるので、敢えて「1クール目」、「2クール目」という表現はしません。25話で一つの作品として観ていただければと思います。そのうえで、第10話「最後のさようなら」でまずひとつのヤマを越えたと思っています。前半はゲームをプレイしたことのある人が、イメージできるような流れからはじまりましたが、途中から「ゲームとは違う表現やアニメオリジナルの演出が入っているな」と感じている人もいたかと思います。ここから後半に向けて、ストーリーがどう展開していくのか期待していただきたいと思います。

 今回アニメ化する際、ユーザーさんが主人公、本作でいうところのアッシュから受ける印象がゲームの世界観と大きく乖離しないようにしないと、という思いがありました。だからこそ、ストーリーを考案していくなかで、ゲームの開発陣からもゲームでできなかったアイデアなど色々といただいて、アニメに反映させています。そこはぜひ楽しみにしていただきたいですね。

 そういえば、本作は時間軸がかなり複雑なので、シナリオ会議の際はホワイトボードが必須でしたよね。ゲームの開発陣にも全力で協力してもらって会議をしましたので、ゲームの世界観と大きく乖離しているということはないと思います。

――最後に、メッセージをお願いします。

  先日、後半パートのOP・ED曲の発表をさせていただきました。どこで切り替わるかはまだ言えませんが、そこも楽しみにしていただきたいですね。現在発売中のBD・DVDの第1巻と第2巻の特典には、ゲームでアニメのキャラクターになりきれるアイテムコードが入っているので、ぜひご活用ください!

 開発陣にアイデアを出していただきつつ、アニメ単体でも楽しんでもらえるようにアレンジしていますので、ゲームをプレイした方も未プレイの方も物語を楽しんでいただけましたら幸いです。ゲーム未経験でアニメを観て興味を持った方はぜひ『PSO2』のプレイも楽しんでほしいですね。

Text=佐伯敦史

TVアニメ『ファンタシースターオンライン2 エピソード・オラクル』 Blu-ray&DVD概要
第1巻・第2巻】
発売日:発売中
値段:初回限定版Blu-ray6,000円(本体)+税、初回限定版DVD5,000円(本体)+税
   通常版Blu-ray 4,700円(本体)+税、通常版DVD 3,800円(本体)+税
収録分数・話数:第1巻 本編47分(第1話、第2話収録)/第2巻 本編47分(第3話、第4話収録)
初回限定版特典(Blu-ray&DVD共通):
【第1巻】
・描き下ろしイラスト特製三方背ケース
・設定資料集
・特製ポストカード1種
・オーディオコメンタリー(小野大輔×下野紘×佐藤聡美)
【第2巻】
・描き下ろしイラスト特製三方背ケース
・設定資料集
・特製ポストカード1種
・オーディオコメンタリー(下野紘×伊瀬茉莉也)

全形態共通特典
【第1巻】
ゲーム内で使用できるアイテムコード①
・リバティークラスタ[Ou](アウターウェア)
・リバティークラスタ[Ba](ベースウェア)
・リバティークラスタ[In](インナーウェア)
・リバティーツインループ(ヘアスタイル)
・リバティーヘッドギア(アクセサリー)
・リバティーネクタイ(アクセサリー)
・クローズクォーター[Ba](ベースウェア)
・クローズショルダー(アクセサリー)
・クローズポーチ(アクセサリー)
・アッシュヘアー(ヘアスタイル)
・EPオラクル1巻ポスター(ルームグッズ)
・オモイマトイ(ミュージックディスク)

【第2巻】
ゲーム内で使用できるアイテムコード②
・ソルジャーズレスト[Ou](アウターウェア)
・ソルジャーズレスト[Ba](ベースウェア)
・ソルジャーズメロウ[Ou](アウターウェア)
・ソルジャーズメロウ[Ba](ベースウェア)
・アークスベレー(アクセサリー)
・アークススターステッカーA(ステッカー)
・PSO2アニメ瞳D 大(瞳パターン)
・PSO2アニメ瞳D 小(瞳パターン)
・PSO2アニメまゆD(まゆ)
・PSO2アニメまつげD 黒(まつげ)
・EPオラクル2巻ポスター(ルームグッズ)

 各巻リリース予定
第3巻:2020年1月22日(水)
第4巻:2020年2月19日(水)
第5巻:2020年3月18日(水)
第6巻:2020年4月15日(水)
第7巻:2020年5月20日(水)
第8巻:2020年6月17日(水)
第9巻:2020年7月15日(水)
※仕様、特典、リリース日程等は変更となる場合がございます。

TVアニメ『ファンタシースターオンライン2 エピソード・オラクル』放送情報
【放送日時】
TOKYO MX 毎週月曜 22時30分~
BS11 毎週月曜 23時30分~
【ストーリー】
新光歴238年。
ヒューマン、ニューマン、キャストの三種族により構成された惑星間飛行船団、通称『オラクル』。彼らは外宇宙に進出し、数多くの銀河を渡っていた。
外宇宙にて、新たに発見された惑星には調査隊として組織された『アークス』が降下し、調査と交流を行う。
数多の星に潜む『ダーカー』と呼ばれる生命体を殲滅するために創設された組織である彼らは、宇宙に平穏が訪れる日まで旅を続ける……
そして今、新人アークス「アッシュ」は広大な宇宙へと足を踏み入れる――

【スタッフ】
原作:セガゲームス
監督:橘 正紀
シリーズ構成:大野木 寛
脚本:大野木 寛 森田 繁 浅沼 文生
キャラクターデザイン:鯉川 慎平
音響監督:木村 絵理子
音楽:大間々 昂
斎木 達彦
アニメーション制作:GONZO
3DCG 制作:Felix Film
制作:PHANTASY STAR PARTNERS 2019

【キャスト】
アッシュ:小野大輔
アフィン:下野紘
マトイ:佐藤聡美
シオン:緒方恵美
ルーサー:櫻井孝宏
ゼノ:木村良平
エコー:日笠陽子
ゲッテムハルト:飛田展男
メルフォンシーナ:花澤香菜
ほか

【発売元・販売元】
ポニーキャニオン

公式サイト
https://pso2.jp/anime_eporacle/

公式 Twitterアカウント
https://twitter.com/ANIME_PSO2

(C)SEGA/PHANTASY STAR PARTNERS 2019

《超!アニメディア編集部》
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