アニメディア連載「シンカリオン制作日誌」第5回『新幹線変形ロボ シンカリオン』監督(65話〜)・板井寛樹 | 超!アニメディア

アニメディア連載「シンカリオン制作日誌」第5回『新幹線変形ロボ シンカリオン』監督(65話〜)・板井寛樹

先日、感動の最終回を迎えたアニメ『新幹線変形ロボ シンカリオン』。最近知ったという人にも作品の魅力をわかりやすくお届けする「新幹線変形ロボ シンカリオン応援連載 全速前進!こちら鉄分給配所」が、「アニメディア」にて連載 …

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 先日、感動の最終回を迎えたアニメ『新幹線変形ロボ シンカリオン』。最近知ったという人にも作品の魅力をわかりやすくお届けする「新幹線変形ロボ シンカリオン応援連載 全速前進!こちら鉄分給配所」が、「アニメディア」にて連載中。そのなかで、制作に携わる関係者に話を聞いた「シンカリオン制作日記」が掲載されている。第5回目は監督の板井寛樹が登場。現場の裏話などを語ってくれているので、超!アニメディアでもご紹介する。


――監督になられた経緯は? 監督の依頼前から『シンカリオン』はご存知でしたか?

 監督の誘いは、じつは去年の7月ごろにいただきました。『シンカリオン』は『新世紀エヴァンゲリオン』とのコラボレーション回などで「尖ったことをしているアニメ」として、当時から業界内でも知られていました。

――そんな『シンカリオン』にはどんな印象をお持ちですか?

 子どもは楽しんで観られるし、ドラマが作り込まれていて大人も十分楽しんで観られる作品なので、すごくバランスのいい作品だと思いました。

――印象に残っているエピソードはありますか?

 速杉ハヤトの妹のハルカが父親のホクトの浮気を疑うエピソードの23話。あと、自ら石化しようとするスザクをセイリュウが「家族」として思い止まらせた59話も好きです。あの回は、シナリオを読んだ段階で泣けました。脚本の下山健人さんに「泣いちゃうっすねー」と伝えたら、「軽いなー、嘘くさいなー」って言われましたけど(笑)。本当に、シナリオ段階で泣ける話が多いですね。

――監督をお願いされたときのお気持ちは?

 正直なところ「急だな」と思いました(笑)。企画からスタートする作品の場合、1年以上前に声をかけていただくことが多いんです。今回はゼロからの作業ではないですが、タイトなスケジュールでした。

――監督を務めるに当たっての意気込みは?

 「やってやろうじゃないか!」というよりも「いかにして、池添隆博総監督たちが作り上げた『シンカリオン』という作品を壊さないようにするか?」を考えました。自分の色を出すことよりも、これまで作品を応援していただいた多くのファンをがっかりさせないようにする気持ちのほうが強かったです。池添さんには「板井さんの『シンカリオン』にしちゃっていいよ」って言っていただいたのですが、逆に恐縮します。『シンカリオン』を支えてくれたスタッフやファンのために頑張りたい、という気持ちが生まれましたね。

――池添総監督がそうおしゃっていたんですか?

 池添さんは、監督を引き継ぐ者の立場や大変さを理解しておられるので、僕のプレッシャーをなくそうとする心遣いをしていただいたのだと思います。でも、池添さんの本心は「しっかり引き継げよ」だったかもしれません(笑)。



――監督として『シンカリオン』という作品を制作するうえで心がけていることは?

 スタッフの方々が築きあげてきたものを壊さない、ファンを裏切らない。それに共通しているのは「制作側の自己満足になってはいけない」ということですね。舞台裏で心がけているのは、スケジュールを守ることです(笑)。アニメーションは多くのスタッフの協力で成り立っているものなので、僕が手がける絵コンテ作業などの完成が遅れると、あとの作業に携わる方々に迷惑をかけてしまいます。楽しみにしていただいている視聴者と制作スタッフの両方に敬意を払っていこうと思っています。

――子どもも大人も楽しめる作品作りならではの苦労もあるのでは?

 池添さんも同じだったと思いますが、まずは子どもが観て楽しめるものを考えています。ただ、子ども向けではありつつ、脚本の下山健人さんがドラマを大事にされる方なので、親御さんも楽しまれているのではないでしょうか。あと、音響監督の三間雅文さんの力も欠かせません。シナリオ段階でドラマをつくり、絵コンテ段階で絵的な印象を決めるのですが、キャラクターに命を吹き込むのに重要なものは、やはり声。『シンカリオン』のドラマをより面白くしているのは、声優陣の芝居もさることながら、声優陣の魅力を引き出す音響監督の三間さんの力があるからこそと思います。

――新シリーズを「こんな物語にしたい」など、監督独自の希望はなかったのですか?

 『シンカリオン』のストーリー構成で「いいな」と思うのは、前半の日常パートで起こった問題の解決策が、後半のバトルの解決策と繋がるところ。あと、小学生の知識で敵を倒すなど、練られた物語であるところ。下山さんにお願いしたのは「観ると少しお得感があるといいな」でした。また、背景美術で実際の風景の写真を加工して使う部分もあって、旅番組ではないですが、各地の紹介にもなると、より面白いかなと思いました。

――68話のリュウジとタツミのエピソードでは、リュウジの新たな一面が描かれていましたね。

 これまでのリュウジは、かっこいいお兄さんでした。でも68話では、ハヤトが出題する鉄道テストで百点満点中2点というかっこ悪い姿を披露。評価を上げてきたリュウジを転落させるのは斬新でした。注意したのは、ただの残念な子に見えないようにしたこと。リュウジが空手のために戦国武将の戦略を調べていたという得意分野の知識が役立つという、かっこいいリュウジで終わらせました。リュウジは、家庭環境として成長を強制させられていたところがあります。68話の前半で年相応のリュウジが垣間見えたことが、キャラクターの深みになればいいですね。ただ、ファンの反応が怖いです。「自分たちが思っていたリュウジと違う」と言われたらどうしようって……。でも、68話のシナリオを読んで「リュウジをバカっぽく描いて大丈夫ですか?」と確認すると、下山さんは「大丈夫だよ。リュウジは残念だもん」というお答えでした(笑)。

――物語の流れとして、新シリーズの見どころは?

 65話以降のテーマは、それぞれの「好きなもの」と「将来の夢」が物語の軸にあります。これは大人向けのテーマかとも思いますが、「自分の好きなもの、やりたいこと」と「将来の仕事、職業」にズレが生じることがあります。そのなかで、キャラクターはどう対処していくのか。ハヤトは、純粋に大好きなものや夢に邁進するタイプ。男鹿アキタや大門山ツラヌキは「夢を持ちながら現実も見るタイプ」。そして、新シリーズの敵であるキリンはハヤトたちとはまた違うタイプなんです。三者三様の立場をどう展開していくのか。また、キャラクターの表向きの顔と根幹にある本音や本性の違いを表現するバランスが難しく、気をつけながら作っています。「夢」「好きなこと」「現実」という三本柱をそれぞれのキャラクターがどんな形で見せてくれるのかに注目してほしいです。

――映像的な注目ポイントは?

 3DCGは、新しい試みに挑戦しようとしています。かなり大変な作業のようですが、スタッフ一同が頑張っているので、こちらもお楽しみに。また、キリンのキャラクターは、スタッフみんなでアイデアを持ち寄って育てている感じです。音響監督の三間さんは、キャストに浪川大輔さんを起用しているのだからと、カイレンとは違う芝居へのアプローチを試みてくれました。シナリオ段階のキリンのセリフは高圧的なものでしたが、紳士的なやわらかいセリフに調整することで、彼の印象を違うものにしてくれました。また、キャラクターデザインのあおのゆかさんからも、キリンの目の表現を「人間バージョンとキトラルザスバージョンの2パターンで使い分けてみては」という提案をいただきました。展開で変わっていくキリンの印象に注目して欲しいです。

――板井監督が感じる『シンカリオン』らしさ「鉄分」とはどんなところでしょうか?

 現場スタッフの「やさしさ」でしょうか。みんなハヤトたち運転士のように、みんな仲がいいんです。普通ならビジネスライクな関係になることが多い作品関係者も慰労の飲み会に駆けつけてくれますしね(笑)。やさしさで繋がった仲間が作っているからこそ、観る人をやさしい気持ちにするのかもしれません。


構成/草刈勤

<TVアニメ『新幹線変形ロボ シンカリオン』情報> 
DVD & Blu-ray BOX4
11月27日発売
DVD 9,000円
Blu-ray 24,000円

公式サイト 
http://www.shinkalion.com/ 

公式Twitter 
@shinkalion 

シンカリオンTV 
http://www.shinkalion.com/movie/

©プロジェクト シンカリオン・JR-HECWK/超進化研究所・TBS

《超!アニメディア編集部》

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