声優・女優・歌手として様々な分野で活躍する飯田里穂が「20th Anniversary Album -rippihylosophy-」を12月4日にリリース。収録楽曲の制作過程を聞いたインタビューがアニメディア2020年1月号に掲載されている。「超!アニメディア」では、本誌に掲載できなかった分を含めたロングインタビューを紹介。
自分がこれまでに行ってきた活動をみんなに知ってもらいたい
――今回リリースしたアルバムは、芸能生活20周年を記念した作品だそうですね。
20年活動していると、私をどこかのタイミングで知った方がいたとして、それ以前にどんな活動をしていたのか知る機会がないなと思っていたんですね。それで、せっかく過去にたくさんの素敵な楽曲に出会ってきたのだから、私がどんな活動をしてきたのか、どんな人生を歩んできたかを曲からでも知ってもらえたらと思い、アルバムを作ることになりました。手に取ってくれた方との距離感が縮まったらいいなとも思っていましたし、私もずっと突っ走ってきただけだったので、改めて自分を振り返るいい機会になりました。
――全12曲の収録曲は、どういったテーマで選んだのでしょうか?
「私の転機になった1曲」というのがテーマです。たとえば、「サンデーモーニング」は『天才てれびくん』という番組内の「MUSIC TV KUN」(MTK)というコーナーでいただいたソロ曲なのですが、当時、天てれ戦士(『天才てれびくん』の出演者)のなかでは、MTKでソロをもらえるというのはとても名誉なことだったんです。それもあって私にとって、とても大事な曲でした。「僕らのLIVE 君とのLIFE」は、私が声優デビューをした『ラブライブ!』のデビューシングル。「始まりたいカノン」は、ソロでメジャーデビューしたアルバム『rippi-rippi』のリード曲ですし、「7月29日」は初めて作詞をした曲……と、私の芸能生活の大きなポイントになっている曲ばかりです。
――「私の時計は逆回転!」は、Pileさんとのユニット・4to6の曲です。
この曲はもちろん、『レーカン!』のOPでevery◆(※スミベタハートマーク)ingさんが歌っていた「カラフルストーリー」や、『怪獣娘~ウルトラ擬人化計画~』のOP「KAIJUハート」は、複数で歌っていた曲で、ひとりで歌ってみると、すごく大変でした。でも、「カラフルストーリー」はイベントでも人気があって、私にとっても思い入れの強い曲でもあり、私自身があまりハッピーなアニメソングを歌う機会が少ないので、カバーさせていただきたいなと思ったんです。「KAIJUハート」は主演をさせていただいた作品でもあるので、思い入れも深かったですし、4to6もすごく楽しいユニットで、とにかく歌いたい曲ばかりでした。
――実際にイベントなどで歌って、人気の高い曲は、聴く人のためにも入れたいなという感覚だったんですか?
そうですね。『魔法少女オーバーエイジ』の「Reason of birth」や『VENUS PROJECT-CLIMAX-』のED「ユメノツバサ」はイベントで歌わせていただく機会も多く、ぜひ知らない方にも聴いてほしいと思いました。
――一方で、『超游世界』のOP「Change the World」は、これが初めてのCD化だそうですね。
そうなんです。WebアニメのOPということもあって、あまり歌う機会もなく。CDにもなっていなかったので、今回の機会にぜひとお願いしました。
――既存曲では、「Special Days」と「いつか世界が変わるまで」をセレクトされました。
「Special Days」は私のリスタートという意味を込めた新曲で、「いつか世界が変わるまで」は最新シングルということで入れたかったんです。結果的に、最新の私まで聴いていただける、歴史本みたいな雰囲気の1枚になったと思います
――「ユメノツバサ」や「KAIJUハート」はキャラクターとして歌っていますが、飯田里穂としてカバーをするにあたり、レコーディングで心がけたことは?
キャラクターとして歌う機会が多かったときには、その歌い方に慣れてしまって、普通に歌おうとしてもキャラクター寄りになってしまっていたんです。でも、今回はソロとしての活動も重ねてきたからか、自分の歌い方がそれなりにつかめていたみたいで、それほど歌い方で悩むことはありませんでした。むしろ、ちょっとクセが強い歌い方をしていた部分はなるべくやめようとか、そういう細かいことを考えられるようになりました。それから、やっぱり年月が経っているからこそ、聴いて変わったなとすぐにわかるようにしたいなと思っていたんですね。ソロをやる前と始めたあとではちゃんと練習や努力をしてきたということも感じていただきたくて、歌い方には気をつけました。
――ちなみに、レコーディングの前にかつての音源は聴きましたか?
聴きました。聴いて思ったのが「若い」ということで(笑)。このときはこういう歌い方をしたんだとか、すごく発見もありました。「サンデーモーニング」は、レコーディング当時のスタジオや立ち会ってくださったスタッフの皆さんの顔まで思い出したくらいでした。
スタイリストさんとは20年ぶりの再会!?
――20年芸能活動をしてきて、歌に対する姿勢に変化はありましたか?
歌うときの楽しさや、自分ではこう歌いたいと考える姿勢は今でも変わっていません。でも、ソロとしての活動を始めたからには、楽しさだけではなく、技術や聴いただけで人を引きつける“何か”は加えたいなと感じるようになりました。
――アルバムタイトルの「rippihylosophy」は、どのように決まったのでしょうか?
ちょうど韓国に出かけていたとき、あるお店で香りを付けた紙を店員さんが配っていたんですね。その香りがとても気に入って、でも買おうかどうしようかを迷って、店の周りをぐるぐるしてしまって。もともと、買うと決めたら買うし、買わないと決めたら買わないタイプなので、迷うというのが珍しいんです。結局、周りの人の後押しもあって買ったんですが、それに「フィロソフィー」という言葉が付いていて。いつかどこかで使いたいなと思っていたところに、今回のアルバムのお話があったので、どうかなと思って付けてみました。結果的に、アルバムのテーマともピッタリあった素敵な言葉になったと思います。
――ジャケットは、珍しく全身が写ったものですね。
そうなんです。なぜか、私のジャケットってアップが多いんですよね……(笑)。今回、哲学という単語が入っているので、本を使った写真にしたいとお願いして。重厚感のあるアンティークな雰囲気になりました。バックの本は、本当にこのサイズで作っていただいていて、それもあって全身が入ったのかな。
――衣装も落ち着いた雰囲気で、とても素敵です。
哲学書というテーマがあるので、色はシックに白と黒にしようと決まりました。実は、スタイリストさんは、幼稚園のときの同級生なんです。別のお仕事で再会をして、“20”に意味を持たせかったこともあり、スタイリングをお願いしました。正直、まさかスタイリストさんになっているとは思わなかったし、こうして一緒にお仕事をできるとも想像していなかったので、偶然の出会いに感謝しました。
――アルバムが完成しての感想は?
すごくうれしいです。作っている最中は完成しないかと思うくらいに大変なこともありましたが、とにかくスタッフ一同、絶対にいいものを作りたいという思いがあったんです。アレンジをしてくださった方も、それぞれに意図を説明してくださって、歌う側としてもその思いに応えたいと思いましたし、自分の好きな歌を自分の声で歌えることが楽しくて仕方ありませんでした。
――素直な歌声で、とても聴きやすく、初めて聴く方も手に取りやすいアルバムになっていると思います。
ありがとうございます。このアルバムも私の哲学書、歴史書のような1枚になっています。皆さんの知らないころの私が歌っていた曲もリアレンジして雰囲気がガラッと変わった形でカバーしていますので、ぜひ手に取っていただき、私のルーツを発見してもらえたらうれしいです。
PROFILE
飯田里穂【いいだ・りほ】10月26日生まれ。埼玉県出身。放映新社所属。2015年にアルバム『rippi-rippi』でアーティストデビュー。これまでにシングル4枚、アルバム2枚、ミニアルバム1枚をリリース。声優としての主な出演作は、『ラブライブ!』星空 凛役、『フリクリ オルタナ』矢島 聖役、『寄宿学校のジュリエット』獅子静香役など。
商品情報
「20th Anniversary Album -rippihylosophy-」
NBCユニバーサル・エンターテイメントより発売中
価格:3,000円
飯田里穂の芸能生活20周年を記念したアルバム。これまでに歌ったキャラクターソングやユニット曲、自身が声優として出演したアニメ『レーカン!』のOPテーマ「カラフルストーリー」のカバーなど、全12曲収録。「いつか世界が変わるまで」と「Special days」以外の10曲は、すべてリアレンジ、新規レコーディングを行った“飯田里穂の20年”がわかる1枚となっている。
飯田里穂 公式サイト
https://iida-riho.com/