「イケメン」「スイカップ」はいつごろ流行した言葉? 90年代を舞台にした『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO』のこだわりを平川監督・林勇・小澤亜李に聞く【インタビュー】 | 超!アニメディア

「イケメン」「スイカップ」はいつごろ流行した言葉? 90年代を舞台にした『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO』のこだわりを平川監督・林勇・小澤亜李に聞く【インタビュー】

数多くの名作アドベンチャーゲームを世に送り出したゲームデザイナー・シナリオライターである、故・菅野ひろゆき氏の代表作が原作のアニメ『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO』。主人公・有馬たくやのもとにリフレクターデバイス …

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 数多くの名作アドベンチャーゲームを世に送り出したゲームデザイナー・シナリオライターである、故・菅野ひろゆき氏の代表作が原作のアニメ『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO』。主人公・有馬たくやのもとにリフレクターデバイスが届き、数奇な運命を辿ることとなった物語は現在、たくやが大人になり、さらに奇妙な謎に巻き込まれる「異世界編」へと突入した。

 超!アニメディアでは、主人公・有馬たくや役の林勇、たくやの娘であるユーノ役の小澤亜李、監督を務める平川哲生にインタビュー。現世編を振り返っての感想から異世界編の見どころ、またたくやへの思いなどを語っていただいた内容を全3回に分けてお届けする。


――まずは、『YU-NO』現世編(第1~17話)を振り返ってみて感じること、収録を終えての感想を教えてください。

 ゲームのたくやだと登場する全ヒロインと恋愛要素があって、フィニッシュまでたどり着きますが、アニメの世界観だとそうじゃないんですよね。どちらかというと、誰かとの恋愛模様を描くというよりは、仲間意識の中でそれぞれの人を助けていくというストーリー展開だったので、演じる際もその違いを気にしていた部分はあります。特に序盤は男気をみせて仲間を助けることが多かった気がするので、あまり恋愛要素としてじめっとせず、仲間を助けるということを意識していました。

監督 ゲームだとラブラブな感じになるけれど、アニメは寸止めなんですよね。“好き”だから助けるではなくて、“仲間として”助ける。

――なるほど。では、「現世編」で印象に残っているエピソードは?

 たくさんありますが、強いて挙げるとすれば第11話の三角山の洞窟で襲われるシーンですね。俺(たくや)と澪を仕留めようと思って色々とあったなかで美月が自害してしまう。で、そのあと逃げられないという状況になったとき、澪が「新しい世界で美月を救ってあげて」と言うんですよね。あの一連の流れは心を揺さぶられました。

監督 あのシーンでの澪のヒロイン感はすごかったです。演じる釘宮理恵さんの芝居はさすがの一言でした。

 たくやはどうしようもないところがあるけれど、周りの女性はできた方が多い(笑)。色々な意味で助かっています。

監督 私は第15話の水着回が印象に残っていますね。この話は何かしらサービスを視聴者の方々へお見せしたいと意気込んで入れた、原作にないお話でした。当初は龍蔵寺(幸三)のビキニ姿も入れる予定だったんですよ。

 そのサービス、いります(笑)?

監督 (笑)。でも、たくやたちが海に行く話なのに龍蔵寺がいたら変だからなくなりました。

小澤 何でいるの?ってなっちゃいます(笑)。私は第2話で初めてリフレクターデバイスを使うときが印象に残っています。冷静にしっかりと対応するけれどうまくいかない。だけど課題に向き合おうとするたくやの男らしさを感じました。

――本作は90年代が舞台ですが、それぞれ思い出はありますか?

 90年代といえば今から30年くらい前ですよね。ポケベルとかが流行っていた気がするなぁ。

監督 懐かしいですね! 僕は写真の現像とかやっていた記憶があります。

 あとは、DVDじゃなくてVHS(ビデオ)ね。

監督 『YU-NO』の第1話でもがさごそやってとあるビデオを取り出すシーンがありましたが、若い子はあのサイズ感が分からないかもしれないですね。

 確かに。俺は90年代に初めて声の仕事をやらせていただいたからなぁ。当時は小学2、3年生くらいでしたが、声の仕事をやったという思い出は強く残っています。

監督 もう働いていたんですね!

 そうなんです。『バンビ』って作品の幼少期のバンビ役をやらせていただきました。当時は台本を渡されてなんだかわからないけれど動いている画に合わせて喋っていました。

監督 根本的には今とやっていることは変わっていないですね。

 そうですね。

監督 小澤さんは90年代に生まれたんですよね?

小澤 生まれて、すくすくと育っていました(笑)。ワープロの操作方法を知らずに大人の真似をして、たたいて壊した記憶があります。あとはフロッピーを入れて写真を撮るデジカメのようなものがあって、写真を合わせるとGIFアニメーションみたいになるんですよ。それでお父さんとGIFアニメーションを作っていました。あとは山でどんぐりを拾って落書きをするなど土いじりをしていました(笑)。

 都会チックなところからいきなり土いじり(笑)。

監督 驚きましたね(笑)。小澤さんはいつ頃声優になろうと思ったんですか?

小澤 中学3年生の頃ですね。かわいい女の子が出ている作品が大好きで、そういうのを観て、「私も学校生活をエンジョイしたい!」と思って、アニメに興味を持つようになりました。今考えてみたら、変身願望の一環ですね。

――ちなみに、監督はいつ頃からこの業界を目指そうと思ったのですか?

監督 2002年にアニメーターになったのですが、その前の学生時代から絵を描いていました。そう思うと90年代の頃から今とやっていることは変わっていないです(笑)。

――なるほど(笑)。先ほどVHSがアニメにも出てくるというお話がありましたが、本作は色々な場面で90年代を彷彿とさせるアイテムや言葉が出てきますよね。

監督 そうですね。それは演出面で苦労したことでもありました。例えば「ストーカー」という言葉が90年代も使われていたのかとか調べたり、「イケメン」という言葉が当時使われていたかどうか調べたり、たくやが絵里子先生の胸をつんつんとするときは当初「スイカップ」という言葉を使おうとしていたのですが、それは「なくない!?」って議論したり……。あとは背景美術でアンテナや道路標識も当時あったか無かったかなどジャッジしていました。厳密ではありませんが、気にはしていましたね。


――その他、演出面で気を付けていたことは?

監督 後々「異世界編」にいくので、アニメだけれど「現世編」はなるべく現実らしく演出することを意識していました。例えばたくやが学校の屋上から突き飛ばされて落ちる、それで包帯ぐるぐる巻きになって登場なんてシーンもアニメなら作れるのですが、こういうのをバンバンやってしまうと「異世界編」との境目がよくわからなくなります。だから、その差がちゃんと出るように、バランスを考えて演出するようにしていました。

――「現世編」と「異世界編」の違いでいえば、オープニング・エンディングが「異世界編」からガラッと変わりました。こちらのこだわりについても教えてください。

監督 オープニング・エンディングは、作品を象徴する何かが欲しい、観ているだけでキャラクターの関係性が分かるものが入っているといいなと思っています。「現世編」のときにオープニングの演出をお願いした方は、他作品でもオープニング・エンディングをよくやられている方だったので、お任せしていたのですが、まさに僕が求めていた通りのものがあがってきたんです。「異世界編」では僕が演出をやったのですが、考えることは同じでしたね。ただ、異世界編はキャラクターの数が多いので、風景を見せるシーンを増やして「こんな世界ですよ」と紹介している感じにしています。エンディングは「現世編」では、枝分かれしていく、鹿の角が伸びていくみたいなものでしたが、あれは分岐していく世界をイメージしています。対して「異世界編」のエンディングは見るだけで物語がだいたい分かるものにしています。

――「異世界編」のオープニング曲は「MOTHER」。意味深ですね。

監督 歌詞のイメージが強くて。それを映像で表現するのが難しかったです。歌詞に合わせて映像を作ると歌詞に引っ張られすぎちゃうし、かといってズレると変になるので、どうすればいいのかと少し悩みました。歌詞が強いんですよ。

 『YU-NO』の中でも深いところをついている感じですよね。

監督 そうそう。ただ、こういう歌詞は(志倉)千代丸さんっぽいなと感じました。想いが強いと感じられたので嬉しかったですね。

次回は「異世界編」に突入しての想いやアフレコ現場の雰囲気ついてのお話を伺う。


アニメ『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO』情報
【放送情報】
AT-X:毎週火曜23時~
TOKYO MX:毎週水曜22時~
ABCテレビ:毎週水曜26時46分~
BSフジ:毎週木曜24時~
メ~テレ:毎週土曜26時44分~
※放送日時は、都合により変更になる場合があります。
【スタッフ】
原作:菅野ひろゆき/MAGES.
監督:平川哲生
キャラクターデザイン:大塚舞
助監督:松下周平
サブデザイン/小物設定:藤崎賢二/枡田邦彰/村山公
美術監督:坂上裕文/加藤浩
美術設定:加藤浩
美術背景:ととにゃん
色彩設計:宮脇裕美
撮影監督:難波史
撮影アドバイザー:中村雄太
編集:丸山流美
音響監督:たなかかずや
音響制作:東北新社
音楽:ヨナオケイシ/高見龍/Evan Call/川村竜(BPS Studio)
音楽制作:MAGES.
OP・ED作詞・作曲:志倉千代丸
アニメーション制作:feel.
プロデュース:GENCO
製作:PROJECT YU-NO

【キャスト】
有馬たくや:林 勇
ユーノ:小澤亜李
波多乃神奈:内田真礼
一条美月:大西沙織
島津澪:釘宮理恵
武田絵里子:小林ゆう
朝倉香織:前田玲奈
有馬亜由美:名塚佳織
龍蔵寺幸三:楠 大典
結城正勝:藤原祐規
豊富秀夫:江口拓也

【新作ゲーム情報】
発売日:発売中
機種:Nintendo Switch™、PlayStation®4、PlayStation®Vita
価格:通常版 6,800円(税抜)
ダウンロード版 6,000円(税抜)
CERO:D(17歳以上対象)

【Blu-ray BOX発売情報】
Blu-ray BOX第1巻 発売日:8月28日(水) 
収録話:第1話~第8話 価格:¥21,000+税
【初回限定版特典】
◆PC-9800シリーズ版キャラクターデザイン・長岡康史   描き下ろし化粧箱BOX
◆リメイク版キャラクターデザイン・凪良 &アニメ版キャラクターデザイン・大塚舞 描き下ろしインナージャケット
◆「YU-NO」大解剖ブックレット~今までの「YU-NO」の歴史がここに~(32P)
◆幸せお風呂ポスター【亜由美】
◆書き下ろしオリジナルシチュエーションドラマCD
【映像特典】
CM&PV集
詳細:http://yuno-anime.com/product/bd1/


(C)MAGES./PROJECT YU-NO

《超!アニメディア編集部》
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